Buddy Rich Big Bandの秀作
米国ではまずまずの人気を得ているのに、日本では全く人気の無いジャズ・ミュージシャンが結構いる。テクニックが不足している訳でも無い、音楽性に問題がある訳では無い。どう聴いても他の一流人気ミュージシャンと引けを取らないのに、我が国では人気が無い、評価が低いジャズ・ミュージシャンが結構いるのだ。
原因として、そもそも情報不足、我が国のレコード販売会社が契約上扱っていなくて、情報どころかアルバム自体が我が国に届かないケースがひとつ。もう1つは、我が国のジャズ評論家の方々やジャズ愛好家の方々の「耳に合わない」ケース。スイングしないとか、音が派手で情緒に欠けるとか、侘びさびが無いとか、主観の評論が我が国で定評として定着してしまった、トホホなケースである。
Buddy Rich『The Roar of '74』(写真左)。1973年の録音。The Buddy Rich Big Bandのスタジオ録音になる。このビックバンドは当時の固定のメンバーがアサインされていて、従来からのメインストリーム系ジャズの名手達の名前は無い。1970年代前半は、商業ロック、ポップスの全盛期、そんな時期に、これだけの実力を持った、これだけの規模のビッグバンドを維持していたのは、ちょっと驚きである。
このビッグバンド、その演奏力は半端無い。ダイナミズム&パンチ力満点、ユニゾン&ハーモニーの正確さ、アンサンブル&フレーズの力強いドライヴ感、ソロのテクニック、どれをとっても不満の無い、破綻の無い、ビッグバンドのお手本の様な演奏が続く。若干、単純で大味な面も見え隠れするが、それを越えて余りある、迫力のある気味の良い演奏である。
そんなビッグバンドを牽引し鼓舞しまくるバディ・リッチのドラミングが、これまた凄まじい。このビッグバンドのパンチ力、ドライヴ感は、リッチのドラミングの賜である。リッチのドラミング自体が豪快で力強くドライヴ感満点なのだ。そんな豪放磊落なドラミングに呼応するかの様に、リッチ率いるビッグバンドが疾走する。楽器毎のそれぞれに良い音出しているのにも感心する。
このビッグバンドの演奏のどこに問題があるのか、僕には判らない。それでも、我が国のバディ・リッチの低評価には常々疑問を感じている。時代を反映する様な「エレピの端正で疾走感溢れるソロ」が良く無かったか。ビッグバンドに電気楽器は御法度だったか。とにかく、このバディ・リッチのビッグバンドは素晴らしい。まずは自分の耳で聴いて、自分の耳で判断する、ですね。
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