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2020年6月の記事

2020年6月30日 (火曜日)

なかなか良いピアノ、弾いてます

遠く遠く学生時代にジャズを聴き始めた頃から、定期的に「日本人ジャズ」の新盤を追いかけている。もともと、日本人ジャズのレベルは高い。世界的に見ても上位のレベルに位置していると評価してよいだろう。特に、2001年、山中千尋がデビュー盤をリリースした頃から、日本人ジャズの逸材が多く出現する様になった。今でも毎年の様に、日本人ジャズの逸材が現れ出でている。

三輪洋子『Keep Talkin'』(写真左)。2019年のリリース。ちなみにパーソネルは、Yoko Miwa (p), Will Slater (b), Scott Goulding (ds), Brad Barrett (b on 11)。日本人の「正統派モダンジャズ・ピアノの担い手」の一人、三輪洋子のリーダー作。2年ぶりの新盤。

デビュー盤『In The Mist Of Time』が2000年のリリースだから、もうデビューして20年近くが経つのか。しかも1970年生まれだから、今年で50歳。経歴的にも年齢的にも、もはや中堅ジャズマンである。2011年にはバークリー音楽大学のピアノ科の助教授に任命されている。これは秋吉敏子以来、約30年ぶりに日本人女性がピアノ科のプロフェッサーに選ばれたという歴史的にも名誉ある出来事であった。
 
 
Keep-talkin  
 
 
ネットのどこかの紹介文にあった、三輪のピアノの特徴。「スクエアー・バピッシュ&ファンキー・ダイナミック」「耽美的でロマンティック」。確かに聴いたまま、文章で表現したらこうなるかな。加えて、力感のある左手の低音、耽美的なスイング感溢れる右手。そして、このところ、純ジャズな「ハードボイルド」にポップな雰囲気が加わってきて、とても聴き易いイメージになっている。

オリジナル曲に加え、モンク、ミンガス、ビートルズ、ジョニ・ミッチェルらの曲を取上げ、趣味の良いアレンジでカヴァっている。ネオ・スタンダード化の動きは以前からあるが、なかなか良いアレンジに恵まれなかった。しかし、この三輪のアレンジはなかなか良い。特にビートルズの「Golden Slumbers / You Never Give Me Your Money」の弾き回しには感心した。

僕は、三輪のアーシーな左手のブロックコードと右手のファンキー&スインギーな弾き回しが大のお気に入り。ジャズの歴史上の様々なピアニストの個性をよく研究して自らのものにしているのが良く判る。まだまだ我が国では認知度が低いが、日本人らしいメロディー感覚と乾いたファンクネスも心地良く、なかなか良いピアノ、弾いてます。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

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  ・『You’re Only Lonely』 1979

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.06.28 更新。

  ・Zep『永遠の詩 (狂熱のライヴ)』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.06.28 更新。

  ・太田裕美『手作りの画集』

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東日本大震災から9年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2020年6月29日 (月曜日)

躍動的な北欧ジャズ・ピアノ

今年の夏は「とても梅雨らしい」。雨が降れば降ったで思い切り降るし、晴れ間が出たら出たで思い切り蒸し暑い。この蒸し暑さが我慢ならない訳で、ジャズを聴く分にも、この蒸し暑さではまともに聴く気にならない。それでもジャズは聴きたい訳で、この蒸し暑さの中でも、ある程度、気持ち良く聴けるジャズは何か、と考える。

Jan Lundgren Trio『For Listeners Only』(写真左)。2000年12月11ー13日、コペンハーゲンでの録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p), Mattias Svensson (b), Rasmus Kihlberg (ds)。リーダーのヤン・ラングレンはスウェーデンのピアニスト。 マティアス・スベンソンは同じく、スウェーデンのベーシスト。ラスムス・キルベリはやはり同じく、スウェーデンのドラマー。そう、このトリオは純スウェーデン出身のピアノ・トリオである。
 
北欧ジャズは耽美的で透明度が高く、テクニックは高度、歌心が豊かで流麗、静謐でクールな音世界が特徴。1950年代から北欧ジャズは発展してきたが、北欧ジャズの凄いところは、この「北欧ジャズならではの特徴」が1950年代に出現して以降、現代まで、ずっと継続され、年を経る毎に「進化」し「深化」していること。
 
 
For-listeners-only  
 
 
やはり梅雨の蒸し暑い中、北欧ジャズとボサノバ・ジャズだけが気持ち良く聴けるジャズかな。このヤン・ラングレンのトリオは北欧ジャズの特徴をしっかりと引き継いでいて、申し分ない展開である。しかしながら、このトリオ演奏が個性的なところがとても健康的な「躍動感」と「メジャーな響き」。
 
北欧ジャズの特徴として「静謐なバラード」や「ヒーリング音楽の様な怜悧な響き」があるのだが、このトリオ演奏には、その代わりに、北欧ジャズらしからぬ躍動感がある。リズム&ビートが明確で、アドリブ・フレーズに「暖かい響き」が満ちている。「夏の北欧のジャズ」という雰囲気が、実に耳に心地良く響く。
 
こってこての北欧ジャズで固めるのでは無く、米国のコンテンポラリーな純ジャズの雰囲気やスムース・ジャズの雰囲気も取り込んで、北欧ジャズをベースにしながら、インターナショナルな雰囲気の「ネオ・ハードバップ」なピアノ・トリオ演奏に仕立て上げている。リリース当時、人気盤であったことも頷ける。肩肘はらずに、リラックスして気持ち良く聴けるピアノ・トリオである。
 
 
 

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2020年6月28日 (日曜日)

カウント・ベイシー楽団の入門盤

今年の梅雨は実にメリハリが効いている。降る時は思い切り降る。しかも、ドンヨリ曇り空が結構続く。これがまた鬱陶しい。これだけドンヨリした空模様が続くと気が滅入ってくる。爽快な、スピード感のある、切れ味のある、音圧豊かなジャズが聴きたくなる。そうだ、ビッグバンド・ジャズだ。梅雨の鬱陶しい気分を一掃するには、ビッグバンド・ジャズが良い。

Count Basie & His Orchestra『Basie Straight Ahead』(写真左)。1968年9月mハリウッドのTTG Studiosでの録音。EMI傘下のドットレーベル(パラマウント・レコード)からのリリース。非常に溌剌とした、明るいメリハリの効いたアレンジで統一されている。ベイシー楽団のアルバムの中でも、健康的な明るいビッグバンド・ジャズを聴くことが出来る好盤である。

僕はビッグバンド・ジャズが得意な方では無い。特に、ビッグバンド・ジャズと言えば、デューク・エリントン楽団かカウント・ベイシー楽団か、どちらかである。この双璧の楽団の音を聴きこまない限り、ビッグバンド・ジャズは理解出来ない、ということは判っていた。が、最初にお気に入りになったビッグバンドは「Gil Evans & Monday Night Orchestra」と「Toshiko Akiyoshi - Lew Tabackin Big Band」だったので、どうにも「劣等感」が拭えない。
 
 
Basie-straight-ahead  
 
 
それでも、21世紀になって、デューク・エリントン楽団、カウント・ベイシー楽団のアルバムも聴く様になり、やっとビッグバンドが判り出した。そんな中で、まずはカウント・ベイシー楽団の音に傾注した。そして、この盤『Basie Straight Ahead』が一番のお気に入り盤になった。とにかく明るくて判り易い。ノリも良いし、それぞれのソロも輝いている。

カウント・ベイシー楽団の個性である「パンチ力」が溢れんばかりである。加えて、それまでのベイシー楽団のもう一つの個性であった「野放図で豪快なスイング」が「端正で豪快なスイング」に変化している。パンチ力やスイング感は強烈だが、耳につかない。良い音、頃合いの良い刺激として耳に届く。音の重ね方と楽器の鳴らし方が理想的、かつ「野放図から端正」へのアレンジの変化が有効なのだろう。

この盤より「サミー・ネスティコ」が本格的にベイシー楽団に関わり、本盤では全曲の作編曲と指揮をネスティコが務めている。このネスティコの関与がベイシー楽団の音にポジティヴな変化を与えている。「バランス良く繊細かつ骨太」、そんな雰囲気が濃厚なベイシー盤である。とても聴き易いビッグバンド盤で、ビッグバンド・ジャズの入門盤としてもお勧めです。
 
 
 

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2020年6月27日 (土曜日)

日本人のスピリチュアル・ジャズ

最初聴いた時は「まだこんなに古風でハードなフリー・ジャズやってる人がいるんや」と感心した。フリー・ジャズについては、コルトレーンが確立し、このコルトレーンの技法を深化させていったものが大勢。基本的には1980年代以降、スタイルを揺るがすような、新しい要素は出てきていない。

