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2020年9月の記事

2020年9月30日 (水曜日)

スティープルチェイスの「今」

振り返ってみると、1970年代〜1980年代前半にかけて、フュージョン・ジャズの大ブームのお陰で、老舗のジャズ・レーベルについては、大手のコロンビアやヴァーヴなどは、なんとかメインストリーム・ジャズのアルバムをリリースし続けてはいたものの、多くが縮小撤退、若しくは活動中止に追い込まれた。しかし、1980年代半ば、純ジャズ復古によって、ほどんどの老舗レーベルが復活を果たしている。

Ronnie Cuber Quartet『Four』(写真左)。2019年の作品。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber (bs), Ed Cherry (g), Brian Charette (org), Adam Nussbaum (ds)。最年少が、ブライアン・シャレットの47歳。リーダーのバリサク(バリトン・サックスの略)奏者、ロニー・キューバーは78歳。ベテラン〜レジェンド級のメンバーで固めた、小粋で渋いカルテット演奏である。

リリースは「スティープルチェイス・レーベル」。スティープルチェイスは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫。
 
 
Fourronniecuber
 
 
そんなスティープルチェイスであるが、現在も活動中。結構、渋くて小粋なハードバップなアルバムをリリースするので目が離せない。このキューバーの『Four』も、そんな渋くて小粋なハードバップなアルバムの一枚。ロニー・キューバーのバリサクが実に良い音を出している。キャリア60年以上の中、参加した盤は200枚を超えるらしいが、この盤でも彼のスタイルは全く変わらないし、衰えも見えない。とにかく、心地良い「ブリブリ・ゴリゴリ」の演奏。バックの人選も良い。

スティープルチェイス・レーベルは、欧州の「ブルーノート」と形容されるだけあって、録音の音の雰囲気は統一感があり、ジャケットも質素ではあるが、リーダーやメンバーの顔をあしらった統一感のあるデザイン。この盤もその「スティープルチェイス」色そのものの内容で、伝統的なハードバップ系の音作り。とても安心感のあるスイング感豊かな展開は、ジャズ者一般万民にお勧めである。

最後に選曲もなかなか。フィリー・ジョーの「Battery Blues」、リー・モーガンの「Sidewinder」、ホレス・シルバーの「Motivation」、スタンリー・タレンタインの「Sugar」、スタンダード曲の「Tenderly」「Just Friends」「How High The Moon」等々、なかなか凝った選曲、小粋な選曲も聴きもの。スティープルチェイス・レーベル、まだまだ健在である。
 
 
 
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2020年9月29日 (火曜日)

コリエルとカーンのデュオ盤

フュージョン・ジャズの時代って、あるところからは評判が悪い。あれは時代の徒花、ジャズ者もジャズ喫茶も「どうかしていた」なんて自己批判めいた記事を目にしたことがあるが、フュージョン・ジャズって、そんなに酷いものでは無い。あれだけ大ブレイクした訳で、当時のジャズ者の方々の耳って、確かなものだったろうから、音楽的にも優れたものが多く、演奏テクニックも優秀なものが多いのは当然。

とにかく、当時、大ブレイクしたフュージョン・ジャズ。アルバムを出せばバンバン売れるわけで、レコード会社はそれぞれ、こぞって、フュージョン・ジャズのアルバムをバンバンにリリースした。バンバンとリリースするからには、アルバムをバンバンと制作せねばならない。当時、アルバムを制作する意図で、様々な企画盤が録音〜リリースされた。

Larry Coryell & Steve Khan『Two for the Road』(写真左)。1977年のリリース。ちなみにパーソネルは、Larry Coryell, Steve Khan (g) のみ。コリエルとカーンのギター・デュオ盤である。60年代後半から、ジャズ・ロック〜クロスオーバーの寵児的ギタリストとして活躍していたラリー・コリエルと、70年代後半にボブ・ジェームスの見出されて、フュージョンの人気ギタリストとなった、スティーヴ・カーンとのコラボ盤。
 
 
Two-for-the-road  
 
 
冒頭のチック・コリアの名曲「スペイン」から始まる。コリエルもカーンも全編アコースティック・ギター(略して「アコギ」)でガンガンに弾きまくる。弦はスチールなので、その音色は切れ味良く疾走感抜群。そして、コリエルは、ジャズ・ロックなギター・フレーズで終始攻めまくり、カーンは硬派なジャズ寄りのフュージョン・ギターで迎え撃つ。

全く音色とアプローチの異なるアコギなんだが、それはそれは素晴らしいデュオ演奏が繰り広げられている。二人の共通点は「ロックなテイスト」がギター・フレーズに見え隠れするところ。この「ロックなテイスト」の部分で、この個性的な2人のギターは、絶妙にシンクロする。この絶妙なシンクロが実に心地良い。このシンクロをベースに奏でられる「ユニゾン&ハーモニー」は聴きものである。

このデュオ企画、コリエル宅で行われた1回のリハーサルがもとになったらしい。よほど相性が良かったのか、それが切っ掛けでツアーに出るんやから、思い切りが良いというか、向こう見ずというか(笑)。それでも、これだけ内容のあるアルバムが出来るのだから、二人のギタリストとしての力量たるや素晴らしい。フュージョン全盛時代らしい企画盤。懐かしい響き。それでも今の耳にも十分に耐える。好盤です。
 
 
 

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2020年9月28日 (月曜日)

フュージョンの先駆け的な盤

いきなり涼しくなり、いきなり爽やかな好天。すっかり秋らしい陽気になった。酷暑の折は、流石にハードな純ジャズやフリー・ジャズは、熱中症になりそうで、どうしても聴くことが出来ない。これだけ爽やかな陽気になれば、ジャズもいろいろ幅広いジャンルのアルバムが聴けるようになる。爽やかなフュージョン・ジャズだって、気持ち良く聴ける。

John Klemmer『Touch』(写真左)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、John Klemmer (ts, el-p, fl), Larry Charlton (ac-g), Mitch Holder (ac-g, el-g), Chuck Domanico, Chuck Rainey (el-b), Dave Grusin, Doerge Guke (el-p [Fender Rhodes]), John Guerin (ds), Emil Richards, Joe Porcaro (perc), David Batteau (vo)。フュージョン・ジャズの先駆的内容のアルバムである。

パーソネルを見渡せば、バックを担うメンバーが、フュージョン・ジャズの担い手となるジャズマンばかりが並ぶ。後の有名どころでは、アコギのラリー・カールトン、エレベのチャック・レイニー、エレピのデイブ・グルージンとジョージ・デューク、ドラム・パーカッションのジョン・ゲリンとジョー・ポーカロ 等々。このバックのメンバーを見渡すだけで、この盤はフュージョンっぽい音が出てくるのでは、と予想してしまう。
 
 
Touch-john-klemmer  
 
 
フェンダー・ローズの音が聴いている。アコギの音も効果的。アルバム全体を覆う雰囲気は「ソフト&メロウ」。リズム隊もシャープで小粋な8ビートを叩き出している。そこに、リーダーのジョン・クレマーのテナーがスッと入ってくる。これまた「ソフト&メロウ」なテナーの響き。この盤に詰まっている音世界は、明らかに「フュージョン・ジャズ」。

しかし、効果的にエコーがかかった独特のテナーの音色は、ソフト&メロウで聴き心地が良いばかりでは無い。クレマーのテナーは骨太で芯がしっかり入った、メンストリーム志向のテナー・サックス。音の流麗さだけを追求しない、しっかりとしたジャズ・テナーの音に思わず耳を奪われる。空間、音の隙間を上手に活用したテナーのフレーズは聴き心地満点。

我が国では、この「ジョン・クレマー」の知名度は低い。僕もジャズを聴き始めた頃、大学近くの「秘密の喫茶店」でこの盤を紹介されていなければ、ジョン・クレマーの名前を知ることは無かったかもしれない。メランコリックなムードの中に、力強いテナーのソロ。この盤のリリースは1975年。明らかにフュージョンの先駆的内容。それでいて、主役のテナーは骨太でメインストリーム志向。名実ともに「隠れ好盤」の一枚である。
 
 
 

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2020年9月27日 (日曜日)

「Plays Bird」の第2弾である

「Supersax(スーパーサックス)」。チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる驚異のグループである。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人という、ドライブ感抜群、迫力満点な分厚いサックス・アンサンブルで、パーカーのアドリブ・フレーズの魅力を余すところなく伝えてくれる。

Supersax『Salt Peanuts』(写真)。1974年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopes, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Carl Fontana (tb), Conte Candoli (tp), Lou Levy, Ronnell Bright ,Walter Bishop (p), Buddy Clark (b),Jake Hanna (ds) 。サブタイトルが「Supersax Plays Bird Vol. 2」。デビュー盤に続く「Plays Bird」の第2弾である。

ジャケットがチープになったのが悪かったのか、ほとんど採り上げられない第2弾だが、内容的には、デビュー盤を凌ぐほど充実している。まあ、1974年で、しかもメインストリーム・ジャズ系のアルバムで、このジャケット・デザインは無いだろう。デビュー盤がサックスの大写しで、なかなか洒落たデザインだっただけに、この「ラヴ&ビース」の様な、ヒッピー文化的雰囲気のデザインには首を傾げる。
 
 
Salt-peanuts-supersax  
 
 
もともと、チャーリー・パーカーのアドリブ・フレーズは、これが即興演奏の賜なのか、とビックリするくらいに、流麗で美しいものが多いのだが、この盤の選曲については、そんな流麗で美しいパーカーのアドリブ・フレーズの中でも、特に優れたものをピックアップしている様で、5人のサックス奏者が奏でるフレーズを聴いているだけで、どんどん引き込まれていく。

アレンジについては相変わらず優れている。デビュー盤は、5人のサックス奏者のユニゾン&ハーモニーをじっくり聴かせるアレンジだった。が、この盤については、5人のサックス奏者のユニゾン&ハーモニーをメインに、トランペット、トロンボーン、そして、リズム・セクションもしっかり目立って、さながらビッグバンドの演奏を聴いているような、そんな気分にさせてくれるアレンジである。

