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2020年6月17日 (水曜日)

絶好調、モントルーのタイナー

1970年代のマッコイ・タイナーは「向かうところ敵なし」状態だった。コルトレーン・ミュージックを継承、さらに発展〜深化させて、様々なフォーマットやアレンジで、彼独特の「タイナー・ミュージック」の音世界を展開した。当然、人気もうなぎ上り。1970年代のメインストリーム・ジャズは、マイルス門下生の活躍が目立ったが、その中で、コルトレーン門下生のマッコイ・タイナーが一人「気を吐いていた」。

McCoy Tyner『Enlightenment』(写真左)。1973年7月7日、スイスの Montreux Jazz Festival でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, perc), Azar Lawrence (ts, ss), Juni Booth (b), Alphonse Mouzon (ds)。少人数編成では、ドラムのムザーンは『Sahara』以降、ほぼ固定されているが、サックスのローレンス、ベースのブースは新起用である。

このスイスのモントルーでのライヴは、ジャケットのタイナーの横顔通り、熱い、汗のしずくが飛び散るが如くの「ど迫力」な演奏。特に、タイナーは絶好調で、指が回りに回る、アドリブ展開のイメージが縦横無尽に広がる。そして、どこまでも生真面目にスピリチュアルな「コルトレーン・ミュージック」を展開する。なにせ、タイトルが「Enlightenment=啓発・啓蒙」である。どこまでもストイックな、どこまでもスピリチュアルな音世界に思わず「トランス状態」になる。
 
 
Enlightenment
 
 
コルトレーン・ミュージックのスピリチュアルな部分を、シーツ・オブ・サウンドを駆使して、難解さを取り除き、判り易く聴き易く展開する。それがこの時代の「タイナー・ミュージック」の真髄だと思うんだが、それにしても見事。ここまで発展〜深化させると、コルトレーン・ミュージックというより、タイナーオリジナルな音世界と捉えて良いと思う。特にこのあくまでメインストリーム・ジャズの範疇に留まった「判り易さ」が良い。

サイドマンを見ると、テナーのローレンスが健闘している。ポスト・コルトレーンの本道を行く、熱気溢れる、テクニック溢れる吹きっぷりは見事。ローレンスの吹きっぷりも「熱い」。このライヴでのパフォーマンス、ローレンスのベスト・プレイの1つではないか。そして、ベースのブース。コルトレーンの「伝説のカルテット」のベーシスト、ジミー・ギャリソンの如く、ドライブ感豊かなベースは意外と良い。しかし、音程がちょっと「オヨヨ」なのが惜しい。

ムザーンのドラムが「タイナー・ミュージック」の要。ムザーンの「安定したリズム&ビートの供給」があるからこそ、タイナーもシーツ・オブ・サウンドを駆使して、思いっ切りピアノの弾き回せるのだ。サックスのローレンスの優れたブロウもムザーンのドラミングが引き出したとも言える。いやはや、このライヴ盤でのマッコイ・タイナー・カルテットは絶好調である。聴き所満載。
 
 
 

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