逆に、スピリチュアル・ジャズは、フリー・ジャズから枝分かれして、感情をダイレクトに伝える為の自由な奏法、いわゆるフリー・ジャズの奏法を使って、ダイレクトに感情に訴えるジャズ、だと僕は解釈している。現代では、情熱的にフリーに吹きまくるのも未だにあるが、クールで静的な吹き回しで感情にダイレクトに訴えるものも多く出てきた。現代のスピリチュアル・ジャズのトレンドと言っても良い。

森山威男 Quartet『Green River』(写真)。1984年7月6日、西独バイエルン州、ニュルンベルクで催されたジャズ祭(East-West Jazz Festival)でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、森山 威男 (ds), 井上 淑彦 (ts, ss), 榎本 秀一 (ts, ss,fl), 望月 英明 (b)。フロントがテナー・サックス2本。ピアノレス。リズム隊は、リーダーの森山のドラムと望月のベースで対応する。意欲的かつチャレンジブルな編成である。
 
 
Green-river  
 
 
現代のジャズ盤かと思ったら、1984年のライヴ録音の初CDリイシュー。どうりで、冒頭の「Ta-Ke」は、当時のフリー・ジャズそのもの。懐かしい響きがする。明らかに「コルトレーン」だが、演奏テクニックは素晴らしい。日本人ジャズマン、やるなあ、と嬉しくなる。しかし、2曲目の「Night Story」では、2本のテナーが大活躍。静的ではあるが、躍動感溢れる演奏。

そして、5曲目の「Tohku」などは、フロントのテナー2管にフルートも加わって、エモーショナルではあるが、クールで静的な、時々エモーショナルな「スピリチュアル・ジャズ」が展開される。メロディアスで郷愁感溢れる、硬派ではあるが耽美的なサックスのブロウ。現代の「スピリチュアル・ジャズ」に繋がる、情緒的なフリー・ジャズがここにある。1980年代半ば、ということを考えれば、素晴らしく独創的な演奏だと僕は思う。

僕はこの盤については、LPで聴いた事が無かった。初CDリイシューということで、初めて聴いた盤なのだが、当時の日本人ジャズマンの、特にフリー・ジャズ&スピリチュアル・ジャズのレベルの高さ、先進的な演奏に驚いた。1970年代、山下洋輔を中心に、日本人によるフリー・ジャズは欧州でウケにウケたというが、それも納得。この西独のジャズ祭でも「大盛り上がり」である。
 
 
 
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  ・『Bobby Caldwell』 1978

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  ・Led Zeppelin Ⅲ (1970)

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  ・太田裕美『心が風邪をひいた日』
 

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2020年6月26日 (金曜日)

ワーデル・グレイを聴きかえす。

ビ・バップ。1940年代初頭に成立したジャズの演奏スタイル。現代のジャズに通ずる「モダン・ジャズ」のベースである。即興演奏が好きなジャズマン達が店の閉店後などに、ジャム・セッションをしていて、そこから生まれ成熟したとされる。最初に決まったテーマ部分を演奏した後、コード進行に沿った形で、自由な即興演奏を順番に行う形式が主。ジャズが大衆音楽から芸術音楽に昇華した、最初のスタイルである。

このビ・バップを牽引したのが、まず、アルト・サックスのチャーリー・パーカー。トランペットのディジー・ガレスピー。ドラムのマックス・ローチ。ベースのチャーリー・ミンガス。ピアノのバド・パウエル。この辺りが有名な「ビ・バップ」の祖とされるジャズマンである。こうやって、「祖」と呼ばれるジャズマンを俯瞰すると、テナー・サックスについては「祖」の存在が曖昧である。

いろいろといたはずなんだが、恐らく、オーバードーズで逝去したり、アルト・サックスのチャーリー・パーカーがあまりに凄かったので、テナー・サックスの存在自体が希薄だったのだろう。それでも、歴史を検証するように、あの頃、ビ・バップ時代に遡って、テナーマンを探してみると幾人か、「祖」の候補を見出すことが出来る。
 
 
Wardell-gray-memorial-vol
  
 
Wardell Gray『Wardell Gray Memorial Vol.1』(写真左)。1949年11月、1950年4月、1953年2月の3つのセッションの録音。ちなみにパーソネルは、Frank Morgan (as), Dick Nivison, Johnny Richardson, Tommy Potter (b), Art Mardigan, Larry Marable, Roy Haynes (ds), Al Haig, Phil Hill, Sonny Clark (p), Wardell Gray (ts), Teddy Charles (vib)。半分以上のジャズマンがその後に繋がっていない。

一言で言うと「素晴らしいテナー・サックス」である。演奏スタイルは明らかに「ビ・バップ」。テナーは良い音で鳴っているし、ピッチも乱れは無い。アドリブは判り易くシンプル。自然とフレーズが湧いて来るイメージで、演奏自体に「作為」が全く感じられない。鼻歌を唄うが如く、判り易いシンプルなフレーズが自然と湧いて来る様なイメージ。

存命であれば、テナー・サックスの「祖」と呼ばれていたかもしれないワーデル・グレイ。1955年5月25日、34歳で急逝した。1950年代に入って仕事が激減。麻薬の影響である。「撲殺」された、とのことだが、恐らくオーバードーズだろう。これだけ力量のあるテナーマンである。1950年代に入って以降、しっかりリーダー作を残しておれば、と思う。惜しい逝去であった。
 
 
 

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2020年6月25日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・130

たまたま、ネットを徘徊していて見つけた「今までに聴いたことが無いアルバム」が、意外と好盤だった時は、なんだか幸せな気分になる。ジャズを聴き始めて、早40年余。それでも、未だに「今までに聴いたことが無いアルバム」に出会うことがある。ジャズ盤の蒐集については、ほとんど「底なし沼」のようなものである。

この盤もそんな盤で、音楽のサブスク・サイトをふらふらしていて、梅雨だなあ、サンバかボサノバを聴いて、スカッとしたいなあ、と思った瞬間、この盤のタイトルが目に飛び込んできた。そうか、サンバだ、サンバが良い。と思いつつ、この盤のタイトルの「ARS 001」の部分がちょっとチャラいかなあ、感じながら「ゲット」。

Allen Houser Sextet『No Samba ARS 001』(写真左)。1973年の作品。トランペッターの「アレン・ハウザー」の初リーダー作になる。ちなみにパーソネルは、Allen Houser (tp), Buck Hill (ts), Vince Genova (p), Steve Novosel (el-b, ac-b), Terry Plumeri (ac-b), Mike Smith (ds)。さすがに、1970年代に入っての「メインストリーム・ジャズ」。パーソネルを見渡しても、知っている名前がほぼ無い。
 
 
No-samba  
 
 
この盤、紙ジャケCDの「帯紙」のキャッチフレーズを見ると、どうもこの盤、当時、我が国のジャズ喫茶で人気のアルバムだった様である。ハウザーは、60年代には主にラテン・バンドで活動していた、という経歴の持ち主。たしかにハウザーの出すフレーズのそこかしこに、ラテンチックな哀愁が漂っている。これが「堪らない」。ラテン音楽の要素がそこはかとなく漂うパフォーマンスは聴いていて楽しい。

基本的には普通のハードバップな演奏なのだが、ベーシストが二人いる。一人が弓弾きに専念しているみたいで、これがアルバム全体に不思議な雰囲気を漂わせている。が、基本はラテン、なので、意外と気にならない。1973年という、メインストリーム・ジャズとしては受難の時代。アルバムのプロデュースも、ちょっと「奇天烈」な面があったのかもしれない。

ハウザーが全編、「オーソドックスでハードバップな」トランペットで押しているところが好感ポイント。シュッとしたフレーズと、どこか哀愁感漂う音色が良い。ほとんど無名に近いハウザーではあるが、こうやって21世紀になっても再発され「愛聴される盤」をものにした。ジャズの歴史に残る好盤、という類では無いが、メインストリームなジャズを楽しむ、という面では、この盤は好適である。
 
 
 

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2020年6月24日 (水曜日)

爽快なTースクエアの新盤です

僕がジャズを本格的に聴き始めたのが1978年。当時のジャズは「フュージョン・ジャズ」の全盛時代。猫も杓子もフュージョン・ジャズ、老舗のジャズ喫茶もこぞってフュージョン・ジャズ。我が国でもフュージョン・ジャズのブームは凄まじく、純ジャズ系のジャズマンの中でも、フュージョン・ジャズに宗旨替えして活躍するジャズマンが出てきたりした。

そんなフュージョン・ジャズの大ブームの中、我が国では2つのフュージョン・ジャズを代表するバンドが出現した。1つは「カシオペア」もうひとつは「スクエア」。どちらもコッテコテのバカテク集団で、カシオペアはどちらかといえば、フュージョン・ジャズの「ジャズ」の部分に力点を置いている様であり、スクエアはどちらかと言えば「ロック&ポップ」の部分を押し出している感じだった。両グループとも、カシオペアは「カシオペア 3rd.」、スクエアは「T-スクエア」と改称して、現在も活躍中である。