この盤も「チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる」という企画が成功している好盤。ジャケット・デザインでかなり損をしているが、このジャケットに「引かず」に一聴をお勧めする。特にビッグバンド者、パーカー者の方々にお勧めの好盤である。 
 
 
 

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2020年9月26日 (土曜日)

米国西海岸ジャズの小粋な好盤

米国西海岸ジャズ、いわゆるウエストコースト・ジャズって、一聴したら直ぐ判る。聴かれることを十分に意識したアレンジとパフォーマンス。しっかりと計算された演奏で、ジャム・セッションから突如、生まれ出でた様な「偶発的」な要素はほとんど無い。とにかく端正で正確。破綻したり脱線することは無い。

東海岸ジャズと正反対の西海岸ジャズ。悪く言えば、どの演奏もアレンジャーが同じであれば、同じ雰囲気の似たり寄ったりのアルバムになってしまう。そういう弱点を回避する為に、楽器編成に「捻り」を入れたり、採用する楽曲をスタンダード曲では無く、自作曲をメインに据えたり、結構、色々と工夫している。

Terry Gibbs『A Jazz Band Ball』(写真左)。1957年9月、Hollywood での録音。ちなみにパーソネルは、Terry Gibbs (vib, marimba), Larry Bunker, Victor Feldman (vib, xylophone), Lou Levy (p), Max Bennett (b), Mel Lewis (ds) 。この盤はとても珍しい楽器編成をしている。リーダーのテリー・ギブスはヴァイブ奏者だが、ギブス以外に二人のヴァイブ奏者が参加している。曲によってマリンバやシロフォンが使われていて、これがまた音色的に面白い。
 
 
A-jazz-band-ball-terry-gibbs
 
 
管楽器については同種楽器の組合せは珍しくないが、その他の楽器については珍しいだろう。しかし、この盤はテリー・ギブス、ヴィクター・フェルドマン、ラリー・バンカーというヴァイヴ奏者3人の競演となっている。さすがにプロのヴァイブ奏者である。ユニゾン&ハーモニーに、ソロ・パフォーマンスに、三者三様の個性を十分に発揮して、聴いていてとても楽しい内容になっている。

また、バックのリズム・セクションも充実したラインナップ。ルー・レヴィのピアノ、マックス・ベネットのベース、メル・ルイスのドラムス。いずれも西海岸ジャズでの一流どころ。管楽器と比べて、音の線が細いヴァイブのソロを、損なうこと無く、しっかりとサポートする、その技倆は素晴らしい。こういうところが「西海岸ジャズ」らしいところ。

ファンクネスはほぼ感じられない、パッキパキに固くスイングするギブスの流麗なヴァイブ。これも「西海岸ジャズ」らしい。モード・レーベル独特の「線画イラスト」を使ったジャケットもお洒落。聴き心地良く、その演奏力も高く、そしてアレンジも小粋。米国西海岸ジャズの良いところを集約した様な「お洒落な」好盤である。
 
 
 
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2020年9月25日 (金曜日)

晩年のエレ・マイルスの究極盤

昨日、Miles Davis『You're Under Arrest』をご紹介した。1985年のリリース。マイルスは、1991年に鬼籍に入っているので、後はリーダー作は6作を残すのみとなっている。リリース順で聴き直してきたマイルスのリーダー作も終盤である。マイルス自身としても晩年の時代。レコード会社は長年所属していたColumbiaを離れ、Warner Bros.に所属することとなる。

Columbiaレコードとしては、1985年当時、もはやマイルスの商品価値は尽きた、と考えていたらしい。予算も削減し、扱いもレベルダウンし、さすがのマイルスも怒り心頭。Columbiaレコードも積極的に契約更新するつもりもなく、マイルスはWarner Bros.へ移籍することとなった。商品価値の低くなったマイルス。しかし、Warner Bros.に移籍後、晩年の傑作盤をものにするのだから、マイルスは隅に置けない。

Miles Davis『Tutu』(写真)。1986年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Marcus Miller (b, guitar, syn, drum machine, b-cl, ss, other inst.), Jason Miles (syn programming), Paulinho da Costa (per), Adam Holzman (syn), Steve Reid (per), George Duke (per, b, tp), Omar Hakim (ds, per), Bernard Wright (syn), Michał Urbaniak (el-vin), Jabali Billy Hart (ds, bongos)。シンセサイザーと打ち込みの多用が目に付く。
 
 
Tutu-miles-davis  
 
 
エレクトリック・マイルスの最終到達地点。マイルス流エレクトリック・ファンクの最終形。クールで格好良く、ソリッドなファンクネス、重量感溢れ、そして流麗。エレ・マイルスの良いところが全て、この『Tutu』に凝縮されている様なパフォーマンス。アコースティックだのエレクトリックだの、どうでも良い。エレ・ファンク・ジャズの究極形がこの盤に詰まっていると感じる。

キーマンは、若きベーシストの「Marcus Miller(マーカス・ミラー)」。曲の大半はマーカスミラーが書いている(マイルスは1曲のみ)。マーカスはマイルス・バンド最後の「音楽監督」として、このエレ・ファンク・ジャズの究極形を、マイルスと二人三脚で完成させた。そして、もう一つの「キーマン」は、アダム・ホルツマンや、ジェイソン・マイルスの「プログラミング部隊」。

ジャズの肝である「即興演奏」はどこへ行った。「即興演奏」は、マイルス御大が一気に引き受けている。バックのリズム隊は人工的だが、マイルスは生の音で、マイルスのトランペットを、即興演奏を吹きまくっている。このマイルスのトランペットの「即興演奏」だけで、アルバム全体が「ジャズ」に包まれる。いやはや、マイルスって、晩年にどえらいエレ・ファンク盤をものにしたもんだ。
 
 
 
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2020年9月24日 (木曜日)

エレ・マイルスの一番ポップな盤

ジャズの帝王「マイルス・デイヴィス」のリーダー作をリリース順に聴き直していたのだが、2016年7月6日の『Decoy(デコイ)』で停滞しているのに気がついた。面目ない。自分自身、マイルス者なので、マイルスのリーダー作は定期的に聴く。聴かないと禁断症状が現れる。で、この聴き直しの次のアルバム自体が、この定期的に聴くマイルス盤として選択されなかったということ。で、今回、聴き直しを再開である。

Miles Davis『You're Under Arrest』(写真左)。1984年1月26日〜1985年1月14日での録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp, syn, voice), John McLaughlin (g), John Scofield (g), Bob Berg (ss, ts), Kenny Garrett (as). Al Foster (ds), Vincent Wilburn (ds), Robert Irving III (syn, celesta, org, clavinet), Darryl Jones, (b), Steve Thornton (perc, voice), Sting, Marek Olko, (voice)。

アルバムを聴く前にパーソネルを見渡せば、どんな「捻れてカッ飛んだジャズ・ファンク」な音が出てくるんだ、と思う。そして、パーソネルにある「Voice」とは何か、今までのマイルス盤に無い「担当楽器」に戸惑う。ラップでもやる気なの?なんて思ったりする。しかし、ジャズ・ファンクはもうずっとやっている。新たな挑戦として、この盤ではマイルスは何にチャレンジするのか。
 
 
Youre-under-arrest  
 
 
昔、この盤がリリースされた時、この盤に詰まっている音に対する「表現言葉」を持ち合わせていなかった。21世紀の今になって、やっと自分なりの、この盤に対する「表現言葉」を持つことが出来た。そう、この盤って、マイルス流のフュージョン・ジャズではないか。冒頭の「朗読劇」風のヴォイスも、それまでのマイルスに無い「ポップ」な工夫。そして、絶品のカヴァー曲が2曲。

Michael Jacksonの楽曲、2曲目の『Human Nature』と Cyndi Lauperの楽曲、7曲目の『Time After Time』が見事。ポップであり、ソフト&メロウであり、ジャズによるブラコンである。この2曲が軸となって、爽やかファンキーでこの盤では、ポップで判り易い、マイルス流のフュージョン・ジャズな演奏がズラリと並ぶ。もちろん、マイルスのトランペットは好調である。もちろん、バックを担う個性派ジャズマン達も好演に次ぐ好演。

エレクトリック・マイルスの中では、非ジャズ・ファンクなポップで聴きやすいアルバム。マイルスのジャズ・ファンク独特の「陰」のイメージがこの盤には全く無い。ポップで明るい演奏の中に、そこはかとなく漂う「寂寞感」はマイルスならではのもの。この秋の黄昏時に一人で佇む様な「寂寞感」は健在。この漂う「寂寞感」故に、この盤は単なるフュージョン・ジャズ盤に留まらず、やはりメインストリームなジャズ、正統なエレ・マイルスな盤として存在し続けているのだ。
 
 
 
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2020年9月23日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・135

台風が来るぞ来るぞ、というので、朝からベランダの植木などを台風対策で寄せたりして、一汗かいた。で、天気予報を見たら、一応、直撃〜上陸は避けられる予報に大きく変化。一汗かいたのが、どうも無駄になるようだ。まあ、それそれで良いことだが・・・。

さて、一昨日、ピーターソン=ブラウン=シグペンの、いわゆるピーターソンの「The Trio」の旗揚げ盤のご紹介したのだが、今日は、オスカー・ピーターソンの「変わり種」盤についてご紹介したい。

『Oscar Peterson and Roy Eldridge』(写真)。1974年12月8日の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Eldridge (tp), Oscar Peterson (p)。Pabloレーベルからのリリース。Pabloレーベルは、当時(1970年代)、レジェンド〜ベテラン級のリーダー作やジャム・セッション盤をリリースして、純ジャズ者の方々からは、結構、御用達だったレーベルである。たまに「凡盤」があるのはご愛嬌。

