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2020年10月30日 (金曜日)

フィッツジェラルドの代表盤

エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)の完全未発表音源『Ella: The Lost Berlin Tapes』がリリースされる記事を読んでいて、エラのライヴ盤でベルリンでのやつがあったよなあ、とボンヤリ思った。ボンヤリ思ったというのも、僕はジャズ・ボーカルが長い間、苦手であった。21世紀に入って以降、それなりに有名盤、好盤を聴き進めてはいるが、苦手感は払拭できないでいる。

特に、トラディショナルな正統派ジャズ・ボーカルのほとんど、特に女性ボーカルが苦手。エラなんか最たるもので、基本的にはずっと「聴かず嫌い」であった。が、人間、歳を取ると「許容度」が増すらしく、21世紀に入った頃から、トラディショナルな正統派ジャズ・ボーカルも少しずつ聴く様になった。エラも何枚か有名盤を聴く機会があって、ベルリンのライヴ盤『Mack The Knife - Ella In Berlin』は聴いたことがある。

Ella Fitzgerald『The Complete Ella In Berlin : Mack the Knife』。1960年2月13日、ベルリン(録音当時は西ベルリン)での録音。ちなみにパーソネルは、Ella Fitzgerald (vo), Jim Hall (g), Paul Smith (p), Wilfred Middlebrooks (b), Gus Johnson (ds)。エラ・エラ・フィッツジェラルド with ポール・スミス・カルテットである。
 
 
The-complete-ella-in-berlin
 
 
伝説のベルリン公演でのライヴ録音。エラは絶好調。バンドと一体となり猛烈にスイングする様は圧巻。楽しい公演だったのだろう、ここでのエラは結構シンプルで判り易い歌唱。収録曲も取っ付き易いスタンダード曲ばかりで、ジャズ・ボーカルの初心者にも入り易い内容。バラードの「Misty」や「The Man I Love」は絶品。そして、得意の「スキャット」を駆使して、ご機嫌なアドリブ・パフォーマンスを展開する「How High The Moon」や「The Lady Is A Tramp」等は「エラの真骨頂」。

ボーカル盤の場合、バックのバンドの良し悪しが重要になるのだが、この盤でのポール・スミス・カルテットのパフォーマンスは全く申し分無い。エラのスピード感溢れるボーカルにしっかり反応するところなど、良いバックやなあ、とほとほと感心する。要所要所でジム・ホールのギターが効いている。このバック・バンドだからこそ、これだけエキサイティングなライヴが展開出来るのだろう。

このCDはオリジナルLPの収録曲に4曲を追加して「The Complete」盤としている。が,このうち2曲「Love For Sale」と「Just One Of Those Things」は実は1956年8月のHollywood Bowlでの録音とのこと。ただ、こちらも「with ポール・スミス・カルテット」なので違和感が無いし、ライヴの熱気・雰囲気もほぼ同じ。誤認しても仕方が無い。逆にこのライヴ盤に関しては、敢えて「The Complete」盤を選択しなくても、オリジナルLP収録盤を選択しても遜色は無い。どちらのヴァージョンでも、エラの歌唱が堪能出来る。
 
 
 

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コメント

学生の頃、ジャズ・ヴォーカルでも聴いてみようかと、評論家推奨のこのLPを、なけなしの金をはたいて買ってみたら、何だこれ?おばはんがドヤ顔でわめき散らして、中国雑技団みたいなスキャット。次はビリー・ホリデイへ。何か惨めったらしい曲を、汚らしい声で、いやらしい歌い方。すっかりジャズ・ヴォーカルが嫌になりました。ロックからジャズへ関心が向いてきた友人達もみんなジャズヴォーカルは苦手だと。苦手意識はみなさんこういう所からだと思います。寺島靖国さんが、エラ、サラ、カーメンなんてというのは、同意見。長年、ジャズ・ヴォーカルは敬遠してたんですが、偶然、エラの若い頃を聴いたら、かわいらしい声で、とてつもなく上手いんですよね。おばはんも当然少女時代があったわけで(笑)初心者には、どぎついのを紹介しないでよね。美女がうつくしいメロディーをきれいな声で歌うのを聴きたいというのが、初心者の願いです。(笑)
特にビリー・ホリデイはクサヤの干物。好きな人は好きなんだろうね。僕は嫌だけど。(笑)

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