ヴィンスのタッチが小気味良い
Vince Guaraldi(ヴィンス・ガラルディ)。『スヌーピー』の音楽の作曲者。チャーリー・ブラウンとピーナッツの仲間たちの、可愛く楽しいサウンド・トラックを数々手掛けてきたジャズ・ピアニスト。初リーダー作『Vince Guaraldi Trio』では、ヴィンスのピアノは暖かく柔らかいタッチが個性で、そのユニークな将来の片鱗を聴かせてくれた。
Vince Guaraldi『In Person』(写真左)。1962年12月4日、カリフォルニアの「The Trident Jazz Club」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Vince Guaraldi (p), Eddie Duran (g), Fred Marshall (b), Colin Bailey (ds), Benny Valarde (güiro)。ヴィンスのピアノ・トリオに、ギターと南米の打楽器「ギロ」が入ったクインテット構成。
クインテットとは言っても、演奏を聴くと、どちらかと言えば、ヴィンス・トリオにギターとパーカッションが客演したイメージが強い。「ギロ」とは、ヒョウタンの内側をくりぬき外側に刻みを入れて棒でこすったり叩いたりして演奏する打楽器(wikipediaより)である。西海岸ジャズらしく、珍しい楽器構成を基にアレンジをふるって「聴かせるジャズ、楽しませるジャズ」を展開している。
収録曲を見渡すと、まず「ボサノバ曲」が目につく。セルジオ・リカルドの「Zelao」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Outra Vez」、カルロス・リラの「Forgive Me If I'm Late」、アントニオ・マリアの「The Love Of A Rose」等、正統派なボサノヴァ曲を中心に、ヴィンスのエレガントなピアノが小気味良いフレーズを弾き紡いでいく。
その他の収録曲では、アフロ・キューバンあり、ジャズ・スタンダード曲あり、アレンジのテクニックを駆使して、趣味の良い、硬質ではあるが流麗なヴィンスのピアノが堪能出来る。特に「On Green Dolphin Street」や「Jitterbug Waltz」については、ヴィンスの暖かく柔らかいタッチのエレガントなピアノがバッチリ填まっている。
米国西海岸ジャズの「個性と雰囲気」を色濃く反映したジャズ・ピアノ盤である。この盤、拍手がカットされているのでスタジオ録音盤と間違えやすいのだが、この盤はしっかりライブ盤である。それが証拠に、ヴィンスの明確なタッチが小気味良く、演奏全体が活き活きしている。ジャズ・ピアノ盤の隠れ好盤としてお勧め。
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