しかし、このデュオ盤、つい最近まで、その存在を知らなかった。Pabloレーベルのアルバムは、なかなかリイシューされない盤が結構ある。やっと、このところ、音楽のダウンロード・サイトが、ジャズ盤についても結構音源を集めていて、Pabloレーベルの音源も知らないうちにアップされつつあるみたいなのだ。
 
 
Oscar-peterson-and-roy-eldridge
 
 
デュオの片割れ、ロイ・エルドリッジは、スイング時代から活躍する、レジェンド級の大ベテラン。愛称「リトル・ジャズ」。ビバップの先駆者でもある。そんなレジェンド級のトランペッター、1970年に脳卒中で後遺症を負った。が、奇跡的に復帰を果たし、このデュオ盤ではしっかりとしたトランペットを聴かせている。

さて、もう一人のデュオの片割れ、オスカー・ピーターソンはピアノのヴァーチュオーゾ。ダイナミックかつスインギーな弾き回しは見事。そんなピーターソン、絶対にピアノしか弾かない、と思っていたら、この盤ではなんとハモンド・オルガンも弾いている。

オルガンもピアノも鍵盤楽器ではあるが、オルガンはオルガンなりの弾き方のノウハウがあって、ピアノが弾けるからといって、オルガンも同じ様に弾けるとは限らない。が、ピーターソンは、ピアノと同じレベルで、かなり優秀なオルガンを弾きこなしている。これにはビックリした。

ピアノ+オルガンとトランペットのデュオ、という組合せも珍しい。それでも、ピーターソンの奏でるリズム&ビートに乗って、エルトリッジが気持ちよさそうに、小粋なトランペットを吹き進めて行く。録音当時、エルトリッジは63歳、ピーターソンは49歳。レジェンド〜ベテラン級の優れた二人が気持ちよさそうに奏でるデュオ演奏。これはもはや、スイングでもハードバップでもない。ただただ「ジャズ」である。
 
 
 
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2020年9月21日 (月曜日)

「The Trio」の旗揚げ録音盤

やっとのことで涼しくなった。もう明日は秋分の日。暑さ寒さも彼岸まで、というが、今年はとにかく9月に入っても酷暑が続いて、連日の熱中症注意報や警報が出まくる状態。そういう時は、熱いジャズ、気合いの入ったジャズ、バリバリ弾いたり吹いたりするジャズはどうしても敬遠したくなる。耳当たりの良い、爽やかで聴き易いジャズばかりを選択したりする。

Oscar Peterson『A Jazz Portrait of Frank Sinatra』(写真)。1959年5月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。ピーターソン=ブラウン=シグペンの、いわゆるピーターソンの「The Trio」のメンバーであるが、この盤がこの3人のトリオ演奏の「旗揚げ」録音らしい。

ピーターソンのピアノが僕は大好き。ダイナミックでハイ・テクニックでスイング感抜群。いかなる難曲も弾きこなすであろう、高い技術力を武器に、とにかくバリバリに弾きまくる。「スイングの権化」と昔のジャズ評論家から揶揄されたくらいの「オーバー・スイング」な、正確無比でかつダンディズム溢れる弾き回し。欠点が見当たらない。よって、当時のジャズ者方々から「面白く無い」とも言われた(笑)。
 
 
A-jazz-portrait-of-frank-sinatra
 
 
ピアノ、ギター、ベースのトリオで活動を続けていたピーターソンが、ギターをドラムスに入れ替えたのである。ダイナミズムには拍車がかかり、スイング感もオーバー・スイング気味。それでもテクニックが超優秀なので、シナトラにまつわる名曲の数々を、ピーターソンは唄うが如く、ピアノを弾きまくる。そう、ピーターソンはピアノで唄っている。

バックのリズム隊も優秀。まず、ブラウンのベースがこれまた凄い。まあ、あのダイナミックでハイ・テクニックでスイング感抜群なピーターソンのピアノのベースラインをガッチリ受け止めるのだ。ヤワなベースでは破綻する。ブラウンくらいのハイ・テクニックな重低音ベースでないと受け切れないだろう。それは、ドラムのシグペンにも同じことが言える。

ピーターソン=ブラウン=シグペンの「The Trio」の、この3人のトリオ演奏の「旗揚げ」録音である。まだまだしっくりいかない所もあるし、打てば響く様なインタープレイはまだまだ発展途上。それでも、当時の他のピアノ・トリオの演奏と比べると、この駆け出しの時期にもかかわらず、この「The Trio」の演奏の方が、一歩抜きんでてるのだがら恐れ入る。意外と地味な位置づけの盤だが、内容的には一聴に値する。
 
 
 

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2020年9月20日 (日曜日)

バートンとブレイのデュオ盤です

面白いアルバムを再発掘した。ヴァイブのヴァーチュオーゾ、ゲイリー・バートン(写真右)のリーダー作を整理していたら、こんなデュオ盤が出てきた。ゲイリー・バートンとピアノ奏者とのデュオと言えば、相当に有名なのが、チック・コリアとのデュオ。コリア&バートンのデュオ盤には外れが無い。素晴らしい内容ばかりのデュオ盤の嵐なのだが、このデュオ盤の相手はチックでは無い。

Gary Burton『Right Time Right Place』(写真左)。1990年3月29日、Copenhagenの Denmarks Radio「Studio 3」での録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Paul Bley (p)。ヴァイブのヴァーチュオーゾ、ゲイリー・バートンとピアノの哲学者(と僕が勝手に付けた)ポール・ブレイとのデュオ盤である。

両名ともECMレーベルに在籍していたり、バートンは、比較的頻繁にカーラ・ブレイの作品を演奏しており、ポール・ブレイはカーラの夫という間柄でもある。この二人、以前にもデュオ盤を録音してそうなものだが、この盤が初めて。恐らく、ゲイリー・バートンとのデュオをやるピアニストとしては、チック・コリア、という強烈な先入観があったからでは、と思っている。
 
 
Right-time-right-place  
 
 
という背景もあって、この盤を聴いていると、どうしても「チック&バートン」とのデュオと比較してしまう。が、比較は意味が無いことが直ぐに判る。さすがはゲイリー・バートン、ポール・ブレイに対しては、ポール・ブレイのピアノの個性と音色に応じたヴァイブを繰り出している。チックの時とは全く異なるヴァイブの音色。デュオ演奏の醍醐味である。

面白いのはピアノ側(ブレイもチックも)は、その個性とスタイルをほとんど変えていない、ということ。バートンのヴァイブがデュオ相手のピアノの個性と音色に応じて、その個性と音色にあったヴァイブを奏でる、という展開。それでいて、バートンのヴァイブの個性と音色は全く損なわれておらず、しっかりとバートンのヴァイブの個性と音色が全面に押し出されているところが、これまた凄い。

穏やかで透明感のあるデュオ演奏が繰り広げられているが、その演奏のテンションは高く、相互のインタープレイは丁々発止として見事な反応。ライナーノーツには、欧州で偶然顔を合わせたので、せっかくだから急遽録音したそうだが、それで、この高度な内容、見事なパフォーマンス。いやはや、レジェンド級のジャズマンはやることが違う。次元が違う。
 
 
 

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2020年9月19日 (土曜日)

現代の, 最近のモード・ジャズ

昨日、ジョーヘンのモード・ジャズについて語った訳だが、現代の, 最近のモード・ジャズってどんな状況なのだろうか。というか、最近のネオ・ハードバップって、基本的にモード・ジャズがメインなのだ。その基本的なモードが、判り易い聴き手志向モードと難解だが良い意味で技術志向のモードと大きく二分されているのではないか、と感じている。

Gerald Clayton『Happening : Live at The Village Vanguard』(写真左)。2019年4月、NYのライブハウス「The Village Vanguard(略称「ビレバガ」)でのライブ録音。ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gerald Clayton (p), Logan Richardson (as,track1, 2, 4, 7), Walter Smith III (ts, track1, 2, 4, 5, 7), Joe Sanders (b), Marcus Gilmore (ds)。最近、人気急上昇のピアニスト、ジェラルド・クレイトンのブルーノート・デビュー作。

リーダーのピアニスト「ジェラルド・クレイトン」は、ベース奏者のジョン・クレイトンを父に持ち、アルト・サックス奏者のジェフ・クレイトンを叔父に持つ、ジャズ界のサラブレッド的存在。1984年5月11日、オランダのユトレヒトで生まれ、ロサンゼルスで育った。今年で36歳。ジャズ界では「中堅」の位置づけ。Billy ChildsとKenny Barronからピアノを学んでいる。
 
 
Happening-live-at-the-village-vanguard  
 
 
しかし、彼のピアノは、Billy ChildsとKenny Barronからピアノを学んだとは思えない、完璧なまでの「モード」。しかも、ハイ・テクニックと独特の感性を最大限に活かした「難解だが良い意味で技術志向のモード」である。聴き味は取っ付き難い。捻れたスイング感とでも評したら良いだろうか。アドリブのリズム&ビートが聴き慣れない独特なもの。とても新しい響きに感じる。

このクレイトンの「独特なモード」に追従する、フロント2管の二人も素晴らしい。クレイトンのモードをよく理解し、よく予測しつつ、クレイトン志向のモーダルなアドリブ・フレーズを繰り出している。リズム隊もその適応力は素晴らしい。フロント2管とリズム隊の適応力と応用力の素晴らしさは、このライブ音源を聴けば直ぐに判る。

確かに難解ではある。しかし、バンド全体の高度なテクニックで、難解で捻れたモーダルな演奏を理解しやすく、鑑賞に耐えるものに仕立て上げている。このテクニックたるや見事である。難解で捻れたモードではあるが、意外とその「難解で捻れた」ところが癖になって、また聴きたくなるから不思議。現代の, 最近のモード・ジャズの良好なサンプルがこのライブ盤にぎっしり詰まっている。
 
 
 

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2020年9月18日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・188

長年ジャズを聴いてきて、掴みどころの無い、ちょっと苦手なジャズマンが何人かいる。基本的にジャズマンに対しては「好き嫌い」は無い。この音はどうしても生理的に受け付けない、とか、とにかく嫌い、というところは無い。ただ、聴いてみて、取っ付き易いジャズマンと取っ付き難いジャズマンがいる。その取っ付き難いテナーマンの代表格が「Joe Henderson」。

Joe Henderson(ジョー・ヘンダーソン、以下「ジョーヘン」と呼ぶ)。1937年4月生まれ。残念ながら、2001年6月に鬼籍に入っている。彼のテナーは、ハードバップからR&B、ラテンやフリージャズ(アヴァンギャルド)まで、幅広いスタイルが特徴。この幅広いスタイルが曲者で、彼の代表的なスタイル以外の盤を先に聴いてしまうと、ちょっと面食らってしまうところがある。

ジョーヘンの代表的な演奏スタイルは一言で言うと「旋律を持った、節度あるシーツ・オブ・サウンド」、若しくは「新仮名使いで口語調な、判り易いコルトレーン」。ヘンダーソンのテナーのスタイルは、明らかにコルトレーンに影響を受けているが、フリージャズな演奏に傾いても、そのフレーズは旋律を宿し、そのフレーズは判り易く聴き易い。ジョーヘンって「こってこてモードな」テナーマンなのだ。
 
 
Lush-life-joe-henderson  
 
 
Joe Henderson『Lush Life : The Music of Billy Strayhorn』(写真左)。1991年9月、NYの Van Gelder Studio での録音。 Verveレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Wynton Marsalis (tp), Stephen Scott (p), Christian McBride (b), Gregory Hutchinson (ds)。ジョーヘンのテナーとウィントンのペット、フロント2管のクインテット構成。

ジョーヘン以外は、新伝承派、ネオ・ハードバップを担う「当時の若手ジャズマン」ばかり。一番年齢の高いウィントンだって1961年生まれなので、ジョーヘンと二回り違う。そんな中、ジョーヘンの「こってこてモードな」テナーだけが突出して響く。ジョーヘンが、彼の代表的な演奏スタイルで吹くと、意外と難解なモーダルなフレーズが判り易く聴こえる。これが「ジョーヘンのテナー」なのだ。

新伝承派、ネオ・ハードバップを担う「当時の若手ジャズマン」を向こうに回して、ジョーヘンは本気になって「新仮名使いで口語調なモード・ジャズ」を吹き上げる。ジャズは聴く立場に立った時、難解なものであってはならない。そういう面で、この盤のジョーヘンは、モード奏法を判り易く展開していて、とても聴いていて心地良い純ジャズを提供している。この「判り易い」面がジャズにとって大切な要素の1つでは無いか、と改めて再認識させられた。
 
 
 

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2020年9月17日 (木曜日)

メセニー者には避けて通れない

孤高のアメリカン・ルーツなギタリスト、パット・メセニーも今年で66歳。もはや大ベテラン、若しくはレジェンドの域に達している。そして、盟友のキーボード奏者、ライル・メイズが今年の2月に亡くなって、パット・メセニー・グループ(PMG)は開店休業状態。盟友を亡くしてさぞかし落胆しているだろうと思っていたら、6年振りのスタジオ録音盤が今年の2月にリリースされた。

Pat Metheny『From This Place』(写真)。ちなみにパーソネルは、コアとなるパットのグループとして、Pat Metheny (g, key), Gwilym Simcockv(p), Linda May Han Oh(b, voice), Antonio Sanchez (ds)。そこに、Meshell Ndegeocello (vo), Gregoire Maret (Harmonica), Luis Conte (perc) がゲストで加わり、ストリングスとして「The Hollywood Studio Symphony」が参加している。

今回のパットの新盤、ストリングスを大々的に取り入れていて、素直に聴いていると「ジャズ臭さ」が希薄で、リズム&ビートも決してジャジーでは無いし、ストリングスのアレンジも従来型で平凡。ストリングを活かしたイージーリスニングなフュージョン・ミュージックという雰囲気が濃厚になっている。ここまでストリングスを取り入れ、スインギーなビートを押さえた内容については、ジャズと呼んで良いものか、という疑問を持ってしまった。
 
 
From-this-place  
 
 
しかし、ギターの音色、フレーズについては、明らかにパット・メセニーで、ジャズか否かと思う前に、濃厚な「パット・メセニー節」に包み込まれる。フォーキーで、米国の自然の風景を彷彿とさせる「ネイチャー」な響きの音世界。スイング感やファンクネスを排除した、ニュー・ジャズなリズム&ビート。冒頭の「America Undefined」のギターを聴くだけで、この盤はパットのリーダー作だと判るのだから、その個性たるやユニークかつ濃厚。

それでも、演奏全体の雰囲気については、ジャズらしさは希薄である。従来のライル・メイズが存命の頃のパット・メセニー・グループ(PMG)の音世界とは打って変わって、今回の新盤の音世界は、壮大で叙事詩的な、イージーリスニングなフュージョン・ミュージックと僕は解釈した。ここまでジャズっぽさを排除して、パット・メセニーの音世界だけを全面に押し出した盤は今回が初めてだろう。

ジャズの醍醐味である「即興演奏やインタープレイの妙」もこの新盤の中ではほとんど聴かれず、しっかりと譜面に書かれたであろう、壮大なオーケストラ・ミュージックが展開される。音楽としてはしっかりと聴き応えがある。この盤はジャズか否かということを考えず、パット・メセニー独特の音世界をしっかりと楽しむ、パット・メセニー者の方々には避けて通れない新盤だろう。
 
 
 

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2020年9月16日 (水曜日)

内容良好な「With Strings」盤

ジャズ、特にビッグバンド系のジャズは「アレンジ」がとても大切な要素であると思っている。ソロイストの力量・技術も絶対要件だとは思うが、そのソロイストのアドリブを引き立てるのが、バンド全体のアンサンブルだろうから、その「アレンジ」はとても重要な要素となる、と僕は感じている。

『Supersax Plays Bird With Strings』(写真)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Supersaxとして、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopez, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Frank Rosolino (tb), Conte Candoli (tp), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Lou Levy (p)。ここに上質のストリングスが入る。

スーパーサックスとして、デビュー盤の『Supersax Plays Bird』、第2作目の『Salt Peanuts : Supersax Plays Bird Vol. 2』に続く3枚目のアルバムになる。スーパーサックスの「With Strings」なので、チャーリー・パーカーの大名盤『Charlie Parker With Strings』全曲のスーパーサックスの演奏に置き換えるのか、と思った。
 
 
Supersax-plays-bird-with-strings  
 
 
が、チャーリー・パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」からは「April in Paris」「I Didn't Know What Time It Was」「If I Should Lose You」の3曲。他はパーカーが残した名演の中から「With Strings」に向いた演奏をピックアップして、「With Strings」アレンジしている。「Kim」がアレンジされているのが、個人的には目を引く。

この盤もアレンジが良い。スーパーサックスとしてのアレンジも良好、ストリングス・アレンジも現代的で良い雰囲気。パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」は、パーカーの演奏は凄いのだが、ストリングスのアレンジが如何せん古すぎる。このストリングスのアレンジが古すぎて、パーカーの素晴らしいフレーズがちょっと色褪せるのだが、このスーパーサックスのストリングス・アレンジは良好で、パーカーのアドリブ・フレーズが心ゆくまで楽しめる。

出来たら、パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」の全曲をアレンジして再演して欲しかったなあ、と思わせてくれるほど、この「With Strings」盤は良く出来てます。「With Strings」盤って、イージーリスニング風であまり好きでは無いのだが、この盤は別格。やはりアレンジとソロ・パフォーマンスが優れていることが、純ジャズ盤として成立する絶対条件ですね。
 
 
 

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2020年9月15日 (火曜日)

ビル・フリゼールの音の個性

ビル・フリゼールのリーダー作を、初リーダー作から、リリース順に聴き直している。デビュー盤から、良い意味での「変態捻れギター」全開。どこか米国ルーツ・ミュージックの要素を踏襲したフレーズが出てきたり、いきなりアブストラクトにフリーに展開したり、とにかく「やりたい放題」の、良い意味での「変態ギター」である。

Bill Frisell『Lookout for Hope』(写真左)。1987年3月、NYの Power Stationの録音。ECMの1350番。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g,banjo), Hank Roberts (cello, voice), Kermit Driscoll (b), Joey Baron (ds)。ECMレーベルらしい、個性的なメンバーが集まっていて、明らかに、コンテンポラリーなニュー・ジャズ志向の音が聴こえてきそうだ。

冒頭のタイトル曲「Lookout for Hope」を聴くと、この盤の音の方向性が良く判る。妖しく激しいイメージのギター、ほの暗く哀愁感漂う、ちょっと浮遊感のあるフレーズ。1987年当時、実に新しいイメージの「ニュー・ジャズ」。自由度の高いモーダルな、そして、コンテンションな、それぞれの楽器のせめぎ合い。そこに一気に捻れて突き抜けるフリゼールのエレギ。硬派なストイックなニュー・ジャズ。
 
 
Lookout-for-hope  
 
 
2曲目の「Little Brother Bobby」は、どこかほのぼのとした、フォーキーな音世界。フリゼールのギターは捻れてはいるが、印象的で哀愁感漂う切れ味の良いフレーズには思わず耳を奪われてしまう。3曲目の「Hangdog」は、いきなりバンジョーの音色にビックリ。チェロも参加して、古き良き時代の米国のルーツ・ミュージックを聴く様な、そんなユニークな演奏。

ほの暗く捻れた米国ルーツ・ミュージックの要素を活かした「コンテンポラリーな純ジャズ」な展開かと思いきや、4曲目の「Remedios the Beauty」は、ほとんどフリー・ジャズ。無調のインタープレイが繰り広げられる。それぞれのアドリブ・フレーズを聴くと、マイナーではあるがフォーキーな旋律が見え隠れするところが「ミソ」。アルバム全体を覆うコンセプトは外してはいない。

