『Contradictions "A Look At the Music of Michel Petrucciani"』
申し訳ない言い方だが、従来より、日本のレコード会社やレーベルが企画してリリースするジャズ盤は何か面白くない。内容は悪くない。でも、ワクワクする何かが足らないというか、オッと思うような意外性や注目ポイントが少ないというか、日本のレコード会社やレーベルが出す新盤って、聴く前から、内容が想像できるというか、ワンパターンというか、面白みに欠けるものが多い(これは、という盤もあるにはあるが・・・)。
とにかく「安全運転」な企画・プロデュースで、そこそこ売れて欲しい、という思いが見え隠れする。加えて、ジャズ雑誌のジャズ盤評論はこぞってこれら日本のレコード会社や日本のレーベルが出す新盤を好意的に評価する。「本当にこの盤の内容が良いと思ってんのかしら?」と疑義を持つ様な一部のジャズ評論にはちょっと呆れる。そういう訳で、今でも新盤については、日本制作盤は敬遠気味で、自分の経験と勘を基に、輸入盤を中心に選盤することが多い。
Christian Jacob『Contradictions "A Look At the Music of Michel Petrucciani"』(写真左)。2005年12月30日、2006年1月17, 30日の録音。ちなみにパーソネルは、Christian Jacob (p), Trey Henry (b), Ray Brinker (ds)。リーダーのChristian Jacob(クリスチャン・ジェイコブ)は、1958年、仏生まれのジャズ・ピアニスト。今年で62歳。バークリーの卒業生で、編曲家としても活躍、1年に1作程度のペースでコンスタントにリーダー作をリリースしている。
気持ちの良いピアノ・トリオ盤である。この『Contradictions』は、副題「A Look At the Music of Michel Petrucciani」とあるように、ジェイコブによるペトルチアーニ曲集。「ジャズ・ピアノのミューズ」と呼ばれた、故ミシェル・ペトルチアーニの作曲した曲を中心に構成した、ピアノ・トリオ盤。
この「ペトルチアーニ」のトリビュート盤という企画が良い。ジャズ・ピアノ者の「聴きたい」という気持ちに「刺さる」。特に、ペトルチアーニがお気に入りの僕としては、大いに期待して「そそくさ」とゲットした。
企画の方向性が良いのだろう。これが、期待に違わぬ素晴らしいピアノ・トリオ盤である。ジェイコブのピアノは、しっかりと芯のある柔らかなタッチが生み出す、明るく輝かしい音色。いきなり名曲「Looking Up」からのスタートなんて良い感じだ。ジェイコブのピアノの個性が良く判る。とにかく、ジェイコブのピアノがシンプルで判りやすくて、明るくて綺麗で申し分ない。
ペトルチアーニの曲は、明るくて軽快で心地よい旋律を伴った曲が多いので、ジェイコブの様に、ペトルチアーニのピアノに比べれば、ちょっと繊細で線が細いのだが、「シンプルで判りやすくて、明るく、綺麗なタッチ」がペトルチアーニの曲にしっかりフィットしている。
良いピアノ・トリオの企画盤です。日本のレコード会社やレーベルも、いつもいつも決まって「有名スタンダード曲中心」の企画盤を企図するのでは無く、こういう、ちょっと「キラッ」と光る企画盤を企図して欲しいですね。きっと実現できると思うし、こういう小粋な企画盤は売れると思うんですが、どうでしょうか。
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