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2020年10月25日 (日曜日)

ロイド4の温故知新 『A Night In Copenhagen』

ブルーノートはジャズ界最大のジャズ・レーベル。ブルーノートのカタログには幾つかのシリーズがある。一番有名なのが、1500番台、4000番台など、カタログ番号を基本としたシリーズ。もう1つはカタログの分類記号を基本としたシリーズ。「BN-LA」シリーズや「LT」シリーズがそれに当たる。どのシリーズを聴いても、その時代のトレンドを反映したジャズを味わえるところがブルーノートの凄いところ。

そんなブルーノート・レーベルのシリーズの中で「85100」シリーズというのがある。1985年から1987年まで、僅か3年のシリーズで41枚の短期間のシリーズであった。しかし、このシリーズ、ちょうど1980年代半ばからの「純ジャズ復古」のムーヴメントの時代にリリースされたシリーズなのだ。どのアルバムも「純ジャズ復古」や「初期ネオ・ハードバップ」な雰囲気の演奏が詰まっていて、実は意外となかなか面白いシリーズなのだ。

Charles Lloyd Quartet『A Night In Copenhagen』(写真左)。1983年7月11日、デンマークの「The Copenhagen Jazz Festival」でのライヴ録音。リリースは1985年。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, Chinese oboe), Michel Petrucciani (p), Palle Danielsson (b), Woody Theus (ds), Bobby McFerrin (vo)。
 

A-night-in-copenhagen-charles-lloyd

 
この頃のロイドは相変わらず「コルトレーン」しているが、クロスオーバー〜フュージョンの時代を経た「ポップでライトな」コルトレーンになっているところが面白い。とっても軽やかなテナーと爽やかなフルート。それをコルトレーン・ライクに吹き上げるのだから、個性的といえば個性的。

そして、この盤の聴きどころは、バックのリズム隊。とりわけ、ペトルシアーニのピアノが斬新。1960年代後半、ロイドのカルテットでピアノを担当していたキース・ジャレットを彷彿とさせるが、この盤でのペトはキースよりアグレッシブで革新的。切れ味の良いタッチ、創造的で個性的なモーダルなフレーズ。「ミューズ」と呼ばれる所以である。そして、ベースのダニエルソンは欧州のニュー・ジャズなベース・ラインで、このロイドのカルテットを多国籍化している。

ブルーノート・レーベルの復活を記念して行われた「One Night With Blue Note」が1985年。純ジャズ復古のムーヴメントの中で、このロイド・カルテットの演奏内容は象徴的。後の「ネオ・ハードバップ」のベースがこの演奏に詰まっている。このライヴ盤を聴いていて、孔子の「故きを温ねて新しきを知る(温故知新)」という諺を思い出した。
 
 
 

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