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2020年11月17日 (火曜日)

MJQ『Pyramid』との出会い

Modern Jazz Quartet(略して「MJQ」)と出会ってから、かれこれ40年以上が経つ。それまでは、ジャズは猥雑な音楽、ちょっと不良がかった人が聴く音楽、なんて、とんでもなく歪んだ印象を持っていた。が、である。大学に入って直ぐに、ジャズ好きの友人と出会った。その友人は「ジャズはええぞ」と僕にジャズを勧めながら、その友人はなにを思ったか、MJQのアルバムをかけてくれた。

Modern Jazz Quartet『Pyramid』(写真左)。1959年8月と12月、そして1960年1月の3回に分けて録音されている。Atlanticレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。MJQの「揺らぎの無い鉄壁のカルテット」。

実は、このMJQの『Pyramid』ってアルバムは、僕をジャズの世界に導いてくれたジャズ盤の一枚。このアルバムを大学1回生の時、友人の部屋で聴かせてもらった。それまで、僕はジャズについては、FM放送でたまにエアチェックして聴くことはあっても、自分でアルバムを持っていた訳でもなく、それほど、興味があった訳でもなかった。

このアルバムって、MJQのアルバムの中でも「渋め」の内容で、MJQを初心者に紹介する時には、まず出てこない「隠れ好盤」である。これが、当時、僕には衝撃だった。当時、ジャズの印象と言えば、黒人の音楽で、熱くてファンキーでテクニカルで、ちょっと猥雑で俗っぽい音楽、なんていう先入観があった。
 
 
Pyramid-mjq  
 
 
それが、である。この盤に詰まっている音は、実にアーティステックで品の良い、それでいてクラシックに比肩するほどの高度な音楽性。全曲に渡って飽きさせない選曲とアレンジ。選曲は基本的にはメンバーのオリジナルかスタンダード。それらの曲を彼らは、室内楽的で緻密精巧なアレンジと、ジャズ特有のインプロビゼーションを融合させて、ワン・アンド・オンリーな「音」を提供する。

まるでバロックの「バッハ」を思わせる、対位法的なアンサンブルの高尚さでグッと惹きつけ、ブルージー極まりないアドリブが炸裂する。この盤での、冒頭の「Vendome」に始まり、2曲目の「Pyramid」、3曲目「It don't mean a thing」のアレンジと音の流れがとにかく素晴らしい。実に典雅でアーティステックである。
 
このアルバムを聴いて、ジャズに対する認識がガラッと変わった。もともと、ロックの世界でもインスト好きだったこともあるが、これだったら「ジャズも良いかもしれない」そう思って、友人の家を出た帰り、その足で生まれて初めてジャズのアルバムを買った。そのアルバムが、MJQの『Django』。
 
あの時、このMJQの『Pyramid』に出会わなかったら、ジャズを聴いていなかったかもしれない。今聴いても、この『Pyramid』、最高です。MJQのアルバムの中で、もっともっと高く評価されて良い作品である。
 
 
 

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