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2020年10月の記事

2020年10月31日 (土曜日)

マーカス・ミラーの傑作盤です

最近、マーカス・ミラー(Marcus Miller)が気になっている。もともとベーシストのリーダー作には興味があって良く選盤するのだが、最近、何故か、マーカス・ミラーが気になっている。マーカス・ミラーは、現代最高峰のベーシストの1人。相当に卓越したテクニックと疾走感と切れ味抜群の「独特のグルーヴ感」が個性。とくにスラップにおけるグルーヴは秀逸。

1970年代後半、ジャコ・パストリアス(愛称「ジャコ」)の登場で、ジャズにおけるエレクトリック・ベース(略して「エレベ」)の可能性は飛躍的に拡大したが、そのエレベの可能性をもう一段階上のレベルに引き上げたのがスタンリー・クラーク(愛称「スタン」)、そして、このマーカス・ミラーだと僕は認識している。そんなマーカスのリーダー作をじっくりと、年代順に聴いたことが無い。ということで、マーカスのリーダー作に注目である。

Marcus Miller『The Sun Don't Lie』(写真左)。1993年のリリース。パーソネルは挙げれば切りが無い。当時のフュージョン・ジャズ畑、コンテンポラリー・ジャズ畑の一流どころがズラリ。曲によって、演奏の内容によって、演奏するメンバーを厳選しており、こういうところは、マーカスのプロデュース能力の高さを感じさせる。さすが、マイルス・バンド、最後の音楽監督である。
 
 
The-sun-dont-lie-marcus-miller
 
 
邦題『ザ・キング・イズ・ゴーン』。1991年に亡くなったマイルス・デイヴィスに捧げた「追悼盤」。邦題の「キング」はもちろんマイルス・デイヴィスのこと。ジャコに題材をとった作品も含めて、1980年代はR&B志向のマーカスが、ジャズ・ベーシストとしての自分を前面に押し出した「コンテンポラリー・ジャズ」志向のリーダー作である。

この盤でのマーカスのエレベは凄まじい。ロック、ファンク、ソウル、ジャズ、様々な音楽要素を融合した、コンテンポラリーなフュージョン・ジャズがこの盤に詰まっている。特にファンクネスは濃厚で、ジャズ・ファンクな要素が一番強く感じる。しかし、ジャズ・ファンクとはいえ、ポップでは無い。しっかりとジャズを踏まえた、当時の先端を行く「ジャズ・ファンク」がこの盤にある。

ジャコより端正で真面目、スタンよりファンクネス控えめで流麗。タイトで整った躍動感+グルーヴ感溢れるスラップは唯一無二。エレベをエレギの如く弾く様は圧巻であり、胸がスカッとする。それぞれの曲のアレンジ、メンバーの選定、音の雰囲気、どれをとっても非の打ち所が無い。この盤、マーカスのプロデュースの才を確認するにも最適なアルバムになる。なにはともあれ「好盤」である。
 
 
 

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2020年10月30日 (金曜日)

フィッツジェラルドの代表盤

エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)の完全未発表音源『Ella: The Lost Berlin Tapes』がリリースされる記事を読んでいて、エラのライヴ盤でベルリンでのやつがあったよなあ、とボンヤリ思った。ボンヤリ思ったというのも、僕はジャズ・ボーカルが長い間、苦手であった。21世紀に入って以降、それなりに有名盤、好盤を聴き進めてはいるが、苦手感は払拭できないでいる。

特に、トラディショナルな正統派ジャズ・ボーカルのほとんど、特に女性ボーカルが苦手。エラなんか最たるもので、基本的にはずっと「聴かず嫌い」であった。が、人間、歳を取ると「許容度」が増すらしく、21世紀に入った頃から、トラディショナルな正統派ジャズ・ボーカルも少しずつ聴く様になった。エラも何枚か有名盤を聴く機会があって、ベルリンのライヴ盤『Mack The Knife - Ella In Berlin』は聴いたことがある。

Ella Fitzgerald『The Complete Ella In Berlin : Mack the Knife』。1960年2月13日、ベルリン(録音当時は西ベルリン)での録音。ちなみにパーソネルは、Ella Fitzgerald (vo), Jim Hall (g), Paul Smith (p), Wilfred Middlebrooks (b), Gus Johnson (ds)。エラ・エラ・フィッツジェラルド with ポール・スミス・カルテットである。
 
 
The-complete-ella-in-berlin
 
 
伝説のベルリン公演でのライヴ録音。エラは絶好調。バンドと一体となり猛烈にスイングする様は圧巻。楽しい公演だったのだろう、ここでのエラは結構シンプルで判り易い歌唱。収録曲も取っ付き易いスタンダード曲ばかりで、ジャズ・ボーカルの初心者にも入り易い内容。バラードの「Misty」や「The Man I Love」は絶品。そして、得意の「スキャット」を駆使して、ご機嫌なアドリブ・パフォーマンスを展開する「How High The Moon」や「The Lady Is A Tramp」等は「エラの真骨頂」。

ボーカル盤の場合、バックのバンドの良し悪しが重要になるのだが、この盤でのポール・スミス・カルテットのパフォーマンスは全く申し分無い。エラのスピード感溢れるボーカルにしっかり反応するところなど、良いバックやなあ、とほとほと感心する。要所要所でジム・ホールのギターが効いている。このバック・バンドだからこそ、これだけエキサイティングなライヴが展開出来るのだろう。

このCDはオリジナルLPの収録曲に4曲を追加して「The Complete」盤としている。が,このうち2曲「Love For Sale」と「Just One Of Those Things」は実は1956年8月のHollywood Bowlでの録音とのこと。ただ、こちらも「with ポール・スミス・カルテット」なので違和感が無いし、ライヴの熱気・雰囲気もほぼ同じ。誤認しても仕方が無い。逆にこのライヴ盤に関しては、敢えて「The Complete」盤を選択しなくても、オリジナルLP収録盤を選択しても遜色は無い。どちらのヴァージョンでも、エラの歌唱が堪能出来る。
 
 
 

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2020年10月29日 (木曜日)

コーズの10年振りのオリジナル盤

ジャズを聴き始めて40年以上になるが、クロスオーバー&フュージョン・ジャズや、スムース・ジャズを蔑視することは無い。逆に積極的に聴くほうで、特にクロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、CD盤について、結構、充実したコレクションとなっている。同じ「ジャズ」の範疇の音楽なのに、どうして蔑視されるのか、いろいろ理由を聞かされても、その辺が良く判らない。

Dave Koz『A New Day』(写真左)。2020年10月のリリース。David Sanborn、Bob James、Brian McKnight、Paul Jackson Jr.、Meshell Ndegeocelloなど豪華なゲスト陣が目を引く。オリジナル・リーダー作のリリースが10年振りとなるデイヴ・コーズの新譜である。スムース・ジャズの代表格のコーズのリーダー作が10年振りとは意外である。

さて、リーダーのコーズのアルトは、素直にスッと伸びた、耳当たりの良い響きが個性のアルト・サックス。一聴すると、デイヴィッド・サンボーンか、と思うが、その音の「スッと伸びる」伸び具合がサンボーンよりシンプル。捻りや小節が無いシンプルさがコーズの個性。耳当たりは良いが、音の芯はしっかり太く、アルト・サックスの真鍮の響きがとてもブリリアント。とても「良い音」で鳴る。
 
 
A-new-day
 
 
そんなコーズのアルト・サックスが、とても良い音で鳴っている。フレーズは常に流麗かつ典雅。スムース・ジャズのお手本の様な音がこの盤にギッシリ詰まっている。といって、決して「甘くない」。とても切れ味の良い、音の芯の太いブリリアントな音色は正統派。スムース・ジャズのアルト・サックスなので、イージーリスニングじゃないの、とすると「怪我をする」。

レノン=マッカートニーの「Yesterday」のカヴァー以外、全てオリジナル曲で固めているが、どの曲も良い出来で、アレンジも良好。特に「Yesterday」のアレンジは秀逸。このスイートな歌を、そこはかとなくリズム&ビートを効かせた、凛としたジャズのフレーズとして聴かせてくれる。マット・キューソン(Matt Cusson)のアレンジ力の勝利である。

コーズのバックを支える演奏もとても充実している。緩さ甘さは全く無い。見れば、フュージョン&スムース・ジャズを代表する超一流のメンバーが大集結。演奏のレベルの高く、とにかく、皆、楽器が良い音出している。非常に質の高い「ジャズ」がこの盤に詰まっている。このようにレベルの高いスムース・ジャズを「聴かず嫌い」で遠ざけるのは勿体ない、と思うのだが。とにかく、この盤、好盤です。
 
 
 

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2020年10月28日 (水曜日)

アルフォンソ・ムザーンの本質

一週間ほど前、Arild Andersen『Molde Concert』のドラム担当、アルフォンソ・ムザーンの名前を久し振りに見て、おお久し振りと思った反面、ECMレーベルで、メインストリーム志向のジャズ・ロック、メインストリーム志向のクロスオーバー・ジャズを叩いているのを聴いて、あれれ、と思った。ムザーンってそういうドラマーだったけ。

Alphonse Mouzon『The Essence of Mystery』(写真左)。1972年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Alphonse Mouzon (ds, perc, el-p, clavinet, Mellotron, vo), Buddy Terry (ss), Sonny Fortune (as), Larry Willis (key), Buster Williams (b), Wilbur Bascomb Jr. (el-b)。メンバーを見渡して、この盤、エレクトリックなジャズ・ファンクと見た。

アルフォンソ・ムザーンのブルーノート・レーベルでの初リーダー作になる。ムザーンは、ウェザー・リポート初代ドラマーであり、ラリー・コリエルのイレヴン・ハウス、ビリー・コブハムのスペクトラムでのドラマーも勤めている。1970年代には、R&B系のアルバムを複数枚リリースし、ムザーンの本質は、ジャズ・ファンク、クロスオーバー&フュージョン系のドラマーという印象が強い。
 
 
The-essence-of-mystery  
 
 
この『The Essence of Mystery』も、内容的には「ジャズ・ファンク&ジャズ・ロック」志向で、ムザーンのファンキーでグルーヴ感溢れるドラミング、疾走感溢れるハイハットの刻みが、それぞれの演奏でのキーになっている。そんなムザーンのグルーヴ感溢れるドラミングに、キーボードのリフが絡み、ホーン・アンサンブルもファンキーでブリリアント。

エレベの弾けるビートは少しユルユルで、そのそこはかとない「脱力感」が心地良い。そんなグルーヴ感満載のリズム隊をバックに、ソニー・フォーチュンが、ちょっとエスニックなサックスがファンキーなフレーズを吹き上げる。今の耳で聴いていも、なかなか内容のある、演奏のレベルも高い「ジャズ・ファンク&ジャズ・ロック」である。

