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2020年7月の記事

2020年7月31日 (金曜日)

TOKUのパリ録音、最新盤です

日本人の若手〜中堅のジャズ・ミュージシャンについては、完全に「女性上位」。男の子達、どうしたんだ、と言いたいくらい、優れた資質を持ってデビューしてくる若手ジャズ・ミュージシャン、そして、日本のジャズ・シーンを牽引する中堅のジャズ・ミュージシャン、どちらも何故か「女性上位」。そんな中で、優れたフリューゲルホルンとボーカルの二刀流で活躍する男性ジャズ・ミュージシャンがいる。「TOKU」である。

TOKU。本名は「馬場督之」。1973年の生まれ。ということは今年で47歳になる。バリバリ中堅のジャズ・ミュージシャンである。確か2000年に、ファースト盤『Everything She Said』で、メジャーデビュー、それから既に11枚のリーダー作をリリースしている。フリューゲルホーンについては癖の無い堅実な伸びの良い一級品。ボーカルは低音が良く聴いた、ダンディズム溢れる、どこかセクシーな正統派。このボーカルが僕のお気に入り。

TOKU『TOKU in Paris』(写真左)。今年5月のリリース。仏のジャズ・ピアニスト、ジョヴァンニ・ミラバッシを共同プロデューサーに迎えた、パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Toku (vo,tp,flh), Pierrick Pedron (as), Giovanni Mirabassi (p), Thomas Bramerie (b), Laurent Vernerey (b), Andre “Dede” Ceccarell (ds), Lukmil Perez (ds), Sarah Lancman (vo)。今年の1月にパリで先行リリースされている。
 
 
Toku-in-paris
 
 
パーソネルを見渡すと知らない名前ばかりだが、この盤での演奏を聴くと判るのだが、どのプレイヤーもかなりの力量の持ち主ばかり。ゆったりとしたテンポで良い雰囲気の「ネオ・ハードバップ」な演奏を繰り広げている。そんな素敵な演奏をバックに、TOKUのフリューゲルホーン、トランペット、そして、ボーカルがグッと前面に浮かび上がってくる。

ファンクネス控えめ、しっとり落ち着いたミッドテンポの演奏とボーカルが実に良い雰囲気を醸し出している。TOKUのボーカルは絶好調。歯切れの良い、ダンディズム溢れる唄いっぷりは唯一無二。今までの男性ジャズ・ボーカルに無い個性で聴き応え充分。声がスッと伸びて揺らぐことは無い。低音がしっかり響いて、肉声であるが故、耳に心地良い。このTOKUのボーカルは「聴きもの」である。

ゲスト参加のサラ・ランクマンとのデュオも良い。ミシェル・ルグランの「I Will Wait For You」のカヴァーは素晴らしいの一言。日本盤のみのボートラには、アズナブールの歌唱でも知られる「For Me Formidable」を収録。これはTOKU初となる仏語での歌唱となるらしいが、なかなか堂に入っている。日本人中堅ジャズ・ミュージシャンの好盤。ジャズ喫茶の昼下がりに最適な、ちょっとアンニュイな雰囲気が素敵です。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

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2020年7月30日 (木曜日)

ジャマル、ソロ・ピアノで大変身

アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)は「年代によって異なる顔を持つ」ジャズ・ピアニスト。大きく括って、1950〜1960年代までの作品は「しっとりシンプルでオシャレなサウンド」、1960年代終わり〜1970年代以降の作品は、うってかわって「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」が中心。

マイルスが着目した『But Not For Me』の「しっとりシンプルでオシャレなサウンド」も悪くは無い。間を活かし、音数を厳選した限りなくシンプルな奏法は魅力的ではある。しかし、1960年代晩期から1970年代、インパルス・レーベルに吹き込まれた以降の作品は、それまでの「しっとりシンプルでオシャレなサウンド」とはうってかわって豪快な激しいサウンドを求めるようになり、「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」へと変貌。

基本的には、1980年代以降についても、豪快でメリハリのある力強いタッチ、右手の早弾きテクニックは変わらない。左手の叩き付けるようなガーン、ゴーンという骨太な音は穏やかになっている。その分、ピアノを鳴らしまくるような、スケールの大きい弾きっぷりが目立つようになる。

そんな「弾き方」の変遷を経たレジェンド級のジャズ・ピアニストである「アーマッド・ジャマル」。1951年の初レコーディング以来、70年に近いキャリアを重ねて来て以来、初の「ソロ・ピアノ」の盤をリリースした(2016年の録音)。1930年生まれだから、なんと86歳でのソロ・ピアノ盤である。
 
 
Ballads-ahmad-jamal  
 
 
Ahmad Jamal『Ballades』(写真左)。2019年9月のリリース。録音は2016年。ジャマルのソロ・ピアノ盤である。21世紀のジャマルのピアノは相変わらず「豪快でメリハリのある力強いタッチ、右手の早弾きテクニック」。しかし、このソロ盤では、クラシック・ピアノのマナーも見え隠れする、流麗でエレガント、気品を感じさせる、ファンクネスが希薄なピアノ・ソロの弾きっぷりになっている。このソロ・ピアノを聴いただけでは、ジャマルのピアノとは判らない。

しかし、これだけ「グループの中での弾きっぷり」と「ソロ・ピアノでの弾きっぷり」が違うピアニストの珍しい。冒頭の「Marseille(マルセイユ)」は、ジャマルの代表曲の1つだが、これを弾くピアニストがジャマルだとは全く判らない。同じく、ジャマルの代表曲のひとつ「Poinciana」も同様。

1950年代からのプレイ・スタイルの変遷も併せ持って考えると、ジャマルは適用範囲の広いピアニストだということが言える。演奏フォーマットや時代の要求に応じて、自らの「弾きっぷり」をコントロールすることが出来るピアニストなのだ。

この盤におけるピアノ・ソロだけ捉えれば、流麗でエレガント、気品を感じさせる、ファンクネスが希薄なピアノ・ソロは素晴らしい。スピリチュアルな側面も新鮮で、なかなかに充実した内容のソロ・ピアノ盤である。しかし、ジャマルが、こんなに流麗でエレガントなピアノを弾きこなせるとは思わなかった。面食らったり、戸惑ったりの「心の整理と新たな納得」が必要な、意外と厄介な新盤ではある。
 
 
 

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2020年7月29日 (水曜日)

サルダビーの「ソロ&デュオ」盤

1970年代、ジャズ・ピアノの範疇で「ソロ・ピアノ」が流行した。もともと、ソロ・ピアノと言えば、「ジャズ・ピアノの神様」と呼ばれた Art Tatum(アート・テイタム)が有名。あまりの超絶技巧なピアノが故、ついていけるリズム隊がいなかったことが一因だが、1930〜40年代に一世を風靡したのだから、とりわけ新しい演奏フォーマットでは無かった。

特に我が国で、この「ソロ・ピアノ」が流行した。そもそもの切っ掛けは「Keith Jarrett(キース・ジャレット)」。彼がECMレーベルからリリースした、当時LP3枚組の大作『Solo Concerts: Bremen/Lausanne』(1973) と、次作『The Köln Concert』(1975) が大ヒットして以降、我が国ではソロ・ピアノが以上にまで、もてはやされた様に思う。

シンプルなピアノという「旋律楽器と打楽器の両面を併せ持つ」楽器だけのジャズ。これが、ピアニストの個性とテクニックを如実にあぶり出す。これが我が国のジャズ者の方々の吟線に触れた。

さて、ジャズにおける「ソロ・ピアノ」については、キース・ジャレットで決まり、なんて風潮もあるが意外とそうでも無い。数は少ないが、一流のジャズ・ピアニストについてはだいたいが「ソロ・ピアノ」盤をリリースしている。そして、その内容はどれもがかなり充実している。ソロ・ピアノはピアノの基本的なテクニックに関しては、かなり高度なものを要求されるので、当然、そのパフォーマンスの内容は充実する。
 
 
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Michel Sardaby『Voyage』(写真)。1984年3月28日、パリの「Modern Art Musium」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Michel Sardaby (p), Ron Carter (b)。マルティニーク島フォールドフランスで生まれ、1967年3月にパリ​​に移住して以降、パリを拠点に活躍している。この盤は、前半はミシェル・サルダビーのソロ、後半がサルダビーとロン・カーターとのデュオ演奏という構成になっている。

ミシェル・サルダビーと言えば、我が国では『Night Cap』(1970) というトリオ盤が唯一有名で、もともとサルダビー自体が寡作の人ということも相まって、その他の盤についてはほとんど情報が無い。しかし、このライヴ盤のソロ・ピアノを聴くと、かなりの力量と個性の持ち主であることが良く判る。

ちょっとクラシックの要素も入った、端正で堅実な「正統ジャズ・ピアノ」。タッチは歯切れが良く、アドリブ・フレーズは流麗。ジャジーな雰囲気はしっかり保持しているので、決して、イージーリスニング風にはならない。なかなか優秀なソロ・ピアノである。

ロン・カーターとのデュオがまた良い。この盤ではロン・カーターのベースが良い。ロンのベースはピッチの合い具合など、盤によって出来不出来があるが、この盤のロンは良い。サルダビーの端正で堅実な「正統ジャズ・ピアノ」に好調なロンのベースがしっくりと絡む。とりわけ、ロンの躍動感溢れる、軽やかなベース・ラインが絡む「Relaxin' at Camarillo」は、サルダビーのピアノも軽快で歯切れが良く、デュオ演奏全体がスインギーで申し分無い。

偶然見つけたサルダビーのソロ&デュオのライヴ盤だったが、これが「当たり」。この盤、サルダビーのピアノの本質が見え隠れして、あまり知られていない盤ですが好盤です。
 
 
 

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2020年7月28日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・84

以前より、我が国では「ピアノ・トリオ」の人気が高い。米国ではそれほどでも無いらしい。米国ではホーンがフロントのジャズが人気。何故かと訊いてみると、判り易いから、だそうだ。ピアノ・トリオは判り難い。それが彼らの言い分。我が国では「ピアノ」は特別な楽器。そのピアノが主役になって奏でられるジャズは特別。加えて、ジャズ・ピアニストには強い個性があって、その個性を感じて愛でる。それが我が国での「ピアノ・トリオ」の楽しみ方。

Walter Bishop Jr.『Speak Low』(写真)。1961年3月14日、NYのBell Sound Studiosでの録音。ちなみにパーソネルは、Walter Bishop Jr. (p), Jimmy Garrison (b), G.T. Hogan (ds)。リーダーのウォルター・ビショップ Jr.は、1927年10月、NY生まれ。1998年1月に70歳で鬼籍に入っている。1949年からジャズの世界で活躍。逝去するまでの約50年の間に残したリーダー作は20作弱。寡作のピアニストである。

確かに寡作のピアニストで、実は「ウォルター・ビショップ Jr.」という名前を聞いて思い浮かぶリーダー作は、この『Speak Low』以外、思いつかない。それもそのはず、他のリーダー作については殆どリイシューされていない。つまりは人気が無い、ということ。というか、「ウォルター・ビショップ Jr.」自体、米国ではマイナーな存在。何故か、我が国だけ、しかもこの『Speak Low』だけが、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で採り上げられてきた。
 