T-Square『AI Factory』(写真左)。2020年4月のリリース。T-Squareの通算47枚目となる最新オリジナル盤。ちなみにパーソネルは、安藤正容 (g), 伊東たけし (sax, EWI, fl), 河野啓三 (key), 坂東慧 (ds), サポート・メンバーとして、田中晋吾 (b), 白井アキト (key) が参加している。
 
 
Ai-factory-1  
 
 
前作では急病で入院の為、バンドの音楽監督的存在であるキーボードの河野が不参加だったが、今回、懸命のリハビリの末、復帰している。よかったなあ。アルバムタイトル『AI Factory』には、「近未来の愛(AI)と友情のロボット工場」という意味が込められた、とのこと。意味深なアニメのジャケットなので、アニソンか何かのカヴァー盤かな、と訝しく思ったのだが違った。

Tースクエアの音をずっと聴き続けていないと、その変化が判り難いのだが、内容的には相変わらず、「T-スクエアらしい」金太郎飴的なアプローチと、T-スクエアらしからぬ、新しいアプローチが混在していて、なかなか聴き応えのある音に仕上がっているところは流石である。フュージョン・ジャズの中でも「ロック&ポップ」の部分を押し出しているのは従来通りなのだが、曲毎における音作りのモチーフが今までに無いものになっている。恐らく、サポート・メンバーの白井の存在が大きく作用しているのはないか、と睨んでいる。

バカテク、疾走感溢れる展開、切れ味鋭いフレーズ、いずれも変わらない。変わらなければ「飽きる」のだが、意外と飽きないT-スクエアの音世界。まだまだ「チャレンジ&進化」の要素が新作の中に必ずあって、この「チャレンジ&進化」の要素が有る限り、T-スクエアの音はマンネリにはならないだろう。今回の新作も聴き応え充分。まだまだ、T-スクエアは進化しそうな気配。まだまだ元気な様子、なんだかホッとしました。
 
 
 

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2020年6月23日 (火曜日)

協調性なくして良き共演なし

ビル・エヴァンスとスタン・ゲッツの未発表セッション発見〜アルバム化のセンセーショナルなニュースが流れたのが、もう24年前になるのか。エヴァンスとゲッツの共演。Verveレーベルからの『Stan Getz & Bill Evans』(2010年7月30日のブログ参照)が、9年のお蔵入り後、リリースされたのが1973年。この共演盤は期待外れの内容だった。

前回の共演盤が9年間、お蔵入りだった。確かに「お蔵入り」の理由が良く判る内容ではあった。もうエヴァンスとゲッツの共演は無いだろうな、と思っていた。最初の共演セッションが1964年。その10年後に再び共演するなんて、よくエヴァンスが了解したなあ、と思ったのを覚えている。

Bill Evans & Stan Getz『But Beautiful』(写真)。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Stan Getz (ts), Eddie Gómez (b), Marty Morell (ds)。エヴァンスのトリオにゲッツが客演する形である。

最初の2曲とラス前〜ラストの4曲が「1974年8月9日、オランダ・ラーレンでのジャズ・フェスティバル」でのライヴ録音、残りが「1974年8月16日、ベルギー・アントワープでのジャズ・フェスティバル」でのライヴ録音。
 
 
But-beautiful  
 
 
1964年の最初の共演盤との違いは「協調性」の変化。1964年の最初の共演セッションは「協調性」については酷いものだった。ほとんどバラバラ。協調性の欠片も無かった。しかし、この1974年の2度目の共演セッションについては、ジャズ・フェスでのライヴということもあって、何とか協調しよう、というエヴァンス・トリオ側の歩み寄りが感じられる。

それでも2曲目の「Stan's Blues」では、ゲッツがリハーサルに無い曲を「ぶっつけ本番」で始めて、エヴァンスが気分を害して伴奏しなかったそうである。確かにこの曲にはエヴァンスのピアノの音が無い。しかも、ゴメスのベースもモレルのドラムも全くゲッツのテナーに寄り添ってはいない。

ゲッツにはこういう「唯我独尊」なところがあるそうで、エヴァンスは他の曲ではゲッツのテナーの音を聴いて、しっかりサポートしているが、ゲッツは我関せず「我が道を往く」。それでも、ゲッツもさすがに反省したらしく、8月16日の録音の、7曲目の「The Peacocks」の演奏が終わった後、ゲッツが「Happy Birthday Bill」とアナウンスして、エヴァンスの誕生日を祝っている。

それでも、エヴァンスはこのライヴ録音については「気に入らなかった」のであろう。録音から22年、お蔵入りとなる。どういった経緯でリリースに至ったのかは判らないが、エヴァンスが存命であればリリースは無かったのでは、と思う。
 
 
 

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2020年6月22日 (月曜日)

「クール・ジャズ」のエヴァンス

ジャズ・ピアノの最大のレジェンド、ビル・エヴァンスであるが、トリオ編成が全て、と偏った評価をされている傾向が強いのか、トリオ編成以外の、特に管入りのクインテットやカルテットの編成については、評判は芳しく無い。

エヴァンスは伴奏上手なピアニストなので、管入りのクインテットやカルテット編成のバッキングについても、エヴァンスの持ち味、実力を遺憾なく発揮することは間違い無いのだが、どうしたことか、管入りのクインテットやカルテットの編成については手厳しい評価を見ることがある。

Bill Evans with Lee Konitz, Warne Marsh『Crosscurrents』(写真)。1977年2月28日、3月1ー2日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Lee Konitz (as), Warne Marsh (ts), Eddie Gómez (b), Eliot Zigmund (ds)。アルバムのリリースが1978年なので、録音後、内容チェックして「エヴァンスからもOKが出て」、リリースされたものになる。決して「お蔵入り盤」では無い。

もともと、エヴァンスは「レニー・トリスターノ」のクール・ピアノの影響を受けているところがあって、そういう意味では「トリスターノ派」の代表格、アルト・サックスのリー・コニッツ、テナー・サックスのウォーン・マーシュとの共演は望むところだったのでは無いか。エヴァンスが逝去するまで残り3年。この共演は生前にやっておきたかったのではないか、と想像している。
 
 
Crosscurrents  
 
 
さて、その内容であるが、そんなにケチョンケチョンにこき下ろすほど、内容は悪く無い。エヴァンスのピアノは歯切れ良く、ポジティヴだし、弾き回しも揺るぎが無い。彼の個性のひとつである「バップなピアノ」が前面に押し出されていて、かつ、ピアノ・トリオでのパートナーである、ゴメスのベースも、ジグモンドのドラムもいつも通り好調であり、良い感じのパフォーマンスを発揮している。

コニッツとマーシュのサックスについても、ピッチが合って無いだの、イマージネーションに欠けるだの、フニャフニャだの、一部では「ケチョンケチョン」な評価なのだが、今の耳で聴いてみると、そんなに悪く無いと思う。両者とも「トリスターノ派」として活躍していた1950年代前半から半ばのパフォーマンスに立ち返っている様でもあり、内容的にはちょっと「古い」が、決して内容的に劣る、というブロウでは無い。

当時のジャズとして「新しい何か」があるか、と言えば「無い」のだが、トリスターノ派のクール・ジャズの1970年代版として、聴き易く、ソフト&メロウにまとめた、と捉えれば、そんなにおかしい内容では無いだろう。少なくとも、エヴァンス、コニッツ、マーシュ、それぞれがそれぞれの持ち味を活かした、リラックスしたセッションである。

この盤は、評論家筋と一般のジャズ者の方々との評価が大きく分かれる「エヴァンス盤」ではある。まずは自らの耳で聴いて評価することをお勧めする。他人の悪評を鵜呑みにして遠ざけるには惜しい内容のエヴァンス盤だと僕は思う。
 
 
 

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2020年6月21日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・82

ビル・エヴァンスの聴き直しを長々としている。Fantasyレーベルのアルバムを聴き進めて行くと、決まってこの盤でふと立ち止まる。そして、暫く、エバンスは聴かない。そして、再び、意を決して聴いて、必ず、しみじみするのだ。そして、また、エヴァンスを聴き始める。僕にとって、エヴァンスのこの盤は特別なのだ。

Bill Evans『I Will Say Goodbye』(写真)。1977年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gómez (b), Eliot Zigmund (ds)。1977年に録音されているが、直ぐにはリリースされていない。ビル・エヴァンスが逝去したのが、1980年9月15日。追悼盤の様なイメージでのリリース。それでも、1981年のグラミー賞を受賞している。

この盤、リリースされた時に入手して以来、エヴァンスのピアノを聴く「節目」となるアルバムである。当時、エヴァンスが逝去したのは知っていた。しかも、この盤が逝去する3年前の録音であることも理解していた。しかし、このアルバム作成前後に、彼は妻と兄をそれぞれ自殺で亡くしているのは知らなかった。
 