当時、流行のクロスオーバー・ジャズがメインなブルーノートのBN-LAシリーズの中の一枚で、我が国では最近まで「ゲテモノ」扱いされていて、一部のジャズ・ファンク&ジャズ・ロック者の方々を除いて、見向きもされなかったが、ジャズ・ファンク&ジャズ・ロックのアルバムとしては「イケてる」内容。レア・グルーヴな盤として一聴に値する。
 
 
 

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2020年10月27日 (火曜日)

土岐のアルト・サックス絶好調

日本人によるジャズ(ここでは「和ジャズ」と呼ぶ)はレベルが高い。しかも歴史がある。戦後まもなく、1940年代後半からジャズが演奏され始め、1950年代には、ビ・バップをお手本としたジ日本人ャズ・ミュージシャンが出現する。今も第一線で活躍している秋吉敏子、渡辺貞夫などがそのメンバーである。

1960年代には、日本のレコード会社が日本ジャズ・ミュージシャンのリーダー作をリリースするようになり、1970年代後半には、フュージョンの大ブームに乗って、カシオペアやT-スクエアといった優れたグループが活動を始めた。1990年代の終わりから、女性中心に優れたジャズ・ミュージシャンが多数出現、以降、現在まで、和ジャズは高いレベルを維持している。

土岐英史『The Guitar Man』(写真左)。2020年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、土岐英史 (as), 竹田一彦 (g), 宮川 純 (org), 奥平真吾 (ds)。土岐のアルト・サックスと竹田のギターがフロントの、渋い渋いオルガン・カルテットである。オルガンがベースを兼ねるので、ベーシストはいない。最近、アルト・サックス奏者、土岐の活動が活発である。
 
 
The-guitar-man-hidehumi-toki  
 
 
最近、和ジャズのアルバムと、ちょっと御無沙汰であった。御無沙汰している間に、好盤が山積みに。これはいかん、ということで、しばらく和ジャズがメインでジャズを聴き始めた。その聴き始めに出会った盤がこの『The Guitar Man』。日本アルト・サックス奏者のレジェンド、土岐が、これまた、日本のジャズ・ギタリストのレジェンド、竹田と組んだ好盤である。竹田一彦については、今年84歳である(!)。

宮川のオルガンの存在が、このカルテットをとってもジャジーな雰囲気に仕立てている。もともとこの盤、ブルース&バラード集なので、オルガンの音が実にジャジーに響く。但し、日本のジャズ・ミュージシャンが弾くオルガン、やはりファンクネスはかなり控えめ。しかし、ジャジーな雰囲気は濃厚。耳にも穏やかで、土岐のアルト・サックス、竹田のギターのフレーズがグッと浮き出てくる様な感じは、オルガン・ジャズならではの感覚だろう。

土岐のアルト・サックスは絶好調、竹田のギターは耽美的で、どこまでもジャジー。決して、米国ジャズっぽく無い。ファンクネスかなり控えめなパフォーマンスは「和ジャズ」ならでは。演奏レベルはとても高い。加えて、土岐と竹田の「歌心」がとてもキャッチャーで、聴いていて、しみじみ心に染み渡る。和ジャズでは珍しいオルガン・ジャズ。良い雰囲気のハードバップ・ライクな演奏で、知らず知らずのうちに、ヘビーローテーション化している。
  
 
 

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2020年10月26日 (月曜日)

ジョンスコの4ビート・ジャズ

ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降、略して「ジョンスコ」)という、ほぼレジェンド級のギタリストって、フュージョン・テイストのコンテンポラリーなジャズから入って、ジャズ・ファンク、そして、ワールド・ミュージック志向なニュー・ジャズをやったり、個性的な、良い意味で「捻れた変態エレギ」を駆使して、新しいジャズ・ギターのイメージを拡げてきた。

ニュー・ジャズ志向の演奏も多々あるにも関わらず、今までに渡り歩いたジャズ・レーベルは、Enja(エンヤ)、Blue Note、Verve(ヴァーヴ)、EmArcy(エマーシー)などで、ECMレーベルでの録音が、2006年リリース(録音は2004年)の『Saudades』が初めてだったのは意外だった。そして、ニュー・ジャズの老舗レーベルで録音した盤が、意外や「メインストリーム志向」なアルバムだったとは驚いた。

John Scofield『Swallow Tales』(写真左)。Recorded March 2019年3月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Bill Stewart (ds), Steve Swallow (b)。キーボードレスのギター・トリオ編成。ドラムとベースのリズム隊は、レジェンド級の思索的なベーシスト、スワローと、変幻自在で柔軟なドラミングが身上のスチュワート。
 
 
Swallow-tales  
  
 
この盤のジョンスコは「メインストリーム志向」。パッキパキ硬派で4ビートが中心の「メインストリーム・ジャズ」を展開する。この盤でのジョンスコは不必要に「捻れない」。フレーズを伸ばすときに軽く捻るが、ジャズ・ファンクをやる時の様に大胆に捻れることは無い。エッジの丸い、芯の太いエレギの音色がフレーズの伸びの最後に捻れる。聴けば、やはり個性的な、唯一無二なギターである。

ニュー・ジャズっぽい、硬質で欧州的なベースを弾きまくるスワローが、意外とジョンスコとマッチするのだから、ジャズって面白い。そして、ジョンスコが4ビートなジャズをやる時、欠かさない存在になりつつある、ビル・スチュワートの4ビート・ドラミングも聴きもの。ポリリズミックな適度な手数のドラミングは新鮮な響きが満載だ。

アルバム全体の雰囲気が、ニュージャズ志向のECMレーベルぽくない音作りが意外に新鮮に響く。ジョンスコのエレギの志向に揺らぎが無いのがポイントで、その志向に応じて叩きまくスチュワートのドラミングもECMレーベルらしくなくて新鮮。そんなECMレーベルらしくないところに、ECMレーベルらしいスワローのベースが聴こえると何故かホッとするから不思議。実に聴き応えのあるECMレーベルの4ビート・ジャズである。
 
 
 

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2020年10月25日 (日曜日)

ロイド・カルテットの温故知新

ブルーノートはジャズ界最大のジャズ・レーベル。ブルーノートのカタログには幾つかのシリーズがある。一番有名なのが、1500番台、4000番台など、カタログ番号を基本としたシリーズ。もう1つはカタログの分類記号を基本としたシリーズ。「BN-LA」シリーズや「LT」シリーズがそれに当たる。どのシリーズを聴いても、その時代のトレンドを反映したジャズを味わえるところがブルーノートの凄いところ。

そんなブルーノート・レーベルのシリーズの中で「85100」シリーズというのがある。1985年から1987年まで、僅か3年のシリーズで41枚の短期間のシリーズであった。しかし、このシリーズ、ちょうど1980年代半ばからの「純ジャズ復古」のムーヴメントの時代にリリースされたシリーズなのだ。どのアルバムも「純ジャズ復古」や「初期ネオ・ハードバップ」な雰囲気の演奏が詰まっていて、実は意外となかなか面白いシリーズなのだ。

Charles Lloyd Quartet『A Night In Copenhagen』(写真左)。1983年7月11日、デンマークの「The Copenhagen Jazz Festival」でのライヴ録音。リリースは1985年。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, Chinese oboe), Michel Petrucciani (p), Palle Danielsson (b), Woody Theus (ds), Bobby McFerrin (vo)。
 
 
A-night-in-copenhagen-charles-lloyd  
 
 
この頃のロイドは相変わらず「コルトレーン」しているが、クロスオーバー〜フュージョンの時代を経た「ポップでライトな」コルトレーンになっているところが面白い。とっても軽やかなテナーと爽やかなフルート。それをコルトレーン・ライクに吹き上げるのだから、個性的といえば個性的。

そして、この盤の聴きどころは、バックのリズム隊。とりわけ、ペトルシアーニのピアノが斬新。1960年代後半、ロイドのカルテットでピアノを担当していたキース・ジャレットを彷彿とさせるが、この盤でのペトはキースよりアグレッシブで革新的。切れ味の良いタッチ、創造的で個性的なモーダルなフレーズ。「ミューズ」と呼ばれる所以である。そして、ベースのダニエルソンは欧州のニュー・ジャズなベース・ラインで、このロイドのカルテットを多国籍化している。

ブルーノート・レーベルの復活を記念して行われた「One Night With Blue Note」が1985年。純ジャズ復古のムーヴメントの中で、このロイド・カルテットの演奏内容は象徴的。後の「ネオ・ハードバップ」のベースがこの演奏に詰まっている。このライヴ盤を聴いていて、孔子の「故きを温ねて新しきを知る(温故知新)」という諺を思い出した。
 
 
 

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2020年10月24日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・192

しばらく「和ジャズ」のアルバムを聴いていないのに気がついた。「和ジャズ」=日本人によるジャズ。特に、21世紀に入って、若手〜中堅中心に好盤がどしどしリリースされている。この半年ほど聴くのを忘れていたら、好盤が結構の数、ストックに上がっている。これは順番に聴き進めて行かないと。それほど、和ジャズの世界は充実している。

桑原あい, Steve Gadd & Will Lee『Live at Blue Note Tokyo』。2018年9月23日、東京ブルーノートでのライヴ録音。改めて、ちなみにパーソネルは、Ai Kuwabara (p), Will Lee (el-b, vo), Steve Gadd (ds)。米フュージョン・ジャズを代表するミュージシャンの大物二人と結成したトリオによるライヴ録音盤。

桑原あいは29歳。ジャズ界ではまだまだ若手である。女性ピアニストとして、2012年、初リーダー作『from here to there』でメジャー・デビューしている。桑原は自作曲をメインに、ネオ・ハードバップの範疇で、モーダルな演奏を中心に繰り広げる。自由度、創造性が高く、女性ピアニストらしからぬ力強さと、女性ピアニストらしい繊細さ、ロマンティシズムが同居した個性が「ウリ」。
 
 
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このライヴ盤、発売予告の情報を見た時に、正直なところ「大丈夫かいな」と心配になった。桑原は録音当時27歳。他の2人、ガッドは73歳、リーは66歳から見れば、桑原は「孫」の世代。桑原のそれまでのリーダー作でのパフォーマンスは、メインストリーム志向のジャズとはちょっと違った雰囲気、少し「キラキラ」感が入っていたり、妙な捻りが入ったりで、米フュージョン・ジャズを代表するミュージシャンの大物二人が本気になって相手をしてくれるか、気がかりだった。

聴けば、そんな気がかりは杞憂だったことが良く判る。この大物二人、ガッドとリー、桑原のオリジナル曲については、その曲想と桑原のピアノの個性をよく理解して、素晴らしいバッキングを繰り広げてくれる。そして、スタンダード曲の「Black Orfeus Medley」や「Blue Rondo A La Turk」では、桑原がその個性を最大限に発揮して弾きまくる中、しっかりとリズム&ビートの底を押さえて、桑原の良いパフォーマンスを最大限に引き出している。

