« ジャズ喫茶で流したい・187 | トップページ | ビル・フリゼールの音の個性 »

2020年9月14日 (月曜日)

二人の「捻れギタリスト」である

最近、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ビル・フリゼールが「トレンド入り」している。ビル・フリゼールとは、ジャズとしてノーマルなフレーズが出てこない、圧倒的に個性的な「捻れた」ギターが飛び出してくる、良い意味で「変態ギタリスト」と呼んで良い。1951年生まれだから、今年で69歳。どうしてこんなに「捻れた」のか判らないが、とにかく捻れて浮遊するギター。

Marc Johnson's Bass Desires『Bass Desires』(写真左)。1985年5月、NYのThe Power Stationでの録音。ECMの1299番。ちなみにパーソネルは、Marc Johnson (b), John Scofield (g), Bill Frisell (g, g-syn), Peter Erskine (ds)。ベースがリーダー、ギター2本、キーボードレスの変則ギター・トリオ編成である。

僕はこの盤で、ビル・フリゼールと出会った。2本のギターのうち、捻れまくってはいるが、オーソドックスにブルージな雰囲気を振り撒く方が「ジョンスコ(John Scofield)」なのは判った。が、もう1本のギター、浮遊感を全面に押し出しつつ、捻れまくるわ、飛びまくるわ、この変態ギターは誰だ、と思って、パーソネルを見たら「ビル・フリゼール」だった。
 
 
Bass-desires_20200914200801   
 
 
改めて、このマーク・ジョンソンのリーダー作を聴き直してみると、なかなか「エグい」内容に改めてビックリする。とにかく尖っている。尖りまくって、アブストラクト寸前、純ジャズの範疇に留まって、自由度の高い、思いっ切りモーダルな演奏を繰り広げている。とにかく、マーク・ジョンソン=ピーター・アースキンのリズム隊が凄まじい。硬派でアグレッシヴ、力感と柔軟性を併せ持つ、素晴らしいリズム&ビートを供給する。

そんなリズム&ビートをバックに、二人の捻れギタリストが乱舞する。特にフリゼールが、ギター・シンセサイザーまで担ぎ出しての大活躍。冒頭の「Samurai Hee-How」を聴くと、二人の捻れギタリストの個性がとても良く判る。同じ捻れギタリストでも、フリゼールは浮遊感溢れる捻れギターで好き放題に弾きまくり、ジョンスコは堅実に捻れたギターでサポートに回る。二人の捻れギターがアウトドライブせずに自由度の高いアドリブを弾きまくれるのは、ジョンスコの堅実なサポートがあってこそ、である。

とびきり浮遊感溢れる、自由度の高いモード・ジャズ。2曲目のコルトレーンの大名盤『至上の愛』からの「Resolution」でのパフォーマンスは、高テンションで凄まじいばかりのインプロビゼーションを展開していて、思わずスピーカーの前に釘付けになる。今の耳で聴いても「斬新」の一言。さすがはECMレーベル。凄い音源を残している。
  
  
   

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 
 
 ★ AORの風に吹かれて    
【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『Restless Nights』 1979
 
 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.09.02 更新。
 
  ・『The Best of The Band』
 
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.09.02 更新。

  ・僕達は「タツロー」を発見した
 
 
Matsuwa_billboard  

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

« ジャズ喫茶で流したい・187 | トップページ | ビル・フリゼールの音の個性 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ジャズ喫茶で流したい・187 | トップページ | ビル・フリゼールの音の個性 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2023年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー