ジャズ喫茶で流したい・181
グローバルな視点で見ると、ジャズでは、毎月、新しい若手がメジャー・デビューしているみたいで、まだまだジャズを志すミュージシャンがいるんやなあ、と嬉しくなったりする。そんな中で、ジャズを聴き始めた頃にデビューした「当時の若手ジャズ・ミュージシャン」が、今ではバリバリのベテラン・ミュージシャンの類になっている訳だが、突如、リーダー作をリリースするのに出くわすと、これまた、とても嬉しくなったりするのだ。
Diane Schuur『Running on Faith』(写真左)。今年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Diane Schuur (vo, p), Ernie Watts (ts, ss), Kye Palmer (tp, flh), Thom Rotella (g), Bruce Lett (b), Kendall Kay (ds)。現代メインストリーム・ジャズの名手達がバックをしっかり担って、ダイアン・シューアのボーカル&ピアノをガッチリとサポートした好盤である。
小粋なピアノ、ハッピーな人柄で魅了するダイアン・シューア。1953年12月、米国ワシントン州オーバーン生まれ。生まれて間もなく失明。9歳の時から歌を、16歳で作詩作曲を始める。1982年『Pilot of My Destiny』でデビュー。僕は1987年リリースの『Diane Schuur & the Count Basie Orchestra』で彼女のボーカルを知った。
正統な唄いっぷりでありながら、どこかポップで今様。様々な有名ジャズマンと共演し、様々なポップ曲をカヴァーしている。適応力がずば抜けて高いのだろう。どの共演もどのカヴァーもその出来は良い。あまり着目されないが、彼女の小粋なピアノも聴きもの。正統なジャズ・ピアノで小粋に弾き回すのだから、聴いていてとても楽しい。そんな自前のピアノに乗って自らが唄うのだ。良いに決まってる。
この盤では、そんな彼女の特質の全てがギッシリと詰まっている。Percy Mayfieldの「Walking on a Tightrope」と「The Danger Zone」では彼女のアレンジ能力の高さを垣間見る。お得意のポップス曲のカヴァーについては、Paul Simonの「Something So Right」と ビートルズの「Let it Be」をチョイスしている。これがまたご機嫌な出来なのだから堪らない。
ラストの「Swing Low Sweet Chariot」の唄いっぷりを聴けば、ああジャズはやっぱり米国ルーツ・ミュージックの根幹をなすものなんやなあ、ということを再認識したりする。ダイアン・シューア健在。この新盤を聴いて、まだ彼女は元気、まだまだ彼女は第一線の女性ジャズ・ボーカリストだということを確信する。ジャジーでポップな現代のジャズ・ボーカルである。好盤です。
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・『Your World and My World』 1981
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