桑原のピアノも、大物2人をバックに回して、臆することなく、ちょっと緊張している雰囲気はあるが大健闘。彼女の個性を最大限発揮している。特にガッドとリーをバックに従えた時、彼女のオリジナル曲での彼女のパフォーマンスが、完璧にメインストリーム・ジャズな志向になっているところが聴きもの。ギミックを入れることなく、ストレート・アヘッドに弾きまくる桑原。見直した。
 
 
 

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2020年10月23日 (金曜日)

エディ・ヘンダーソンの好盤です

ジャズ・ミュージシャンは「寿命が長い」。歌舞伎の世界では「40歳、50歳はハナタレ小僧」と言われるらしいが、ジャズの世界でも同様なことが言える。20歳代は子供、30〜40歳代は若手、50〜60歳代になってベテランとなり、70歳を越えてレジェンド、がジャズ界での捉え方ではないかと思う。特に近年、レジェンド級のジャズマンの活躍が目立つ。なかなかの好内容のアルバムを連発しているのだから恐れ入る。

Eddie Henderson『Shuffle and Deal』(写真左)。2019年12月5日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Henderson (tp,flh), Donald Harrison (as), Kenny Barron (p), Gerald Cannon (b), Mike Clark (ds)。充実の布陣、ヘンダーソンのトランペット、ハリソンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成である。

エディ・ヘンダーソンは1940年生まれ。今年で80歳になる「レジェンド」である。個人的には暫く忘れていたトランペッターだったが、Smoke Sessionsレーベルからの好盤を聴くにつけ、注目のレジェンド級トランペッターとして注目する存在となった。しかし、ヘンダーソンって、1970年代はクロスオーバーなエレジャズをやったり、ちょっとポップなトランペッターという印象があったのだが、現在の地に足の着いた純ジャズ志向はちょっと驚きである。
 
 
Shuffle-and-deal
 
 
エディ・ヘンダーソンのトランペットは「軽快」。そして、ライトで滑らかな旋律が個性。音色的にはマイルスに似ている、というか、マイルスの忠実なフォロワー。逆に、凄いテクニック、エモーショナルなハイトーンなどという派手さが無いというところが弱点と言えば弱点。強烈な印象が残らないところが玉に瑕と言えば玉に瑕。しかし、この盤では、プロデュースの勝利だろう、それが良い方向に作用している。

選曲が良い。結構、渋いスタンダード曲を選曲していて、ヘンダーソンの軽快なトランペットが映える。「虹のかなたに」「春の如く」「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」「スマイル」などお馴染みのナンバーが、軽快でポップなアレンジでとても楽しく聴き流せる。演奏自体は難しいことは全く無し。ミッドテンポの穏やかでライトでポップな純ジャズのオンパレード。

ジャズの先端を行く演奏では全く無い。といって、イージーリスニングなジャズでも無い。実にバランスの良い洗練された、良い意味で「平易な」演奏。聴き易いが、決してイージーでは無い。良い意味で「ながら聴き」に最適。そして、ラストのケニー・バロンとのデュエットで演奏される「Smile」でしみじみするのだ。
 
 
 

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2020年10月22日 (木曜日)

モントルーのロニー・フォスター

ブルーノートのBN-LAシリーズは、ほぼ1970年代を網羅しているシリーズではあるが、ブルーノート・クラッシクのメインである、1500番台や4000〜4300番台のシリーズに比べると、注目度は格段に落ちる。メインストリーム志向の演奏は無いし、4ビートの純ジャズなんて欠片も無い。当時、流行のクロスオーバー・ジャズがメインなので、まあ仕方ないかな、とも思う。

しかし、腐ってもブルーノート・レーベル、クロスオーバー・ジャズ志向のアルバムがメインであるが、これが意外と内容のある、というか、クロスオーバー・ジャズの本質を突いた、クロスオーバー・ジャズのお手本の様なアルバムが多数存在する。クロスオーバー・ジャズ好きにとっては堪らない訳で、クロスオーバー者にとっては必須のシリーズである。

Ronnie Foster『Cookin' With Blue Note At Montreux』(写真左)。1973年7月5日、スイス、モントルー・ジャズフェスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ronnie Foster (org), Gregory Miller (g), Marvin Chappell (ds)。ソウル・ジャズ&ジャズ・ファンク系のオルガニスト、ロニー・フォスターのオルガン・トリオ。
 
 
Cookin-with-blue-note-at-montreux  
 
 
アシッド・ジャズの出現後、熱狂的な支持を得ている、ロニー・フォスターの「ライヴ・アット・モントルー」である。ユルユルのグルーヴ感満載、重心は低いが浮遊感のあるオフビートに乗って、フォスターのエレピ(フェンダー・ローズだと思う)が、これまた心地良い「ユルユル度」を醸しながら、グルーヴィーなフレーズを紡いでいく。

演奏はクロスオーバー・ジャズ志向。1973年の録音なので、流行ど真ん中なんだが、演奏のレベルは高い。フォスターの硬質でくすんだ響きのエレピのソロが心地良く、聴き続けていると、何だか心地良くなってくる。ミラーのエレギも切れ味良く、グルーヴ感溢れるフレーズを弾きまくり、チャペルのドラムが、これまたグルーヴ感溢れるリズム&ビートを叩き出す。

イージーにポップ化せず、イージーのロック化せず、正統派なクロスオーバー・ジャズに仕上がっているところが「腐ってもブルーノート・レーベル」。ライヴ全体に漂う「グルーヴ感」が心地良い。ユルユルのクロスオーバー・ジャズだが、意外と内容は「濃い」。ジャケットもブルーノート・レーベルらしからぬ、イージーなデザイン・センスだが、このライヴ盤、意外と好盤です。
 
 
 

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2020年10月21日 (水曜日)

ECMのフュージョン・ジャズ

この盤を聴いた時、これって何時の録音、これってどこのレーベルのリリース、と思わず資料を見直した。Arild Andersen(アリルド・アンデルセン・写真右)が筆頭リーダー作である。アンデルセンはノルウェー出身のベーシスト。ECMレーベルのハウス・ベーシストの様な存在。ということは、ECMレーベルからのリリースなんだが、出てくる音は「ジャズ・ロック」風。硬派でメインストリーム志向のクロスオーバーな音に思わず身を乗り出す。

Arild Andersen『Molde Concert』(写真左)。1981年8月、ノルウェーの「The Molde Jazz Festival」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Arild Andersen (b), Bill Frisell (g), John Taylor (p), Alphonse Mouzon (ds)。しかし、ユニークなカルテット編成。ノルウェー出身の硬派なベーシスト、アンデルセンに、良い意味で変態捻れギタリストのフリゼール、そして、ジャズ・ファンクでならしたムザーンがドラム、そして、モーダルなピアニスト、テイラー。

このユニークな個性の集まりのカルテットが、フリゼールの「攻撃的で切れ味良く捻れる」エレギが8ビートに乗って弾きまくる。バンド全体がこのフリゼールのジャズ・ロックなエレギに引き摺られて、硬派でメインストリーム志向、モーダルで自由度が高い「エレジャズ・ロック」を展開する。音的にはクロスオーバー・ジャズの雰囲気を引き摺っているが、テイラーのピアノは限りなくモーダルで、アンデルセンのベースは明確に「純ジャズ」なベース。
 
 
Molde-concert  
 
 
録音年は1981年、フュージョン・ジャズの全盛後期であるが、この盤の「ジャズ・ロック」は大衆に迎合した俗っぽいジャズ・ロックでは無い。リズム&ビートとフレーズの展開は「ジャズ・ロック」風を踏襲してはいるが、演奏内容自体は、モーダルでかなり硬派な純ジャズ志向のパフォーマンスになっている。ムザーンのドラムが元気だ。フリゼールのロックテイストな捻れギターに触発されて、切れ味の良い、アーティスティックな8ビートを叩きだしている。

ECMレーベルらしからぬ、ポジティブで元気なドラム。この盤の内容、ECMレーベルなりのフュージョン・ジャズと感じた。それでも、メインストリーム志向のパフォーマンスは見事。アンデルセンのベースが、このジャズ・ロックな演奏をメインストリーム志向に留めている。強靱で確かなメインストリーム志向のベース。演奏全体のジャズ・ロック志向をものともせず、テイラーのピアノはモーダルなフレーズを叩き出す。

メインストリーム志向のジャズ・ロック、メインストリーム志向のクロスオーバー・ジャズ。全てを聴き終えた後、やはりこの盤の内容は、ECMレーベルならではのフュージョン・ジャズ。しかし、俗っぽくならずに、凛としたメインストリーム志向をしっかりキープしているところは、アンデルセンのベースとテイラーのピアノに因ることが大きい。さすがECMの総帥アイヒャーである。
 
 
 

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2020年10月20日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・191

「彼のピアノ」のスタイルは「ありそうでない」スタイル。部分部分を聴くと、過去の誰かのスタイルと同じじゃないか、と思うんだが、良く聴くと、どれも過去のスタイルとはちょっと違う。そういう「過去のスタイルとはちょっと違った」スタイルをいくつか散りばめて、プレイ全体で、伝統に根ざした新しい響きのスタイルを獲得している。つまりは、新伝承派のモットーを地で行っているということ。

「彼のベース」の演奏テクニックは群を抜いている。特に、ピチカート奏法における、旋律を奏でるギター・ライクなインプロビゼーションは傑出したもの。クラシックの素養が垣間見えるベースは、ピッチがしっかりと合っていて、彼のソロの旋律弾きは聴いていて気持ちが良い。「旋律弾き」は、まるでギターである。これがあの図体のでかいアコベを使っての技とは思えない、驚愕のテクニックである。

Mulgrew Miller & Niels-Henning Ørsted Pedersen『The Duo Duke Ellington 100』(写真左)。January 15, 1999年1月15日、Copenhagenでの録音。ちなみにパーソネルは、Mulgrew Miller (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b)。
1999年、デンマークのオーディオ・ブランド、バング&オルフセン(B&O)が、デューク・エリントンの生誕100周年とエリントンとベース奏者ジミー・ブラントンのパートナーシップを祝して企画したトリビュート盤である。
 
 
The-duo-duke-ellington-100  
 
 
先の「彼のピアノ」とは、Mulgrew Miller(マルグリュー・ミラー)、「彼のベース」とは、Niels-Henning Ørsted Pedersen(ニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセン)のことである。ミラーは、2013年5月(享年57歳)、ペデルセンは2005年4月(享年58歳)鬼籍に入っている。デュオを構成する2人は共に故人となる。どちらも50歳台後半、早過ぎる逝去であった。

デューク・エリントンの曲をデュオでやる。エリントンの曲って、かなりの数のカヴァーがあるので、どこかで聴いたことがあるような、ちょっと手垢が付いた様な雰囲気がするものなんだが、このデュオに限ってはそうならない。まず、アレンジがユニーク。こうきたか、と思わせる、意外性のある、ユニークで小粋なアレンジが施されていて新鮮。これって、2人ともかなり高度なテクニックと歌心あってのこと。

