バルネ・ウィランを見直した。
Barney Wilen(バルネ・ウィラン)。仏の伝説的サックス奏者である。50年代中盤に、バド・パウエルやマイルス・デイヴィス、J.J.ジョンソンらと共演したことでも有名。1957年には、自らのクィンテットで『Barney Wilen Quintet』を発表。仏のサックス奏者でありながら、こってこて「ビ・バップ」な吹きっぷりは見事。が、以降、ロック色の強い『Dear Prof.Leary』(1968年)を発表したり、1970年代には映画音楽や民族音楽に携わるなど、幅広いというか迷走気味の音楽活動を展開。
そして、1990年代に入って、原点回帰した「ビ・バップ」なブロウのリーダー作をヴィーナス・レコードから数作リリース。そして、1996年5月、鬼籍に入っている。キャリア途中、映画音楽や民族音楽に手を出したり、晩年はヴィーナス・レコードで、バップなブロウの要求に迎合したりで、自分としてはあまり信頼できるサックス奏者ではなかった。とにかく訳が判らん。ビ・バップなブロウも硬質でファンクネス皆無、歌心が希薄なテクニカルなブロウが、どうにも苦手だった。
Barney Wilen『Montréal Duets』(写真左)。1993年7月4日、International de Jazz de Montreal での録音。今年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Barney Wilen (ts, ss), Alain Jean-Marie (p)。サックス奏者 バルネ・ウィラン & ピアノ奏者 アラン・ジャン・マリー のデュオ。カナダ・モントリオールのジャズフェスでのライヴ録音。
改めて、1937年、仏ニース生まれのサックス奏者 バルネ・ウィラン。そして、1945年、仏ポワンタピートル(グアドループ、小アンティル諸島)生まれのピアニスト、アラン・ジャン・マリーのデュオである。苦手なサックス奏者、バルネ・ウィランのライヴ音源なので、あんまり期待せずに聴き始めたら、あら不思議。角の取れた芯のあるテナーの音色、流麗でメロディアスな運指、歌心溢れるフレーズの展開。今まで聴いてきたウィランとは全く異なるサックスがこのライヴ盤に記されている。
ピアノを担当するアラン・ジャン・マリーも実にツボを押さえた伴奏を展開する。僕はこのピアニストは全く知らない。でも、このピアニストは及第点。どこかが突出した強烈な個性は無いし、テクニック的にも突出したところは無いが、デュオのパートナーとして、その役割をよく心得た「伴奏上手」なピアノはなかなかの聴きもの。破綻無く穏やかに堅実にウィランのサックスをサポートする。良い伴奏ピアノ。
このライブ盤、ライブ2セットをCD2枚組、全演奏時間 2時間30分弱の長尺で、演奏曲が2枚のCDで重複したりしているんですが、しかもデュオという演奏形態でシンプルの極みなんですが、全く飽きが来ません。とにかく、このライブ盤でのバルネ・ウィランのサックスは素晴らしい。思わず、バルネ・ウィランを見直しました。晩年のバルネ・ウィランを聴き直してみようか、と思っています。
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