 
I-will-say-goodbye  
 
 
冒頭のタイトル曲「I Will Say Goodbye」を聴いて、耽美的で静的なタッチの中に、ある種の「寂寞感」が濃厚に漂うのが気になった。タイトルが「I Will Say Goodbye」なので、その雰囲気を醸し出しているのか、と思ったが、エヴァンスはそんな感傷的なピアニストでは無い。ほの暗く、どこか諦念感にも通じる、透明感のある弾き回し。

この盤はエヴァンスの個性のひとつである「耽美的」なタッチと「透明感」のある弾き回しが濃厚に出たアルバムである。従来の優れたテクニックとエヴァンス独特の音の重ね方、そして、この盤に溢れる、静的ではあるが躍動感溢れるアドリブ・フレーズ。まさしく、この盤はエヴァンスの代表作の一枚として挙げられるべき好盤である。

バックを支える、エヴァンス・トリオ史上、最高のベーシストであるゴメスも好演、ジグモントのドラミングも硬軟自在で素晴らしい。アルバム全体に「寂寞感」と「諦念感」が漂うのだが、恐らく、録音当時、体調は既に悪かったと思われる。私生活でも悲劇が続く。「寂寞感」と「諦念感」はいざ仕方の無いことかと思う。そんな背景の中、エヴァンスのピアノについては極上のパフォーマンスである。
 
 
 

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2020年6月20日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・175

ジャズの中で、ハードバップ時代から、アフリカ音楽のエッセンスが色濃く反映された個性的なジャズが必ずある。アート・ブレイキー然り、ジョン・コルトレーン然り、デューク・エリントン然り、ウエザー・リポートもそうだったし、当然、マイルス・ディヴィスもそうだった。恐らく、アフリカン・アメリカンの血がそうさせるのだろう、と思っている。

現代においても、その「傾向」は脈々と受け継がれていて、ワールド・ミュージックの要素をしっかりと取り入れたジャズを、何ヶ月に一度は必ず耳にする。今ではアフリカ音楽のエッセンスのみならず、中近東のエスニックな雰囲気や、イスラエルのユダヤ民謡な雰囲気など、幅広くワールド・ミュージックの要素を取り入れている。ジャズは融合の音楽やなあ、と改めて思う。

Gilfema『Three』(写真左)。2020年4月のリリース。パーソネルは、Lionel Loueke (g), Massimo Biolcati (b), Ferenc Nemeth (ds)。Gilfema(”ジルフェマ”と読む) = Lionel Loueke Trio、リオーネル・ルエケがリーダーのキーボードレスのギター・トリオである。ちなみに、Gilfemaというバンド名は3人の名前からそれぞれ文字が取って名付けられた(Lionel Gilles Loueke, Ferenc Nemeth, Massimo Biolcati)とのこと。
 
 
Three-gilfema  
 
 
リオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)は、西アフリカ・ベナン出身のギタリスト。ハンコックやブランチャード、グラスパーのバンドで個性あふれるギターを聴かせている。フェレンク・ネメス(Ferenc Nemeth)は、ハンガリー出身のドラマー。そして、マッシモ・ビオルカティ(Massimo Biolcati)は、スウェーデン生まれのイタリア人ベーシスト。これだけ「米国出身」では無いジャズメンが集まるのだ。普通の米国ジャズをやるとは思えないし、普通の欧州ジャズをやるとも思わない。

全編に渡って、アフリカ音楽のエッセンスが色濃く反映された個性的なジャズが展開されている。ルエケのギターはサステインが短かめでパーカッシヴ、どこかアフリカ的な響きがする。ネメスのドラミングが、これまたアフリカンなリズム&ビートを醸し出しながら、そんなルエケのアフリカ的なギターを後押しする。ビオルカティもベースラインもワールド・ミュージック風。米国ジャズや欧州ジャズの雰囲気は何処にも無い。

ワールド・ミュージックの要素を取り込んだジャズがお気に入りのジャズ者には「溜まらない」内容。ジミヘンの「Little Wing」の秀逸なカヴァーも魅力的。アフリカ音楽のエッセンスが、演奏されるジャズに広がりと躍動感を与えていて、スケールの大きい、ネイチャーな音世界は、どこかパット・メセニー・グループの音世界を想起させる。実に魅力的なワールド・ミュージック系のジャズである。
 
 
 

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2020年6月19日 (金曜日)

ジャズのシンガーソングライター

ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)の新作が出た。4年振り、2016年の『Day Breaks』以来のオリジナル・フルアルバムになる。昨年の『Begin Again』は全編28分のミニアルバムだった。しかも当面の間は、バンドプロジェクト、ガールズ・バンドの「プスンブーツ」の活動に専念すると思っていたので、今回は「ビックリぽん」である。

ノラ・ジョーンズは、2002年、デビューアルバム『Come Away with Me』で大ブレイク。しかし、このデビュー盤がリリースされた当時は、この盤については「これはジャズか?」と揶揄され、「ボーカルだけが目立つ」と散々な評価もあった。ジャズの老舗レベール「ブルーノート」からのリリースだから、やむなくジャズ盤としている、なんてことも言われた。しかし、この盤は世界的には2,500万枚を売り上げた。

ノラのボーカルだけが目立つからジャズでは無い、というのは暴論だろう。ノラ・ジョーンズは、ジャズで初のシンガーソングライターである。自作自演の曲で固めたジャジーなボーカル。そりゃあ目立つだろう。もともとジャズ・ボーカルというものは極力「小作自演」を避けてきた。コンポーザーでは無く、シンガーに徹してきたところがある。シンガーとは「声」が楽器。他の楽器と同列なので、ボーカルだけが突出して目立つことは無い。
 
Pick-me-up-off-the-floor  
 
Norah Jones『Pick Me Up off the Floor』(写真左)。今年6月のリリース。全て、ノラ・ジョーンズの自作自演(11曲中4作は共作)。ノラ自身はピアノを弾き、そして唄う。他のメンバーについては、彼女と親交が深いドラマー、ブライアン・ブレイドとのセッションをベースにしているものの、メンバーは固定せず、ジョン・パティトゥッチ(b)、ネイト・スミス(ds)など、総勢20名以上の名うてのジャズマンが立ち代わり登場する。

しかし、アルバム全編に渡って不思議な統一感がある。ピアノ・トリオをベースとしているが、やはり目立つのはノラの歌声。凄い存在感と説得力のあるボーカル。唄われる曲の雰囲気は穏やかでスピリチュアルなものばかり。しかし、ノラのボーカルが唄われる内容に合わせて、トーンや表現が変わる。これがまた見事に「変わる」ので、全編、音的にも不思議な統一感に支配されているにも関わらず、飽きが来ることは全く無い。

ノラの音世界は「ジャズ・ボーカルとシンガーソングライターとの融合」。自作自演なのだ。ボーカルだけが目立つのは当たり前。しかも、自作自演だからこそ、不思議な統一感が存在し、存在感と説得力が増すのだ。この盤を聴いて思う。従来のイメージを前提にした「これはジャズなのか、ジャズではないのか」の評価は不要だな。今回のノラの新作も「良い音楽」だと評価している。心地良いボーカルと演奏が蕩々と流れていく。
 
 
 

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2020年6月18日 (木曜日)

タイナーのチャレンジ精神

1970年代のマッコイ・タイナーは「向かうところ敵なし」。しかも人気は抜群。当然、レコード会社もタイナーのやりたいようにやらせていたフシがある。逆にタイナーもレコード会社の要望にはできる限り応えていたみたいで、とにかく、様々な編成で、様々なアレンジで「タイナー・ミュージック」を展開していた。

McCoy Tyner『Inner Voices』(写真)。1977年9月の録音。マッコイ・タイナーが編成したビッグバンドに、コーラスが加わる、ジャズとしては摩訶不思議な編成。このコーラスはクラシック風の正統派なコーラス。タイナーのビッグバンドは、筋金入りの、コルトレーン・ミュージックを昇華・深化させた「タイナー・ミュージック」のてんこ盛り。

冒頭の「For Tomorrow」、いきなりコーラスから入る。思わずジャケットを見直す。すると、明らかにマッコイ・タイナーのピアノが「ガーン・ゴーン、パラパラパラ」と、左手の強いアタックがスピリチュアルに響き、右手の「シーツ・オブ・サウンド」な硬質フレーズが疾風の如く疾走する。ここでもタイナーのピアノは好調である。
 
 
Inner-voices  
 
 
かたや、ビッグバンドの演奏は先鋭的。明確に「タイナーミュージック」。ビッグバンドでモード・ジャズをやってるんで、これはこれで凄い。しかし、なんだがトランペットが入っている分、1960年代のマイルスの「黄金のクインテット」を聴いている感じがどうにも「いけない」。その点を除けば、極上のモード・ジャズである。1970年代後半、純ジャズ受難の時代に、素晴らしいパフォーマンスである。