ミラーのピアノもペデルセンのベースも唯一無二な個性なので、聴いていて実に楽しく、実に興味深い。ミラーの変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、とても柔軟性と適応力のあるピアノと、どっしりとした重低音フレーズで旋律の底をしっかりと支え、デュオの相手を鼓舞するベース。有名なエリントン曲が続くのだが、とても耳新しく響くデュオ盤。こんな優秀な音源が、約20年の時を経てリリースされたことに「拍手喝采」である。
 
 
 

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2020年10月19日 (月曜日)

TZB結成20周年記念ライブ盤

「結成20周年記念ライブ」の文字を見て、へ〜っ、東京ザヴィヌルバッハも結成20周年になるのか、と感慨深い思いがした。東京ザヴィヌルバッハは、キーボード奏者&コンポーザーの坪口昌恭のリーダーユニット。坪口=TZBO の頭文字に東京発、ジョーザヴィヌル、スイッチトオンバッハの意を込めて命名された、とのこと。ユニークである。

Tokyo Zawinul Bach・Reunion『20th Anniversary Live』(写真左)。2019年9月、東京・代官山の「晴れたら空に豆まいて」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、坪口昌恭 (key), 菊地成孔 (sax, rap), 五十嵐一生 (tp), 織原良次 (b), 守真人, 石若駿 (ds), 河波浩平 (vo)。いやはや、東京ザヴィヌルバッハの「オールスター・キャスト」である。

今回「リユニオン」と称し、盟友・菊地成孔と、初期に在籍した五十嵐一生が、2010年代以降、バンド編成に生まれ変わった「東京ザヴィヌルバッハ」に復帰、代表曲の数々を再演したライヴ盤。結成当初は、動変奏シーケンサーM を駆使したマン× マシーン・ランダム・コラージュ感で近未来ジャズのイメージだったが、2012年以降は若手メンバーを採用し、人系バンド編成に変更、ダイナミックなサウンド志向に変わった。
 
 
20th-anniversary-live_tzb
 
 
このライブ盤は、2012年以降のバンド志向を踏襲したもの。菊地- 五十嵐- 坪口という強烈な個性のフロント・トライアングルが凄まじいインタープレイを展開する。エレクトロ・ジャズユニットの面目躍如的なスリリングな展開は、現代最高峰の「エレ・ジャズ」の1つと言って良い。特にエレ・ジャズ者には堪らんですな、この演奏。織原良次 (b), 守真人, 石若駿 (ds)のドラム隊も素晴らしい。

特にシンセの使い方が絶妙。日本発のエレ・ジャズとして最高峰のものじゃないかと思う。この音世界って、ウェザー・リポートや、チック・コリア・エレクトリック・バンドに比肩するじゃないかと思うのだ。和ジャズらしい、乾いたファンクネス、端正で整った切れ味の良いパフォーマンス。キャッチャーなメロディーと毒のあるメロディーの融合。思わずウットリと聴き込む。

最後の曲「Drive Inn High」は菊地のラップで、9.11をテーマにしたワードが語られ、メンバー紹介然としたソロまわしでエンディング。このエレ・ジャズのラップが「今様」で良い感じ。ジャズとラップは合いそうで合わないと思っているのだが、この曲はなんとか健闘している。現代の、我が国の「今」のエレ・ジャズ。かなり充実した内容。好ライヴ盤です。
 
 
 

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2020年10月18日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・190

チェコ出身の偉大なジャズ・ベーシストにして、ウェザー・リポートの創設者のひとりであるミロスラフ・ヴィトウス。1947年生まれなので、今年で73歳。まだまだ現役で活躍中。鋼の様にソリッドで粘りのあるピツィカート奏法と自由度の高いモーダルなベースラインが見事な個性。作曲家としてもその才能を遺憾なく発揮してきており、印象的でモーダルな曲を多数、作曲している。

Miroslav Vitous『Universal Syncopations』(写真左)。2002年、イタリアの「Universal Syncopation Studios」と、2003年、ノルウェーはオスロの「Rainbow Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Miroslav Vitouš (b), Jan Garbarek (ss, ts), Chick Corea (p), John McLaughlin (g), Jack DeJohnette (ds)。以降、2〜4曲目のみの参加で、Wayne Bergeron (tp), Valery Ponomarev (tp, flh), Isaac Smith (tb)。

基本編成は、ビトウス、ガルバレク、デジョネット、コリア、マクラフリンのクインテット構成。とりわけ、リーダーのビトウスのベース、コリアのピアノ、デジョネットのドラム、このリズム隊が非常に強力で創造的。このピアノ・トリオの演奏だけでも、十分に鑑賞に耐える。柔軟度と自由度が非常に高いモーダルなリズム&ビート。ファンクネス希薄ながら、うねるような乾いたグルーブ感がいかにもECMジャズらしい。
 
 
Universal-syncopations
 
 
さすがにリーダーのビトウスのアコースティック・ベースが素晴らしい。迫力満点、硬質に胴鳴りのする、ソリッドで切れ味の良い重低音ベースがぐいぐい迫ってくる。以前、若かりし頃は結構、飛んだり跳ねたりしていたのだが(笑)、さすがに、この盤の録音時は56歳。弾きっぷりは落ち着きを増し、紡ぎ出すフレーズも実に滋味溢れる、味わい深いフレーズがてんこ盛り。現代ジャズ・ベースのお手本の1つがこの盤に詰まっている。

そんなリズム隊をバックに、フロントを担当するガルバレクのサックス、そして、マクラフリンのギターが、これまた柔軟度、自由度の高い、創造的なモーダルなパフォーマンスを展開する。淀みの無い、流麗なアドリブ展開は、現代のモード・ジャズの最先端を行く、とても高度でアーティスティックなレベル。非常に迫力のあるパフォーマンス。

「New Series」によりクラシック指向を強めるECMサウンドであるが、この盤では、設立当初から1980年代辺りまでの「ニュー・ジャズ志向」の内容が展開されている。演奏するメンバーがメンバーだけにある意味「懐かしい響き」がする。が、当時の音からは、かなりステップアップしたモード・ジャズが展開されていて、懐古趣味で終わらない、さらに深化した、現代の「ニュー・ジャズ」がこの盤に詰まっている。好盤である。
 
 
 

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2020年10月17日 (土曜日)

マクパートランドの好トリオ盤

もともと、自分が中学生まで、クラシック・ピアノを弾いていたこともあって、ジャズにおいても「ピアノ」が大好きである。自分で弾いていたので、そのテクニックの素晴らしさとか、その技術の高さが体験的に理解出来るところが良い。ジャズを聴き始めて40年以上になるが、所有する盤も圧倒的に「ジャズ・ピアノ」のリーダー盤が圧倒的に多い。

Marian McPartland『From This Moment On』(写真左)。1979年のリリース。ちなみにパーソネルは、Marian McPartland (p), Brian Torff (b), Jake Hanna (ds)。女性ジャズ・ピアニストの草分け、マクパートランド61歳のトリオ盤。時代はフュージョン・ジャズ全盛時代。そんな時代に、バリバリの純ジャズ志向のピアノ・トリオ盤である。

マリアン・マクパートランドは女性ジャズ・ピアニストのパイオニア。オスカー・ピーターソン女性版と評されたこともある、スイング期からビ・バップ期を始めとして今日まで、ジャズの歴史のほとんどをリアルタイムで活躍した、本格派のジャズ・ピアニスト。また、ジャズ版 「徹子の部屋」みたいな感じのラジオ番組「The Mariian McPartlland Piiano Jazz radiio shows」の司会としても有名でしたね。
 
 
From-this-moment-on
 
 
この盤は、まさに「正統派ピアノ・トリオ」といった演奏が詰まっていて、全9曲中、マクパートランド作の1曲を除いて、残り8曲はスタンダード曲といった構成。弾きっぷりは見事なバップ・ピアノだが、そこはかとなくロマンティシズム漂う耽美的な響きが特徴的。バリバリとダイナミックに弾きまくるのでは無く、バリバリとテクニックよろしく耽美的に弾きまくるのが、マクーパートランドのピアノ。

誰のピアノか判らずに聴いていると、時々「あれ、チックのピアノかな」と思うところが、ロマンティシズム漂うところ。しかし、バップに弾きまくるところで「あれ、チックと違うな」と思う。そして、繊細なタッチが出てくると、これって女性ピアニストかな、と思う。とにかく素性確かな、正統派のバップ・ピアノ。ジャズの良心のような演奏が見事である。

特にスタンダード曲が実に心地良く響く。唄うが如く、語るが如くの「見事なモダン・ピアノ」。こんなマクパートランド、我が国では全く無名に近く、知る人ぞ知る的な存在であるのが残念でならない。再評価を望みたい。そんなマクパートランドであるが、2013年8月13日、鬼籍に入っている。享年95歳。大往生であった。
 
 
 

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2020年10月16日 (金曜日)

リーブマンの考えるエレ・ジャズ

ECMレーベルは欧州ジャズ・レーベルの老舗。スインギーな4ビート・ジャズには目もくれず、「ニュー・ジャズ」と言われる、即興演奏をメインとした新しい表現のジャズ、例えば、モーダルでファンクネスレスの即興ジャズや、モーダルなエレ・ジャズ、それからフリー・ジャズ。クラシック風の演奏でも即興演奏であれば、ECMはニュー・ジャズの範疇として扱った。このスタンスは今でも変わっていない。

Dave Liebman『Lookout Farm』(写真)。ECMの1039番。1973年10月10ー11日の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ss, ts, alto-fl), John Abercrombie (g), Richard Beirach (p, el-p), Frank Tusa (b, el-b), Jeff Williams (ds), Armen Halburian (perc), Don Alias (conga, bongos), Badal Roy (tabla), Steve Sattan (cowbell, tambourine), Eleana Sternberg (vo)。

Dave Liebman(デイヴ・リーブマン)は、米国のサックス奏者。1946年生まれ。未だ現役、頼もしい限りである。ニュー・ジャズ志向のサックス奏者で、1970年代初期、NYのロフト・ジャズ・シーンで活躍、マイルス・ディヴィスのグループには1970年から1974年まで在籍した。このECM盤は、まだマイルスのグループに在籍していた時の録音である。
 
 
Lookout-farm  
 
 
この盤の内容はECMレーベルの音とは少し異なる「エレ・ジャズ」。雰囲気はまさに、当時のマイルスのエレ・ジャズの音世界なのだが、ファンクネスは皆無。マイルスのエレ・ジャズから、ファンクネスを抜き取って、モーダルな演奏要素を前面に押し出した様な音作り。いわゆる、リーブマンがマイルスのエレ・ジャズを解釈した「リーブマンの考えるエレ・ジャズ」がこの盤に詰まっている。