 
Speak-low  
 
 
リーダーの「ウォルター・ビショップ Jr.」のピアノについては、これと言った強烈な個性は無い。低音を強調した左手が個性と言えば個性だが、その存在感は中途半端。右手は堅実だが「よく回る」ほどでは無い。総合力で勝負するタイプのピアニストではあるが、その総合力も中くらいに位置する程度。ただ強烈な個性が無い分、安心して聴くことのピアノではある。

この盤が我が国で人気なのは、バックのリズム隊、ベースのギャリソンとドラムのホーガンの存在があってのことだろう。この盤でのギャリソンのベースについては、腹を揺すらんばかりの重低音。ソリッドで粘りのある弦の響きは快感ですらある。そして、ホーガンのドラム。堅実かつ実直、メリハリが効いた躍動感溢れるドラミング。このギャリソンとホーガンのリズム隊が、このピアノ・トリオ盤の最大の聴きどころ。

ウォルター・ビショップ Jr.の安心して聴くことの出来るピアノ、そして、強烈なリズム&ビートを供給するリズム隊。この両者のバランスがバッチリ取れて、この盤はピアノ・トリオの類い希な好盤となっているのだ。ピアノ・トリオのもう1つの楽しみ方である「ピアノ・ベース・ドラムの3者一体となったインタープレイ」。それがこの盤では顕著。ピアノ・トリオ好きの我が国のジャズ者の方々には「響く内容」の盤なのだ。
 
 
 

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2020年7月27日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・179

キャノンボール・アダレイは強烈なファンクネス漂うアルト・サックスを吹く。ミルト・ジャクソンは流れる様なファンクネス溢れるヴァイブを弾く。このファンクネスの申し子の様な二人。強烈なファンクネスの持ち主同士なので、基本的には共演をすることは無い。ファンクネスが強すぎて、アルバム全体のバランスが崩れるのだ。しかし、一枚だけ共演盤を残している。

Cannonball Adderley with Milt Jackson『Things Are Getting Better』(写真左)。1958年10月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Milt Jackson (vib), Wynton Kelly (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。担当プロデューサーはオリン・キープニュース(Orrin Keepnews)。

強烈なファンクネスの持ち主同士の共演。どうまとめるのか、この盤を聴く前まで興味津々だった。が、さすが、プロデューサーを担当したキープニュース。そして、キャノンボールとミルトの二人。キャノンボールのファンクネスを「動」、ミルトのファンクネスを「静」と役割分担して、ファンクネス満点のハードバップ・ジャズを展開している。躍動感溢れるキャノンボールのアルト・サックス、クールでブルージーなミルト・ジャクソンのヴァイブ。
 
 
Things-are-getting-better_20200727204301  
 
 
バックのリズム・セクションも小粋な人選。キープニュースの慧眼には感服する。ウィントン・ケリーは健康優良児的なファンキー・ピアノ、パーシー・ヒースはオールマイティーなベーシスト。ファンキー・ベースもお手のもの。そして、ドラムのアート・ブレイキーはファンキー・ジャズの生みの親の一人。このクールでファンキーなリズム・セクションが、フロントのファンクネス溢れるフロント管とヴァイブを引き立てる。

選曲を見れば判るが、キャノンボールのオリジナルとスタンダード曲のミックス。この盤、あくまでキャノンボールの「動」のファンクネスを前面に押し出したアルバムではあるが、サポート側に回ったミルト・ジャクソンのクールで流麗でアーバンなヴァイブが実に見事。ミルトのヴァイブがキャノンボールのアルト・サックスを強烈に引き立てている。ぴったり填まったキープニュースのプロデュース。この強烈なファンクネスの持ち主同士の共演、見事、成功裡に終わっている。

「動」のキャノンボール、「静」のミルト・ジャクソン、この盤の演奏のダイナミック・レンジは広い。この盤はヘッドフォンやイヤホンで聴くのでは無く、しっかりとしたステレオ・セットでそこそこの音量で聴いて欲しい。躍動感溢れ、クールでアーバンなファンキー・ジャズを、爽やかに浴びるように感じることが出来る。内容十分なファンキー・ジャズ。好盤です。
 
 
 

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2020年7月26日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・83

最近、音楽関係のサブスク・サイトについては、聴くことの出来るアルバムがかなり充実している。とりわけジャズについては、久しくCDリイシューされていない廃盤状態の音源についても、いつの間にかサブスク・サイトに音源がアップされていて、しかも音が良くなっていたりする。恐らく、サイトにアップする際のサンプリング周波数がハイレゾ志向に変更されているのだろう。

しかし、ジャズ盤の中には、以前から評価が高く、基本的なコレクション対象となる盤について、CD化はされているが、未だサブスク・サイトの何処にもアップされていない盤もある。こんな場合はやはりCDに頼らざるを得ず、まだまだCDの需要はある。例えば、この盤もLP時代からその内容について評価が高いのにも関わらず、今までCD化も数回しかされず、サブスク・サイトにはアップされていない盤である。

Eddie Costa『The House Of Blue Lights』(写真)。1959年1月29日、2月2日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Costa (p), Wendell Marshall (b), Paul Motian (ds)。リーダーのエディ・コスタについては、本来はヴァイブとピアノの「二刀流」なんだが、この盤ではピアノに徹している。

実はコスタが、この「ピアノ一本」に絞ったことが、この盤を「ピアノ・トリオの代表的名盤」に相応しい内容にしているのだ。
 
 
The-house-of-blue-lights
 
 
エディ・コスタのピアノは「かなり硬質」。右手はカンカンキンキンと硬質なタッチ。しかし、弾き回しは流麗。左手は叩き付ける様なコード弾き。しかも低音の使い方が「エグい」。全体的にそうとう「硬質」なピアノで、恐らく、ジャズ史上のピアニストの中で、硬質ピアノとしては最右翼ではないか。ビル・エヴァンスのピアノを限りなく硬質なタッチにして、ロマンティシズムを排除した限りなくストイックなピアノである。

このコスタのピアノが全編に渡って、最高のパフォーマンスを聴かせてくれる。とにかく左手の低音が冒頭から印象に残る。そして、どのピアノ・トリオの代表的名盤にもいえることだが、バックのリズム隊が良い。ウェンデル・マーシャルのベースが地味だが良い音出している。コスタの低音に負けない、コスタの低音に呼応するベースの重低音。コスタのピアノの低音が更に映える。

ポール・モチアンのドラミングの妙技も聴きもの。コスタの強烈個性のピアノに対して、的確なサポートを繰り出している。決して、コスタの個性を邪魔しない、しかし、的確にリズム&ビートを供給する。こういうリズム隊をバックにしているからこそ、コスタは安心して、自らの個性的なピアノに集中出来るのだろう。その良好な結果がこの盤に溢れている。

実はコスタは、1962年7月28日、ニューヨークのウエストサイド・ハイウェイで運転を誤って、31歳の若さで命を落としている。コスタの数少ないリーダー作の中でも、この盤はピカイチ。逆にコスタの個性が記録に残ったという点で、この盤があって良かった、と思っている。
 
 
 

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2020年7月25日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・178

今年の梅雨は強烈である。ここ千葉県北西部地方、7月も25日なのに、未だ梅雨が明けない。どころか昨日から雨、雨、雨。少し青空がのぞいたかな、と思ったら、いきなりザーッと強い雨が来る。これだけ晴れないと気持ちも滅入ってくる。我がバーチャル音楽喫茶『松和』で選盤するジャズ盤も、いきおい「元気の出る」盤を探すことになる。

元気の出るジャズ盤。元気の出るジャズマン。とくれば、僕はいつも「キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)」の名前を思い出す。ネアカの健康優良児的な、ポジティブな音色のアルト・サックス。強烈に漂うファンクネス。後年はこのファンクネスが過ぎて「ファンクの商人」などと揶揄されたが、僕はこの人のアルト・サックスが好きだ。

『The Cannonball Adderley Quintet at the Lighthouse』(写真)。1960年10月16日、ロサンゼルスのハモサビーチにあるLighthouse Café でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Victor Feldman (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。フロリダ、カルフォルニア、ミシガン出身の東海岸が関わっていない混成チーム。
 
 
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一言で言うと「明るくてファンキーで元気の出る」ライヴ盤である。ネアカの健康優良児的なキャノンボールのアルト・サックスが眩しい。明るくてハッピーな吹き回しだが、単なるハッピー・スインガーでは無い。濃厚なファンクネスの中に、しっかりとジャジーな雰囲気を漂わせ、そこはかとなくブルージーな響きを偲ばせているところが堪らない。
 
バックのリズム・セクションもなかなかに「粋」。西海岸出身のフェルドマンのピアノがシンプルで小粋で良い感じ。兄弟フロントの「こってこてファンキー」を上手く中和し、減衰させる効果がニクい。このフェルドマンのピアノがキャノンボール兄弟の「オーバー・ファンク」のリミッターになっている。このライヴ盤に漂う「メインストリーム・ジャズ」な雰囲気は、このフェルドマンのピアノに負うところが大きい。

相棒の弟、ナットのトランペットも同様。兄弟フロントで「明るくてファンキーで元気の出る」ライヴ・パフォーマンスを繰り広げている。ベースのジョーンズ、ドラムのヘインズのリズム隊も、どこまでもファンキーなリズム&ビートを叩きだす。元気の出るジャズ盤。元気の出るジャズ・パフォーマンス。そんな要求に、キャノンボールはしっかりと応えてくれる。
 
 
 

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2020年7月24日 (金曜日)

ウィントンはライヴ盤が一番

ウィントン・マルサリス。クリフォード・ブラウン〜マイルス・ディヴィスの後を継ぐ者として嘱望されたトランペッターである。デビュー当時は弱冠20歳。ジャズ史上最高の「若き天才」と褒め讃えられた。が、歳を取るにつれて人気がどんどん落ちていく。テクニック最高、歌心満載なトランペットでありながら、である。「ウィントンは面白く無い」。今でもよく言われる評価である。

ジャズマンとしてのスタンスがウケない原因だろう。ジャズは「ハードバップ」のみを認める。ジャズの起源とされる「ニューオリンズ・ジャズ」がジャズの絶対的存在とする。エレクトリック・ジャズやフュージョン・ジャズ、フリー・ジャズは「堕落したジャズ」と切り捨てる。自らが提唱した「純ジャズ復古」については、内容的には「モード・ジャズ」一辺倒。それも小難しいものばかり。

そんなウィントン・マルサリス。マルサリスはライヴ盤が一番とされる。小難しいことを考えずに吹きまくるマルサリスは素晴らしい。スタジオ録音盤は、スタジオに閉じ籠もって、理想とするジャズとは何かを突き詰めて考えて、モード・ジャズを複雑に複雑に展開してしまう。しかし、テクニックが最高なので、そんな複雑極まりないモード・ジャズを楽々吹き切ってしまう。聴き手はついていけない。
 
 
Live-at-blues-alley  
 
 
Wynton Marsalis『Live at Blues Alley』(写真)。1986年12月19ー20日、Washington, D.C.のライブ・スポット「Blues Alley」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Marcus Roberts (p), Robert Hurst (b), Jeff "Tain" Watts (ds)。次世代ジャズのリーダー格として、最高に「尖っていた」頃のウィントンのライヴ盤である。

CD2枚組。全16曲、これでもか、と言わんばかりの「モード・ジャズ」のオンパレード。これまた、最高テクニックを誇るカルテットが、難解なモード・ジャズをやりまくる。が、リーダーのウィントンは一心不乱にトランペットを吹きまくっている。速いテンポのアドリブ展開の指捌きの速さと正確さは凄い。その切り口では「史上最高」のトランペッターだろう。フレーズもバリエーションに富み、飽きることは無い。CD2枚を一気に聴き切ってしまう。

ここで奏でられている「モード・ジャズ」。お手本はマイルスの1960年代黄金のクインテットのモード・ジャズだろう。1960年代マイルスのモード・ジャズを、1980年代の最高なテクニックで、迷い無く確信を持って、これ以上無いレベルのモーダルな演奏で再現する。この辺は21世紀の今の耳で聴けば、新しい音の発見が無いので、ちょっとつまらない。しかし、史上最高のトランペッターの一人、ウィントンのパフォーマンスを愛でるに最適なライヴ盤ではある。
 
 
 

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2020年7月23日 (木曜日)

ジャズ・ピアノの父の晩年ソロ

最近、歳を取ったせいか、ジャズに対する許容範囲が広くなったような気がする。若い頃は、ハードバップからモード・ジャズが全てで、スイングは古い、ビ・バップも古い、と渋々聴いていた様な気がする。エレクトリック・ジャズについては、もともと高校時代、ロックを聴きまくったくちなので、全く問題が無い。許容範囲が狭かったのは、アコースティック・ジャズのほう。

ただ、40歳を過ぎた頃から、スイングもビ・バップも好んで聴くようになり、フリー・ジャズも抵抗感無く、聴くようになった。「音楽」とはよく言ったもんで、ジャズについても、音を楽しむ様になった様に感じる。以前はスタイルとか奏法とか、オリジナリティとかを気にしていたが、最近はもっぱら「聴いて楽しめるかどうか」。そういう意味で、ジャズに対する許容範囲が広くなった、と感じる今日この頃。

最近「アール・ハインズ(Earl Hines)」を楽しんで聴いている。「ジャズ・ピアノの父」アール・ハインズの、スイング・ピアノが中心のオールドファッションなスタイルのピアノが、実に心地良く感じるのだ。ハインズは、スイング時代〜ビ・バップ時代にかけて、ピアノ演奏に新しい表現力をつけ加えた功績が大きく、「ジャズ・ピアノの父」と呼ばれる。そんなエピソードを実感出来るアルバムに出会った。
 
 
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Earl Hines『In New Orleans』(写真左)。1977年の作品。ハインズは1903年生まれだから、この盤がリリースされた時は74歳。逝去したのが、1983年だから、ハインズにとって、晩年のピアノ・ソロ盤である。まさか1970年代のピアノ・ソロのブームにあやかった訳ではないだろうが、このハインズのソロ盤、聴けば判るんだが、ハインズのピアノの全てを理解するには格好の内容となっている。
 
基本はスウィング。シングルトーンの右手はよく唄い、ブロックコードの左手はニューオリンズ・マナーを彷彿とさせる。この両手を使ってのピアノの表現がハインズの真骨頂。ジャズ・ピアノの父と呼ばれる所以である。それまでのジャズにおけるピアノの役割は「リズム&ビート」の供給のみ。ブロックコードを叩き続けることで供給する「リズム&ビート」の担い手。それを開放したのが、このアール・ハインズだったのだ。
 
その「開放」の意味、このソロ・パフォーマンスを聴けば良く判る。マナーはスウィングだが、テクニックは優秀、当時74歳なのに、右手も左手も「よれる」ことは無い。速いパッセージもいとも容易く弾き上げる。全編に渡ってニューオリンズ・マナーが漂っていて、これがまた古き良きジャズを感じさせてくれる。現代ジャズにおけるピアノ・ソロと比べても、全く遜色の無いハインズのソロ・パフォーマンス。見事である。
 
 
 

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2020年7月22日 (水曜日)

楽しみなギタリストがまた1人

空から見たアングルの「海と島」。なんと夏らしい爽やかなジャケットではないか。シンプルなロゴタイプ。先週、ネットで見つけた「ジャケ買い」盤。なんか、このジャケットのイメージを見ていて、その盤の音が聴こえてきそうで、思わず「ポチッ」とな、である(笑)。まあジャケットのイメージは、どう見ても「昔ながらのコッテコテの純ジャズ」では無い。

Steve Cardenas Quartet『Blue Has A Range』(写真左)。今年今月のリリース。ちなみにパーソネルは、Steve Cardenas (g), Jon Cowherd (p), Ben Allison (b), Brian Blade (ds)。ギターのスティーヴ・カーディナスがリーダー。彼の初リーダー作。パーソネルを見れば、ドラムに「ブライアン・ブレイド」が。ブレイドがドラムを担当する盤に「駄盤」は無い。

リーダーの「スティーヴ・カーディナス」については、僕はその名を初めて知った。ちなみにネットの情報によると「ポール・モチアンのエレクトリック・ビバップ・バンドに加入し て頭角をあらわし、ジョーイ・バロン、チャーリー・ヘイデン、スティー ヴ・スワロウといった、数々の大御所バンドのメンバーとしても活躍」とあるが知らなかった。
 
 
Blue-has-a-range  
 
 
カーディナスのギターは「パット・メセニー」風。音が優しく丸く、ネイチャーな響きが特徴なんだが、カーディナスにあって、メセニーに顕著じゃないのが、ブルース感とゴスペル感。ジャジーな雰囲気やカントリーな雰囲気、アブストラクトな雰囲気はメセニーと同類なんだが、ファンクネスの度合いが、カーディナスの方が高い。メセニーのようでメセニーではないコンテンポラリー・ギター。

ブレイドのドラミングの変幻自在、硬軟自在、強弱自在はいつもながら、繊細とダイナミックが美しく同居したドラミングは見事。ジョン・カウハードのピアノは「ブライアン・ブレイドのフェローシップ」のピアノ。フォーク、ゴスペルを織り交ぜたピアノは、カーディナスのギターにぴったりとフィット。ベースのベン・アリソンはカーディナスの長年の共演者。

バックのリズム・セクションもとびきり「コンテンポラリー」である。どの曲も現代のコンテンポラリーな純ジャズを地で行く内容で、清々しく爽快感抜群。ところどころでアブストラクトに展開したり、モンクの様に音が飛んだりして、思わず「ハッ」とする。充実した内容のカーディナスの初リーダー作。楽しみなコンテンポラリーなギタリストがまた現れ出でた。
 
 
 

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2020年7月21日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・131

このピアニスト、ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)は、ジャズ盤紹介本では『The in Crowd』(2011年3月19日のブログ参照)ばかりが紹介されるので、ジャズ・ピアニストの「一発屋」と思われていることがよくある。また、1970年代は、ソウル・ミュージックやR&Bと融合したフュージョン・ジャズに転身したので、硬派なジャズ者の方々からは「ゲテモノ」扱いされている。

確かに1970年代以降は、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズで「弾けて」、純ジャズからは遠いところで活躍していた訳だが、1950年代から1960年代前半にかけては、なかなか小粋なファンキー・ジャズをベースとした、なかなか硬派のジャズ・ピアニストであった。『The in Crowd』はポップな要素が強いが、ファンキー・ジャズとして、硬質のタッチと「こってこて」ファンキーな弾き回しが素敵なピアニストでもあったのだ。

『An Hour with the Ramsey Lewis Trio』(写真左)。1959年4月22日、,米国Chicagoは「Ter-Mar Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (p), El Dee Young (b), Issac "Red" Holt (ds)。ラムゼイ・ルイスはシカゴ出身。この盤でのリズム隊、ドラムとベースは地元シカゴのジャズメンを起用している。
 
 
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この盤でのピアノについては、初めて聴いた時は誰だか全く判らなかった。全体的に硬質で力強い、時に「叩き付ける様な」ダイナミックなタッチ、右手のこってこてファンキーなフレーズの弾き回し、ブルージーで黒い左手のブロック・コード。レッド・ガーランドやアーマッド・ジャマルをマッチョにした様なピアノ。マッチョだが歌心は満点。強弱のメリハリが強烈だが耳触りでは無い。

ファンクネスは「こってこて」、ゴスペルの要素もしっかり取り込んで、その部分はファンキー・ジャズの枠を超えて、ソウル・ジャズの先駆け的演奏になっている。長きに渡って、ラムゼイ・ルイスのトリオのリズム&ビートをを支える続けることとなる相棒のベースのエル・ディー・ヤング、ドラムのレッド・ホルト、どちらもパフォーマンスもなかなかイケる。

こういう雰囲気のピアノ・トリオがあるとは思わなかった。こってこてのファンクネス、ゴスペルの要素の取り込み、聴いた後から「ラムゼイ・ルイス」の仕業と知って至極納得。しかし、これだけ力強いタッチなのに、ラムゼイ・ルイスの指って、結構回っている。この盤では「ラムゼイ・ルイスはテクニシャン」だということを再認識させてくれる。僕はこの盤のラムゼイ・ルイス、好きだなあ。
 
 
 

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2020年7月20日 (月曜日)

ゴードンのもう一枚のリーダー盤

昨日のブログで「リーダー作はこの盤と『Lookin' Good!』の2枚しか残っていないが、どちらも「隠れ好盤」レベルの内容の良い盤。この盤でゴードンのトランペットが気になったら、もう一枚の『Lookin' Good!』も聴いて頂きたい」と書いた手前、今日はそのジョー・ゴードンのリーダー盤第2作目『Lookin' Good!』について触れておきたい。

Joe Gordon『Lookin' Good!』(写真左)。1961年7月、西海岸のLos Angeles での録音。ちなみにパーソネルは、Joe Gordon (tp), Jimmy Woods (as), Dick Whittington (p), Jimmy Bond (b), Milt Turner (ds)。幻のトランペッター、ジョー・ゴードンが西海岸に渡った後に、西海岸のメンバーと録音したリーダー作第2弾で最終作である。この後、1963年11月、リーダーのゴードンは家の火災により、不慮の死を遂げる。

1960年代に入ってからの米国西海岸ジャズ・シーンについては不勉強で、主だった若手〜中堅のジャズメンについて良く判らない。このゴードンのリーダー作第2弾についても、トランペットでリーダーのジョー・ゴードン以外、他のメンバーについてはよく知らない名前ばかり。聴く前は「大丈夫なんか」と心配になるが、聴いてみると、あら「なかなか良いやん」。1961年という時代を踏まえて、演奏の内容はモード・ジャズが主。
 
 
Looking-good  
 
 
ジャズの最大の特徴である「即興演奏」の自由度を大きく広げる為に採用された「モード・ジャズ」。この盤では、さすが西海岸ジャズとでも言おうか、かっちりとまとまった、端正で素直なモード・ジャズが展開されている。頭で理解して理屈で音にした様な端正さ。変幻自在、縦横無尽といった、マイルスを中心とした、非常に自由度と即興性の高いモード・ジャズと比べると、この「こじんまり」したところに、ちょっと物足りなさを感じる。

