中身はご機嫌なハードバップ
ハンク・モブレーのテナー・サックスは、上手いんだか、下手なんだか、アルバム毎にそのパフォーマンスの好不調が変わるので、ジャズ者初心者の頃は「良く判らん」テナー・マンだった。
ずっと彼のリーダー作を聴き続けていると、どうも録音時のパーソネルによって好不調が変わるみたいで、モブレーのテナーは、アルバムによって好不調が変わる「ギャンブル性」が特徴。当たれば良いが、外れれば悲しい。
Hank Mobley『Hank』(写真左)。1957年4月21日の録音。BNの1560番。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), John Jenkins (as), Donald Byrd (tp), Bobby Timmons (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。アルバムの収録曲は、全5曲中、2曲がハンク作、残りがスタンダード曲。
モブレーのテナー・サックス、ジェンキンスのアルト・サックス、そして、バードのトランペットの3管フロント。ファンキー・ピアノのティモンズ、プログレ・ベースのウエア、バップ・ドラムのフィリージョーのトリオがリズム・セクションを担当する。
ブルーノートにしては珍しい、地味なジャケットであり、愛想の無いアルバム・タイトルである。このジャケットとタイトルだとまず触手が伸びない。
しかし、パーソネルを見ると、ハンクから見て、リズム隊のベースのウエアとドラムのフィリージョーは年上だが、残りのメンバーは年下。年上で腕が確かなリズム隊は安心、他の旋律が取れる楽器は年下で遠慮しなくて良い。もしかして、この盤、ハンクは好調かもしれないと当たりを付けて聴き始める。
予想通り、この盤のハンクのテナー・サックスは好調。しっかり気合いを入れて堂々と吹いている。本当に不思議なテナー・マンである。好調が故にテナー・サックスの音色も明るい。好調な時のハンクのテナー・サックスが奏でるスタンダード曲は聴き応えがある。
アルト・サックスのジェンキンスも好調、トランペットのドナルド・バードも好調。好調ハンクのテナー・サックスと併せて、魅力的なフロント3管である。バリバリ「ハードバップ」なユニゾン&ハーモニーを聴くことが出来る。
ファンキー・ピアノのティモンズも好調。良き捻れベースのウエアとバップなドラムのフィリー・ジョーもご機嫌なリズム&ビートを供給する。
地味なジャケットであり、愛想の無いアルバム・タイトルだが、中身はご機嫌なハードバップ。さすが、ブルーノートの1500番台は裏切らない。
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