共演メンバーは、ECMレーベルが抱える、当時の「欧州のニュー・ジャズ」のメンバーが中心。特に、アバークロンビーのアコギとバイラークのエレピが良い音を出している。この2人の音がいかにも「ECMのニュー・ジャズ」らしい音を出していて、この盤の「音世界の志向」を決定付けている様に感じる。フランク・トゥサの弾く「うねる重低音ベース」が欧州的なグルーヴ感を増幅する。

リズム隊が強烈で、コンガ、ボンゴ、そして、タブラ、カウベル、タンバリンを活用して、まるでマイルスの「ビッチェズ・ブリュー」のリズム&ビートから、ファンクネスを差し引いたものが、この盤で表現されているかのようだ。聴けば「リズム&ビートの効いたエレジャズ」というECMらしくない内容ではあるが、ECMでないと出し得ない、デイブ・リーブマンがECMレーベルで表現した「リーブマンの考えるエレ・ジャズ」。一聴に値する内容である。
 
 
 

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2020年10月15日 (木曜日)

サンボーンのジャズ・ファンク

デヴィッド・サンボーン(David Sanborn)は、フュージョンの人と誤解されていた時代があった。それも、ソフト&メロウなフュージョンの人、スムース・ジャズの人という誤解が蔓延していた時代がある。これって、とんでもない誤解で、ギル・エヴァンス・オーケストラのソロイストであったり、キャリア的にはメインストリーム志向。

リーダー作もフュージョンではあるが、彼のアルト・サックスの音色はあくまで「メインストリーム志向」。硬派でブリリアントでダンディズム溢れるアルト・サックスであるが、そのアドリブ・フレーズは耽美的で流麗そのもの。それが、ソフト&メロウと誤解されて、ムーディーなフュージョン・ジャズと捉えられ、ラヴリーなBGMとして「ながら聴き」されるに至っては、何をか言わんや、である。

David Sanborn『Upfront』(写真左)。1992年の作品。ちなみにパーソネルは、演奏曲毎に色々入れ替わっているのだが、キーマン的ジャズマンとしては、Marcus Miller (b), Richard Tee (key), Hiram Bullock (g), Eric Clapton (g), Cornell Dupree (g), Naná Vasconcelos (perc), Randy Brecker (tp) 等々。見渡すと、どちらかと言えば、フュージョン畑だが「R&B」志向な雰囲気を強く感じるパーソネルである。
 
 
Upfront_david-sanborn  
 
 
前作にあたる『アナザー・ハンド』がメインストリーム系の純ジャズを強く意識したアルバムだったが、この盤は「ジャズ・ファンク」満載のアルバムである。エレ・マイルスのジャズ・ファンクをポップでスムースにした、フュージョン志向の「ジャズ・ファンク」。「ソフト&メロウ」な雰囲気は全く無い。

収録曲の全曲、良い曲ばかり。マーカス・ミラーのベース、スティーブ・ジョーダンのドラムの切れ味良い重力感溢れる「うねるような」リズム、そしてリッキー・ピーターソンの「こってこてファンクネス」なハモンド・オルガンをバックに、サンボーンのアルト・サックスは、本来の「R&B」志向のファンキーでブルージーなフレーズを振り撒き、上質なノリのジャズ・ファンクを展開する。

むっちゃ格好いい、熱くてクールな「エレクトリックなジャズ・ファンク」。サンボーンのアルト・サックスがファンキーにブリリアントに響き渡る。「泣きのサンボーン」もこの盤では限りなくソウルフルに響く。メインストリーム志向のエレクトリックなジャズ・ファンクの傑作。サンボーンの個性全開の好盤である。
 
 
 

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2020年10月14日 (水曜日)

TRI4THのメジャー3作目です

TRI4TH(トライフォース)は、日本の5人組ジャズバンド。ダイナミックなフュージョン系エレ・ジャズをメインとする。結成されたのが、2006年なので、今年で結成12年目になる。もう12年になるのか。日本のフュージョン・バンドと言えば「Casiopea」と「T-Square」の2バンドが大勢を占め、後が続かない状態だった。

が、この「TRI4TH」が出てきて、やっと次世代の日本のフュージョン・バンドが出てきたなあ、と嬉しくなったのを昨日のように覚えている。今では、2004年にバンド名を、固定しアルバムをリリースするなど定期的な活動を開始した「TRIX(トリックス)」とこの「TRI4TH(トライフォース)」が、日本のフュージョン・バンドの「次世代」を担っている。どっちも個人的に「お気に入り」なバンドである。

TRI4TH『Turn On The Light』(写真左)。今年10月のリリース。出来たてホヤホヤである。改めて、ちなみにパーソネルは、伊藤隆郎 (ds), 竹内大輔 (p), 藤田淳之介 (sax), 関谷友貴 (b), 織田祐亮 (tp)。メジャーでの3rd.盤になる。音的には「TRI4TH」のバンドとしての「音世界」がしっかりと確立された印象を受ける。オリジナリティーもあるし、フュージョン・ジャズとしての汎用性もあるし、「TRI4TH」としてのバンドサウンドがしっかりと固まった印象を受ける好盤である。
 
 
Turn-on-the-light-tri4th  
 
 
冒頭の「Move On」を聴けば、「TRI4TH」やな〜、と思わずニヤリとする。こういうダイナミックなフュージョン・ジャズ、大好きです。続く2曲目の「For The Loser」は、Kemuri Hornsとのコラボ。ホーンのアンサンブルが「TRI4TH」のダイナミズムと相まって、極上ダンサフルな「スカ」サウンドが心地良い。そして、3曲目の「The Light」至っては、SANABAGUN.のリベラルa.k.a岩間俊樹をフィーチャーし、フュージョン・ジャズとラップのコラボを実現。

冒頭の3曲でかなり「かまされる」のだが、4曲目の「Bring it on」以降は、充実した「TRI4TH」サウンドが展開される。面白いものとしては、6曲目の「Moanin'」。Art Blakey and the Jazz Messengersの名曲なんだが、最初はこのジャズ・メッセンジャースと同じ雰囲気、いわゆるファンキー・ジャズな演奏が繰り広げられ「あれれっ」と思うのだが、途中から、「TRI4TH」サウンドにアレンジされた「Moanin'」が展開される。ホッとするやら、ハッとするやら(笑)。

メジャー3作目ということで、ある意味、今作は3部作的な集大成な、これぞ「TRI4TH」的な内容になっている。現代の先端をいくフュージョン・ジャズな音作りは実に魅力的。テクニックも非常に高度で、一糸乱れぬアンサンブルは疾走感抜群。ボンヤリした頭の中を覚醒させるのに最適な「ながら聴き」ジャズ盤でもあります。ジックリ聴くも良し、ながら聴きで覚醒するも良し。とにかく格好良い、現代フュージョン・ジャズの好盤です。
 
 
 

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2020年10月13日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・86

この2〜3年になるかなあ、リアルタイムで聴いてきたジャズマンの逝去が相次ぐようになった。若い頃は自分よりも相当、歳の離れたレジェンド級のジャズマンが逝去していたので「ああ、ビル・エヴァンスが逝っちゃった」とか「ああ、マイルスが逝っちゃった」と途方に暮れていただけだったが、最近では、米国でも我が国でも、自分より5〜10歳程度しか離れていない、年上のジャズマンがどんどん鬼籍に入るのだから穏やかで無い。

僕の日本人ピアニストのお気に入りとして、佐山雅弘がいた。「いた」というのは、2018年11月14日、鬼籍に入ってしまったのだ。享年64歳。今の時代からすると早過ぎる逝去であった。ジャズマンとして64歳なんて、ベテランど真ん中、といった感じで、これからレジェンドの域に向かって深化していく年頃。ほんと早過ぎた。逝去の報に接した時には唖然としたのを覚えている。

M's『Standard Mind』(写真左)。「M's」は「マサちゃんズ」と読む。「M's」のサード・アルバム。2005年のリリース。ちなみにパーソネルは、佐山雅弘 (p), 小井政都志 (b), 大坂昌彦 (ds) 。ピアノ・トリオ編成。トリオを構成するメンバーの名前がそれぞれ「マサ」で始まるので「マサちゃんズ」である(笑)。M’s(マサチャンズ)feat.佐山雅弘 と表記される場合が多いみたい。
 
 
Standard-mind  
 
 
キャッチコピーの触れ込みは「佐山雅弘、小井政都志、大坂昌彦による新世代スーパー・ジャズ・トリオ」。佐山雅弘については、PONTA BOXのメンバー&ピアニストとして知った。どっぷり「純ジャズ」しない、クールでファンクネス希薄、ドライブ感溢れ、切れ味良く明快。和ジャズらしいピアノを弾く佐山は初めて聴いた瞬間から、お気に入りになった。

この盤ではタイトル通り、日本を代表するジャズマン3人が、ライヴ・ツアーでの演奏曲の中からリクエストの多かったスタンダード曲を中心に収録している。どの曲も結構「ど」のつくスタンダード曲なんだけど、今までに聴いたことのないアレンジ、そして、アドリブ・フレーズを駆使してので、マンネリに聴こえない。なかなかクールで聴き応えのある内容で、スタンダード曲のオンパレードなんだが、不思議と飽きが来ない。

僕は筋金入りの「チック者」なので「スペイン」の演奏がとりわけ印象深かったです。この盤がリリースされたのが、2005年。佐山雅弘がまだ51歳。まだまだベテランとは言え、ジャズ界ではまだまだ若い年頃で、そのピアノの弾きっぷりは爽快そのもの。リズム隊の小井政都志、大坂昌彦も素晴らしいサポート。なかなかのピアノ・トリオ盤。謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」の一枚に加えさせていただきます。
 
 
 

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2020年10月12日 (月曜日)

掘り出し物のビッグバンド盤

最近のジャズ盤リサーチはネット・サーフィン中心。特に音楽のサブスク・サイトを定期的に巡回している。意外と最近、リイシュー盤が結構アップされていて、LPやCDの時代にはお目にかかったことの無い「隠れ好盤」が、ヒョコッとアップされていたりする。改めて、ジャズ盤の「裾野」は広いなあ、と感心する。

『Chet Baker Big Band』(写真左)。1956年10月18, 19, 26日の3回に分かれて録音されている。ちなみにパーソネルは以下の通り。

【1956年10月18, 19日の録音】
Chet Baker (tp), Bob Burgess (tb), Fred Waters (as), Phil Urso (as, ts, bs), Bob Graf (ts), Bill Hood (bs), Bobby Timmons (p), Jimmy Bond (b), Peter Littman (ds, 10/18 only), James McKean (ds, 10/19 only)。

【1956年10月26日の録音】
Chet Baker, Conte Candoli, Norman Faye (tp), Frank Rosolino (tb), Art Pepper, Bud Shank (as), Bill Perkins, Phil Urso (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Bond (b), Lawrence Marable (ds)。

この盤、実はあまり期待せずに「チェット・ベイカーがビッグバンドを主宰することあったんや」という興味だけでこの盤を聴き始めた。冒頭の「Tenderly」を聴き始めて「あれっ」と思った。
 
 
Chet-baker-big-band  
 
 
一通り聴き終えて、もう一度、頭から聴き直す。リーダーのチェットのトランペットも良い音出してるのだが、ビッグバンドを構成するメンバーそれぞれが実に良い音出している。3度聴き直して、パーソネルを調査する。それが上記のパーソネル。米国西海岸ジャズの一流どころがズラリ。

続く「Mythe」。ビッグバンドの音が少し変わる。良い演奏なんだが、冒頭の「Tenderly」に比べると、ちょっとレベルが落ちるというか、何かが足らない感じがする。でも、水準以上の良い演奏なんですよ。そして、聴き進めて、7曲目「Darn That Dream」で、また、覇気溢れる、良い音するビッグバンド演奏が戻ってくる。

全10曲聴き終えて、パーソネルを確認して、1曲目「A Foggy Day」、7曲目「Darn That Dream」、そして、10曲目の「Tenderly」の3曲が、米国西海岸ジャズの一流どころがズラリ集まったスペシャルなビッグバンド。チェット・ベイカーのトランペットが素晴らしく良い音で響きます。

残りの7曲も悪く無いですよ。水準以上のビッグバンド・サウンドで、その中でチェット・ベイカーのトランペットが映えに映えます。こんな盤があったなんて。このビッグバンドを録音した経緯なんかも判ったら楽しいでしょうね。掘り出し物の好盤です。
 
 
 

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2020年10月11日 (日曜日)

ジミー・ヒースの遺作バラード集

Jimmy Heath(ジミー・ヒース)。ジャズ・サックス奏者。1926年10月、米国フィラデルフィア生まれ。2020年1月、93歳で惜しくも鬼籍に入ってしまった。ジミーは音楽一家の出身で、はベーシストのパーシー・ヒース(兄)とドラマーのアルバート・ヒース(弟)の3人で「ヒース・ブラザース」として活動していた時期もある。ベーシストの兄、ドラマーの弟、共に優れたジャズマンで、ジミーも負けず劣らず優れた、レジェンド級のサックス奏者であった。

Jimmy Heath『Love Letter』(写真左)。2019年10〜12月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Heath (ts, ss), Russell Malone (g), Monte Croft (vib), Kenny Barron (p), David Wong (b), Lewis Nash (ds)。基本はサックス、ギター・ヴァイブがフロントのセクステット(6重奏団)編成。そこに、ゲストとして、Wynton Marsalis (tp on A-4), Gregory Porter (vo on B-2), Cécile McLorin Salvant (vo on A-2) が加わる。

今年の1月19日、93歳で惜しくも他界したサックス奏者ジミー・ヒースが、昨年末まで取り組んでいた遺作。今年の7月のリリース。このパーソネルを見ただけで、この盤の内容がかなり上質なものであることが想像出来る。本作は、ジミー・ヒースが得意とした、バラードをメインにしたアルバムである。
 
 
Love-letter-jimmy-heath  
 
 
2019年10月23&24日のNYでの録音、11月21&22日ジョージア州アトランタでの録音、そして、12月4日カリフォルニア州ベイカーズフィールドでの録音の3つの録音セッションから成る。いずれのセッションも素晴らしい内容で、ヒースの吹き上げる極上のバラード演奏を心ゆくまで堪能出来る。バックを司る、多世代に渡るオールスター・メンバーも皆、好演に次ぐ好演。

現代のヴォーカル界のスーパースター、グレゴリー・ポーターとセシル・マクロリン・サルヴァント、そして、トランペットのレジェンド的存在、ウィントン・マルサリスがゲストとして参加した楽曲もあり、これがこれまた優れた内容。特にウィントンのトランペットが、メンストリーム志向のハードバップな吹き回しが見事。肩の力の抜けた、だた純粋にジャズ・トランペットを吹き上げるウィントンを久し振りに聴いた気がする。

リーダーのジミー・ヒースのテナー&ソプラノ・サックスは全く申し分無い。淀みなく流麗。切れ味良く運指も正確。グルーヴ感豊かで仄かに哀愁感漂うジミー・ヒースのバラード・テナーには、思わずしみじみと聴き入ってしまう。こんな溌剌としたテナーを吹いていたジミーが、最終セッションの2ヶ月後に鬼籍に入ってしまうなんて。誠に惜しい逝去でした。ご冥福をお祈りします。
 
 
 

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2020年10月10日 (土曜日)

メイバーン晩年の傑作ライヴ盤

ハロルド・メイバーン(Harold Mabern)。1936年、メンフィスの生まれ。昨年9月、惜しくも83歳で逝去した、大ベテランのジャズ・ピアニスト。1968年に初リーダー作をリリース。しかし録音の機会に恵まれなかった。1989年に日本のレーベル、DIWからアルバムをリリースしてから徐々にリーダー作が増え、21世紀に入って、これまた、日本のレーベル、ヴィーナス・レコードから『Kiss of Fire』を出して以来ブレイク。約1年に1作のペースでリーダー作をリリースしてきた。

このメイバーンのピアノが米国で「ウケ」なかったのが不思議でならない。ブルージーでゴスペルチックな和音の響きが特徴。その特徴を前提にバップなピアノをダイナミックに弾きこなし、米国ルーツ・ミュージックの響きがノスタルジックに響く。このピアノが米国で「ウケ」なかったのが意外である。が、最近、やっと評価されてきた様で、喜ばしいことではある。

Harold Mabern『Mabern Plays Mabern』(写真左)。2018年1月の録音。最近、メインストリーム系の優れたジャズ盤を制作している Smoke Sessions レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Harold Mabern (p), Eric Alexander (ts), Vincent Herring (as), Steve Davis (tb), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。テナー、アルト、トロンンボーン3管がフロントのセクステット(6重奏団)編成。
 
 
Mabern-plays-mabern   
  
 
タイトルからも判る様に、メイバーン自身の作曲によるヒット・ナンバーを中心に、晩年、共にプレイした、気心知れたメンバーとの好ライブ盤。2017年12月17日から、NYのジャズクラブ、スモークで行われた「カウントダウン2018-ジョン・コルトレーン・フェスティバル」と題された「ハロルド・メイバーン・カルテット・フィーチャリング・エリック・アレキサンダー」の21日間連続のライブにビンセント・ハーリング(as)、スティーヴ・デイビス(tb) が参加したステージを収録したもの、とのこと。

メイバーンが弾きまくる。ブルージーでゴスペルチックな和音をベースに、バップなタッチ、ダイナミックな展開。「引用」も含め、イマージネーション溢れるアドリブ。このライヴの10ヶ月後に鬼籍に入るなんて想像も出来ない、ヴァイタルでダンディズム溢れる弾き回しには惚れ惚れする。とても当時、82歳のパフォーマンスとは思えないほど、ダイナミズムに溢れている。

このライブ盤、晩年のメイバーンの最高のステージ、ライブにおける魅力を捉えた、メイバーンのリーダ作の代表盤の一枚に加えるべき内容である。バックを司る、気心知れたメンバーもそれぞれ好演に次ぐ好演。メイバーンは最後に素晴らしいライヴ盤を残してくれた。ご冥福をお祈りしたい。
 
 
 

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2020年10月 9日 (金曜日)

バルネ・ウィランを見直した。

Barney Wilen(バルネ・ウィラン)。仏の伝説的サックス奏者である。50年代中盤に、バド・パウエルやマイルス・デイヴィス、J.J.ジョンソンらと共演したことでも有名。1957年には、自らのクィンテットで『Barney Wilen Quintet』を発表。仏のサックス奏者でありながら、こってこて「ビ・バップ」な吹きっぷりは見事。が、以降、ロック色の強い『Dear Prof.Leary』(1968年)を発表したり、1970年代には映画音楽や民族音楽に携わるなど、幅広いというか迷走気味の音楽活動を展開。

そして、1990年代に入って、原点回帰した「ビ・バップ」なブロウのリーダー作をヴィーナス・レコードから数作リリース。そして、1996年5月、鬼籍に入っている。キャリア途中、映画音楽や民族音楽に手を出したり、晩年はヴィーナス・レコードで、バップなブロウの要求に迎合したりで、自分としてはあまり信頼できるサックス奏者ではなかった。とにかく訳が判らん。ビ・バップなブロウも硬質でファンクネス皆無、歌心が希薄なテクニカルなブロウが、どうにも苦手だった。

Barney Wilen『Montréal Duets』(写真左)。1993年7月4日、International de Jazz de Montreal での録音。今年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Barney Wilen (ts, ss), Alain Jean-Marie (p)。サックス奏者 バルネ・ウィラン & ピアノ奏者 アラン・ジャン・マリー のデュオ。カナダ・モントリオールのジャズフェスでのライヴ録音。
 
 
Montreal-duets  
 
 
改めて、1937年、仏ニース生まれのサックス奏者 バルネ・ウィラン。そして、1945年、仏ポワンタピートル(グアドループ、小アンティル諸島)生まれのピアニスト、アラン・ジャン・マリーのデュオである。苦手なサックス奏者、バルネ・ウィランのライヴ音源なので、あんまり期待せずに聴き始めたら、あら不思議。角の取れた芯のあるテナーの音色、流麗でメロディアスな運指、歌心溢れるフレーズの展開。今まで聴いてきたウィランとは全く異なるサックスがこのライヴ盤に記されている。

ピアノを担当するアラン・ジャン・マリーも実にツボを押さえた伴奏を展開する。僕はこのピアニストは全く知らない。でも、このピアニストは及第点。どこかが突出した強烈な個性は無いし、テクニック的にも突出したところは無いが、デュオのパートナーとして、その役割をよく心得た「伴奏上手」なピアノはなかなかの聴きもの。破綻無く穏やかに堅実にウィランのサックスをサポートする。良い伴奏ピアノ。

このライブ盤、ライブ2セットをCD2枚組、全演奏時間 2時間30分弱の長尺で、演奏曲が2枚のCDで重複したりしているんですが、しかもデュオという演奏形態でシンプルの極みなんですが、全く飽きが来ません。とにかく、このライブ盤でのバルネ・ウィランのサックスは素晴らしい。思わず、バルネ・ウィランを見直しました。晩年のバルネ・ウィランを聴き直してみようか、と思っています。
 
 
 

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2020年10月 8日 (木曜日)

ジョシュアの最強カルテット盤

ジョシュア・レッドマンが好調である。1992年にメジャー・デビューして以来、コンスタントに、ほぼ1年に1作のペースでリーダー作を出し続けている。特にこの4〜5年は、ブラッド・メルドーやバッド・プラスと共同名義のアルバムを出したり、ネオ・ハードバップを掘り下げた、硬派でアーティスティックなメインストリームな純ジャズを展開したり、実に意欲的な活動を継続している。