さて、コーラスである。スピリチュアルな響き、スピリチュアルな志向を増幅する為に取り入れたのだろう。『Sahara』(1972年)での、タイナーの琴、フルートよりは効果があると思うが、『Extensions』(1970年)のアリス・コルトレーンのハープほどでは無い。やりたいことは判るんだが、クラシック風の正統派なコーラスの響きが、相対するビッグバンドの「モード・ジャズ」と融合しきれていない、と感じるのだ。

この盤は、聴き手の、この「コーラス」に対する想い、によって評価が変わるだろうなあ。精神性の部分を楽器によって表現する。意外と難題で、コルトレーンも苦労した。タイナーもこの難題に様々な形で挑戦している。その1つがこの「コーラス」。この盤でも、あくまで前進あるのみ、「タイナー・ミュージック」のチャレンジ精神が溢れている。この盤の評価については、僕はそのチャレンジ精神を買いたい。
 
 
 

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2020年6月17日 (水曜日)

絶好調、モントルーのタイナー

1970年代のマッコイ・タイナーは「向かうところ敵なし」状態だった。コルトレーン・ミュージックを継承、さらに発展〜深化させて、様々なフォーマットやアレンジで、彼独特の「タイナー・ミュージック」の音世界を展開した。当然、人気もうなぎ上り。1970年代のメインストリーム・ジャズは、マイルス門下生の活躍が目立ったが、その中で、コルトレーン門下生のマッコイ・タイナーが一人「気を吐いていた」。

McCoy Tyner『Enlightenment』(写真左)。1973年7月7日、スイスの Montreux Jazz Festival でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, perc), Azar Lawrence (ts, ss), Juni Booth (b), Alphonse Mouzon (ds)。少人数編成では、ドラムのムザーンは『Sahara』以降、ほぼ固定されているが、サックスのローレンス、ベースのブースは新起用である。

このスイスのモントルーでのライヴは、ジャケットのタイナーの横顔通り、熱い、汗のしずくが飛び散るが如くの「ど迫力」な演奏。特に、タイナーは絶好調で、指が回りに回る、アドリブ展開のイメージが縦横無尽に広がる。そして、どこまでも生真面目にスピリチュアルな「コルトレーン・ミュージック」を展開する。なにせ、タイトルが「Enlightenment=啓発・啓蒙」である。どこまでもストイックな、どこまでもスピリチュアルな音世界に思わず「トランス状態」になる。
 
 
Enlightenment
 
 
コルトレーン・ミュージックのスピリチュアルな部分を、シーツ・オブ・サウンドを駆使して、難解さを取り除き、判り易く聴き易く展開する。それがこの時代の「タイナー・ミュージック」の真髄だと思うんだが、それにしても見事。ここまで発展〜深化させると、コルトレーン・ミュージックというより、タイナーオリジナルな音世界と捉えて良いと思う。特にこのあくまでメインストリーム・ジャズの範疇に留まった「判り易さ」が良い。

サイドマンを見ると、テナーのローレンスが健闘している。ポスト・コルトレーンの本道を行く、熱気溢れる、テクニック溢れる吹きっぷりは見事。ローレンスの吹きっぷりも「熱い」。このライヴでのパフォーマンス、ローレンスのベスト・プレイの1つではないか。そして、ベースのブース。コルトレーンの「伝説のカルテット」のベーシスト、ジミー・ギャリソンの如く、ドライブ感豊かなベースは意外と良い。しかし、音程がちょっと「オヨヨ」なのが惜しい。

ムザーンのドラムが「タイナー・ミュージック」の要。ムザーンの「安定したリズム&ビートの供給」があるからこそ、タイナーもシーツ・オブ・サウンドを駆使して、思いっ切りピアノの弾き回せるのだ。サックスのローレンスの優れたブロウもムザーンのドラミングが引き出したとも言える。いやはや、このライヴ盤でのマッコイ・タイナー・カルテットは絶好調である。聴き所満載。
 
 
 

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2020年6月16日 (火曜日)

アフリカ志向のモーダル・ジャズ

今年3月6日、マッコイ・タイナーが亡くなった。ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、その演奏スタイルは多くのピアニストに影響を与え、フォロワーを生んだ。一聴すればすぐ判る、左手の強いアタック、右手の「シーツ・オブ・サウンド」な硬質フレーズ。明らかにコルトレーンの影響下にあり、コルトレーンのテナーの伴奏に最適な奏法で一世を風靡した。

僕はこのタイナーのピアノが好きで、ジャズを聴き始めた頃から、ずっと40年以上、折に付け、彼のリーダー作を聴いてきた。当ブログでのマッコイ・タイナーのリーダー作については、カタログにある正式にリリースされてものは、全てレビューをアップする方針でやってきた。が、1970年代に限って、カタログと照らし合わせたら、まだまだ抜けがあるではないか。ということで、1970年代のマッコイ・タイナーのリーダー作の「落ち穂拾い」である。

McCoy Tyner『Extensions』(写真左)。1970年2月9日の録音。ブルーノートの「BN-LA 006-F」。ブルーノートがロサンゼルスに拠点を置いていた時代に発表した作品群「BNLAシリーズ」の一枚。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Gary Bartz (as), Wayne Shorter (ts, ss), Ron Carter (b), Elvin Jones (ds), Alice Coltrane (harp, tracks 1, 3 & 4)。バーツのアルトとショーターのテナーの2管フロントのクインテット編成に、ハープのアリス・コルトレーンが参加するイメージ。
 
 
Extentions-1  
 
 
クインテット編成の演奏なんだが、とにかく「分厚い」。まるでビッグバンドを聴いているようだ。タイナーの音作り&アレンジの方針は、コルトレーンの『アフリカ/ブラス』。当時のトレンドだったアフリカ志向のモーダル・ジャズ。アフリカの大地を想起させるような躍動感、ワールド・ミュージック志向のフレーズの響きは「エスニック&アフリカン」。曲のタイトルも「Message From The Nile」「Survival Blues」とアフリカ志向を掻き立てる。

そんなアフリカ志向のモーダル・ジャズの展開の中で、マッコイ・タイナーのピアノが際立っている。左手の強いアタックが「ガーン・ゴーン」とスピリチュアルに響き、右手の「シーツ・オブ・サウンド」な硬質フレーズが疾風の如く疾走する。タイナーならではの音世界。そして、アリスのハープが実にスピリチュアルな響きで、この盤でのハープの存在については違和感は無い。

他のバックを務めるメンバーはいずれも好演しているが、特に、ウェイン・ショーターが良い。テナーの吹きっぷりも見事だが、この盤では、ショーターのソプラノ・サックスが素晴らしい。この盤の音世界のイメージにピッタリで、ショーターのソプラノ・サックスのスピリチュアルな響きに思わずゾクッとする。1970年代の初頭を飾るタイナーの一枚。好盤である。
 
 
 

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2020年6月15日 (月曜日)

1970年代クインシーの第一歩

久々に「クインシー・ジョーンズ」を聴き直している。特に1970年代。クインシー・ジョーンズのビッグバンドが一番充実していた時代である。クインシーのアレンジは「融合」志向。1960年代から、ジャズをベースとしながらも、他のジャンルの音世界と融合して、クインシー独特の音世界を創り出してきた。

そして、1970年代のクインシーは「R&B」をメインとした米国ルーツ・ミュージック、アフリカン・アメリカンのルーツ・ミュージックをピックアップした、例えばソウル、R&B、そしてゴスペルとの融合。そして、いち早い「フュージョン・ジャズ」への適応。そんなクインシー独特の個性を反映したビッグバンド・ミュージックを収録したアルバムが多数リリースされている。その先鞭をつけたのがこのアルバム。

Quincy Jones『Smackwater Jack』(写真)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、メインストリーム・ジャズ系、クロスオーバー・ジャズ系の一流ミュージシャンが多数参加している。主だった者を上げると、Freddie Hubbard (flh), Eric Gale, Jim Hall, Joe Beck (g), Toots Thielemans (harmonica), Grady Tate (ds, perc), Bob James, Joe Sample (key), Jaki Byard, Monty Alexander (p), Jimmy Smith (org), Milt Jackson (vib), Chuck Rainey, Bob Cranshaw, Ray Brown (b) 等々、新旧織り交ぜた優れもの集団。
 
 
Smackwater-jack
 
 
アレンジが素晴らしい。かつ、選曲がユニーク。冒頭、タイトル曲の「Smackwater Jack」は、1971年のキャロル・キングの名盤 『Tapestry』収録の名曲。この名曲をいち早く採用し、グルーヴ感溢れる、クールでR&B風なアレンジを施している。続く2曲目の「Cast Your Fate To The Wind」はメロウな名演で、既に後のフュージョン・ジャズの「ソフト&メロウ」を先取りしている。

3曲目の「Ironside」は、邦題「鬼警部アイアンサイドのテーマ」。イントロのサイレン音、ブラスのユニゾン&ハーモニーを聴くだけで「ああ、あれか」とニンマリする有名曲。我が国でもテレビ番組やコマーシャルのBGMに使われている。続く4曲目の「What's Going On」はマーヴィン・ゲイの名曲のカヴァー。この曲はジャズの世界で結構カヴァーされているが、このクインシー版のカヴァーが秀逸。前半のボーカル部も良い雰囲気だし、後半のインストは、1971年にして極上のフュージョン・ジャズな展開。惚れ惚れする。

続く「Theme from "The Anderson Tapes”」は極上のジャズ・ファンク。ビル・コスビーのヴォーカルをフューチャリングした「Hikky Burr」もクールでジャジーなR&B風アレンジが効いている。1970年代のクロスオーバー〜フュージョン・ジャズの雰囲気を先取りした、クインシーのビッグバンド・サウンドは実に「新しい」。正統なビッグバンド・ジャズという観点では、このクインシーのビッグバンドは「異端」。しかし、今の耳で聴くと実に「新しい」。今でも古さを感じさせないのは流石だ。
 
 
 

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2020年6月14日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・174

ジャズのビッグバンドについては、1950年代の終わりから1960年代に入って、どんどん深化していった。まずアレンジのテクニックの深化。1950年代は、デューク・エリントン楽団か、カウント・ベイシー楽団か、どちらかのアレンジや展開が主流だった。米国西海岸ジャズにおいては、西海岸ジャズの「聴かせるジャズ」の流れのもと、洒落たアレンジを施した、お洒落なビッグバンド・ジャズが流行っていた。

が、この米国西海岸ジャズの洒落たアレンジのビッグバンドの流れを取り入れつつ、ギル・エヴァンス、クインシー・ジョーンズ、オリバー・ネルソンらを中心に、優れたアレンジのもと、アーティスティックなビッグバンド・ジャズが展開されたのが1950年代の終わりから1960年代。それまでのビッグバンド・ジャズの定石に囚われない、新しい音の響きが爽やかである。

Quincy Jones and His Orchestra『The Quintessence』(写真左)。1961年11月29日と12月18日の録音。パーソネルは、3つのグループに分かれる。どういう意図で分けられたのかは判らない。しかし、どのグループの参加メンバーにも、当時の一流どころのジャズメンが顔を揃えている。ジャズオケには珍しい楽器、ハープやチューバ、フレンチホルンが音の彩りを添えている。
 
 
The-quintessence
 
 
この盤の冒頭のタイトル曲「The Quintessence」を聴くにつけ、アレンジのテクニックが飛躍的に向上しているのを感じる。ブルースに拘らない、アーバンでジャジーな、じっくりと「聴かせる」アレンジが素晴らしい。とにかく、じっくりと聴いていると、それまでにないユニゾン&ハーモニーの響きとか、それまでにない楽器、ハープやチューバ、フレンチホルンの「小粋な」使い方がしっかりと確認できて、とにかく面白い。

加えて、ビッグバンドの演奏も、当時のジャズ演奏について最先端のトレンド、モードとかフリーとか、を駆使して、とにかく「新しい」音を繰り出している。クインシー・ジョーンズのビッグバンドのアレンジは、ソロイストのパフォーマンスが活きる様な、映える様なアレンジ。この盤に参加している名うての名手達は、そんなアレンジの中、魅力的なアドリブ・ソロを展開している。
 
クインシー・ジョーンズのアレンジには、コマーシャルな雰囲気は感じ無い。ストイックでアーティスティックな雰囲気の中、爽やかなファンクネスが漂うところが堪らない。この『The Quintessence』では、そんなクインシーのアレンジの妙が心ゆくまで堪能出来る。そして、最後に、この盤、録音がとても良い。楽器毎の音の分離と粒立ちが明確、出来れば良い再生装置で、そこそこの音量で聴いて欲しい。心地良い迫力満点です。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

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2020年6月13日 (土曜日)

キースのソロ・ライヴの節目

ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、キース・ジャレット。1996年の秋、慢性疲労症候群の為に、一切の活動を休止した。

僕達はキースの演奏の記録を、演奏の結果を聴き続けていた訳で、リアルタイムにキースの演奏を聴き続けてきた訳ではない。しかも、アルバムにされるのは、その時点でのベスト・パフォーマンスに近いもののみ。アルバムを追い続けてきた我々にとっては全く兆しの無い状況の中で、当時、あまりに突然の事にビックリした。

Keith Jarrett『La Scala』(写真左)。1995年2月13日、イタリアはミラノの Teatro alla Scala でのライヴ録音。キース・ジャレットのソロ・パフォーマンスの記録。当時『ウィーン・コンサート』以来、5年ぶりのソロ・ライヴ盤。キースが慢性疲労症候群の為にリタイアする直前の録音の1つ。

その他のリタイア直前の記録は、ソロとしては、2016年にリリースされた『A Multitude of Angels』(キース本人DATを持ち込んでが録音していたものらしい)、「スタンダーズ・トリオ」の記録としては『Tokyo '96』(2018年3月8日のブログ参照)がある。この2020年になって、その頃の録音を振り返って聴き直してみると、やはり、1995年以降、キースはそれまでの勢いとテンションをスローダウンさせていたと感じるのだ。
 
La-scala  
 
さて、この『La Scala』であるが、冒頭の長編「La Scala, Part 1」は、それまでのキースのソロらしからぬ、マイナー調で思索的、ほの暗く瞑想的。アドリブ展開など、キースのソロが落ち着いている。あのキースの「唸り声」も目立たない。しかし、とても判り易いキースのソロである。この「判り易さ」もキースらしからぬところ。どこか諦念感が漂う感じがとても気になる。

続く「La Scala, Part 2」は、フリーキーな無調の演奏がメインで、いつものキースのソロが復調している。アグレッシブでメリハリが効いていて、ところどころフレーズが捻れていて複雑なところがあって、唸り声が絶好調。しかし、良く聴くと繰り返しの手癖がところどころ出てきて、弾きながらの思索が見え隠れして、どうもキースはソロ・パフォーマンスについてマンネリズムを感じているのか、と感じた。

そして、極めつけは、ラストの「Over the Rainbow」。オズの魔法使いの挿入歌で、ジャズの有名なスタンダード曲。それまでキースはソロ・パフォーマンスでは、スタンダード曲をソロ・パフォーマンスのモチーフに一切選ばなかった。この辺がキースの硬派なところなんだが、このライヴ盤のラストに突如として、有名スタンダード曲を持って来た。これは何を意味することだったのか。

ソロの即興演奏のコンセプトとモチーフのベースとなった『ケルン』以降、『ケルン』が1975年だから、それ以降20年。『ケルン』とこの『ラ・スカラ』含めて9枚のソロ盤を積み重ねてきたが、この『ラ・スカラ』で一旦の区切り、節目を見たのではないか。そんな感じのする、僕にとって象徴的なソロ・ライヴ盤なのだ。
 
 

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松和の別館を一気に更新です。

ヴァーチャル音楽喫茶『松和』関連のブログについては、メインブログが、この「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」。

現在、メインブログ以外の「別館」については以下の3つが立ち上がっていて、ジャズ以外の話題、AOR、1970年代ロック、1970年代Jポップの3ジャンルの話題をメインブログから、加筆〜再掲しています。
 
今日、しばらく滞っていた更新を一気に実施しました。お楽しみ下さい。

 

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2020年6月12日 (金曜日)

「梅雨の時期」に聴きたくなる

アジマス(Azimuth)は、英国のジャズ・トリオ。トランペット奏者のケニー・ホイーラー、ボーカリストのノーマ・ウィンストン、ウィンストンの夫でピアニストのジョン・テイラーというトリオ構成。3人とも英国出身。「バップ命」の英国出身のジャズ系ミュージシャンが、ECMレーベルで「ニュー・ジャズ」をやるのだから面白い。

Azimuth with Ralph Towner『Départ』(写真)。1979年12月の録音。ECM 1163番。改めてパーソネルは、John Taylor (Pp, org), iNorma Winstone (voice), Kenny Wheeler (flh, tp), Ralph Towner (12-String and Classical Guitar)。アジマスのメンバー3人に、ECMのお抱えギタリストの一人、ラルフ・タウナーが客演したアルバムになる。

アジマスの音世界は「即興演奏をベースとしたアンビエント志向のニュー・ジャズ」。明らかにECMレーベル好みのニュー・ジャズな音世界で、従来のビートの効いたジャズとは全く異なる、即興演奏をメインとした、まるで印象派の絵画を見るような、カラフルな音を駆使したインタープレイ。ビート感は希薄だが、アドリブ展開など、インプロビゼーションの基本は「モード・ジャズ」だろう。
 
 
Depart  
 
 
クールなホイーラーのトランペットとテイラーのピアノ、そして、そこに流れるウィンストンの「女性スキャット」は、現代の「クールなスピリチュアル・ジャズ」に直結するもの。静的なエモーショナルは「ニュー・ジャズ」に相応しい。が、展開のバリエーションが少ないので、複数枚アルバムをリリースすると、その内容としては「金太郎飴」的なマンネリズムに陥り易い。

