フュージョンの先駆け的な盤
いきなり涼しくなり、いきなり爽やかな好天。すっかり秋らしい陽気になった。酷暑の折は、流石にハードな純ジャズやフリー・ジャズは、熱中症になりそうで、どうしても聴くことが出来ない。これだけ爽やかな陽気になれば、ジャズもいろいろ幅広いジャンルのアルバムが聴けるようになる。爽やかなフュージョン・ジャズだって、気持ち良く聴ける。
John Klemmer『Touch』(写真左)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、John Klemmer (ts, el-p, fl), Larry Charlton (ac-g), Mitch Holder (ac-g, el-g), Chuck Domanico, Chuck Rainey (el-b), Dave Grusin, Doerge Guke (el-p [Fender Rhodes]), John Guerin (ds), Emil Richards, Joe Porcaro (perc), David Batteau (vo)。フュージョン・ジャズの先駆的内容のアルバムである。
パーソネルを見渡せば、バックを担うメンバーが、フュージョン・ジャズの担い手となるジャズマンばかりが並ぶ。後の有名どころでは、アコギのラリー・カールトン、エレベのチャック・レイニー、エレピのデイブ・グルージンとジョージ・デューク、ドラム・パーカッションのジョン・ゲリンとジョー・ポーカロ 等々。このバックのメンバーを見渡すだけで、この盤はフュージョンっぽい音が出てくるのでは、と予想してしまう。
フェンダー・ローズの音が聴いている。アコギの音も効果的。アルバム全体を覆う雰囲気は「ソフト&メロウ」。リズム隊もシャープで小粋な8ビートを叩き出している。そこに、リーダーのジョン・クレマーのテナーがスッと入ってくる。これまた「ソフト&メロウ」なテナーの響き。この盤に詰まっている音世界は、明らかに「フュージョン・ジャズ」。
しかし、効果的にエコーがかかった独特のテナーの音色は、ソフト&メロウで聴き心地が良いばかりでは無い。クレマーのテナーは骨太で芯がしっかり入った、メンストリーム志向のテナー・サックス。音の流麗さだけを追求しない、しっかりとしたジャズ・テナーの音に思わず耳を奪われる。空間、音の隙間を上手に活用したテナーのフレーズは聴き心地満点。
我が国では、この「ジョン・クレマー」の知名度は低い。僕もジャズを聴き始めた頃、大学近くの「秘密の喫茶店」でこの盤を紹介されていなければ、ジョン・クレマーの名前を知ることは無かったかもしれない。メランコリックなムードの中に、力強いテナーのソロ。この盤のリリースは1975年。明らかにフュージョンの先駆的内容。それでいて、主役のテナーは骨太でメインストリーム志向。名実ともに「隠れ好盤」の一枚である。
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