ジャズ喫茶で流したい・179
キャノンボール・アダレイは強烈なファンクネス漂うアルト・サックスを吹く。ミルト・ジャクソンは流れる様なファンクネス溢れるヴァイブを弾く。このファンクネスの申し子の様な二人。強烈なファンクネスの持ち主同士なので、基本的には共演をすることは無い。ファンクネスが強すぎて、アルバム全体のバランスが崩れるのだ。しかし、一枚だけ共演盤を残している。
Cannonball Adderley with Milt Jackson『Things Are Getting Better』(写真左)。1958年10月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Milt Jackson (vib), Wynton Kelly (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。担当プロデューサーはオリン・キープニュース(Orrin Keepnews)。
強烈なファンクネスの持ち主同士の共演。どうまとめるのか、この盤を聴く前まで興味津々だった。が、さすが、プロデューサーを担当したキープニュース。そして、キャノンボールとミルトの二人。キャノンボールのファンクネスを「動」、ミルトのファンクネスを「静」と役割分担して、ファンクネス満点のハードバップ・ジャズを展開している。躍動感溢れるキャノンボールのアルト・サックス、クールでブルージーなミルト・ジャクソンのヴァイブ。
バックのリズム・セクションも小粋な人選。キープニュースの慧眼には感服する。ウィントン・ケリーは健康優良児的なファンキー・ピアノ、パーシー・ヒースはオールマイティーなベーシスト。ファンキー・ベースもお手のもの。そして、ドラムのアート・ブレイキーはファンキー・ジャズの生みの親の一人。このクールでファンキーなリズム・セクションが、フロントのファンクネス溢れるフロント管とヴァイブを引き立てる。
選曲を見れば判るが、キャノンボールのオリジナルとスタンダード曲のミックス。この盤、あくまでキャノンボールの「動」のファンクネスを前面に押し出したアルバムではあるが、サポート側に回ったミルト・ジャクソンのクールで流麗でアーバンなヴァイブが実に見事。ミルトのヴァイブがキャノンボールのアルト・サックスを強烈に引き立てている。ぴったり填まったキープニュースのプロデュース。この強烈なファンクネスの持ち主同士の共演、見事、成功裡に終わっている。
「動」のキャノンボール、「静」のミルト・ジャクソン、この盤の演奏のダイナミック・レンジは広い。この盤はヘッドフォンやイヤホンで聴くのでは無く、しっかりとしたステレオ・セットでそこそこの音量で聴いて欲しい。躍動感溢れ、クールでアーバンなファンキー・ジャズを、爽やかに浴びるように感じることが出来る。内容十分なファンキー・ジャズ。好盤です。
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