爽快なTースクエアの新盤 『AI Factory』
僕がジャズを本格的に聴き始めたのが1978年。当時のジャズは「フュージョン・ジャズ」の全盛時代。猫も杓子もフュージョン・ジャズ、老舗のジャズ喫茶もこぞってフュージョン・ジャズ。我が国でもフュージョン・ジャズのブームは凄まじく、純ジャズ系のジャズマンの中でも、フュージョン・ジャズに宗旨替えして活躍するジャズマンが出てきたりした。
そんなフュージョン・ジャズの大ブームの中、我が国では2つのフュージョン・ジャズを代表するバンドが出現した。1つは「カシオペア」もうひとつは「スクエア」。どちらもコッテコテのバカテク集団で、カシオペアはどちらかといえば、フュージョン・ジャズの「ジャズ」の部分に力点を置いている様であり、スクエアはどちらかと言えば「ロック&ポップ」の部分を押し出している感じだった。両グループとも、カシオペアは「カシオペア 3rd.」、スクエアは「T-スクエア」と改称して、現在も活躍中である。
T-Square『AI Factory』(写真左)。2020年4月のリリース。T-Squareの通算47枚目となる最新オリジナル盤。ちなみにパーソネルは、安藤正容 (g), 伊東たけし (sax, EWI, fl), 河野啓三 (key), 坂東慧 (ds), サポート・メンバーとして、田中晋吾 (b), 白井アキト (key) が参加している。
前作では急病で入院の為、バンドの音楽監督的存在であるキーボードの河野が不参加だったが、今回、懸命のリハビリの末、復帰している。よかったなあ。アルバムタイトル『AI Factory』には、「近未来の愛(AI)と友情のロボット工場」という意味が込められた、とのこと。意味深なアニメのジャケットなので、アニソンか何かのカヴァー盤かな、と訝しく思ったのだが違った。
Tースクエアの音をずっと聴き続けていないと、その変化が判り難いのだが、内容的には相変わらず、「T-スクエアらしい」金太郎飴的なアプローチと、T-スクエアらしからぬ、新しいアプローチが混在していて、なかなか聴き応えのある音に仕上がっているところは流石である。フュージョン・ジャズの中でも「ロック&ポップ」の部分を押し出しているのは従来通りなのだが、曲毎における音作りのモチーフが今までに無いものになっている。恐らく、サポート・メンバーの白井の存在が大きく作用しているのはないか、と睨んでいる。
バカテク、疾走感溢れる展開、切れ味鋭いフレーズ、いずれも変わらない。変わらなければ「飽きる」のだが、意外と飽きないT-スクエアの音世界。まだまだ「チャレンジ&進化」の要素が新作の中に必ずあって、この「チャレンジ&進化」の要素が有る限り、T-スクエアの音はマンネリにはならないだろう。今回の新作も聴き応え充分。まだまだ、T-スクエアは進化しそうな気配。まだまだ元気な様子、なんだかホッとしました。
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