それでも、内容的にはなかなか健闘していて、当時の米国西海岸ジャズの状況を体感する上では貴重な録音であることは確か。リーダーのゴードンのトランペットは安定した吹きっぷりで、バンド・サウンド全体を牽引している。その端正で溌剌とした吹きっぷりは、同じフロント管、ジミー・ウッズのアルト・サックスの聴き応えのあるパフォーマンスを引き出している。この盤のフロント2管は好調。ユニゾン&ハーモニーもバッチリ決まって聴き応え充分。

知る人ぞ知る、玄人好みのトランペッター、ジョー・ゴードン。他には、ジョニー・コールズとかブルー・ミッチェル、リチャード・ウィリアムスあたりが、ゴードンと同じポジションにいるトランペッターかと思う。いずれもテクニックに優れ、端正で歌心溢れる吹きっぷりで、味のあるパフォーマンスを残してくれている。ビッグ・ネームのパフォーマンスも当然良いが、時には、この「知る人ぞ知る、玄人好みのトランペッター」にも耳を傾けて欲しい、と思っている。
 
 
 

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2020年7月19日 (日曜日)

知る人ぞ知るトランペッター

ジャズ・トランペットについては、まず4大トランペッター、マイルス・ディヴィス、クリフォード・ブラウン、リー・モーガン、ディジー・ガレスピー、この4人のネーム・ヴァリューが大き過ぎて、この4人で終わりって感じになるが、まだまだ優秀なジャズ・トラペッターは多くいる。ジャズ盤紹介本には滅多に挙がらない、知る人ぞ知る、玄人好みのマイナーなトランペッターも沢山いる。

『Introducing Joe Gordon』(写真左)。1954年9月、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Joe Gordon (tp), Charlie Rouse (ts), Junior Mance (p), Jimmy Schenck (b), Art Blakey (ds)。リーダーのトランペッター、ジョン・ゴードンは1928年生まれ。1963年に35歳で早逝した「幻のトランペッター」である。そんなジョー・ゴードンの初リーダー盤がこの盤になる。
 
ゴードンは米国西海岸に渡って活躍しながらも不運な最期を遂げた訳だが、この初リーダー盤は西海岸に渡る前、東海岸で録音したもの。共演者がなかなか渋くて、ドラムにアート・ブレイキー、ピアノにジュニア・マンス、フロント管のパートナーにテナーのチャーリー・ラウズ、と玄人好みの「職人ジャズマン」が控える。ベースのジミー・シェンクだけほぼ無名。この共演者を見ただけでも、この盤は充分に期待できる。
 
 
Introducing-joe-gordon
 
 
ゴードンのトランペットの音が良い。楽器が良く鳴っている。ブルブルとブラスが震える様なブリリアントな音。覇気があって気持ち良く伸びるトーン。速いフレーズの指捌きの確かさ。どれをとっても一流レベルのトランペッターである。テンポの速い曲では火の出る様な、勢いのある吹きっぷり、スローなバラードチックな曲ではほど良く抑制された、爽快感溢れる大らかな吹き回し。一言でいうと「上手い」。トランペットがトランペットとしてしっかりと鳴っている。
 
バックのメンバーの演奏も覇気溢れる、躍動感溢れるもので、ピアノのジュニア・マンスは安定感のあるバップ・ピアノを披露し、テナーのチャーリー・ラウズのテナーはしっかりとリーダーのゴードンのトランペットの魅力をさらに引き出す様なユニゾン&ハーモニーを繰り出す。ブレイキーのドラムは言わずもがなの素晴らしいドラミングで、バンド全体のリズム&ビートをコントロールし、フロントのゴードンのトランペットとラウズのテナーを鼓舞しまくる。
 
収録曲全8曲中、2曲のみクインシー・ジョーンズの曲で、残りの6曲はジョー・ゴードンの作。どのゴードンの自作曲もなかなかの内容で作曲の才もある優秀なジャズマンであったとこが良く判る。リーダー作はこの盤と『Lookin' Good!』(1961年)の2枚しか残っていないが、どちらも「隠れ好盤」レベルの内容の良い盤。この盤でゴードンのトランペットが気になったら、もう一枚の『Lookin' Good!』も聴いていただきたい。良いバップ系トランペットです。
 
 
 

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2020年7月18日 (土曜日)

CTIレーベルの「ボーカルもの」

先週の日曜日以来、太陽を見ていない気がする。ずっと雨と曇り空のここ千葉県北西部地方。湿度も高止まり、気温は低く、時季外れの「梅雨寒」。梅雨前線が近くに停滞しているらしく、その前線に沿って、低気圧が来ては去り、来ては去り。気圧が乱高下するので、体調はすこぶる悪い。これだけ体調が悪いと、硬派でシビアなジャズはちょっと敬遠したくなる。よって、この週末は耳当たりの良いフュージョン・ジャズに偏っている。

Jackie & Roy『Time & Love』(写真)。1972年6月、NYのVan Gelder Studio での録音。夫婦ボーカル・デュオ「ジャッキー&ロイ」の好盤である。ちなみにパーソネルは、Jackie Cain, Roy Kral (vo) をフロントとして、CTIレーベルの看板ミュージシャンをメインにした(Bob James (el-p), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Hubert Laws (fl) etc.)フュージョン系のジャズ・オーケストラがバックを担い、ドン・セベスキーがアレンジと指揮を担当している。

もともと、フュージョン・ファンク系のアルバムには、ボーカルが一部入っているものもあるが、ボーカルがリーダーのアルバムはその数は少ない。この「Jackie & Roy」は、CTIレーベルの中でも唯一のボーカル担当である。ピアノと歌担当のロイ、歌一本のジャッキーは、40年以上も仲良く夫婦チームを組んで歌ったデュオ。穏やかで暖かい雰囲気が魅力のデュオ・ボーカルである。
 
 
Time-love  
 
 
セベスキーのアレンジは、ジャズの王道を行く、スタンダードなアレンジで、フロントのデュオ・ボーカルを引き立てる。バックのCTIレーベルの看板ミュージシャンが無用に目立つことは無い。しっかりとほのぼのとしたデュオ・ボーカルをサポートしている。ジャッキー&ロイのデュオは実に愛らしい。ほのぼのとしている。恐らく、本格的な純ジャズなボーカルとしては物足りないだろう。しかし、ソフト&メロウを旨とするフュージョン・ジャズにはピッタリである。

中でも3曲目の「Summer Song/ Summertime」は絶品。セベスキーのアレンジがばっちり填まっている。そして、そのアレンジに乗って、ポール・デスモントの柔らかで暖かい、それでいてしっかりと芯のあるアルト・サックスが心地良く響く。このデスモントのアルト・サックスの音色とジャッキー&ロイの歌声との相性が抜群。いわゆる「ソフト&メロウ」な響きが芳しい。

電気楽器の音、アレンジなど、1972年という時代を感じさせる「CTIレーベルっぽい」ものだが、チープには響かない。当時のジャッキー&ロイの穏やかで暖かい雰囲気のデュオ・ボーカルにはピッタリの音の響きで、これはこれで「アリ」だろう。この盤、当時、なかなか入手に至らず、聴きたいな、と思った時には廃盤状態。昨年、やっと中古盤で入手した次第。CTIレーベルのカタログの中でも珍しい「ボーカルもの」である。
 
 
 

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2020年7月17日 (金曜日)

梅雨に穏やかなキャノンボール

梅雨が明けない。というか、このところずっと曇り空か雨なような気がする。部屋の中の湿度は高止まりのままだし、なんだか気分も塞ぎがち。これだけテンションが落ちると、ジャズ鑑賞にも支障をきたす。気持ちをしっかり持っていないと、耽美的な、どこかクールで静的なジャズを選んでいたりする。これではいけない。テンションを上げるべく、キャノンボール・アダレイのリーダー作を物色する。

但し、キャノンボール・アダレイのリーダー作は慎重に選ばないといけない。キャノンボールのアルト・サックスは、健康優良児的なネアカのファンキー・サックス。気合いが入りすぎて躁状態のキャノンボールのアルト・サックスはただただ「五月蠅い」。耳をつんざく位のキンキンのスーッと伸びる高音が、テンションの下がった耳には「辛い」。キャノンボールのリーダー作は、キャノンボールのアルト・サックスが趣味良く、やや抑制された状態のリーダー作が一番良い。

『Cannonball Adderley and the Poll-Winners』(写真)。1961年5月の録音。ちなみにパーソネルが、Cannonball Adderley (as), Wes Montgomery (g), Victor Feldman (p, vib), Ray Brown (b), Louis Hayes (ds)。パーソネルを見た瞬間にあれっと思う。キャノンボールは東海岸中心のジャズメン、ウェス以下、他の4人は西海岸中心のジャズメン。キャノンボールが米国西海岸に巡業に来た時に、たまたま集まったメンバーがこのメンバーだったらしい。
 
 
Cannonball-adderley-and-the-pollwinners  
 
 
自分以外、全員西海岸のメンバーというのが理由なのか、この盤でのキャノンボールは「ジェントルで、程良く抑制された、男前な」アルト・サックスを披露している。健康優良児的な明るい音色だが程良く抑制されているので、キャノンボールのアルト・サックスに乗った「小粋なファンクネス」が前面に出ていて聴き心地がとても良い。尖ったところが無い、力強くジェントルな吹き回しは、キャノンボールの持つ「歌心」を増幅させている。

キャノンボール以外の西海岸ジャズのメンバー中心のリズム・セクションの存在も忘れてはならない。1961年の録音ではあるが、「西海岸ジャズ」独特のお洒落で小粋な弾き回しが演奏のそこかしこに見え隠れして、これがキャノンボールのアルト・サックスを程良く抑制しているのでは、と感じている。特にクールで清楚なフェルドマンのヴァイブがきゃノンボールのアルト・サックスと対照的な音色で、このコントラストが良いアクセントになっている。

東海岸ジャズと西海岸ジャズの邂逅。東西それぞれの個性がバランス良く反映されていて、極上のハードバップ・ジャズに仕上がっている。当時、ジャズメンの人気投票で常に一位を争うプレーヤー達の競演なので、このタイトルが付いた、とのこと。そう言えば、映画「スイング・ガールズ」で、竹中直人扮する小澤先生が、このキャノンボールのリーダー作について熱く語るシーンがあったのを思い出しました。
 
 
 

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2020年7月16日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・177

ジャズを聴き始めてはや40年あまり。所有するアルバムの数も、リアルのジャズ喫茶が開けるほどの枚数になり、ジャズ盤紹介本などで紹介されるアルバムについては、ほぼ、一度は聴いたことがあるものばかりになった。しかし、それでも、まだ知らない、未知のジャズマンの好盤にバッタリ出会うのだから、ジャズの裾野は広い。

Lafayette Harris Jr. Trio『You Can’t Lose with the Blues』(写真左)。2018年5月3日、NYのVan Gelder Recording Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Lafayette Harris Jr. (p), Peter Washington (b), Lewis Nash (ds)。リーダーの「Lafayette Harris Jr.」を僕は全く知らなかった。今回は「ジャケ買い」。なんか、良い音が聴けそうなジャケットなのだ。

まず「Lafayette Harris Jr. = ラファイエット・ハリスJr.」とは誰か。1963年生まれ。フィラデルフィア出身、NYブルックリン在住。幼少時代に教会音楽を体験、R&Bバンドやファンクバンドに所属。そして、ジャズについては、ケニー・バロンやバリー・ハリス、サミー・プライスらに師事。今年で57歳。ベテランの域に達した、ファンキーでソウルフルなピアニストである。でも、僕は今まで全く知らなかった。

