« ジミー・スミスのポップ化の萌芽 | トップページ | ショウは単純に「格好良い」 »

2020年11月24日 (火曜日)

90年代のアーマッド・ジャマル

アーマッド・ジャマルは「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。1950年代は、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。ビ・バップのピアノの真逆を行く、ハードバップ時代ならではの個性とアプローチ。マイルスが名指しで共演を望んだとか、レッド・ガーランドに彼の様に弾けと言ったとか、逸話にも事欠かない。

1960年代終わり〜1970年代の作品は「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」が、1980年代になって、アーシーさがすっかり抜けきって、豪快でメリハリのある力強いタッチが特徴に変化。左手の叩き付けるようなガーン、ゴーンという骨太な音はマッコイ・タイナーばり。右手の早弾きテクニックがフィーチャーされる。しかし、劇的な変化は、この1980年代で一旦の終息をみる。

Ahmad Jamal『I Remember Duke, Hoagy & Strayhorn』(写真左)。1994年6月2, 3日の録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), Ephriam Wolfolk (b), Arti Dixson (ds)。ジャマルお得意のトリオ編成。内容はタイトル通り、デューク・エリントン、ホーギー・カーマイケル、ビリー・ストレイホーンのトリビュート。
 
 
I-remember-duke-hoagy-strayhorn
 
 
1950〜1960年代までの「しっとりシンプルでオシャレなサウンド」の面影は全く無い。1980年代以降のジャマルは、豪快でメリハリのある力強いタッチが特徴。テクニックの素晴らしさは相変わらず。煌びやかなピアノの音が実に魅力的である。右手のフレーズがとてもシンプルで判り易い。カクテル・ピアノっぽくなりそうなんだが、左手の骨太なタッチがジャジーなので、極上のジャズ・ピアノとしてのトリオ演奏が成立している。

そして、ジャマルの素晴らしさは「アレンジメント」。エリントン、カーマイケル、ストレイホーンの「縁の楽曲」をとても魅力あるアレンジで、新しいイメージを付加している。シンプルな右手のフレーズだが、結構、複雑なコード変更や捻れた音の重ね方をしていて、特にエリントン作の楽曲に関して、ありきたりな解釈になっていないところが感じ入るところ。

1990年代のジャマルのピアノの良いところがギッシリ詰まったトリビュート盤。リズム隊のベーシスト、ドラム共に無名に近いメンバーだが、堅実にジャマルのピアノのサポートをしているところは評価出来る。ジャマルのピアノが前面に押し出たピアノ・トリオ盤ではあるが、ジャマルのピアノを愛でる、という点では、恰好の好盤である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« ジミー・スミスのポップ化の萌芽 | トップページ | ショウは単純に「格好良い」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ジミー・スミスのポップ化の萌芽 | トップページ | ショウは単純に「格好良い」 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2021年1月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー