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2020年10月15日 (木曜日)

サンボーンのジャズ・ファンク

デヴィッド・サンボーン(David Sanborn)は、フュージョンの人と誤解されていた時代があった。それも、ソフト&メロウなフュージョンの人、スムース・ジャズの人という誤解が蔓延していた時代がある。これって、とんでもない誤解で、ギル・エヴァンス・オーケストラのソロイストであったり、キャリア的にはメインストリーム志向。

リーダー作もフュージョンではあるが、彼のアルト・サックスの音色はあくまで「メインストリーム志向」。硬派でブリリアントでダンディズム溢れるアルト・サックスであるが、そのアドリブ・フレーズは耽美的で流麗そのもの。それが、ソフト&メロウと誤解されて、ムーディーなフュージョン・ジャズと捉えられ、ラヴリーなBGMとして「ながら聴き」されるに至っては、何をか言わんや、である。

David Sanborn『Upfront』(写真左)。1992年の作品。ちなみにパーソネルは、演奏曲毎に色々入れ替わっているのだが、キーマン的ジャズマンとしては、Marcus Miller (b), Richard Tee (key), Hiram Bullock (g), Eric Clapton (g), Cornell Dupree (g), Naná Vasconcelos (perc), Randy Brecker (tp) 等々。見渡すと、どちらかと言えば、フュージョン畑だが「R&B」志向な雰囲気を強く感じるパーソネルである。
 
 
Upfront_david-sanborn  
 
 
前作にあたる『アナザー・ハンド』がメインストリーム系の純ジャズを強く意識したアルバムだったが、この盤は「ジャズ・ファンク」満載のアルバムである。エレ・マイルスのジャズ・ファンクをポップでスムースにした、フュージョン志向の「ジャズ・ファンク」。「ソフト&メロウ」な雰囲気は全く無い。

収録曲の全曲、良い曲ばかり。マーカス・ミラーのベース、スティーブ・ジョーダンのドラムの切れ味良い重力感溢れる「うねるような」リズム、そしてリッキー・ピーターソンの「こってこてファンクネス」なハモンド・オルガンをバックに、サンボーンのアルト・サックスは、本来の「R&B」志向のファンキーでブルージーなフレーズを振り撒き、上質なノリのジャズ・ファンクを展開する。

むっちゃ格好いい、熱くてクールな「エレクトリックなジャズ・ファンク」。サンボーンのアルト・サックスがファンキーにブリリアントに響き渡る。「泣きのサンボーン」もこの盤では限りなくソウルフルに響く。メインストリーム志向のエレクトリックなジャズ・ファンクの傑作。サンボーンの個性全開の好盤である。
 
 
 

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