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2020年8月 7日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・180

ジャズで扱う楽器は基本的には「何でもあり」。ジャズで扱わない楽器って、ほとんど無いんじゃないかと思えるくらい「何でもあり」である。例えば「ハーモニカ」。これはどう考えたってジャズ演奏には向かないだろうと思っていたが、これがかなりマイナーな存在ではあるが「アリ」。トゥーツ・シールマンス、リー・オスカー、グレゴア・マレ、と何人かのジャズ・ハーモニカ奏者の名が浮かぶ。

Grégoire Maret, Romain Collin & Bill Frisell『Americana』(写真左)。今年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Grégoire Maret (harmonica), Romain Collin (piano, key), Bill Frisell (g, banjo), Clarence Penn (ds)。スイス・ジュネーブ出身のジャズ・ハーモニカ奏者、グレゴア・マレが筆頭名義の新盤である。

筆頭名義のグレゴア・マレ。今もっとも売れっ子のひとりで、ジャズ・ハーモニカ奏者。多くのジャズ・ジャイアントのアルバムやライヴにその名を連ねている。トゥーツ・シールマンスの後を継ぐ者として、ジャズ・ハーモニカの世界を一手に引き受け、牽引している。第2名義のロメイン・コリンは、フランスが生んだ注目のピアニスト。フランスに育ち、バークレーへの留学を機に米国に移住、現在は米国を中心に活動。

そんな若手有望株の2人に、ベテランの「捻れたアメリカン・ルーツな」ギタリスト、ビル・フリゼールが参加。タイトルが「Americana」なので、恐らくこの盤、米国の原風景を感じさせるフォーキーでネイチャーな「ニュー・ジャズ」な音世界が展開されるのか、と予想する。そう言えば、グレゴア・マレって、パット・メセニー・グループのメンバーとしても活躍してたなあ。
 
 
Americana  
 
 
出てくる音は予想通り、ブルース、カントリー、ブルーグラス、ゴスペル... アメリカのルーツ音楽の要素を取り込んだ、フォーキーでネイチャーな「ニュー・ジャズ」な、静的でスピリチュアルな音世界が展開されている。明らかにパット・メセニー・グループやビル・フリゼールの音世界を想起させる、同一志向の「ネイチャー・ジャズ」(と僕が勝手に呼んでいる)。米国のルーツ・ミュージックにスピリチュアルなロマンティシズムを加えて、独特な音世界を展開している。

そこはかとなく哀愁感が漂い、郷愁を誘う音世界。メロディアスではあるが、ところどころでアブストラクトに展開し、スピリチュアルな雰囲気を醸し出している。ハーモニカとピアノがメインだが、フリゼールは絶妙な間と音の揺らぎと捻れで、その存在感をアピールする。フリゼール独特の哀愁感と寂寞感を漂わせ、その音世界を一気に米国の原風景を感じさせるフォーキーでネイチャーな「ニュー・ジャズ」なものに変化させるところは、さすがフリゼール。

アルバム名義にはその名は無いのだが、ドラマーのクラレンス・ペンが参加している。パーカッションとして数曲、三人のサウンドに彩りを加えるような形での客演。これがまた効果的。

米国の原風景を感じさせるフォーキーでネイチャーな「ニュー・ジャズ」な音世界。暑い夏の昼下がり、ジャズ喫茶で流すのに良い雰囲気の好盤です。思わずとことんリラックスして、ストレス解消。時には寝息を立ててしまうことも(笑)。真夏の昼下がり、こういう盤もまた良し、です。
 
 
 

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