Joshua Redman『RoundAgain』(写真)。今年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joshua Redman (ts, ss), Brad Mehldau (p), Christian McBride (b), Brian Blade (ds)。どこかで見たことのあるパーソネルだなあ、と思って資料を見たら、ジョシュアのリーダー作『Moodswing』のパーソネルがそのまま、26年振りに再集結したとのこと。なるほど納得。

さて、その内容であるが、モーダルで自由度と柔軟度の高い演奏あり、アーシーでちょっとゴスペルチックでファンキーな演奏あり、コルトレーン・ライクなスピリチュアルな演奏あり、現代のネオ・ハードバップをより洗練し、より深化させた演奏内容となっている。モーダルな演奏なんて、出現して以来、50年以上が経過しているので、もはや手垢がついて、どこかで聴いたことのある展開に陥りそうなのだが、ジョシュアのフレーズは決してそうはならない。
  
 
Roundagain-redman  
 
 
冒頭の「Undertow」が、モーダルで自由度と柔軟度の高い演奏で、ジョシュアの思索的なテナー・サックスが深みのあるフレーズを吹き上げている。特に低音が魅力的。続く2曲目の「Moe Honk」は、コルトレーン・ライクな疾走感溢れる、ややフリー気味な演奏。カルテットのメンバーそれぞれのテクニックが凄い。聴き込んでいるとあっと言う間に終わってしまうくらい、テンションの高い演奏。

3曲目の「Silly Little Love Song」は、アーシーでちょっとゴスペルチックでファンキーな演奏。素朴でフォーキーなメロディーが良い。米国ルーツ音楽的な響きが愛おしい。5曲目の「Floppy Diss」は、ブルージーでエネルギッシュな演奏ではあるが、どこか明るいユニークな演奏。この曲もメンバー4人のテクニックが凄まじい。特に、メルドー・マクブライド・ブレイドのリズム隊が凄い。

さすがにこれだけのメンバーが再集結しているのだ。今までのジャズの焼き直しにはならないし、過去の演奏スタイルをなぞることもしない。あくまで、現代の現時点でのメインストリームな純ジャズについて、これからの行く末を示唆する、含蓄に富んだ内容になっていると僕は思う。この盤を聴いて思う。まだまだジャズには、表現における「のりしろ」がまだまだあるなあ、と。
 
 
 

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2020年10月 7日 (水曜日)

西海岸ジャズの「ハードバップ」

ドラムはリズム&ビートを司る打楽器。旋律を奏でることは出来ない。音の表現も限定される。よって、ドラマーのリーダー作は「ドラマーがまとめ役になって、ドラマーが志向するジャズを表現する」ものが多い。アート・ブレイキーがその最たる例である。そうそう、トニー・ウィリアムスもそうだった。おお、マックス・ローチもそうだ。

米国西海岸ジャズの代表的ドラマーとは誰か。まず頭に浮かぶのが「Chico Hamilton(チコ・ハミルトン)」。そして「Shelly Manne(シェリー・マン)」。そして「Stan Levey(スタン・レヴィー)」。今日はこの「スタン・レヴィー」のリーダー作を取り上げる。活動期間が、ほぼ1950年代に限定されるので、そのリーダー作の数はあまり多く無い。

Stan Levey Sextet『Grand Stan』(写真左)。1956年11月、Hollywood での録音。ちなみにパーソネルは、Stan Levey (ds), Leroy Vinnegar (b), Sonny Clark (p), Richie Kamuca (ts), Frank Rosolino (tb), Conte Candoli (tp)。米国西海岸ジャズを代表するメンバー6人によるセクステット編成。しかし、名うての名手達が揃いも揃ったセクステットである。
 
 
Grand-stan-stan-levey  
 
 
とても端正で明るい、テクニックにも優れたドラミング。判り易い、お手本の様なドラム。優れたアレンジの下、優れた演奏テクニックと歌心を駆使して、小粋でお洒落な「聴かせるジャズ」を志向する米国西海岸ジャズにぴったりとフィットするドラミングである。そして、そんなスタン・レヴィーが志向するジャズは「西海岸ジャズにおけるハードバップ」と聴いた。

冒頭の名スタンダード曲「Yesterdays」を聴くと、それが良く判る。西海岸ジャズにありがちな「お洒落で聴き易い」イージーリスニング・ジャズ志向の演奏では無い。硬派でアーティスティックなパフォーマンス。優れたアレンジは西海岸ジャズならでは、であるが、演奏されるジャズの志向は、東海岸ジャズの「ハードバップ」。しかし、東海岸ジャズのそれをなぞるのでは無い。西海岸ジャズの雰囲気がプンプンする「ハードバップ」な音。

回りを固める5人のジャズメンも好演に次ぐ好演。カムカ・ロソリーノ・カンドリのフロント3管はファンクネス控えめの白人らしい、切れ味の良く、明るいユニゾン&ハーモニーを吹き上げる。東海岸に移る前のピアノのソニクラも「若々しい哀愁タッチ」で好演。ビネガーのベースは堅実そのもの。このレヴィーのリーダー作、なかなかの「隠れ好盤」である。
 
 
 

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2020年10月 6日 (火曜日)

デヴィッド・サンボーンの異色盤

秋である。気温も秋らしくなり、色々な種類のジャズが聴ける季節になった。今年の夏は「酷暑」。酷暑の夏はハードなジャズを聴くのが辛い。フリーなんて以ての外。耳当たりの良いボサノバ・ジャズやフュージョン・ジャズに走る。しかし、季節が良くなると放しは別。そんな季節になって、デヴィッド・サンボーンが聴きたくなった。聴き直しを進めていたのだが、2017年4月の『Close-Up』から中断していた。今日、再開である。

David Sanborn『Another Hand』(写真)。1991年の録音。ちなみにパーソネルは、と言いたいところだが、曲毎にパーソネルが異なるので、ここで挙げだしたら切りが無い。ただパーソネルを眺めて判ることは、Charlie Haden (b), Jack DeJohnette (ds), Bill Frisell (g), Don Alias (perc) など、メインストリーム・ジャズ、若しくは、ニュー・ジャズ畑のジャズマンが名を連ねている。

冒頭の「First Song」。素晴らしく流麗で哀愁漂うバラード演奏から始まる。この曲のパーソネルは、David Sanborn (as), Art Baron (tb), Lenny Pickett (ts), Bill Frisell (g), Charlie Haden (b), Joey Baron (ds), Don Alias (perc)。バラード演奏だが、音の雰囲気が今までとは違う。コンテンポラリーな純ジャズなテイスト。ヘイデンのベースがバラード演奏をグッと締める。フリゼールのギターが印象的に感傷的に響く。そして、泣きのサンボーンのアルト・サックスが哀愁のメロディーを紡ぎ上げる。
 
 
Another-hand  
 
 
この盤、それまで、フュージョン・ジャズの代表的アルト・サックス、泣きのサンボーンとして有名を馳せていたデヴィッドが「メインストリーム・ジャズ」な演奏で固めた「異色盤」である。コンテンポラリーな純ジャズな演奏が、かえってサンボーンの「泣きのアルト・サックス」を際立たせているのだから、この盤のコンセプトは「面白い」。

バラードあり、ニュー・ジャズ志向あり、若干フリーな展開あり。このパーソネルで役割分担して、メインストリーム・ジャズをやると、実に硬派でユニークなものになる。ビル・フリゼールのギターとジョーイ・バロンのドラム、チャーリー・ヘイデンのベースが「キーマン」である。この3人のメインストリーム志向のインプロビゼーションが、このアルバム全体の雰囲気を決定付けている。

しかし、メインストリーム・ジャズな志向の中で、やはり目立っているのは、サンボーンのアルト・サックス。特にサンボーンの個性である「泣き」のアルト・サックスが際立つ。優れたジャズマンは、どんなフォーマット、どんな奏法をやらしても大丈夫。サンボーンは純ジャズをやらしても「超一流」。サンボーンが単なる「フュージョン野郎」で無いことがこの盤で証明された。天晴れである。
 
 
 

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2020年10月 5日 (月曜日)

新しい才能のメジャー・デビュー

ジャズについては、毎年のように新しい「才能」が発見され、メジャー・デビューを果たしている。ある時は、有名なプロデュサーだったり、レジェンド級のジャズマンだったり、それら、ジャズにおいて実績のある人達が新しい才能を見出している。これって、まだまだジャズという音楽ジャンルは活性化されているということで、1970年代に「ジャズは死んだ」とされたことがあったが、僕はまだまだ「深化」していると思っている。

Joey Alexander『Warna』(写真左)。2020年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joey Alexander (p), Larry Grenadier (b), Kendrick Scott (ds) のトリオに、Luisito Quintero (perc), Anne Drummond (fl) がゲストで加わっている。基本はピアノ・トリオ編成として良いかと思う。今年、弱冠17歳の天才、ジョーイ・アレキサンダーの、Verveレコードからのメジャー・デビュー盤である。

ジョーイ・アレキサンダー(2003年バリ島生まれ)のリーダーアルバムは、これで6枚目。デビュー作が2015年、12歳の時というから驚きである。2011年にジャカルタでハービー・ハンコックに見出され、2014年、ウィントン・マルサリスとリンカーン・センターで共演。12歳にして、グラミー賞に最年少でノミネートされた、ジャズにおける久々の「天才」の出現である。
 
 
Warna-joey-alexander  
 
 
タイトルの「Warna=ワルナ」とは彼の母国語、インドネシア語で「色」という意味。この盤は、彼自身がツアーで様々なところを巡った旅の記録となっているようだ。ジョーイいわく「色々なミュージシャンとセッションをするステージの上や、旅先での自分の体験、音楽的な対話から作ったオリジナル作品を共有したかった」とのこと。

ベースのグレナディア、ドラムのスコットを従えたピアノ・トリオ。素晴らしいテクニックと表現力を見せつけてくれる。これって17歳の出す音か、とビックリする。収録された全12曲中、1曲のみ、スティングの「Fragile」のカヴァーだが、残りの11曲はジョーイのオリジナル。このオリジナル曲がそれぞれ良い曲、良いフレーズを持つ曲なんで、その作曲能力にもビックリする。

彼の多彩なテクニックがしっかり反映され、オリジナリティー溢れるメジャー・デビュー作。もっと注目されても良いのになあ。まだまだ成熟はしていないし、まだまだ練れていないところもある。しかし、それにも増して、そのテクニックの素晴らしさ、フレーズの美しさ。まだまだ伸びしろが有り余っているのを感じる。次作が早くも待ち遠しい。
 
 
 

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2020年10月 4日 (日曜日)

