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2020年7月19日 (日曜日)

知る人ぞ知るトランペッター

ジャズ・トランペットについては、まず4大トランペッター、マイルス・ディヴィス、クリフォード・ブラウン、リー・モーガン、ディジー・ガレスピー、この4人のネーム・ヴァリューが大き過ぎて、この4人で終わりって感じになるが、まだまだ優秀なジャズ・トラペッターは多くいる。ジャズ盤紹介本には滅多に挙がらない、知る人ぞ知る、玄人好みのマイナーなトランペッターも沢山いる。

『Introducing Joe Gordon』(写真左)。1954年9月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Joe Gordon (tp), Charlie Rouse (ts), Junior Mance (p), Jimmy Schenck (b), Art Blakey (ds)。リーダーのトランペッター、ジョン・ゴードンは1928年生まれ。1963年に35歳で早逝した「幻のトランペッター」である。そんなジョー・ゴードンの初リーダー盤がこの盤になる。
 
ゴードンは米国西海岸に渡って活躍しながらも不運な最期を遂げた訳だが、この初リーダー盤は西海岸に渡る前、東海岸で録音したもの。共演者がなかなか渋くて、ドラムにアート・ブレイキー、ピアノにジュニア・マンス、フロント管のパートナーにテナーのチャーリー・ラウズ、と玄人好みの「職人ジャズマン」が控える。ベースのジミー・シェンクだけほぼ無名。この共演者を見ただけでも、この盤は充分に期待できる。
 
 
Introducing-joe-gordon
 
 
ゴードンのトランペットの音が良い。楽器が良く鳴っている。ブルブルとブラスが震える様なブリリアントな音。覇気があって気持ち良く伸びるトーン。速いフレーズの指捌きの確かさ。どれをとっても一流レベルのトランペッターである。テンポの速い曲では火の出る様な、勢いのある吹きっぷり、スローなバラードチックな曲ではほど良く抑制された、爽快感溢れる大らかな吹き回し。一言でいうと「上手い」。トランペットがトランペットとしてしっかりと鳴っている。
 
バックのメンバーの演奏も覇気溢れる、躍動感溢れるもので、ピアノのジュニア・マンスは安定感のあるバップ・ピアノを披露し、テナーのチャーリー・ラウズのテナーはしっかりとリーダーのゴードンのトランペットの魅力をさらに引き出す様なユニゾン&ハーモニーを繰り出す。ブレイキーのドラムは言わずもがなの素晴らしいドラミングで、バンド全体のリズム&ビートをコントロールし、フロントのゴードンのトランペットとラウズのテナーを鼓舞しまくる。
 
収録曲全8曲中、2曲のみクインシー・ジョーンズの曲で、残りの6曲はジョー・ゴードンの作。どのゴードンの自作曲もなかなかの内容で作曲の才もある優秀なジャズマンであったとこが良く判る。リーダー作はこの盤と『Lookin' Good!』(1961年)の2枚しか残っていないが、どちらも「隠れ好盤」レベルの内容の良い盤。この盤でゴードンのトランペットが気になったら、もう一枚の『Lookin' Good!』も聴いていただきたい。良いバップ系トランペットです。
 
 
 

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