マーカス・ミラーの傑作盤です
最近、マーカス・ミラー(Marcus Miller)が気になっている。もともとベーシストのリーダー作には興味があって良く選盤するのだが、最近、何故か、マーカス・ミラーが気になっている。マーカス・ミラーは、現代最高峰のベーシストの1人。相当に卓越したテクニックと疾走感と切れ味抜群の「独特のグルーヴ感」が個性。とくにスラップにおけるグルーヴは秀逸。
1970年代後半、ジャコ・パストリアス(愛称「ジャコ」)の登場で、ジャズにおけるエレクトリック・ベース(略して「エレベ」)の可能性は飛躍的に拡大したが、そのエレベの可能性をもう一段階上のレベルに引き上げたのがスタンリー・クラーク(愛称「スタン」)、そして、このマーカス・ミラーだと僕は認識している。そんなマーカスのリーダー作をじっくりと、年代順に聴いたことが無い。ということで、マーカスのリーダー作に注目である。
Marcus Miller『The Sun Don't Lie』(写真左)。1993年のリリース。パーソネルは挙げれば切りが無い。当時のフュージョン・ジャズ畑、コンテンポラリー・ジャズ畑の一流どころがズラリ。曲によって、演奏の内容によって、演奏するメンバーを厳選しており、こういうところは、マーカスのプロデュース能力の高さを感じさせる。さすが、マイルス・バンド、最後の音楽監督である。
邦題『ザ・キング・イズ・ゴーン』。1991年に亡くなったマイルス・デイヴィスに捧げた「追悼盤」。邦題の「キング」はもちろんマイルス・デイヴィスのこと。ジャコに題材をとった作品も含めて、1980年代はR&B志向のマーカスが、ジャズ・ベーシストとしての自分を前面に押し出した「コンテンポラリー・ジャズ」志向のリーダー作である。
この盤でのマーカスのエレベは凄まじい。ロック、ファンク、ソウル、ジャズ、様々な音楽要素を融合した、コンテンポラリーなフュージョン・ジャズがこの盤に詰まっている。特にファンクネスは濃厚で、ジャズ・ファンクな要素が一番強く感じる。しかし、ジャズ・ファンクとはいえ、ポップでは無い。しっかりとジャズを踏まえた、当時の先端を行く「ジャズ・ファンク」がこの盤にある。
ジャコより端正で真面目、スタンよりファンクネス控えめで流麗。タイトで整った躍動感+グルーヴ感溢れるスラップは唯一無二。エレベをエレギの如く弾く様は圧巻であり、胸がスカッとする。それぞれの曲のアレンジ、メンバーの選定、音の雰囲気、どれをとっても非の打ち所が無い。この盤、マーカスのプロデュースの才を確認するにも最適なアルバムになる。なにはともあれ「好盤」である。
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