ダイアナの「リピューマ追悼盤」

21世紀に入って、やっと、ジャズ・ボーカルを聴く様になった。もともとジャズを聴き始めた動機が、高校時代はプログレ小僧だった僕が、ロックに見切りをつけて、英語の歌詞なんて、どうせ何を唄っているのか良く判らないので、インスト中心の音楽が良い。ということでジャズに走ったので、ジャズについても「ボーカル」にはあまり触手が伸びなかった。

ジャズ・ボーカルについては、男性ボーカルはフランク・シナトラとメル・トーメ。基本的にこの2人がメイン。女性ボーカルについては、いろいろ聴くが、オールド・スタイルの歌手は苦手。1960年代以降のポップでクロスオーバーな女性歌手が好みで、ディーディーやリンカーン、バートンなどを良く聴く。そして、この人の盤もよく聴く。

Diana Krall『This Dream Of You』(写真左)。コンテンポラリーな女性ジャズ・ボーカルの代表格、ダイアナ・クラールの3年振りのアルバムになる。ちなみにこの盤は新録では無い。前作『Turn Up The Quiet』(2017年)と同時期に録音された未発表音源の中から、選りすぐった内容になっている。
 
 
This-dream-of-you-diana-krall  
 
 
Diana Krall (p, vo)をリーダーに、3つの編成でのパフォーマンスになる。1つは、John Clayton (b), Jeff Hamilton (ds), Anthony Wilson (g) とのクァルテットで録音したもの。もう1つは、Christian McBride (b) とRussell Malone (g) とのトリオ編成による録音。そして、3つ目は、Tony Garnier (b), Karriem Riggins (ds), Marc Ribot (g), Stuart Duncan (fiddle) というユニークな編成。

ダイアナ・クラールいわく、2017年3月に逝去した、ダイアナの才能を見出し、長年の制作パートナーである名匠トミー・リピューマとの思い出と対峙して、今回のアルバムを仕上げ、改めて音楽に向き合ったという。ダイアナ本人が特に「アウト・テイクには程遠くて、放置するにはもったいない」と感じていた2016年からのレコーディングからの選りすぐりである。どの曲も充実の内容。

とてもとても未発表音源を集めた盤とは思えない。この盤のダイアナの歌唱を聴いていると、リピューマのプロデュースが不可欠であると強く感じる。実にしっくりくるのだ。この盤は明らかに、ダイアナのリピューマに対するトリビュート。そして、この盤のクレジットには「ALL SONGS PRODUCED BY DIANA KRALL & TOMMY LIPUMA (2016-2017)」と書かれている。
 
 
 

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2020年10月 3日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・189

ジャズ盤には「知る人ぞ知る」盤が結構ある。そんな盤って、まずジャズ盤紹介本にその名は挙がらないし、ジャズ雑誌の特集にもまずその名は挙がらない。昔であれば、ジャズ喫茶のマスターが知っていて、リクエストの合間にかけてくれて、硬派なジャズ者の方々が「なんだこの盤」と色めき立って、思わずジャケットを確認しにいく様な盤。

Ted Curson『Plenty of Horn』。1961年4月11日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Ted Curson (tp), Eric Dolphy (fl), Bill Barron (ts), Kenny Drew (p), Jimmy Garrison (b), Pete La Roca, Dannie Richmond, Roy Haynes (ds) 。リーダーのテッド・カーソンのトランペットと、エリック・ドルフィーのフルート、もしくは、ビル・バロンのテナー・サックスのフロント2管のクインテット編成。ドラムについては3人のドラマーが分担している。

まず、テッド・カーソンというトランペッター自体が「知る人ぞ知る」存在である。カーソンは、1935年、米国フィラデルフィア生まれ。2012年に鬼籍に入っている。享年77歳。1956年、マイルスの勧めでにNYへ移り、頭角を現す。僕にとっては、チャールズ・ミンガスとの共演が一番印象に残っている。硬軟自在で縦横無尽、表現力豊かなトランペットが個性、そのトーンも美しい、知る人ぞ知る、玄人好みのトランペッターである。
 
 
Plenty-of-horn  
 
 
そんなテッド・カーソンの初リーダー作がこの『Plenty of Horn』。カーソンのトランペットは「ポスト・バップ」。モードをベースにした、自由度が高く、独創的で印象深いアドリブ展開は実にアーティスティック。聴き手に迎合する「甘さ」は全く無い。とてもシビアで思索的、力強く柔軟なトラペットのフレーズに思わず聴き惚れる。

カーソンって、クラシックのトランぺッターになりたかったらしく、確かにカーソンのフレーズって、切れ味の良いブルース調の中に、クラシックの整然とした洗練された要素が見え隠れして、力強くはあるが流麗なのが特徴。そこに強烈個性ドルフィーのフルートが絡んだり(「The Things We Did Last Summer」と「Bali Ha'i」に2曲のみ)、創造的でエネルギッシュなバロンのテナーが絡んだりで、明らかに「ポスト・バップ」な演奏が繰り広げられて、思わず身を乗り出して聴き込んでしまう。

かつては「幻の名盤」として有名な盤だったが、今では音楽のサブスクサイトでも音源がアップされていて、気軽に聴くことが出来る。良い時代になったもんだ。ジャケットもシンプルだけど、実にジャズらしいジャケット。「ジャケ買い」にも十分に応えてくれる「隠れ好盤」である。
 
 
 

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2020年10月 2日 (金曜日)

噛めば噛むほど味が出る企画盤

ジョン・スコフィールドのツアーに抜擢されて以降、ジャズ・ドラマーの第一線で活躍してきた「アダム・ナスバウム(Adam Nussbaum)」。1955年、NY生まれ。今年で65歳。知らない間に大ベテランである。ドラマーであるが故、リーダー作は、2018年の『The Lead Belly Project』が初リーダー作。なんと63歳で初めて自らのリーダー作をリリースしたことになる。

Adam Nussbaum『Lead Belly Reimagined』(写真左)。2019年7月16日、NYのホーム・コンサート & パフォーマンス・スペース「SEEDS::Brooklyn」での録音。録音担当はテナー・サックスのオハー・タルマー。ちなみにパーソネルは、Adam Nussbaum (ds), Steve Cardenas (g), Nate Radley (g), Ohad Talmor (ts)。手作り盤の雰囲気満載のナスバウムのリーダー作第2弾である。

この盤は「企画盤」。レッド・ベリー(Lead Belly)の12弦ギターをトレースするという通なコンセプトである。レッド・ベリーは、米国のフォーク & ブルースのミュージシャンである。澄んだ力強い歌声、12弦ギターの技巧が個性。マルチ奏者でもあり、ピアノ、マンドリン、ハーモニカ、ヴァイオリン、そして、アコーディオンも演奏する。米国ルーツ・ミュージックの原点的存在である。
 
 
Lead-belly-reimagined  
 
 
そんなレッド・ベリーの12弦ギターをトレースする。なんとマニアックな企画なんだろう。メンバーは前作同様「不動」のメンバー。こういう企画ものは、演奏メンバーとしては気心知れて、テクニックは優秀、協調性豊かな人材が必要だと思うが、その点、この盤ではメンバーは、前作の同一企画盤The Lead Belly Project』と同じメンバーなので、理想的なメンバーでのパフォーマンスになる。

内容的には一言で言うと「渋い」。演奏形態はハードバップでもモードでも無い。どちらかと言えば「スイング」のノリ、雰囲気がプンプンする。しかし、音作りやアレンジは今様なもので、演奏自体は、4者4様の対等なインタープレイがメイン。この4者4様のインタープレイの雰囲気がどこか「ニューオリンズ・ジャズ」をなんちなく想起させるところがユニーク。米国ルーツ・ミュージックをベースにしてはいるが、ブルース基調の音作りはとにかく「渋い」。

ブルースを基調とし、フォーク・カントリー・スイングを取り込んだモダン・ジャズ。個性的で独特な雰囲気の演奏である。古き良き時代を想起させる米国ルーツ・ミュージックの心象風景。これをジャズで表現するのだから、その独特の雰囲気が堪らない。正直言うと初めて聴いた時はちょっと戸惑う。しかし、2度3度繰り返し聴き返すうちに「癖」になる。噛めば噛むほど味が出る。スルメの様な企画盤である。
 
 
 

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2020年10月 1日 (木曜日)

「攻めに攻める」ピエラヌンツィ

Enrico Pieranunzi(エンリコ・ピエラヌンツィ)は、イタリアを代表するピアニスト。1949年生まれなので、今年で71歳。レジェンド級のピアニストである。 僕はこの「エンリコ」をECMレーベルに残したリーダー作で、その名とピアノを知った。タッチの切れ味が良い、耽美的で流麗な響き。チックのピアノに、キースのクラシック志向な音を混ぜて「2」で割った様な音。

エンリコは基本的に「トリオ編成」をメインに活動している。ベースのマーク・ジョンソンやスコット・コリーなど、優れたベーシストとの好盤が印象に残っている。そういう意味で、エンリコの「トリオ編成」は、ベーシストが鍵を握る、という傾向があるのかもしれない。エンリコのトリオ編成を見極めるには、まず「ベーシスト」を見極めろ、ということか。

Enrico Pieranunzi『New Visions』(写真左)。2019年3月10日、Copenhagenでの録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Thomas Fonnesbæk (b), Ulysses Owens Jr. (ds)。エンリコは今年71歳。ベースのトーマス・フォネスベックが1977年生まれなので、今年で43歳。ドラムのユリシス・オーエンス・ジュニアが1982年生まれなので、今年で38歳。エンリコが「息子」世代と組んだ、スリリングなトリオ演奏である。
 
 
New-visions
 
 
 
冒頭「Free Visions 1」のピアノのフレーズを聴くだけで「ああ、これはエンリコかな」と感じるくらい、個性的な音である。ちょっと聴いただけでは「チックか」と思うところがある。フレーズにイタリア音楽らしい、ちょっとラテンなマイナー調が入るので、チックと間違えやすい。アドリブ・フレーズに入って鋭角に攻めずに、流麗に攻めるところがエンリコらしさ。

フォネスベックがグイグイとトリオ演奏を引っ張っている。耽美的なエンリコのピアノに対して、硬派でダンディズム溢れるアコベが好対照で良い響き。オーエンス・ジュニアのドラムも隅に置けない。好対照なエンリコのピアノとフォネスベックのベースのどちらに偏ることなく、しっかりと間を取って寄り添うようなドラミングは「天晴れ」。

今年71歳のエンリコであるが、この盤でも感じる様に「攻めに攻めている」。選曲もトリオ・メンバーのオリジナルをメインに固め、ネオ・ハードバップをリードする「モーダル」な展開、そして、フリーにスピリチュアルに傾いた演奏など、現代のメインストリーム・ジャズのど真ん中を行くトリオ演奏は見事である。昨年のリリースになるが、見落としていた。やっとリカバリー出来て、気分は上々である。
 
 
 

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