ジャズ喫茶で流したい・175
ジャズの中で、ハードバップ時代から、アフリカ音楽のエッセンスが色濃く反映された個性的なジャズが必ずある。アート・ブレイキー然り、ジョン・コルトレーン然り、デューク・エリントン然り、ウエザー・リポートもそうだったし、当然、マイルス・ディヴィスもそうだった。恐らく、アフリカン・アメリカンの血がそうさせるのだろう、と思っている。
現代においても、その「傾向」は脈々と受け継がれていて、ワールド・ミュージックの要素をしっかりと取り入れたジャズを、何ヶ月に一度は必ず耳にする。今ではアフリカ音楽のエッセンスのみならず、中近東のエスニックな雰囲気や、イスラエルのユダヤ民謡な雰囲気など、幅広くワールド・ミュージックの要素を取り入れている。ジャズは融合の音楽やなあ、と改めて思う。
Gilfema『Three』(写真左)。2020年4月のリリース。パーソネルは、Lionel Loueke (g), Massimo Biolcati (b), Ferenc Nemeth (ds)。Gilfema(”ジルフェマ”と読む) = Lionel Loueke Trio、リオーネル・ルエケがリーダーのキーボードレスのギター・トリオである。ちなみに、Gilfemaというバンド名は3人の名前からそれぞれ文字が取って名付けられた(Lionel Gilles Loueke, Ferenc Nemeth, Massimo Biolcati)とのこと。
リオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)は、西アフリカ・ベナン出身のギタリスト。ハンコックやブランチャード、グラスパーのバンドで個性あふれるギターを聴かせている。フェレンク・ネメス(Ferenc Nemeth)は、ハンガリー出身のドラマー。そして、マッシモ・ビオルカティ(Massimo Biolcati)は、スウェーデン生まれのイタリア人ベーシスト。これだけ「米国出身」では無いジャズメンが集まるのだ。普通の米国ジャズをやるとは思えないし、普通の欧州ジャズをやるとも思わない。
全編に渡って、アフリカ音楽のエッセンスが色濃く反映された個性的なジャズが展開されている。ルエケのギターはサステインが短かめでパーカッシヴ、どこかアフリカ的な響きがする。ネメスのドラミングが、これまたアフリカンなリズム&ビートを醸し出しながら、そんなルエケのアフリカ的なギターを後押しする。ビオルカティもベースラインもワールド・ミュージック風。米国ジャズや欧州ジャズの雰囲気は何処にも無い。
ワールド・ミュージックの要素を取り込んだジャズがお気に入りのジャズ者には「溜まらない」内容。ジミヘンの「Little Wing」の秀逸なカヴァーも魅力的。アフリカ音楽のエッセンスが、演奏されるジャズに広がりと躍動感を与えていて、スケールの大きい、ネイチャーな音世界は、どこかパット・メセニー・グループの音世界を想起させる。実に魅力的なワールド・ミュージック系のジャズである。
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