サイドマンが良いのもこの盤をチョイスした理由。ベースのピーター・ワシントンは渋く堅実なアコースティック・ベースが身上。そして、ドラムのルイス・ナッシュは燻し銀の様なクールで小粋なドラミングで鳴らしたベテラン。この二人がリズム隊としてサポートするのだ。その内容は悪かろう筈が無い。 
 
 
You-cant-lose-with-the-blues  
 
 
ラファイエット・ハリスJr. のピアノはオーソドックスな純ジャズ志向。ハードバップ〜ファンキー・ジャズの弾き回し。実に判りやすく、その弾き回しはソウルフル。ブルージーであり、ポジティヴであり、グルーヴィー。聴いていて、思わず足でリズムを取り、思わず頭が微かに揺れる。それでいてファンクネスの度合いは適度。とても上品なファンクネス。俗っぽくならない、ちょっと凛とした弾き回し。

収録曲は全12曲、3曲がラファイエットのオリジナル曲でなかでも「You Can't Lose With The Blues」は上質のブルースナンバー。残りはスタンダード曲。ビル・エヴァンスで有名な「Ev’ry Time We Say Goodbye」はファンクネス漂うソウルフルな弾きっぷりに耳をそばだてる。パーカー作のビ・バップ曲「Bloomdido」はファンキーな弾回しがユニーク。「Please Send Me Someone to Love」では、ソロ・ピアノを披露している。これがまた絶品。

この盤、ルディ・ヴァン・ゲルダースタジオでの録音で、長い間ルディ・ヴァン・ゲルダーのアシスタント・エンジニアを努めていたモーリン・シックラーの録音。これがなかなか良い雰囲気。この録音の良さもこの盤の特筆すべき事項。録音も良しのオーソドックスなピアノ・トリオ盤。我がバーチャル音楽喫茶『松和』ではヘビロテ盤となっております。
 
 
 

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2020年7月15日 (水曜日)

タイガー大越『Tiger’s Baku』

タイガー大越のリーダー作が、サブスク音楽サイトを中心にリイシューされている。彼のリーダー作は、貸レコードで借りてカセットにダビングして所有していたので、カセットを廃棄した時に手元には無くなった。タイガー大越のリーダー作を聴きたくても、彼の全てのリーダー作が廃盤状態だったみたいなので、今回のリイシューは嬉しい限りである。

改めて、タイガー大越とは。1950年生まれ。1972年、大学卒業とともに結婚、新婚旅行で渡米し、そのままボストンのバークリー音楽大学に入学、首席で卒業。1975年、マイク・ギブス・オーケストラ、バディー・リッチ・オーケストラに参加。1978年、ゲーリー・バートン・グループのレギュラー・メンバーに抜擢。また、自己のバンド Tiger's Baku のリーダーとして、ビル・フリゼール、マイク・スターン、ヴィニー・カリウタなどを輩出しながら、ボストン音楽大賞、フェニックス音楽大賞など、多くの賞を受賞。現在バークリー音楽大学教授。(参考出典:Wikipedia)。

我が国では、その名前は一部の人しか知らない、結構マイナーな存在である。米国では、現バークリー音楽大学教授で教鞭を執っていることもあり、評価は高い。そんなタイガー大越の、JVC時代のリーダー作が一気にリイシューされたということは喜ばしいことである。恐らく、我が国では、このリイシューはほとんど注目されないのではないか。しかし、当時、リアルタイムで聴いてきた我々にとっては嬉しいリイシューである。
 
 
Tigers-bug  
 
 
タイガー大越『Tiger's Baku』(写真)。1980年11月〜1981年4月、Rhode IslandのNormandy Sound Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、タイガー大越 (tp), Mike Stern (e-g), Gerry Etkins (key), Tim Landers (e-b), Quinous Johnson, Vince Colaiuta (ds), Robby Gonzalez, Steve Forman (perc)。今の目に有名なメンバーとして、エレギにマイク・スターン、ドラムにヴィニー・カリウタの名前がある。

さて、タイガー大越の初リーダー作である。冒頭の「Rooster」を聴くだけで、とても懐かしい気持ちになる。1981年の音である。時代はフュージョン・ジャズの大ブーム後期。この盤、ちょっと聴くだけでは、フュージョン・ジャズでしょ、となるんだが、全編しっかり聴くと、グルーヴィーなものからメロウなものまでを幅広く網羅した、意外と「コンテンポラリーな、メインストリーム志向のエレ・ジャズ」な音が詰まっている。なかなか味のあるアレンジが「粋」である。

音が古い、と聴く向きもあるが、それは楽器の音の古さであって、それは仕方が無い。特に電気楽器については、その音の進歩は凄まじく、今の音を前提に昔の音を聴き直すと古さを感じるのは当然のこと。逆に、この盤における「アレンジ&演奏内容」については古さは感じない。スターンのエレギも豪快な弾き回しで魅力的だし、カリウタを代表とするリズム隊もさりげなく小粋なリズム&ビートを叩き出していて隅に置けない。改めて、25年振りに聴き直してみて、やはりこの盤、僕にとっては「好盤」である。
 
 
 

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2020年7月14日 (火曜日)

久し振りのタイガー大越です。

ネットの音楽系サブスク・サイトを徘徊していて、懐かしい名前を見つけて喜んでいる。「タイガー大越」。1981年にメジャー・デビュー。フュージョン・ジャズの大ブーム後期に、ちょっと遅れて出てきた印象があった。でも、デビュー盤の『Tiger's Baku』は、良質のフュージョン・ジャズ盤で、当時、結構ヘビロテだった。
 
Gary Burton『Times Square』(写真)。1978年1月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Steve Swallow (b), Roy Haynes (ds), Tiger Okoshi (tp)。バートンのリーダー作については、ホーンが参入した盤は珍しい。この盤については、師匠格のヴァイブ奏者、ゲイリー・バートンがレギュラー・メンバーに抜擢して、日本人トランペッター、タイガー大越がレコーディング・デビューしている。

1983年以降、タイガー大越の名前を見なくなったが、この10年ほど前から、バークリー音楽院で教鞭を執っている話から、彼の情報が再び入る様になった。タイガー大越は、1950年芦屋生まれ。バークリー音楽院に進み、首席で卒業している。ゲイリー・バートンは、タイガー大越のバークリー音楽院時代の先生だったわけですね。

この盤のリーダー、ゲイリー・バートンは1970年代初めより、バークリー音楽大学で教鞭を取っており、このタイガー大越をはじめ、パット・メセニー、エバーハルト・ウェーバー、ラルフ・タウナー、小曽根真 等、有望な新人を数多く世に紹介している。
 
 
Times-square   
 
   
ゲイリー・バートンのリーダー作としては、珍しくトランペットが入ったコンボでの演奏なので、何故が耳新しく響く。トランペットならでは、の音の流れ、吹きやすいフレーズがあって、それに合わせて、タイガー大越のトランペットを引き立たせる様なバートンのヴァイブのフレーズが耳新しく響くのだろう。それにしても、バートンのフロントのトランペットに対するサポートは見事。さすが、タイガー大越の「お師匠様」である。
 
そのタイガー大越のトランペットも見事である。柔らかくて暖かい音。テクニックは優秀だが、それをひけらかすことは無い。嫌味の無い「流麗さ」。フレディ・ハバードを温和に柔らかにした様な感じ。日本人トランペッターであるが故、ファンクネスは希薄。アドリブ・フレーズは、どこまでも「メロディアス」。当時、ありそうで無い、個性的なトランペットである。
 
ベースのスワローは、バートンの片腕みたいな存在で、曲毎に適正な「リズム&ビート」を供給する。そして、バートンにとっては珍しい客演、ドラマーのロイ・ヘインズがご機嫌なドラミングを披露している。
 
良質のメインストリーム系のジャズ演奏に思わずニンマリ。とりわけバートンのヴァイブが絶品。優れた教え子をフロントに迎えてのリーダー・セッションである。気合いが入っていたんだろうなあ。この盤の「バートン先生」のパフォーマンスには脱帽です。
 
 
 

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2020年7月13日 (月曜日)

ジャズマンの「二足の草鞋」

ジャズマンの中には、二足の草鞋を履く「マルチ奏者」も沢山いる。異なる楽器で二足の草鞋を履くケースでは「サックスとフルート」が突出している。「ピアノとヴァイブ」という組合せもある。変わり種としては「ベースとピアノ」。そして、もう1つのケース、主たる楽器とボーカルのケースでは「ピアノとボーカル」「トランペットとボーカル」が多い。たまに「ベースとボーカル」があるが、サックスとボーカルはほとんど無い。

Nat King Cole『After Midnight』(写真左)。1956年8〜9月、Hollywoodでの録音。ちなみにパーソネルは、Nat King Cole (p, vo), John Collins (g), Charlie Harris (b), Lee Young (ds), Willie Smith (as), Harry Edison (tp), Juan Tizol (tb), Stuff Smith (vln), Jack Costanzo (bongos)。ジャズ〜ポップス界のレジェンド「ナッキンコール」のジャジーな好盤である。

Nat King Cole。本名は「ナサニエル・アダムズ・コールズ(Nathaniel Adams Coles)」。真ん中の「キング」は愛称。1919年生まれ。1965年で45歳で早逝している。1930年代、スウィング・ジャズのピアニストとして活躍、ボーカルの才もあり、1944年「Straighten Up and Fly Right」を歌手としてヒットさせている。それ以降、コールは「ボーカリストとピアニスト」の二足の草鞋で大活躍する。
 
 
After-midnight  
 
 
さて、この『After Midnight』は、それまでポップス寄りの楽曲でヒットと飛ばしていたコールが、自らの原点に立ち戻って、ジャズ・ピアノ&ジャズ・ボーカルを前面に押し出したアルバム内容。コールのピアノは、明らかにスウィング時代のピアノの音。シンプルだが、音を選んだ正確なタッチの弾き回しは「小粋で流麗」。自らのピアノのスタイルをしっかりと守って、自らのボーカルに、実に効果的な伴奏を施している。

ボーカルは言うまでも無い。コールの歌声は「とても良い声」。柔らかくて力強くて優しくて芯がしっかりと入っている。自信に満ちているような、堂々とした唄いぷり。とても説得力のある歌唱である。50年代に入り、本格的にソロ・シンガーに転向して、ポップス音楽のジャンルで数多くのヒットを飛ばす訳だが、この盤の歌唱を聴けば、コールの歌唱の原点もピアノと同じ「ジャズ」であることが良く判る。

1919年生まれなので、昨年「生誕100年」と言うことで、記念盤もリリースされたりした。まだまだコールの人気は衰えない。それほどまでにコールのボーカルは「普遍的な」ジャズ・ボーカルなのだ。そう言えば、まだ僕が小学校6年生の頃、NHK第1放送の夜の音楽番組にかかる、この「ナッキンコール」の「ルート66」などがお気に入りで、コールはシナトラと並んで、僕が小学生の時代から聴き親しんだボーカリストだったことを思い出した。
 
 
 

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2020年7月12日 (日曜日)