そこで工夫を凝らしたのが、この「with Ralph Towner」。タウナーのギターは、このアジマスの音世界に繋がる、クールで静的でエモーショナルなギター。アジマスの音世界にピッタリ合う。この盤を聴いていても違和感が全く無い。しかし、従来のアジマスのピアノ、トーンペット、ボイスの展開に、タウナーのギターが入るだけで、その内容はガラッと変わる。

タウナーのどこかクラシック風の、欧州のニュー・ジャズ志向の明快なタウナーのギターの音に導かれて、後にジャズの演奏トレンドの1つとなる、上質の「スムース・ジャズ」の世界に昇華している。ECMレーベルの総帥アイヒヤーのプロデュースの賜であろう。

クールで静的、透明感+清涼感のある音世界は、今の「梅雨の時期」に聴きたくなるジャズの代表格。冷たいアイスコーヒー片手に聴いてます。
 
 
 

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2020年6月11日 (木曜日)

復帰後ロイドのブロウの個性

いよいよ梅雨入りである。このところ暫く、好天が続いたので梅雨入りが遅れた感があるが、こうやって入梅してみると、やっぱり梅雨は鬱陶しい。とにかく湿度が高いのが困る。ちょっと動いただけで「ベトベト、ジメジメ」。じんわり変な汗までかいて、不快なことこの上無し。こういう時には、クールで静的な耳に優しいジャズが良い。

と言うことで、今日も昨日に引き続き、復活後の「チャールズ・ロイド(Charles Lloyd)」。復活後のロイドは、こうやって振り返って聴くと、現代のジャズの新しいスタイルである「クールで穏やかなスピリチュアル・ジャズ」の先鞭を付けているように感じる。

恐らく、ECMレーベルの総帥アイヒヤーも、当のリーダーのロイドも、当時はあんまり意識はしていなかったとは思うが、1990年代のロイドのリーダー作は、そんな「新しいジャズの響き」に満ちている。

Charles Lloyd『All My Relations』(写真左)。July 1994年7月、ノルウェーはオスロの Rainbow Studio での録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, Tibetan oboe), Bobo Stenson (p), Anders Jormin (b), Billy Hart (ds)。パーソネルは、前作『The Call』と同じ。復活後、やっとメンバーが固定化された。ということは、いよいよ、復活後の演奏のコンセプトとモチーフが固まった、ということなのだろう。
 
 
All-my-relations  
 
 
ECMの音のカラーを踏襲した、クールで穏やかなモード・ジャズ。耽美的であり静的であり、それぞれの音に透明感が溢れ、そこに心地良いECM独特のエコーがかかる。ロイドは意外と昔の演奏スタイルに戻って来ている。基本はコルトレーン。しかし、複雑でエモーショナルなブロウは皆無。判り易くポップなコルトレーン。しかし、そこに加わるのは、復帰後の独特の個性である「クールでスピリチュアルな」ブロウ。これが復帰後のロイドのブロウの個性の「決め手」となっている。

この盤、全編に渡って聴いていると、このロイドの「クールでスピリチュアルな」ブロウは、ピアノのボボ・ステンソンに引き出されているのでは、と感じるのだ。キースほど難しくは無い、奥ゆかしく、シンプルで耽美的で透明感のある「北欧ジャズ」ならではのステンソンのピアノ。ヨルミンのベースとハートのドラムの良きサポートを得て、ステンソンのピアノがロイドのテナーを支え、鼓舞する。

ECMの総帥アイヒヤーが全体をほど良くプロデュースして、前作までの「北欧のスピリチュアルなジャズ」は、この盤で「ロイドならではの新しいスピリチュアル・ジャズ」に昇華されている。後にジャズ演奏のトレンドとなる「端正で透明度の高い、クールなスピリチュアル・ジャズ」にいち早く適応している。

コルトレーン・スタイルの「ECMレーベルとの邂逅」。その結果が、このロイドの「クールでスピリチュアルな」ブロウに結集している。
 
 
 

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2020年6月10日 (水曜日)

北欧のスピリチュアルなジャズ

ジャズの世界では、第一線で活躍していたジャズマンが引退状態になって、何かの切っ掛けで「復活」する例が結構ある。人気が無くなってしまったが、時間をおいて復帰したら人気が戻って来た、とか、自らのプレイに自信が無くなって、しばらくライヴ・シーンから距離を置いて練習に勤しんで、自信を取り戻して復帰したり、理由は様々。

この人の場合は理由は良く判らない。1960年代後半、ピアノのキース・ジャレット、ベースにセシル・マクビー、ドラムにジャック・デジョネットという「とんでもないピアノ・トリオ」をリズム・セクションに従えて、コルトレーンを判り易くポップにしたブロウで人気を博した「チャールズ・ロイド(Charles Lloyd)」。ヒッピー・ムーヴメントに乗って人気を獲得し、時代の寵児となった。が、1970年代に入ると人気は失速、1980年代には録音が殆ど無い状態になった。いわゆる「過去の人」となってしまった。

Charles Lloyd『The Call』(写真左)。1993年7月、ノルウェーはオスロの Rainbow Studio での録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts), Bobo Stenson (p), Anders Jormin (b), Billy Hart (ds)。リーダーのロイドとドラムのハートは米国人、ピアノのステンソンとベースのヨルミンはスウェーデン人。ロイドのテナー・サックスがワンホーンの米欧混合のカルテット編成。
 
 
The-call-1  
 
 
1989年、ECMレーベルから突如復活したチャールズ・ロイド。その復活を捉えたリーダー作が『Fish Out of Water』(2019年12月1日のブログ参照)。ステンソンのピアノをメインにした北欧人リズム・セクションを従えての復活。続く『Notes from Big Sur』(2019年12月12日のブログ参照)ではドラムが米国人に代わって米欧混合カルテットでの演奏。しかし、演奏内容は明らかに「北欧ジャズ」。北欧ジャズそのものの雰囲気の中で、ロイドは北欧ジャズらしい、透明度の高い、クールなブロウを披露。過去のロイドを知る我々は思わず仰け反った。

そして、この『The Call』が復帰第3作。ピアノのステンソンは変わらない。ベースは代わったが北欧人、ドラムも代わったが米国人。しかし、奏でる音は変わった、というか「落ち着いた」。透明度の高い、クールなブロウは変わらないが、北欧臭さはかなり抜けて、クールで耽美的でエモーショナルな「スピリチュアル」な要素を前面に押し出した音に「落ち着いて」いる。アルバム全体がスピリチュアルなので、途中出てくるフリーキーなフレーズも違和感無く響く。

以前はコルトレーンの判り易いコピー、コルトレーンを判り易くポップにしたブロウで人気を博したのだが、復活後は、モーダルなブロウは、そこはかとなくコルトレーンの影を感じさせるが、スピリチュアルな表現のベースは「北欧ジャズ」。米国人のロイドが「北欧のスピリチュアルなジャズ」をブロウする。過去には無かった静謐なフレーズも良い味を醸し出していて、ここにきて、ニュー・ロイドの音の方向性が定まったのでは、と感じる。なかなかの好盤である。
 
 
 

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2020年6月 9日 (火曜日)

スタジオ録音の『ケルン』である

このところ、キース・ジャレットを聴き直している。当ブログで採り上げていないアルバムを洗い出して、聴き直しているんだが、「あれ〜、こんな有名盤、アップしてなかったけ」という盤が幾つかある。基本的にはブログのアップについては、録音年月日順に、順番にアップしているはずなんだが、時々、飛ばして、そのまま忘れているんだろうなあ。面目ない。

Keith Jarrett『Staircase』(写真)。1976年5月、仏はパリの Davout Studios での録音。キース・ジャレットのソロ・ピアノ盤。ECMレーベルから、当時、LP2枚組でリリースされている。キースのソロ・ピアノ盤としては、『Facing You』『Solo Concerts: Bremen/Lausanne』『The Köln Concert』に次いで4枚目のアルバム、スタジオ録音としては『Facing You』に次いで2枚目になる。

僕はこのソロ・ピアノ盤を「スタジオ録音の『ケルン』」と呼んでいる。ソロの即興演奏のコンセプトとモチーフについては、先にリリースされている『ケルン』に準じているように思う。初のソロ盤だった『Facing You』、初のライブ盤だった『Solo Concerts』については、試行錯誤、手探り状態が見え隠れして、『The Köln Concert』に至っては、キースの体調は絶不調、ピアノの調律は最悪という状態で録音された、工夫に工夫を重ね、どうにかこうにか最後まで行き着いた感が満載の、普通であれば「捨て録音」。
 
 
Staircase_20200609201801    
 
 
しかし、この『The Köln Concert』の出来が素晴らしく良かった。トラブルの連続の中で録音されたとはいえ、プレイバックを聴いて、ECMの総帥アイヒヤーもキース本人もアルバム化することに同意しているのだから、その出来は素晴らしい。怪我の功名というか、瓢箪から駒というか、キースもアイヒヤーも意識して生み出した好盤では無かったが、この『ケルン』のコンセプトとモチーフが、当時のキースのソロの基本となった節がある。

