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2020年10月10日 (土曜日)

メイバーン晩年の傑作ライヴ盤

ハロルド・メイバーン(Harold Mabern)。1936年、メンフィスの生まれ。昨年9月、惜しくも83歳で逝去した、大ベテランのジャズ・ピアニスト。1968年に初リーダー作をリリース。しかし録音の機会に恵まれなかった。1989年に日本のレーベル、DIWからアルバムをリリースしてから徐々にリーダー作が増え、21世紀に入って、これまた、日本のレーベル、ヴィーナス・レコードから『Kiss of Fire』を出して以来ブレイク。約1年に1作のペースでリーダー作をリリースしてきた。

このメイバーンのピアノが米国で「ウケ」なかったのが不思議でならない。ブルージーでゴスペルチックな和音の響きが特徴。その特徴を前提にバップなピアノをダイナミックに弾きこなし、米国ルーツ・ミュージックの響きがノスタルジックに響く。このピアノが米国で「ウケ」なかったのが意外である。が、最近、やっと評価されてきた様で、喜ばしいことではある。

Harold Mabern『Mabern Plays Mabern』(写真左)。2018年1月の録音。最近、メインストリーム系の優れたジャズ盤を制作している Smoke Sessions レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Harold Mabern (p), Eric Alexander (ts), Vincent Herring (as), Steve Davis (tb), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。テナー、アルト、トロンンボーン3管がフロントのセクステット(6重奏団)編成。
 
 
Mabern-plays-mabern   
  
 
タイトルからも判る様に、メイバーン自身の作曲によるヒット・ナンバーを中心に、晩年、共にプレイした、気心知れたメンバーとの好ライブ盤。2017年12月17日から、NYのジャズクラブ、スモークで行われた「カウントダウン2018-ジョン・コルトレーン・フェスティバル」と題された「ハロルド・メイバーン・カルテット・フィーチャリング・エリック・アレキサンダー」の21日間連続のライブにビンセント・ハーリング(as)、スティーヴ・デイビス(tb) が参加したステージを収録したもの、とのこと。

メイバーンが弾きまくる。ブルージーでゴスペルチックな和音をベースに、バップなタッチ、ダイナミックな展開。「引用」も含め、イマージネーション溢れるアドリブ。このライヴの10ヶ月後に鬼籍に入るなんて想像も出来ない、ヴァイタルでダンディズム溢れる弾き回しには惚れ惚れする。とても当時、82歳のパフォーマンスとは思えないほど、ダイナミズムに溢れている。

このライブ盤、晩年のメイバーンの最高のステージ、ライブにおける魅力を捉えた、メイバーンのリーダ作の代表盤の一枚に加えるべき内容である。バックを司る、気心知れたメンバーもそれぞれ好演に次ぐ好演。メイバーンは最後に素晴らしいライヴ盤を残してくれた。ご冥福をお祈りしたい。
 
 
 

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