フリゼールのアコギは、米国ルーツ・ミュージックの雰囲気を踏襲した耽美的でソリッドな響き。この盤でのフリゼールのギターは、お得意の「浮遊感」はあまり出てこない。耽美的でソリッドな音がメインなのだが、6曲目の「Melody for Jack」では、しっかりと浮遊感溢れるエレギを弾きまくっている。それでも、そのフレーズの中に見え隠れする「米国ルーツ・ミュージックの要素」。フリゼールの個性は、この「米国ルーツ・ミュージックの要素」を織り込んだ音世界であることが、この盤を聴くと良く判る。
 
 
 

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2020年9月14日 (月曜日)

二人の「捻れギタリスト」である

最近、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ビル・フリゼールが「トレンド入り」している。ビル・フリゼールとは、ジャズとしてノーマルなフレーズが出てこない、圧倒的に個性的な「捻れた」ギターが飛び出してくる、良い意味で「変態ギタリスト」と呼んで良い。1951年生まれだから、今年で69歳。どうしてこんなに「捻れた」のか判らないが、とにかく捻れて浮遊するギター。

Marc Johnson's Bass Desires『Bass Desires』(写真左)。1985年5月、NYのThe Power Stationでの録音。ECMの1299番。ちなみにパーソネルは、Marc Johnson (b), John Scofield (g), Bill Frisell (g, g-syn), Peter Erskine (ds)。ベースがリーダー、ギター2本、キーボードレスの変則ギター・トリオ編成である。

僕はこの盤で、ビル・フリゼールと出会った。2本のギターのうち、捻れまくってはいるが、オーソドックスにブルージな雰囲気を振り撒く方が「ジョンスコ(John Scofield)」なのは判った。が、もう1本のギター、浮遊感を全面に押し出しつつ、捻れまくるわ、飛びまくるわ、この変態ギターは誰だ、と思って、パーソネルを見たら「ビル・フリゼール」だった。
 
 
Bass-desires_20200914200801   
 
 
改めて、このマーク・ジョンソンのリーダー作を聴き直してみると、なかなか「エグい」内容に改めてビックリする。とにかく尖っている。尖りまくって、アブストラクト寸前、純ジャズの範疇に留まって、自由度の高い、思いっ切りモーダルな演奏を繰り広げている。とにかく、マーク・ジョンソン=ピーター・アースキンのリズム隊が凄まじい。硬派でアグレッシヴ、力感と柔軟性を併せ持つ、素晴らしいリズム&ビートを供給する。

そんなリズム&ビートをバックに、二人の捻れギタリストが乱舞する。特にフリゼールが、ギター・シンセサイザーまで担ぎ出しての大活躍。冒頭の「Samurai Hee-How」を聴くと、二人の捻れギタリストの個性がとても良く判る。同じ捻れギタリストでも、フリゼールは浮遊感溢れる捻れギターで好き放題に弾きまくり、ジョンスコは堅実に捻れたギターでサポートに回る。二人の捻れギターがアウトドライブせずに自由度の高いアドリブを弾きまくれるのは、ジョンスコの堅実なサポートがあってこそ、である。

とびきり浮遊感溢れる、自由度の高いモード・ジャズ。2曲目のコルトレーンの大名盤『至上の愛』からの「Resolution」でのパフォーマンスは、高テンションで凄まじいばかりのインプロビゼーションを展開していて、思わずスピーカーの前に釘付けになる。今の耳で聴いても「斬新」の一言。さすがはECMレーベル。凄い音源を残している。
  
  
   

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2020年9月13日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・187

先日、World Saxophone Quartet(WSQ)のアルバムをご紹介した。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本、サックス計4本のみの「四重奏」バンド。ジャズの世界では実にユニークな存在なんだが、他にも同じコンセプトのバンドがあったぞ、と思いを巡らせた。それも、遠い遠い昔、ジャズを聴き始め、初めて購入したジャズ盤紹介本にあって、強く興味を持ったバンドだった。

そうそう、そのバンドとは「Supersax(スーパーサックス)」。チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる驚異のグループである。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人という、ドライブ感抜群、迫力満点な分厚いサックス・アンサンブルで、パーカーのアドリブ・フレーズの魅力を余すところなく伝えてくれるのだ。

『Supersax Plays Bird』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopes, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Ronnell Bright (p), Charley Loper, Ernie Tack, Mike Barone (tb), Conti Candoli, Larry McGuire, Ralph Osborn, Ray Triscari (tp)。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人、ブラスは、トロンボーンが3 人、トランペットが3人という布陣。そこに、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控えている。
 
 
Supersax-plays-bird  
 
 
Capitolレコードからのリリースなので、米国西海岸ジャズの範疇でのバンド・サウンドになる。こういう企画バンドについては、絶対に「アレンジ」が鍵を握る。このSupersaxのデビュー盤については、それはそれは見事なアレンジで、パーカーのアドリブを、ドライブ感抜群、迫力満点なアンサンブルに仕立て上げている。

こうやって、ブラスの分厚い、疾走感溢れるアンサンブルに置き換えると、ビ・バップ時代のアドリブ・フレーズって、実に魅力的かつアーティスティックなものだったことが良く判る。この様なフレーズを「即興演奏」で吹き上げてしまうのだから、そのアドリブの主、チャーリー・パーカーもとてつもなく凄い。そんなビ・バップの凄さを、自分がジャズ者初心者駆け出しの頃、このSupersaxの演奏で理解した思い出がある。

硬派なジャズ者ベテランの方々の中には「パーカーを冒涜している」との意見もある様なのだが、この優れたアレンジ、一糸乱れぬアンサンブル、そして、そこからダイレクトに伝わるパーカーのアドリブの凄さを思うと、逆にパーカーを真剣に「トリビュート」し、尊敬の念を持って演奏しているように感じるのだ。とにかくこのブラス・アンサンブルは凄い。パーカーのアドリブを知らなくても良い。是非、一聴をお勧めする。
 
 
 
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2020年9月12日 (土曜日)

ハーグローヴの初リーダー作

朝から雨が降ったり止んだりで天気は悪いが、グッと涼しくなった。今日は最高気温が26度と一気に30度を下回った。そりゃ〜涼しいよな。これだけ涼しくなると、ジャズも色々な種類の、色々なジャズマンのアルバムを聴くことが出来る。あまりに暑いと、まずジッとして、スピーカーの前で聴き耳を立てるのもしんどいし、激しい展開の曲はどうしても敬遠したくなる。

Roy Hargrove『Diamond In the Rough』(写真左)。1989年12月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Roy Hargrove (tp), Ralph Moore (ts), Antonio Hart (as), Geoffrey Keezer, John Hicks (p), Al Foster, Ralph Peterson Jr. (ds), Charles Fambrough, Scott Colley (b)。新伝承派、ネオ・ハードバップでの「ファーストコール」トランペッターの一人、ロイ・ハーグローヴの初リーダー作である。

ネオ・ハードバップを代表するトランペッター、ロイ・ハーグローヴ。この初リーダー作を聴くと、それはそれは素晴らしいトランペットを吹いている。テクニックは申し分無く、歌心も満点。録音当時、弱冠20歳。このトランペットが二十歳そこそこの青年のプレイなのか。これって、歴史を振り返ってみて、クリフォード・ブラウンやリー・モーガン、ウィントン・マルサリスに匹敵する天才トランペッターである。
 
 
Diamond-in-the-rough
 
 
涼しくなると、こういう好盤としっかり向き合いたくなる。とにかく、ハーグローヴのトランペットが素晴らしい。収録曲についても、手垢の付いたような、どスタンダード曲の「Ruby My Dear」や「Whisper Not」も、しっかりと新しいアレンジで、新しいアドリブ・イメージを展開して、新鮮な雰囲気で聴かせてくれる。この力量たるや、とても20歳とは思えない。

バックをサポートするメンバーも好演につぐ好演。ベテランのサポートも借りつつ、新伝承派の若手メンバーが溌剌としたサポートを展開していて、とても清々しい。聴いていて気持ちの良い、聴き終えた後にスカッとする感じ。良い演奏だ。特に、ピアノのジェフ・キーザーが大活躍。モーダルなピアノでの効果的なバッキングもさることながら、作曲面でもなかなかの自作曲を3曲も提供している。

これだけの実力を持ったトランペッターであったにも関わらず、我が国での人気はイマイチだった記憶がある。しかし、である。ロイ・ハーグローヴのトランペットは凄い。ジャズ・トランペットの歴史上、屈指の存在で、再評価をするべきジャズマンの一人である、と僕は思う。そんなハーグローヴであるが、後年、腎不全に苦しみ、最後の14年間、透析を受けていたが、2018年11月2日、腎臓病によって引き起こされた心停止のために逝去した。まだ一昨年の出来事である。
 
 
 

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2020年9月11日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・134

定期的に音源ライブラリの整理をしているのだが、さすがにCDにして数千枚のアルバム音源をひとつひとつ見直していると、「こんなアルバム持ってたんや」とか「このアルバム、暫く聴いてないなあ」とか「このアルバムについては、ブログで紹介してないなあ」というアルバムが必ず出てくる。この盤のそんなアルバムのひとつ 。

World Saxophone Quartet『Plays Duke Ellington』(写真左)。1986年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Hamiet Bluiett (bs), Julius Hemphill (as), Oliver Lake (as), David Murray (ts)。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本、サックス計4本のみの「四重奏」バンド。ジャズの世界では実にユニークな存在。

World Saxophone Quartetは1977年に結成された。1989年、アルトのJulius Hemphillが病でバンドを離れ、その間、数人の助っ人がHemphillの穴を埋めて復帰を待ったが、1995年4月に他界。その後はゲストを迎えて、基本的にはホーン・カルテットでの活動を継続。が、バリサク担当のHamiet Bluiettが、2018年10月に亡くなり、その活動は停止状態になっている。
 
