エディ・ヘンダーソンの好盤です
ジャズ・ミュージシャンは「寿命が長い」。歌舞伎の世界では「40歳、50歳はハナタレ小僧」と言われるらしいが、ジャズの世界でも同様なことが言える。20歳代は子供、30〜40歳代は若手、50〜60歳代になってベテランとなり、70歳を越えてレジェンド、がジャズ界での捉え方ではないかと思う。特に近年、レジェンド級のジャズマンの活躍が目立つ。なかなかの好内容のアルバムを連発しているのだから恐れ入る。
Eddie Henderson『Shuffle and Deal』(写真左)。2019年12月5日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Henderson (tp,flh), Donald Harrison (as), Kenny Barron (p), Gerald Cannon (b), Mike Clark (ds)。充実の布陣、ヘンダーソンのトランペット、ハリソンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成である。
エディ・ヘンダーソンは1940年生まれ。今年で80歳になる「レジェンド」である。個人的には暫く忘れていたトランペッターだったが、Smoke Sessionsレーベルからの好盤を聴くにつけ、注目のレジェンド級トランペッターとして注目する存在となった。しかし、ヘンダーソンって、1970年代はクロスオーバーなエレジャズをやったり、ちょっとポップなトランペッターという印象があったのだが、現在の地に足の着いた純ジャズ志向はちょっと驚きである。
エディ・ヘンダーソンのトランペットは「軽快」。そして、ライトで滑らかな旋律が個性。音色的にはマイルスに似ている、というか、マイルスの忠実なフォロワー。逆に、凄いテクニック、エモーショナルなハイトーンなどという派手さが無いというところが弱点と言えば弱点。強烈な印象が残らないところが玉に瑕と言えば玉に瑕。しかし、この盤では、プロデュースの勝利だろう、それが良い方向に作用している。
選曲が良い。結構、渋いスタンダード曲を選曲していて、ヘンダーソンの軽快なトランペットが映える。「虹のかなたに」「春の如く」「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」「スマイル」などお馴染みのナンバーが、軽快でポップなアレンジでとても楽しく聴き流せる。演奏自体は難しいことは全く無し。ミッドテンポの穏やかでライトでポップな純ジャズのオンパレード。
ジャズの先端を行く演奏では全く無い。といって、イージーリスニングなジャズでも無い。実にバランスの良い洗練された、良い意味で「平易な」演奏。聴き易いが、決してイージーでは無い。良い意味で「ながら聴き」に最適。そして、ラストのケニー・バロンとのデュエットで演奏される「Smile」でしみじみするのだ。
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