昼下がりSP・デュオ盤特集・11

ここ千葉県北西部地方、朝から久し振りに晴れ間が覗いた。しかし、かなり蒸し暑い。朝からエアコンのお世話になる。夕方3時過ぎまで陽が出たり曇ったり。今日は雨は来ないな、と油断していたら一気ににわか雨。小一時間で上がったが、涼しくはならない。これだけ湿度が高くて不快指数が高いと、熱気溢れるジャズや大人数の大音響のジャズを聴くのが辛くなってくる。そうなれば「デュオ盤」。久々に「昼下がりSP・デュオ盤特集」である。
 
Charlie Haden & Christian Escoudé『Gitane』(写真)。邦題『ジタンの薫り』。1978年9月22日の録音。Charlie Haden (b) と Christian Escoudé (g) のデュオ盤。ジタンとは「スペインのジプシー女」の意。仏のゴロワーズと人気を二分する煙草のブランドでもある。パッケージには扇を持ったジプシー女性のシルエットが描かれる。懐かしいイメージである。

チャーリー・ヘイデンは「ジャズ・ベースの哲人」。思索に富んだ、骨太で高テクニックなベースが身上。クリスチャン・エスクードは、仏のジプシー・ジャズ・ギタリスト。1947年生まれでまだ存命である。エスクードは、ジャンゴ・ラインハルトの後継者とも言われたギタリスト。そんな二人が、フュージョン・ジャズ全盛期に録音した、とてもクールでとても渋い内容のデュオ・パフォーマンスである。
 
 
Gitane-charlie-haden  
 
 
1曲目の「Django」は、MJQのリーダー、ジョン・ルイス作。4曲目のタイトル曲「Gitane」はチャーリー・ヘイデンの作。そして、ラストの「Improvisation」はクリスチャン・エスクード作。それ以外の4曲は、ジプシー・ジャズ・ギタリストの祖、ジャンゴ・ラインハルトの作品になる。選曲は、ギタリストのクリスチャン・エスクード寄りの選曲になっている。当然、エスクードのギターについては申し分の無い内容である。
 
が、しかし、である。このデュオ盤、チャーリー・ヘイデンのベース・プレイが抜きんでている。エスクードのギターは素晴らしいのだが、そのエスクードのギターが霞むくらいのヘイデンのダイナミックで骨太なベースが全編に渡って鳴り響いている。エスクードは10歳年上の「ベースの哲人」に遠慮したのかな。とにかく、ヘイデンのベースがエグいくらいに重低音を練り響かせて、唄うように語るように鳴り響く。 
 
ジャケットがなんだかお洒落なフュージョン・チックなものなので、見た目にはその内容が誤解されそうなのが玉に瑕。海外盤のジャケットはエスクードとのデュオ盤にも関わらず、哲人ヘイデンのどアップのジャケットが、これはこれで「ひく」(笑)。ジャケットに恵まれないデュオ盤ではあるが、内容は素晴らしい。ジャズ喫茶の静かな昼下がりに、じっくりと耳を傾けたい好デュオ盤。
 
 
 

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2020年7月11日 (土曜日)

爽快フュージョンでスカッとする

今年の梅雨は強烈。大雨で各地に被害が多発。まだまだ予断を許さない状態で大変心配である。ここ千葉県北西部地方は大雨による被害はまだ殆ど無い。しかし、天気はずっと悪くて晴れることが無い。しかも湿度がかなり高い。低気圧が前線を次々と通過して、気圧が乱高下するのと、この不快指数MAXの湿度のお陰で体調はあまり優れない。こういう時は、爽快なフュージョン・ジャズでスカッとしたい。

Allan Holdsworth『Road Games』(写真)。1983年の作品。全編24分ちょっとのミニアルバム形式。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g), Chad Wackerman (ds), Jeff Berlin (b) のトリオに、Paul Williams (vo, track 2), Jack Bruce (vo, tracks 5, 6) の二人がボーカルとして参加している。変態・天才ギタリスト、ホールズワースの、自主制作盤に近い『IOU』の後、ワーナーから正式にデビューした盤である。

この盤、大物プロデューサー(Ted Temperton)の関与、そして、密度の高いミニアルバムでのリリース、加えて、バックのリズム隊が強力、この3要素が良い方向に作用して、ホールズワースのかなり「のびのび」としたプレイが聴ける好盤である。意外と難解なホールズワースの作品の中で、この盤にはキャッチーなメロディの曲が多い。とても聴き易いホールズワース盤である。
 
 
Road-games  
 
 
エレギの音は、どこをどう聴いてもホールズワース節全開。ただ、この盤については、ホールズワースのエレギのフレーズについて「変態、変態」(エレギとは思えない、他には無いユニークな音を出す)と形容される割に、やはり大手ワーナーからのメジャー・デビューを意識したのか、耳に優しい清涼感溢れる美しいアドリブ・フレーズが満載である。

リズム隊も強力。ジェフ・バーリンのベースは流麗。ホールズワースのエレギに寄り添って、ホールズワースのエレギの魅力を更に引き立たせている。チャド・ワッカーマンのドラムも切れ味良く、爽快感溢れるビートを供給している。このベースとドラムのコンビネーションが絶妙で、ミニアルバムでありながら、この盤を好盤に仕立て上げている。

ただ、ホールズワースの独特のスケールで展開するソロは、管楽器の様な抑揚の付け方やニュアンスはこの盤でも健在。「とても聴き易い」盤なので、ホールズワースらしくない、という向きもあるが、ホールズワースらしさをしっかり出す中での「とても聴き易い、耳に優しい清涼感溢れる」盤なので、やはり、この盤はホールズワースの好盤として、充分に評価出来る好盤である。
 
 
 

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2020年7月10日 (金曜日)

ウィルバー・ハーデン知ってる?

今日も雨模様の空。各地で大雨による被害が続出している。心配である。ここ千葉県北西部地方は雨に関してはまだそんなに激しく降ってはいない。しかし、蒸し暑い。曇り空が続いているので、気温は30度手前で止まるのだが、湿度はMax。これだけ湿度が高いとちょっと動くだけで汗がジンワリ滲み出て、実に不快である。

Wilbur Harden『The King and I』(写真左)。1958年9月、NYのVan Gelder Studioでの録音。サヴォイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Wilbur Harden (flh), Tommy Flanagan (p), George Duvivier (b), G. T. Hogan (ds)。リーダーのウィルバー・ハーデンのフリューゲルホーン1管のワンホーン・カルテットである。名盤請負ピアニスト、トミフラが参加。ベースにデュビビエ、ドラムにホーガンと渋いリズム隊。

リーダーのウィルバー・ハーデンは、1924年12月、アラバマ州生まれのジャズ・トランペット、フリューゲルホルン奏者。1969年に45歳で鬼籍に入っている。1958年後半に深刻な病気にかかったらしく、リーダー作は、1958年の元気な頃に出した4枚のみ。サイドマンとしても1957〜58年に集中しており、寡作のトランペッターである。
 
 
The-king-and-i
 
 
ハーデンのトランペットは聴き心地がとても良い。愛らしくてウォームな音色。決して派手派手しい立ち回りはしない。流麗というよりは「朗々」の方が言い得て妙。そんな「暖かで澄んでいて朗々とした」、この盤ではフリューゲルホーンで、有名ミュージカルの「王様と私」の、魅力的な楽曲の数々を吹き上げていく。楽曲の可憐な旋律と相まって、とても耳に心地良いハーデンのフリューゲルホーンである。

伴奏を務める、トミー・フラガナンこと「トミフラ」。名盤請負人と呼ばれるが、確かに、リーダー作のリーダーの楽器の音と個性に合わせた、個性が引き立つような弾き回しは「素晴らしい」の一言。本来は「バップ」なピアニストなんだが、ここでは、ハーデンのフリューゲルホーンの雰囲気にあった、可憐でウォームな、それでいて、そこはかとなくビートを効かせた弾き回しを披露している。このトミフラのピアノの弾き回し、聴きものである。

ホーガンの可憐で気品溢れるドラミング。デュビビエのベースが演奏の「底」そしっかりと押さえていて見事。ホーガンの愛らしくてウォームなフリューゲルホーンも良し。トミフラ率いるリズム・セクションも良し。アルバム全体、沁みる演奏のオンパレード。この盤によって、寡作の「ウィルバー・ハーデン」の名前が印象に残る。ハーデンにとって、この盤があって良かった。
 
 
 

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2020年7月 9日 (木曜日)

ジャズの原風景を見るような音

大雑把に言えば、おおよそ、ジャズの演奏トレンドは、1930年代は「スイング」、1940年代は「ビ・バップ」、1950年代は「ハードバップ」となる。時代毎のジャズの演奏トレンドに適応し、演奏スタイルを変えていったジャズマンもいれば、一旦、その演奏トレンドを極めたら、世の中の演奏トレンドが何に変わろうが、その演奏スタイルを変えないジャズマンもいた。

Lester Young & Teddy Wilson『Pres & Teddy』(写真左)。1956年1月13日の録音。リリースは3年後の1959年4月。ちなみにパーソネルは、Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Gene Ramey (b), Jo Jones (ds)。1956年のハードバップの時代には、あまり馴染みの無いジャズマンの名前が並んでいる。

双頭リーダーの片割れ、レスター・ヤングは、パーカーなど、ビ・バップ時代のジャズマン達から敬愛された「プレジデント(代表)」=愛称「プレス(Pres)」。そして、もう一方のリーダーであるテディ・ウィルソンは、スイングの雄、ベニー・グッドマンのコンボで活躍した、スイング・ピアノの代表格。スイング時代から第一線で活躍したレジェンド級のジャズマン。
 
 
Pres-teddy  
 
 
この盤が録音された時代は「ハードバップ」時代のど真ん中。しかし、盤に詰まっている音は「スイング」。プレスのテナーは、ビブラートもしっかり入ったオールド・スタイルなテナー。それでも存在感&説得力が抜群。テディのピアノはどこまでもスインギー。アドリブ・フレーズの弾き回しのリズム&ビートが「スイング」。それでいて、フレーズの響きは新しい。

ジョー・ジョーンズは、カウント・ベイシー楽団初期の「オール・アメリカン・リズム・セクション」のドラマー。そして、ジーン・レイミーは、地味ながらスイング時代に活躍したベーシスト。この二人のリズム隊のリズム&ビートは明らかに「スイング」。ジャズの原風景を見るような、4ビートの横揺れスインギーなリズム&ビートが心地良い。

時代毎のジャズの演奏トレンドに適応し、演奏スタイルを変えていったジャズマンもいれば、一旦、その演奏トレンドを極めたら、世の中の演奏トレンドが何に変わろうが、その演奏スタイルを変えないジャズマンもいた。この盤のカルテットは明らかに「後者」。この盤を聴くと、ひとつの演奏トレンドを極めたジャズマンの奏でるジャズに宿る、強烈な「普遍性」に感動するのだ。
 
 
 

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2020年7月 8日 (水曜日)

ジャズ者として避けて通れない

ジャズの演奏スタイルの1つに「フリー・ジャズ」がある。従来のジャズの奏法を踏まえることなく、自由に演奏するスタイル、いわゆる「音階(キー)」「コードあるいはコード進行」「リズム(律動)」、以上3要素から自由になって演奏するのが「フリー・ジャズ」。しかし、これら3要素を全て自由にすると「音楽」として成立しないので、「必要最低限の取り決め」のもと、フリーに演奏するということになる。