 
Wsq_plays_duke  
 
 
とにかくユニークな演奏である。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本の特性を活かしたアレンジが抜群である。もちろん、それぞれのサックス奏者の力量も優れていることが前提である。この盤はタイトルから判る様に、デューク・エリントンの楽曲集なのだが、どの曲も本当に見事にアレンジされている。

躍動感溢れ、ベースラインも明確、リズム&ビートもしっかりと供給され、そんなサックスのリズム隊をバックに、それぞれのサックスが魅力的なアドリブ・フレーズを吹き上げる。アレンジが優秀なのと、サックス奏者それぞれの演奏テクニックが卓越しているので、ダレたところが全く無い。全編、飽きずにじっくりと4本のサックスのアンサンブルを楽しむ事が出来る。

World Saxophone Quartetとしては、20枚超のアルバムをリリースしているが、この『Plays Duke Ellington』は入門盤として最適な内容。まず、この盤で、サックス4本のみの「四重奏」をじっくりと楽しんだ後、他の盤へと進むことをお勧めする。とにかく、アレンジが優秀、演奏テクニックも優秀。聴けば聴くほどに、新しいアレンジの妙に気付く。繰り返しの鑑賞に耐える「隠れ好盤」である。
 
 
 




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2020年9月10日 (木曜日)

『スヌーピー』の音楽の作曲者

米国西海岸ジャズ(ウエストコースト・ジャズとも言う)は、ほど良くアレンジされた、聴かせるジャズが多くある。東海岸ジャズの様に、飛び散る汗と煙の中の丁々発止のインタープレイがお好みのジャズ者の方々からすると、西海岸ジャズは、かったるしくて地味なジャズに聴こえるみたいだが、西海岸ジャズには西海岸ジャズの良さがある。頭から否定する様なものでは無いと昔から思っている。

『Vince Guaraldi Trio』(写真左)。1956年4月、San Franciscoでの録音。 Fantasy Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Vince Guaraldi (p), Eddie Duran (g), Dean Reilly (b)。オールド・スタイルなピアノ・トリオ編成(1950年代半ば辺りまで、ピアノ・トリオと言えば、このピアノ+ギター+ベースの編成がポピュラーだったのだ)。

ドラムが無い分、洒脱に聴こえる、米国西海岸ジャズ独特の「ほど良くアレンジされた、聴かせるジャズ」である。収録された全10曲中、ヴィンスのオリジナル曲は2曲目の「Fenwyck's Farfel」のみ。残りの9曲はスタンダード曲。スタンダード曲を、ドラムレスの「ピアノ+ギター+ベース」でしっかりと聴かせてくれる。曲毎のアレンジがとても小粋で洒落ているので、飽きずに最後まで楽しめるのだ。
 
 
Vince-guaraldi-trio  
 
 
Vince Guaraldi(ビンス・ガラルディ)って、どこかで聞いたことがある名前なんだがなあ、と思って調べたら、『スヌーピー』の音楽の作曲者。チャーリー・ブラウンとピーナッツの仲間たちの、可愛く楽しいサウンド・トラックを数々手掛けてきたジャズ・ピアニスト。確かに、この初リーダー作でのヴィンスのピアノは暖かく柔らかいタッチで、そのユニークな将来の片鱗を聴かせてくれる。

アルバム全体のアレンジの志向は、決して、ヴィンスのピアノを目立たせようとするものでは無い。トリオのアンサンブルを心地良く印象良く聴かせようとする、ちょっと温和しめで、ちょっと地味なアレンジ。しかし、そんなジェントルなアレンジをヴィンスのクリアなピアノが、様々なフレーズをクッキリ浮き立たせている。暖かく柔らかいタッチだが、その一音一音に「芯」がある。意外と隅に置けないピアノである。

この初リーダー作を聴くたびに、もっと、純ジャズのフィールドで活躍して欲しかった、と思うのだ。1960年代に入って『スヌーピー』の音楽の作曲を手掛けたり、様々な音楽活動で活躍したが、ファンタジー・レコードに対する訴訟など、1960年代はあまり恵まれた環境では無かった。1970年代は『スヌーピー』の音楽の作曲での成功があったから良かったものの、音楽活動そのものは芳しいものでは無かった様だ。そして、1976年2月、カリフォルニア州メンローパークにて、47歳にて逝去している。
 
 
 

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2020年9月 9日 (水曜日)

時代を越えたクロスオーバー好盤

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズについては、純ジャズ系のみならず、意外と硬派なジャズ者の方々からは疎まれている「フュージョン・ジャズ」についても、分け隔てせず扱っている。

フュージョン(Fusion, Jazz Fusion)とは、ジャズを基調にロックやファンク、R&B、電子音楽、ワールドミュージックなどを融合(フューズ)させた音楽のジャンル(Wikipediaより)。

僕がフュージョン・ジャズに出会ったのは、高校1年生の頃。当時はまだ「クロスオーバー・ジャズ」というジャンル言葉で呼ばれていた。NHKーFMが、結構、クロスオーバー・ジャズのアルバムをオンエアしてくれていて、よくエアチェックさせて貰っていた。本当に当時はFMのエアチェックが主流。なんせFM番組専門の雑誌があった位。ちなみに僕は「FMレコパル」派だった。

デオダート、ボブ・ジェームスなど、CTIレーベルの人気盤が流行していた。デオダートもボブ・ジェームスも、当時、クラシックの、名曲をクロスオーバー・ジャズ風にアレンジして、ガンガンにやってたんで、これが痛く響いて、当時、ロック小僧だったにも関わらず、デオダート、ボブ・ジェームスは、小まめにエアチェックして聴いていたなあ。
 
 
Deodato-2
 
 
Dodato『Deodato 2』(写真)。1973年4月の録音。CTIレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Eumir Deodato (key, p),John Tropea (g), John Giulino, Stanley Clarke (b), Alvin Brehm, Russell Savakus (arco-b), Billy Cobham, Rick Marotta (ds), Gilmore Degap, Rubens Bassini (congas, perc)。

プログレ曲のカヴァーが1曲、クラシックのクロスオーバー・アレンジが2曲、デオダートのオリジナルが2曲。やはり、クラシックのクロスオーバー・アレンジが秀逸。ラヴェルの「Pavane pour une infante défunte(亡き王女のためのパヴァーヌ)」は原曲を尊重したアレンジがお洒落。ガーシュインの「Rhapsody in Blue」は、エレ・ジャズファンクっぽいアレンジで、これがなかなか聴いていて楽しく小粋。

デオダートのオリジナル曲もなかなか気合いが入っていて、「Skyscrapers」では、スタンリー・クラークのベースがエグい。トロペイのエレギは、デオダートの初期には欠かせない音で、全編に渡って、当時っぽいファズの効いた、ちょっとレトロな響きとチョーキングしながらオクターブのユニゾンで刻むリズムは堪らない。

クロスオーバー・ジャズが、まだフュージョン・ジャズに移行する前の、まだまだ泥臭さがある、いわゆる「ソフト&メロウ」に洗練される前の荒削りの音ではあるが、切れ味と勢いは抜群。そこがこの盤の一番の聴きどころ。時代を越えた好盤である。
 
 
 

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2020年9月 8日 (火曜日)

ゲイリー・ピーコックが逝去

ゲイリー・ピーコックが亡くなった。2020年9月4日逝去。享年85歳であった。一昨日、訃報が流れたのだが、「デマ」ということで一旦落着。ホッとしたのもつかの間、今日になって、正式に逝去の方が流れて、今回はさすがに「デマ」では無かった。WIkipediaの「Gary Peacock」の項でも、命日が刻まれた。ああ、今回は本当なんだなあ、と妙に納得した。
 
Gary Peacock『Tales of Another』(写真左)。1977年2月2日、NYの Generation Sound Studios での録音。ECMの1101番。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。この3人の名前を並べてみれば、あれれキースの「スタンダーズ」である。スタンダーズのファースト盤は1983年のリリースなので、それより5年も前に「スタンダーズ」の原型がこの盤にある。

収録された6曲、全て、ゲイリー・ピーコックのオリジナル曲。演奏は、硬派でシビアでモーダルなピアノ・トリオ。フリー直前で「限りなく自由度の高い」モード・ジャズに留まる。リーダーのピーコックのベースが先導するが、3者の力加減は均等。限りなく自由度の高いモーダルな演奏の下で、丁々発止と変幻自在な、鬼気迫るインタープレイが繰り広げられる。
 
 
Tales-of-another  
 
 
ピーコックのベースは重厚かつ流麗。ピアノ・トリオの演奏に心地良い重量感を与えている。決して五月蠅くない、前に前に出ない、それでいて、ピアノ・トリオのインタープレイの中で、展開の方向性を先導し、ピアノのアドリブを支え鼓舞し、ドラムとリズム&ビートの自由度の高いコラボレーションを展開する。ピアノ・トリオの中で、理想的なベースの音のひとつが、この盤に詰まっている。

ECMレーベルらしからぬ、ストレートアヘッドなピアノ・トリオ演奏である。特に3者が渾然となった、ほとんどフリー一歩手前、完璧モーダルなパフォーマンスが凄い。高いテンションの中、「鬼気迫る」とはこの雰囲気を言う。3者共にそれぞれお互いの音をしっかり聴き、そして、それぞれの音に対してしっかりと応える。理想的なインタープレイの実例がこの盤に詰まっている。
 
実は、この盤、僕がジャズを聴き始めた1978年、ジャズ者一年生の頃に、パーソネルに引かれて入手した。難しかった。それでも、この盤のお陰で「モーダルな演奏」を体感し、現代ジャズの先端を行くジャズ・ベースを体感した。特に、ピーコックの重厚かつ流麗なベースは耳に残った。それ以来、ピーコックは僕のお気に入りベーシストであり続けたのだ。そして、一昨日、ピーコックは鬼籍に入った。残念ではあるが、ご冥福をお祈りしたい。合掌。
 
 
 

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2020年9月 7日 (月曜日)

