コーズの10年振りのオリジナル盤
ジャズを聴き始めて40年以上になるが、クロスオーバー&フュージョン・ジャズや、スムース・ジャズを蔑視することは無い。逆に積極的に聴くほうで、特にクロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、CD盤について、結構、充実したコレクションとなっている。同じ「ジャズ」の範疇の音楽なのに、どうして蔑視されるのか、いろいろ理由を聞かされても、その辺が良く判らない。
Dave Koz『A New Day』(写真左)。2020年10月のリリース。David Sanborn、Bob James、Brian McKnight、Paul Jackson Jr.、Meshell Ndegeocelloなど豪華なゲスト陣が目を引く。オリジナル・リーダー作のリリースが10年振りとなるデイヴ・コーズの新譜である。スムース・ジャズの代表格のコーズのリーダー作が10年振りとは意外である。
さて、リーダーのコーズのアルトは、素直にスッと伸びた、耳当たりの良い響きが個性のアルト・サックス。一聴すると、デイヴィッド・サンボーンか、と思うが、その音の「スッと伸びる」伸び具合がサンボーンよりシンプル。捻りや小節が無いシンプルさがコーズの個性。耳当たりは良いが、音の芯はしっかり太く、アルト・サックスの真鍮の響きがとてもブリリアント。とても「良い音」で鳴る。
そんなコーズのアルト・サックスが、とても良い音で鳴っている。フレーズは常に流麗かつ典雅。スムース・ジャズのお手本の様な音がこの盤にギッシリ詰まっている。といって、決して「甘くない」。とても切れ味の良い、音の芯の太いブリリアントな音色は正統派。スムース・ジャズのアルト・サックスなので、イージーリスニングじゃないの、とすると「怪我をする」。
レノン=マッカートニーの「Yesterday」のカヴァー以外、全てオリジナル曲で固めているが、どの曲も良い出来で、アレンジも良好。特に「Yesterday」のアレンジは秀逸。このスイートな歌を、そこはかとなくリズム&ビートを効かせた、凛としたジャズのフレーズとして聴かせてくれる。マット・キューソン(Matt Cusson)のアレンジ力の勝利である。
コーズのバックを支える演奏もとても充実している。緩さ甘さは全く無い。見れば、フュージョン&スムース・ジャズを代表する超一流のメンバーが大集結。演奏のレベルの高く、とにかく、皆、楽器が良い音出している。非常に質の高い「ジャズ」がこの盤に詰まっている。このようにレベルの高いスムース・ジャズを「聴かず嫌い」で遠ざけるのは勿体ない、と思うのだが。とにかく、この盤、好盤です。
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