乱暴な例えだが、絵画で言うと「現代絵画」に当たるのがフリー・ジャズ。20世紀に入ってからのフォーヴィスム以降、現代に至るまでの「伝統的でなく、古典的でない」絵画。それをジャズに置き換えると「フリー・ジャズ」になる。前衛的でアバンギャルド、激しいフレーズと無調のアドリブ。通常の鑑賞音楽と比較すると著しく難解。しかし、高度なテクニックと音楽性を有しないと「フリー・ジャズ」としての音楽を表現出来ないので、これはこれでジャズ者としては無視出来ない。

Art Ensemble Of Chicago『Fanfare for the Warriors』(写真)。邦題『戦士への讃歌』。1973年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Lester Bowie (tp, perc), Malachi Favors Maghostut (b, perc, vo), Joseph Jarman (sax, cl, perc), Roscoe Mitchell (sax, cl, fl, perc), Don Moye (ds, perc), Muhal Richard Abrams (p)。アート・アンサンブル・オブ・シカゴは、アメリカ合衆国シカゴ出身のフリー・ジャズ・バンド(略称 : AEOC) 。
 
 
Fanfare-for-the-warriors  
 
 
当ブログの主たる目的は「ジャズ者初心者向けのジャズ盤紹介」。フリー・ジャズを扱うのは、ブログの運営目的にそぐわないのでは無いか、という声もあるが、僕はそうは思わない。フリー・ジャズは「ジャズの奏法のトレンド」の1つとして確立〜認定されており、ジャズを理解するには避けては通れない。一度は聴いてみて、自らが体験して自らが評価するのは必要だろう。ということで、まずはこの「AEOC」である。

聴けば判るのだが、AEOCのフリー・ジャズは、先に書いた「必要最低限の取り決め」が充分に機能した、計算された「調性と無調」が混在した演奏。それぞれの楽器はフリーな演奏はするが、音の調性は取れている。しかしながら「音階」「コード」「リズム」以上3要素からフリーに演奏する部分がメインで、そういう意味では「フリー・ジャズ」と評価して良いだろう。この『戦士への讃歌』についても、音楽としての必要最低限の調性は取れていて、非常に聴き易い「フリー・ジャズ」に仕上がっている。

即興演奏というジャズの最大の個性を最大限に活かして、様々なものを表現する。アバンギャルドでもありスピリチュアルでもある、この即興の「音」による、自由度・創造性の高いパフォーマンスは他のジャンルの音楽には無い。そういう意味で避けては通れない「フリー・ジャズ」である。優れたフリー・ジャズにおいては、明らかにその即興表現は群を抜く。意外と聴いてみたら面白いジャズでもある。但し、聴き手を選ぶことは間違い無い。
 
 
 

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2020年7月 7日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・176

ジャズ・トランペットについては、意外とバリエーションが狭い。ジャズの歴史において、著名なトランペッターとしては、ビ・バップの祖の一人「ディジー・ガレスピー」、早逝の天才「クリフォード・ブラウン」、そして、ジャズの帝王「マイルス・ディヴィス」。この3人の名が挙がった後、しばらく間が空く感じなのだ。確かに、ジャズ・トランペットとしては、まずこの3人を押さえないと話にならない。

『Bird And Diz : The Genius Of Charlie Parker #4』(写真左)。ビ・バップ晩期、1949ー50年の録音。ビ・バップの祖、Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp) の共演盤。ビ・バップの祖であるパーカーとガレスピー、意外と共演盤は少ない。あっても時代が時代だけに音が悪かったりするが、この盤は音も良く、いずれの演奏も水準以上。ビ・バップの完成形を見る想いのする好盤。加えて、ガレスピーのトランペットを理解するのに最適な盤でもある。

この盤に詰まっている演奏は「典型的なビ・バップ」。ビ・バップの教科書の様な演奏がギッシリ詰まっている。アバンギャルドで躁状態の尖った演奏が主で、ビ・バップが流行した頃、一般の音楽マニアからは「うるさくて、騒々しい、ジャズのどんちゃん騒ぎ」に感じたことが良く判る。今の耳には、メリハリの効いた、テクニック優秀な、切れ味抜群な即興演奏で、アレンジだけ見直せば、現代でも充分に通用するポテンシャルの高い演奏である。
 
 
Bird-and-diz
 
 
この盤の「ビ・バップ」は聴き易い。パーカーのアルト・サックスも、ガレスピーのトランペットも、即興演奏のパフォーマンスについては「安定」しているのだ。ビ・バップなので、アクロバティックにオーバードライブ気味に即興演奏をかましがちなのだが、この盤では、抑え気味に流麗な吹き回しを心がけている様に感じる。これがまあ、見事なアドリブ・パフォーマンスなのだ。特に、ガレスピーのトランペットが判り易い。聴き手を意識した時のガレスピーのトランペットは絶品だ。

クインテットのピアノはセロニアス・モンク。モンクのピアノはご存じの様にタイム感覚と音の重ね方が独特で、通常のビ・バップなピアノでは無い。そして、ドラマーのバディ・リッチも、典型的バップ・ドラムでは無い。リッチ独特のスインギーなドラミングだが、後のハードバップに繋がる、聴かせるドラミング。このモンクとリッチの存在が、パーカーとガレスピー、フロント管の演奏に適度なテンションとスリルを与えている。

ビ・バップとは何か、パーカーのアルト・サックスとは何か、ガレスピーのトランペットとは何か、これらの問いにズバリ答えるような内容の好盤である。パーカーとガレスピーの顔写真、またはイラストをあしらったジャケットにはちょっと「ひく」が、内容はピカイチ。ビ・バップの教科書の様な内容がギッシリ詰まっています。ジャズ者初心者の方々には是非一度は聴いて頂きたい盤でもあります。
 
 
 

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2020年7月 6日 (月曜日)

聴いて楽しい「ファーガソン」

ジャズという音楽は表現の幅が広くて、聴く者と対峙する様なアーティスティックな演奏もあれば、聴いていて単純に楽しいポップでエンターテイメントな演奏もある。ビッグバンド・ジャズも同様で、そのアレンジやソロ・パフォーマンスの内容について、アートな側面を押しだしたものもあれば、とにかく聴いて楽しい、ビッグバンドの魅力がダイレクトに伝わるエンターテイメント名な演奏もある。

Maynard Ferguson『Carnival』(写真)。1978年の作品。ハイノート・ヒッター(非常に高い音域を正確に演奏すること)で知られた、カナダ出身のジャズ・トランペット奏者、メイナード・ファーガソンの人気盤。

メイナード・ファガーソンについては、我が国では『アメリカ横断ウルトラクイズ』のテーマだった「スター・トレックのテーマ」や、シルヴェスター・スタローンの名画「ロッキー」のテーマ曲のトランペットで有名ではあるが、人気はイマイチ。

しかしながら、海外では、世界中のトランペット・プレイヤーから熱狂的に支持されているレジェンド。ファーガソンは40年以上もの間、ジャズ・トランペットにおける最高の巨匠のひとりとして尊敬を受けてきている。我が国での人気の無さはどうにも理解に苦しむ。「ハイノート」がはしたない、などという見当違いの評価もあるのだから困ったものである。
 
 
Carnival-maynard-ferguson  
 
 
さて、この『Carnival』の内容に戻る。冒頭の「M.F. Carnival」のダイナミズム溢れる、めくるめく展開に耳を奪われる。そして、次の曲は、EW&Fのヒット曲「Fantasy」のカヴァー。とにかく楽しい、判り易いアレンジが良い。続く「Theme from Battlestar Galactica」は、なんと、超人『ハルク・ホーガン』のテーマ曲ですね。1980年代、新日本プロレス時代の使用曲。「イチバァーン!」と叫ぶ決めポーズああ懐かしい。

ポップなカヴァー曲が目を引くが、大スタンダード曲も演奏されているのだから、もう何が何やら判らない(笑)。しかし「Stella by Starlight」のアレンジが凄い。ビッグバンドの能力を最大限に引き出すかの様な、目まぐるしく変化するリズム&ビート。そして「Over the Rainbow」。これもアレンジが素晴らしい。ソフト&メロウな「フュージョン・ビッグバンド」的アレンジ。時代に即したアレンジ。素晴らしい。

そして、僕の一番のお気に入りは「Birdland」。Weather Reportの名曲中の名曲。原曲のファンキー度を活かしつつ、エレギの存在のお陰で「ブラス・ロック風」。ドライブ感とグルーヴ感抜群で圧倒的な迫力。このビッグバンド仕様の「Birdland」は聴きものである。

当時の人気曲からスタンダード曲まで、ごった煮の選曲なんだが、一貫性のある格好良いアレンジとファーガソンの圧倒的迫力のトランペットがこの盤を実に楽しい内容のビッグバンド・ジャズに仕立て上げている。とにかく聴いていて楽しいのなんのって。こういうビッグバンド・ジャズがあっても良い。
 
 
 

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2020年7月 5日 (日曜日)

サド=メルの「イチ押しの一枚」

ジャズ・ボーカルとビッグバンドについては、自分の今までの「聴き方の遍歴」は普通では無い。王道であるボーカリストや楽団を最初に聴き込んでいない。ビッグバンドについては、最初は当然、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団から入るのだが、僕は違った。ジャズを聴き始めたのが、フュージョン全盛期の1970年代後半だったこともあるのだろうが、ビッグバンドへの入り方がちょっと通常とは変わっていた。

ビッグバンド・ジャズで最初にお気に入りになったのが「Gil Evans & Monday Night Orchestra」と「Thad Jones = Mel Lewis & The Jazz Orchestra」そして「Toshiko Akiyoshi-Lew Tabackin Big Band」。そして、1980年代に入ってからは、あろうことか「Jaco Pastorius & Word of Mouth Big Band」であった。エリントン楽団もベイシー楽団も聴くには聴いたんだが、どうもピンと来なかった。

Thad Jones = Mel Lewis & The Jazz Orchestra『Central Park North』(写真)。1969年6月17, 18日、NYのA&R Studios での録音。略称「サド=メル楽団」は、もともと一流ジャズメンがプレイを楽しむことを目的に編成されたリハーサル・オーケストラ。メンバーそれぞれのパフォーマンスの自由度が高いのが特徴。加えて、アレンジが多種多様、実にカラフル。
 
 
Central-park-north  
 
 
そんな「サド=メル楽団」の良いところが満載のスタジオ録音盤がこの『Central Park North』になる。アレンジ方針が固定されていないので、アルバム毎にその「音の色合い」は変わる。この盤については、8&16ビートの大々的導入など、ジャズ・ロック色が強いところが魅力。音の迫力、躍動感、グルーヴ感が半端ない。当時としては「新しいビッグバンド」の音の響きだったのだろう。僕もこの盤については、一聴して虜になった。

とにかく格好良いのだ。冒頭の「Tow Away Zone」のビートの効いたファンキーなリズムが単純に「格好良い」。しかも、ロックなビートにも関わらずスインギー。これが堪らない。この1曲だけでも「今までのビッグバンドとは違う音」を感じることが出来る。このジャズ・ロックなグルーヴ感は癖になる。2曲目の「Quietude」は逆に、コッテコテの「ハードバップ」。洒落たアレンジで古さを感じない。