ジャズテットのラスト・アルバム

ジャズ盤って、昔からジャケット・デザインについて趣味が良い。たまには例外もあるが、概ねジャケット・デザインが良い。レーベル毎にデザイン・コンセプトがあって、ジャケットを見るだけで「これはブルーノート」とか「これはECM」とか「これはベツレヘム」とか、判ってしまうくらい。

Art Farmer & Benny Golson Jazztet『Another Git Together』(写真左)。1962年5, 6月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp, flh), Benny Golson (ts), Grachan Moncur III (tb), Harold Mabern (p), Herbie Lewis (b), Roy McCurdy (ds)。トランペットのアート・ファーマー、テナーのベニー・ゴルソンが双頭リーダーの「ザ・ジャズテット」のアルバムである。

まず、良いジャケットである。双頭リーダーのファーマーのフリューゲルホーン、ゴルソンのテナー・サックスであろう、2管のアップ写真をあしらったジャケット。大きなメモに書かれたタイトルと演奏するバンド名。それも斜めに、楽器に差し込まれている。ジャケットから、趣味の良い、熱気溢れるハードバップなジャズが聴こえてきそうだ。
 
 
Another-git-together-jazztet  
 
 
ゴルソンのアレンジが良い。手慣れた感が少し漂うが、金太郎飴の如き「ゴルソン・ハーモニー」は無敵。特に、このジャズテットでは、テナー、トランペット、そして、トロンボーンの3管フロントなので、ゴルソン・ハーモニーが豊かに分厚く響き渡る。もともとエッジが柔らかくジェントルなハーモニーなので、3管の迫力がピッタリと填まる。

シャンソンの名曲「ドミノ」のリリカルで思索的なソロ・パフォーマンスが素晴らしい。ハードバップという演奏フォーマット中で成熟した演奏を聴かせてくれる。 Art Blakey and the Jazz Messengers『Moanin'』での名曲「Along Came Betty」の再演も良い。これ以上に発展しようのないほどに成熟したハードバップなジャズ。

実はこの盤、当時、人気グルーブであった「ザ・ジャズテット」が、解散の直前に吹き込んだラスト・アルバムである。成熟し切ったハードバップな演奏、手慣れた感のある「ゴルソン・ハーモニー」。この盤でジャズテットが解散したのも、何となく頷ける。それほどまでに良く出来た、双六でいう「上がり」の様なハードバップ盤である。
 
 
 

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2020年9月 6日 (日曜日)

フリゼールのリーダー作の第2弾

ECMはとにかくユニークなレーベル。ECMはジャズのレーベルでもあり、現代音楽のレーベルでもある。ちなみに、ECMは「Edition of Contemporary Music」の略。

まず、コテコテの4ビートのハードバップなジャズは存在しない。1960年代後半から台頭してきた、ニュー・ジャズ、コンテンポラリー・ジャズ、フリー・ジャズなどがほとんど。フュージョン全盛時代にも、フュージョンには目もくれない。創立者はマンフレート・アイヒャーの美意識が中心の、マンフレート・アイヒャーの感性でのみ、アルバムを制作する。これって、凄いことじゃないかと思う。

今でも、コテコテ4ビートのハードバップなノリや、熱いサックスやトランペットの咆哮に魅了されるジャズ者ベテランの方々から煙たがられる、生粋のニュー・ジャズなレーベルである。そんなユニークなレーベルだからこそ、存在するユニークなジャズ・ミュージシャンが多々いる。このBill Frisell(ビル・フリーゼル)もそんなユニークなジャズ・ミュージシャンの一人。

1951年、アメリカのメリーランド州生まれ。テューバとストリング・ベース奏者の父をもち、クラリネット→サックスを経由して、最終的にギター奏者となった。が、他にバンジョーやウクレレ、ベースなども手掛けるマルチ・プレイヤーでもある。もう既にこの辺りから「変だ」(笑)。

Bill Frisell『Rambler』(写真左)。1984年8月、NYの Power Station での録音。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g, gu-synth), Kenny Wheeler (tp, cor, flh), Bob Stewart (tuba), Jerome Harris (el-b), Paul Motian (ds)。そんなビル・フリゼールのリーダー作の第2弾。前作は、ソロ&デュオ演奏というシンプルなものだったが、本作は、チューバが入った変則クインテット。ECM系のミュージシャンでしっかり固めている。

ギター・シンセサイザーを駆使して、ヴィブラートとレガートが「てんこ盛り」の長く響く、ロング・トーンが特徴。それをシンセで「捻る捻る」(笑)。ウネウネ、クネクネ、キュイーンなエレクトリック・ギターでその響きは唯一無二。そのロングトーンなシンセ・ギターの音を、ECMレーベル独特のエコーが増幅する。心地良く美しいこと、この上無し。
 
 
Rambler
 
 
そして、彼の音作りは、普通のジャズでは無い。この1985年リリースのリーダー第2作目は、まるで「ブラスバンド」の響き。まるで「ディキシーランド・ジャズ」の様な音作り。参加した楽器が、一斉にドバーッと我先にとアドリブ・ソロを繰り広げる。混沌とした中に、一本筋の通った、不思議なジャズの調べ。

リズムは決して4ビートでは無い。無調和なフリーなリズムに乗って、チューバをはじめ、金管楽器が実にフリーな演奏を繰り広げる。フリーではあるが、演奏全体には不思議と秩序があり、その秩序をコントロールしているのが、ビル・フリーゼルのシンセ・ギター。アバンギャルドな演奏ではあるが、なぜか、懐かしさを感じる、米国のルーツ・ミュージックの響きを感じる、実にユニークな音作りとなっている。

面白いのは、楽器の中で一番目立っているのは、Kenny Wheelerのトランペット。実にトランペットらしい、円やかな響きが、ビル・フリーゼルのシンセ・ギターの音と相性バッチリ。Bob Stewartのチューバの音が実に良いアクセントになっている。無調和なフリーなリズムを機微良く叩き出すPaul Motianのドラムにも感心する。Jerome Harrisのベースも、このアバンギャルドな、懐かしさを感じる、郷愁を誘う古いジャズの底をしっかりと支える。

決して、4ビート、8ビートを基調とした、スタンダードなジャズでは無い。最初は「なんだこれ」と思って投げ出してしまいそうになるんだが、何回か繰り返して聴く毎に、このフリーゼルの不思議な音世界に引き込まれていく。そして、いつの間にか「病みつき」になっている。そんな不思議な魅力に溢れた「変なジャズ」である。

ジャケット・デザインにも、ECMレーベルの美意識が溢れている。良いアルバムです。今でも、その内容は古びれること無い、永遠のコンテンポラリー・ジャズな一枚である。
 
 
 

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2020年9月 5日 (土曜日)

トリヴァーの新盤にビックリ。

ジャズ盤の新作を眺めていて「あらビックリ」。チャールズ・トリヴァー(Charles Tolliver)が新作を出しているではないか。チャールズ・トリヴァーと言えば、スタンリー・カウエルと「Music Inc.」というグループを作り、それと同時にストラタ・イーストというレーベルを立ち上げる等、特に1970年代、積極的な活動を繰り広げました。

彼の吹き鳴らす、繊細さや洒落っ気なんて表現には全く無縁な、それはそれはパワフルなトランペットは、ジャズ喫茶などでちょくちょく聴かせてもらったのを覚えています。力感と疾走感を兼ね備えたトランペッターだったと記憶しています。そうそう、Music Inc.は、ツアーで日本にも来ましたね。1970年代は、トリヴァーは日本のジャズ者の方々の中で、結構、人気があったか、と記憶しています。

Charles Tolliver『Connect』(写真左)。2019年11月、ロンドンの「RAKスタジオ」にての録音。今年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、Charles Tolliver (tp), Jesse Davis (as), Binker Golding (ts), Keith Brown (p), Buster Williams (b), Lenny White (ds)。リズム・セクションのベースにバスター・ウィリアムス、ドラムにレニー・ホワイトが担当。うむむ、これは好盤の予感。
 
 
Connect-charles-tolliver
 
 
チャールズ・トリヴァー・オールスターズ、13年振りのスタジオ録音盤、とのこと。トリヴァーの、パワフルで力感と疾走感を兼ね備えたトランペットは相変わらず。1970年代に活躍した折の、明快でモーダルな演奏や、「キリッ」と切れ味の良いアドリブ・フレーズは、1970年代の演奏に比べて、ほど良い「こく」が滲み出ている感じ。

トリヴァーのトランペットなど、フロント楽器をバックで支えるリズム・セクションがやはり良い。さすがに、モーダルな演奏については、ウィリアムスのベースもホワイトのドラムも超一流。淀みの無い、流れる様な、素敵にモーダルなバッキングを披露している。フロントのモーダルなパフォーマンスとぶつかることが全く無い。現代のネオ・ハードバップの演奏と比べて全く遜色が無い。

フロント楽器のパートナーである、ジェシー・デイヴィスのアルト・サックス、ンカー・ゴールディングのテナー・サックスも見事なパフォーマンス。アルバム全体の収録時間は40分とちょっと短いが、内容が充実しているので全く気にならない、というか、もうちょっと聴きたい感じが残る。何はともあれ、1970年代の人気トランペッター、今年で78歳になる大ベテラン、トリヴァーの快作である。
 
 
 

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2020年9月 4日 (金曜日)

フリゼールの初リーダー作である

つい先日、4日前だったか、今週の月曜日、ビル・フリゼール(Bill Frisell)の新盤をご紹介した。で、そう言えば、ビル・フリゼールのリーダー作って、ちゃんとまとめて聴いた事があったっけ、と思い立った。気になったり、目に付いたりしたリーダー作は聴いてはいるが、初リーダー作から、体系立って聴いていないことに気がついた。

Bill Frisell『In Line』(写真)。1982年8月、ノルウェーはオスロ、Talent Studioでの録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g), Arild Andersen (b)。録音当時31歳、まだまだ若手ジャズ・ギタリストだった、ビル・フリゼールの初リーダー作。演奏内容としては、フリゼールのソロか、ベースとのデュオ。

