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2020年6月13日 (土曜日)

キースのソロ・ライヴの節目

ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、キース・ジャレット。1996年の秋、慢性疲労症候群の為に、一切の活動を休止した。

僕達はキースの演奏の記録を、演奏の結果を聴き続けていた訳で、リアルタイムにキースの演奏を聴き続けてきた訳ではない。しかも、アルバムにされるのは、その時点でのベスト・パフォーマンスに近いもののみ。アルバムを追い続けてきた我々にとっては全く兆しの無い状況の中で、当時、あまりに突然の事にビックリした。

Keith Jarrett『La Scala』(写真左)。1995年2月13日、イタリアはミラノの Teatro alla Scala でのライヴ録音。キース・ジャレットのソロ・パフォーマンスの記録。当時『ウィーン・コンサート』以来、5年ぶりのソロ・ライヴ盤。キースが慢性疲労症候群の為にリタイアする直前の録音の1つ。

その他のリタイア直前の記録は、ソロとしては、2016年にリリースされた『A Multitude of Angels』(キース本人DATを持ち込んでが録音していたものらしい)、「スタンダーズ・トリオ」の記録としては『Tokyo '96』(2018年3月8日のブログ参照)がある。この2020年になって、その頃の録音を振り返って聴き直してみると、やはり、1995年以降、キースはそれまでの勢いとテンションをスローダウンさせていたと感じるのだ。
 
La-scala  
 
さて、この『La Scala』であるが、冒頭の長編「La Scala, Part 1」は、それまでのキースのソロらしからぬ、マイナー調で思索的、ほの暗く瞑想的。アドリブ展開など、キースのソロが落ち着いている。あのキースの「唸り声」も目立たない。しかし、とても判り易いキースのソロである。この「判り易さ」もキースらしからぬところ。どこか諦念感が漂う感じがとても気になる。

続く「La Scala, Part 2」は、フリーキーな無調の演奏がメインで、いつものキースのソロが復調している。アグレッシブでメリハリが効いていて、ところどころフレーズが捻れていて複雑なところがあって、唸り声が絶好調。しかし、良く聴くと繰り返しの手癖がところどころ出てきて、弾きながらの思索が見え隠れして、どうもキースはソロ・パフォーマンスについてマンネリズムを感じているのか、と感じた。

そして、極めつけは、ラストの「Over the Rainbow」。オズの魔法使いの挿入歌で、ジャズの有名なスタンダード曲。それまでキースはソロ・パフォーマンスでは、スタンダード曲をソロ・パフォーマンスのモチーフに一切選ばなかった。この辺がキースの硬派なところなんだが、このライヴ盤のラストに突如として、有名スタンダード曲を持って来た。これは何を意味することだったのか。

ソロの即興演奏のコンセプトとモチーフのベースとなった『ケルン』以降、『ケルン』が1975年だから、それ以降20年。『ケルン』とこの『ラ・スカラ』含めて9枚のソロ盤を積み重ねてきたが、この『ラ・スカラ』で一旦の区切り、節目を見たのではないか。そんな感じのする、僕にとって象徴的なソロ・ライヴ盤なのだ。
 
 

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