どの曲にも新しいビッグバンドの響きが感じられるのだが、これは、恐らく、ハナのピアノ、ディヴィスのベース、そして、ルイスのドラムの「リズム隊」の成せる技では無いかと思っている。そして、それをしっかりと成立させているのが、サドの担当する「アレンジ」。リズム&ビートとアレンジの斬新さで、サド=メル楽団の魅力全開の一枚である。
 
 
 

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2020年7月 4日 (土曜日)

消えた「ビ・バップ」の才能

ビ・バップのピアノと言えば「バド・パウエル」、というのが、ジャズでの定説であるが、他にも幾人か、ビ・バップで活躍し、ハードバップに移行後、将来を嘱望されつつ、消えていったピアニストがいる。いずれも「麻薬禍」での逝去、若しくは引退。か、米国でのジャズ環境に絶望しての「欧州への移住」である。

Elmo Hope『Meditations』(写真左)。1955年7月28日、NYでの録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Elmo Hope (p), John Ore (b), Willie Jones (ds)。ビ・バップのシーンで活躍したエルモ・ホープのピアノ・トリオ盤。リズム隊の二人、ベースとドラムについては僕にとっては知らない名前である。

1955年と言えば、ハードバップ初期の時代であるが、このピアノ・トリオ盤については、演奏スタイルは明確に「ビ・バップ」。エルモ・ホープのピアノが絶対的主役であり、ベースとドラムはリズム・キープに徹している。いわゆるハードバップの「ウリ」である、楽器同士の自由度の高いインタープレイと楽器毎のテクニックを駆使した長いアドリブ合戦は無い。
 
 
Meditations  
 
 
エルモ・ホープのピアノは明らかに「ビ・バップ」のマナーで貫かれている。しかしながら、バド・パウエルの様な攻撃的なところやアクロバティックなフレーズの崩しは無い。エルモ・ホープの「ビ・バップ」なピアノは、あくまで「流麗」、あくまで「クール」。テクニックは優秀で、時に右手はよく回っている。アドリブ・フレーズの音の響きが少しメジャーな音が混じっているのか、どこか明るい部分が見え隠れする。

ホープのアドリブ・フレーズは「ゴツゴツ」していないし、無用な速弾きはしない。アドリブ・フレーズをしっかりと鳴らし、滑らかなタッチで弾き上げる。上品で粋でアーティスティックなビ・バップ・ピアノで、バド・パウエルとは一線を画する。どちらかといえば、ホープのバップ・ピアノの方がハードバップに適したものだと感じる。聴いていて心地良いし、耳に穏やかなバップ・ピアノである。

この盤のホープのピアノを聴く限り、以降の活躍の鈍さが意外である。基本的には「麻薬禍」が原因。1956年頃に麻薬の問題と関連する犯罪歴によって、ニューヨークのキャバレーへの出演許可証を失っている。それから、西海岸に渡るが上手くいかず、NYに戻っての1960年代も、やはり麻薬禍により仕事に恵まれていない。そして、1967年に薬物の過剰摂取のため急逝している。惜しい才能を失った。
 
 
 
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2020年7月 3日 (金曜日)

普遍的なハードバップなジャズ

ホレス・シルヴァーのファンキー・ピアノが長年のお気に入りである。とにかく判り易い。ジャズを聴き始めたジャズ者初心者の頃、ホレス・シルヴァーのピアノは判り易かった。マイナー調の愁いを、時にラテンの哀愁を帯びた、それでいて躍動感のあるフレーズ。これが「ファンキー」というものか、と僕は「ファンキー」というワードを、ホレス・シルヴァーのピアノのパフォーマンスを通じて理解した。

Horace Silver『Song for My Father』(写真左)。1963年10月31日、1964年10月26日 の2回のセッションの寄せ集め。ちなみにパーソネルは、次の2つの編成に分かれる。 1963年10月31日の録音で、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。1964年10月26日の録音で、Horace Silver (p), Carmell Jones (tp), Joe Henderson (ts), Teddy Smith (b), Roger Humphries (ds)。

アルバム冒頭のタイトル曲「Song for My Father」が特に有名。一度聴いたら忘れない、とてもキャッチャーでポップで躍動感溢れるテーマが格好良い。この曲は、1964年の録音なので、テーマの印象的な、溌剌ファンキーなトランペットは「カーメル・ジョーンズ」である。ブルー・ミッチェルでは無い。寄り添うようなテナー・サックスは「ジョー・ヘン」。
 
 
Song-for-my-father  
 
 
この盤、冒頭のタイトル曲「Song for My Father」ばかりが有名だが、2曲目以降も、なかなかのファンキー・ジャズが展開されている。特に、1964年の録音の方が内容的に優れていて、ファンキーでポップな曲で固められたこの盤では、カーメル・ジョーンズとジョー・ヘンのフロント2管の相性がバッチリ。曲で言うと「The Natives Are Restless Tonight」「Que Pasa」「The Kicker」。

時は1960年代前半、モード・ジャズが主流を占めつつあったが、この盤にはスインギーなハードバップ、スインギーなブルースが満載。シルヴァーのピアノがファンキーなので「ファンキー・ジャズ」に分類されたりするが、この盤は古き良き時代のハードバップがメイン。演奏も端正で躍動感溢れ、イマージネーション溢れるアドリブが展開される。普遍的なハードバップなジャズがこの盤に詰まっている。

本作のタイトル曲「Song For My Father」はホレス・シルバーが自分の父親に捧げたもの。この盤のジャケ写の「帽子を被った葉巻のおじいさん」が実はホレス・シルヴァーの父君そのものである。ブルーノート・レーベルって、モダン・ジャズの硬派でならしたレーベルなんだが、こういうジャケ写での「粋な計らい」をする、お茶目なレーベルでもある。
 
 
 

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2020年7月 2日 (木曜日)

米国西海岸の「バップなピアノ」

1950年代の米国西海岸ジャズ(ウェストコースト・ジャズ)のアルバムのパーソネルを見渡していくと、ピアニストに「Claude Williamson(クロード・ウィリアムソン)」の名前が沢山出てくる。この盤にもあの盤にも、クロード・ウィリアムソンのピアノは引っ張りだこであった。ファースト・コールというか、バックのリズム隊だったあいつで良いよ、的な使われ方が見え隠れする。

それほどまでに、クロード・ウィリアムソンのピアノは「潰しがきくピアノ」。様々な演奏フォーマット、様々なソロイストに対して、弾き方やタッチを変えることは全くしていないのだが、どの演奏フォーマットにも、どのソロイストにも適応し、決して前へ出ること無く、必ず、リーダーの楽器を、フロント楽器を引き立てる。そんな「玄人好み」のピアノを弾ける。それが、クロード・ウィリアムソンである。

伴奏上手なピアニストなので、リーダー作はそう多くは無い。サイドマンでの参加盤は山ほどある。聴けば判るのだが、タッチや弾き回しは明らかに「ビ・バップ」。端正で癖の無い「バド・パウエル」もしくは「アル・ヘイグ」とでも形容したら良いであろうか。とにかく端正でタッチが歯切れ良く、アクや癖はほぼ無い。ただただ、米国西海岸ジャズのジャズ・ピアノなのだ。ライトで流麗な弾き回しが素敵である。
 
 
Round-midnight_claude-williamson  
 
 
Claude Williamson『'Round Midnight』(写真左)。1956年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Claude Williamson (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)。ベースに西海岸ジャズでのファースト・コールなベーシスト「レッド・ミッチェル」。ドラムには、端正で歯切れの良い、玄人好みの味のあるドラミングで定評のある「メル・ルイス」。申し分の無いリズム隊を得て、ウィリアムソンが楽しそうにバップなピアノを弾きまくる。

速い弾き回しも、ゆったりとしたバラードチックな弾き回しも、とにかく端正で破綻が無い。弾きっぷりは明らかに「バド・パウエル」なんだが、シンプルで聴き易く、耳を突く様なアクは無い。弾き回す音域もやや高く、ライトで流麗なバップ・ピアノ。堅実なリズム隊から、端正なリズム&ビートを得て、ウィリアムソンは弾きまくる。胸が空くような爽快感。指もよく回っている。

この盤も、後続の『Claude Williamson』と同じく、ベツレヘム・レーベルからのリリース。同じ1956年の録音で内容的は変わらない。クロード・ウィリアムソンを理解するには、まずこの『'Round Midnight』と10ヶ月ほど録音が古い『Claude Williamson』と、この兄弟盤2枚を聴くことをお勧めする。米国西海岸ジャズにおける「バップなピアノ」が、この2枚のウィリアムソンのリーダー・トリオ盤で堪能出来る。
 
 
 

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2020年7月 1日 (水曜日)

小曽根の好「ピアノ・トリオ」盤

日本人ジャズ、いわゆる「和ジャズ」を聴き進めている今日この頃。とにかく、和ジャズについては歴史が古く、1950年代からリーダー作があったりする。いつの時代も、米国ジャズ、欧州ジャズと同じレベルで、日本人によるジャズを展開している。これって、素晴らしいことだと思っている。「音楽」に対する日本のレベルの高さを表していると感じている。

小曽根真『Spring is Here』(写真左)。1986年12月の録音。ちなみにパーソネルは、小曽根真 (p), George Mraz (b), Roy Haynes (ds)。プロデュースは「Gary Burton & Hideharu Ebine」。小曽根真(おぞね・まこと)は、1961年3月生まれ。録音当時は24歳。バリバリの若手ジャズ・ピアニストのリーダーとしてのサード盤である。

とにかく「若々しい」小曽根のピアノである。タッチは明確でキビキビとしていて爽やか。フレーズはバップで耽美的な「エヴァンス」風。弾き回しはよく回る指捌きは「ピーターソン」風。フレーズにはそこはかとない、日本人独特の「乾いたファンクネス」が漂う。

どこかで聴いたことがあるような音なんだが、ぴったりと当てはまる音は無い。その頃までのジャズ・ピアノに「ありそうで無い」小曽根の個性的なピアノが素晴らしい。
 
 
Spring-is-here  
 
 
小曽根の才能を見出し、プロとしての活動の機会を与えた、師匠の「ゲイリー・バートン」がプロデュース。小曽根の個性そのままをしっかりと捉える「自然体」のプロデュースがバッチリ当たっている。結構「ど」の付くスタンダード曲のオンパレードなんだが、小曽根の個性的な引き回しとピアノの音色によって、マンネリズムを感じることは無い。そう来るか、とハッとする感じのアドリブ・フレーズがとても楽しい。

バックのリズム隊も素晴らしいパフォーマンスを発揮している。まず、ムラーツのベースが良い。変幻自在、硬軟自在、そして高テクニック。小曽根のピアノの様々な表情や変化に対して、高レスポンスで対応する。先読みするかの様な、その時その時の小曽根のピアノにピッタリ合ったサポートは見事。

ヘインズのドラミングも見事。凄く良い音と高テクニックで、様々な、その時その時に最適なリズム&ビートを叩きだし、小曽根のピアノを鼓舞し引き立てる。

意外と我が国ではあまり採り上げられることの無いトリオ盤ですが、日本ジャズとして、スタンダードなピアノ・トリオとして、なかなか充実した、内容の濃いアルバムです。ジャズ者初心者の方にも、ピアノ・トリオ者のベテランの方にもお勧めの好盤。
 
 
 

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