フリゼールについて、初リーダー作から、体系立って聴くことにした。この盤はフリゼールの記念すべき初リーダー作。初リーダー作から「ソロ&デュオ」で攻めるとは、やっぱりどこか変わっている。というか、この盤を聴けば判るのだが、このフリゼールのギターについては、サスティンを効かせた、静かでしっとりした「揺らぎ+捻れ」のギターである。
 
 
In-line
 
 
加えて、ギターは一本ではない、複数のギターが幾層にも重なった多重録音のユニゾン&ハーモニー。このギター、どう聴いたって、従来のジャズ・ギターではない。そして、演奏の基本は「無調の即興演奏」。即興演奏という切り口でジャズと言えばジャズ。さすがECMレーベル。現代音楽風のニュー・ジャズとして、しっかりとECMレーベルの音としてまとめている。

素朴でシンプルなメロディーは、どこか米国のルーツ・ミュージックの雰囲気が漂う。カントリー風、そして、どこか米国の自然を感じさせてくれるネイチャーな響き。サスティンを効かせたエレギの音はどこか「パット・メセニー」を感じさせるが、パットはリズム&ビートをしっかりと踏まえるが、フリゼールは基本は「無調」。

しかし、フリーに染まることはない。時にフリーなフレーズも見え隠れするが、無調のメロディアスなフレーズがフリゼールの個性。穏やかで幽玄な音世界だが、フリゼールのギターの音には「芯」がしっかりあって、無調のフレーズがしっかりと浮かび上がる。淡々と滑らかなフレーズの塊の様なアルバムだが、フリゼールのギターの個性はしっかりと留めている。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

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2020年9月 3日 (木曜日)

面白い演奏展開のジャズの新盤

ジャズの新盤については、定期的にウォッチしている。ネットの時代になって、かつ、音源のダウンロードサイトが充実してきて、ジャズの新盤について、グローバル・レベルで追いかけることが出来る様になった。ネット時代以前は、せいぜいジャズ雑誌からの情報しか無かった訳だから、ネット時代様々である。

Walter Smith III, Matthew Stevens, Micah Thomas, Linda May Han Oh, Nate Smith『In Common 2』(写真左)。2019年5月の録音。今年5月のリリース。ジャケットには、カルテットに参加したミュージシャンが全員が平等な立場で名前が並んでいるが、テナーのウォルター・スミスIII、ギターのマシュー・スティーヴンスが双頭リーダーのアルバムだろう。ちなみにパーソネルを整理すると、Walter Smith III (ts), Matthew Stevens (g), Micah Thomas (p), Linda May Han Oh (ac-b), Nate Smith (ds)。

前作『In Common』がなかなかの出来だったので、今回の『In Common 2』にも触手が伸びた訳だが、今回は前作から、双頭リーダーの、テナーのウォルター・スミスIII、ギターのマシュー・スティーヴンス以外のメンバーが代わっている。新しいメンバーとしては、ベースはリンダ・オーに、ドラムはネイト・スミスに、また前作はヴァイブだった楽器がピアノに替わって、ミカ・トーマスが担当している。
 
 
In-common2
 
 
一言で言うと「面白い演奏展開のジャズ」。楽器が丁々発止と渡り合うインタープレイはない、アドリヴの応酬も無い。演奏の基本はジャム・セッション風では無く、計算され、事前に決め事を了解した、しっかりと構成されたジャズである。インタープレイやアドリヴの結果、偶発的に発生した展開は全く無い、と思われる。

フロントのテナーとギターが、モードなフレーズを紡ぎながら、チェイス風に流れていく。非4ビートがメインの展開の中、流れるフレーズが印象的で聴かせる。バックのリズム・セクションは、そのチェイスなフレーズを誘う様に、躍動感溢れるリズム&ハーモニー&ビートを供給している。ピアノとベースの自由度の高いモーダルなバッキングもなかなか良い。そして、彩り豊かな手数の多いドラミングが、演奏全体に疾走感を付加している。

アルバム全体で39分という、今のアルバムとしては短い方だが、曲毎の長時間のインタープレイやアドリブの応酬が無く、非4ビートのチェイス風フレーズのアンサンブルがメインなので、曲毎に演奏時間が短くて正解。これが長いときっと冗長に感じるだろう。そういう点でも「よく計算された」ジャズだと思う。
 
 
 

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2020年9月 2日 (水曜日)

GoGo Penguinの2年ぶり新盤

21世紀に入っても、ジャズの多様化、深化は進んでいる。ボーダーレスにジャンルを超えたリズム&ビートを採用したジャズや、クールで静的、耽美的な、今までに無いスピリチュアルなジャズや、インタープレイを排除し、流麗なアンサンブルとアドリブを採用したインスト・ジャズなど、新しいビートや展開を採用した、新しいイメージのジャズが出現している。

GoGo Penguin(ゴーゴー・ペンギン)。 2009年、英国のマンチェスターで結成された新世代ピアノ・トリオ。「踊れるジャズ」をアコースティック楽器でプレイするバンド・スタイルは「アコースティック・エレクトロニカ・トリオ」と評価されている。「新しいジャズのアンサンブル」を標榜しつつ、アコースティック楽器でのエレクトロニック・ミュージックを再現する、という実に面白いアプローチを採用している。

『GoGo Penguin』(写真左)。今年5月のリリース。ゴーゴー・ペンギンの新作。ちなみにパーソネルは、Chris Illingworth (p), Nick Blacka (b), Rob Turner (ds)。基本はピアノ・トリオである。ブルーノート3作目にして2年ぶり。セルフ・タイトルド・アルバムは自信の現れ、とのこと。現代の最新エレクトロニクスを使用した、アコースティック楽器での演奏スタイルは、より磨きのかかった印象。
 
 
Gogo-penguin  
 
 
「踊れるジャズ」として、従来のピアノ・トリオの特徴であった「三者三様の自由度のあるインタープレイ」は排除。クラシック的な印象的なピアノにアグレッシブなベースとドラム。演奏の中に感じ取れる「音的要素」は、クラシック、エレクトロニカ、ロック、ジャズと幅広。マイルスの開拓した「エレ・ジャズ」に、エレクトロニカを融合し、ファンクネスを引いた様な音。疾走感、爽快感は抜群。聴いていて「スカッ」とする。

シンセのようなディストーションのかかったニックのベースと、ロブが人力で叩くハウス・ビート、このリズム隊が、ゴーゴー・ペンギンの「肝」。このリズム隊の叩き出すリズム&ビートが曲者で、躍動感溢れ、実にダンサフル。従来のジャズ・ピアノ・トリオの枠に囚われず、従来のピアノ・トリオを感じさせない音作りは、実にユニーク。そして、違和感が全く無い。

現代の「ダンス・ミュージック」。新しいイメージの「ピアノ・トリオ」。演奏テクニックが確かなこともあって、鑑賞音楽としても十分に通用する。ヒーリング・ミュージックな要素も見え隠れし、ゴーゴー・ペンギンらしい、統制されたインタープレイが耳新しく響く。そして、空間のリヴァーブの処理の仕方が新しい。この「現在の新しいリヴァーブ感」も、ゴーゴー・ペンギン独特の個性だろう。実に癖になる音作りである。
 
 
 

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2020年9月 1日 (火曜日)

魅力的な新主流派カウエルです

ブルーノート・レーベルやECMレーベルなど、ジャズの老舗レーベルのカタログの中には、そのレーベル「ならでは」のミュージシャンが、アルバムが存在する。特に、ECMレーベルには、その「ならでは」のミュージシャンの存在がユニーク。どう考えたって、他のレーベルでは絶対に制作しないであろうアルバムを何気なく制作する。ECMレーベルには、独特の「音のポリシー」が存在する。

Stanley Cowell『Illusion Suite』(写真左)。1972年11月、NYのSound Ideas Studioでの録音。ECM 1026番。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p, rodes), Stanley Clarke (b), Jimmy Hopps (ds)。ピアノ・トリオの編成。ECMレーベルでは意外と珍しい「NY録音」。演奏するトリオの3人が皆、米国出身でNYを中心に活動していたからか、と思われる。

スタンリー・カウエル自身、3枚目のリーダー作になる。邦題は「幻想組曲」。基本的にカウエルのピアノは「新主流派」に分類される。が、そのピアノはこってこての「モード奏法」では無く、モードもあれば、スピリチュアルもあり、フリーもあれば、現代音楽の様なニュー・ジャズな要素もあり、意外と多様性が個性の「新主流派」である。
 
 
Illusion-suite  
 
 
カウエルのピアノと電子ピアノ(多分、フェンダー・ローズと思われる)は、理知的で流麗で端正、かつ躍動感溢れるもの。クリアで知的なフレーズが印象的で、米国風では無い、どこか理屈で積み上げた様な欧州風なモード演奏が面白い。恐らく、ECMの総帥、アイヒヤーはその「欧州風」な音に着目したのではないか。カウエルのピアノは明らかにECM向きなのだ。

そして、チック・コリアの盟友ベーシスト、スタンリー・クラーク(略称スタン)のベースも聴きもの。ここではアコベを使っているが、このアコベのプレイが凄い。骨太でソリッドで切れ味の良い、ド迫力の重低音でブンブン唸るが、しっかりとメロディアスなベース音。しかも、テクニックは最高。スタンがこんな凄いアコベを弾くなんて。第一期RTFのスタン再来。いやほんと、凄いアコベである。

1980年代以降は教育者としての活動がメイン、リーダー作はほぼスティープルチェイス・レーベルからのリリースに留まったが、1970年代のカウエルのピアノは実に個性的。フュージョン・ジャズ全盛時に、知的なモード・ジャズ。実にクールなピアノで、ちょっとマニアックな存在ではあったが、一度聴けば「その虜になる」。そんな魅力的な新主流派カウエルである。
 
 
 

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  ・『Your World and My World』 1981

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  ・『Music From Big Pink』

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  ・太田裕美『Feelin’ Summer』



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