基本的にデッドなスタジオ録音なので、エコーは浅い。というか『ケルン』が深すぎるんだろう。ECM独特のエコーに乗って、キースのソロが冴え渡る。『ケルン』で聴き親しんだフレーズの「骨格」がここかしこに聴かれるのが楽しい。スタジオ録音とはいえ、一発録りだったらしいので、演奏毎に張り詰めるテンションが心地良い。コンセプトとモチーフが予めしっかりしているので、キースのタッチに淀みはなく、フレーズの展開に「試行錯誤」が無い。

このソロ盤には、キースの「試行」「何とかしようとする想い」が無い分、後にキースの個性として定着した「唸り声」も無く、スッキリとした、ストレートな弾き回しのソロ・パフォーマンスになっている。トラブルの連続の中で録音された『ケルン』の様な、一種ハラハラするような「スリリング」な要素は無い。このソロ盤でのキースは「確信」に満ちているように感じる。キースのソロ盤の中でも屈指の好盤です。
 
 
 

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2020年6月 8日 (月曜日)

もはや無敵のインタープレイ

キース・ジャレットが活動を停止して2年になる。キース・ジャレットが2018年の活動をすべてキャンセルの報が流れたのが、2018年の6月。理由は「健康上の理由」。それ以来、キースに関する情報は何も流れてこない。スタンダーズを解散したのが2014年。その4年後にキース自身が活動停止。キースは1945年生まれ。今年で75歳。奇跡の復活はあるのだろうか。

Keith Jarrett『Always Let Me Go』(写真左)。2001年4月、東京のオーチャード・ホールと東京文化会館でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。キースの「スタンダーズ・トリオ」の3人だが、このライヴ盤で演奏されている内容はスタンダード曲では無い。完全なオリジナル、完全即興演奏一色の内容。

もともと、2001年4月23日~30日まで5夜に渡るライブ公演の内容は、全体の5分の3が「スタンダード曲」残りの5分の2が「オリジナルな即興演奏」という構成だったらしいが、本作はその内の5分の2に当たる「オリジナルな即興演奏」部分だけを抽出した内容になっている。キースの「スタンダーズ’トリオ」の3人の名前をジャケットで見ただけで、これは「スタンダード曲集」だな、と思って買うとビックリする位の「オリジナルな即興演奏」がギッシリ詰まっている。
 
 
Always-let-me-go  
 
 
とにかく全編、徹底した即興演奏が繰り広げられている。確かにキースの「スタンダーズ・トリオ」は、たまに「完全即興演奏」のアルバムを突如リリースするのだが、その演奏内容については、リーダーのキースが中心だった。基本的にキースのパフォーマンスが目立つような展開だったのだが、今回のライヴ盤については「3者均等」なのだ。ベースのピーコックも、ドラムのデジョネットも、キースと同じくらいの時間割り当てで、同じくらい目立っている。

キースのピアノについては尖った部分が穏やかになり、悟りを開いたような流麗感がそこかしこn漂う。『慢性疲労症候群』からの復活以降のキースの個性なので、気にはならない。一番目立っているのは、ドラムのデジョネット。あらん限りのテクニックを駆使して、凄まじいばかりの、鬼気迫る様な即興ドラミングを繰り広げている。それに呼応する様にブンブン唸りをあげるピーコックのベースも何時になく目立ちまくっている。

この3者3様のインタープレイを聴くと、やっぱりこの3人の演奏って「抜きん出ている」。他のジャズメンもなかなかやるなあ、なんて思っているのだが、この完全即興演奏をCD2枚分聴かされると、やっぱりこの3人の演奏って素晴らしい。前作『Inside Out』の続編のような内容だが、こちらの盤の方が、デジョネットとピーコック、リズム隊の2人が目立ちに目立っている。3者均等の「スタンダーズ・トリオ」。トリオのインタープレイとしては、もはや「無敵」の内容である。
 
 
 

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2020年6月 7日 (日曜日)

クロスオーバーなジャズ・ファンク

クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの時代、当時のフュージョン畑の人気ドラマーのリーダー作は、ジャズ・ファンクな内容が多かった。R&Bばりにボーカルをふんだんに入れたり、従来のメインストリームなジャズからは考えられなかった内容のアルバムが多くリリースされた。硬派にメインストリーム志向な内容をキープしたドラマーは殆どいなかったのだから面白い。

Harvey Mason『Marching In the Street』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、主だったものを上げると、Harvey Mason (ds), Chuck Rainey (b), Paul Jackson (b), Lee Ritenour (g), Dave Grusin (p), Herbie Hancock (key), Blue Mitchell (tp), Ernie Watts (ts, fi), Benny Maupin (ts), Hubert Laws (fl), George Bohannon (tb), Randy Crawford (vo) 等々。

クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの時代の「ファースト・コールなドラマー」の一人、ハーヴィー・メイソンの初リーダー作になる。他のドラマーのリーダー作の例に漏れず、音はクロスオーバーな雰囲気のジャズ・ファンク。

但し、パーソネルを見て判る様に、クロスオーバー&フュージョン畑の中堅どころがズラリ集まっているので、音としては「フュージョン・ジャズの入口」の様な、成熟したジャズ・ファンクが展開されている。
 
 
Marching-in-the-street  
 
 
冒頭の「Marching In The Street」が面白い。タイトル通り、マーチとファンクが合体した独特のリズム&ビートが個性的な曲で、フュージョン・ジャズの先駆け的なアレンジが良い雰囲気を醸し出している。行進曲らしい、ワッツのピッコロのフレーズも楽しい。 後のグルーシンの代表曲の1つとなる「Modaji」も良い雰囲気。ロウズのフルートが素敵だ。ハーヴィーの繊細なドラミングも見事。

ハンコック率いる「ヘッドハンターズ」から、ハンコック、モウピン、ジャクソンが参加している「Hop Scotch」と「Fair Thee Well」は、ハービー・メイソンのファンキーなドラミングが前面に押し出され、まるでメイソン率いる「ヘッドハンターズ」と言う感じの音世界。リーダーとしてはデビュー前のリトナーのエレギも良い。もうここで既に「リトナー節」が確立されている。

ラストの「Building Love (Hymn)」は、ゴスペル・チックな、心地良いファンキーなリズム&ビートが芳しい名演。アフリカン・アメリカンの基本、米国ルーツ音楽をしっかりと踏まえていて、感動的なエンディング。ハービー・メイソンの良い内容の初リーダー作です。

我が国ではあまり採り上げられることは無いんですが、クロスオーバーな雰囲気のジャズ・ファンクの好盤。ジャケットもジャズ・ファンクらしいイラスト・デザインで良し。
 
 
 

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2020年6月 6日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・173

緊急事態宣言は解除になったとは言え、東京、神奈川はまだまだ予断を許さない状況が続いている。しかしながら、季節は着実に前に進んでいて、一昨日、昨日は「梅雨前の真夏日」がいきなりやってきて、熱中症になるんじゃないか、と思う位の蒸し暑さ。そして、今日はほとんど梅雨に入ったかのような、どんより曇り空。梅雨になれば、また家に引き籠もる日が増える。またジャズを聴く機会が増える。

さて、現代の「コンテンポラリーな純ジャズ」基調のジャズ・ギターの特集3連発である。一昨日は「カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)」、昨日は「ウォルフガング・ムースピール(Wolfgang Muthspiel)」。次世代を担う中堅ギタリストと思われる二人の好盤をご紹介した。そして、今日は「ケヴィン・ユーバンクス(Kevin Eubanks)」。

Kevin Eubanks『East West Time Line』(写真左)。2017年の作品。パーソネルは2グループに分かれる。前半の1-5曲目については、Kevin Eubanks (g), Orrin Evans (p, rhodes), Dave Holland (b), Nicholas Payton (tp), Jeff ‘Tain’ Watts (ds)。後半の6-10曲目については、Kevin Eubanks (g), Rene Camacho (b), Mino Cinelu (per), Bill Pierce (ts), Marvin ‘Smitty’ Smith (ds)。
 
 
East-west-time-line  
 
 
ユーバンクス作曲の1-5曲目と、ジャズメン・オリジナル、その他カヴァー曲の6-10曲目とに分かれ、パーソネルも異なっている。前半のユーバンクス・オリジナルで固めた演奏は、演奏メンバーの個性通り、モーダルではあるが、自由度の高い演奏がメイン。ニュージャズ志向のイメージが強い。ファンキーなビートも見え隠れするんだが、ふんわりとした透明感が漂うところが「クールなスピリチュアル・ジャズ」の印象で、いかにも現代のジャズ・ギターらしい。

ジャズメン・オリジナル、その他カヴァー曲の6-10曲目は、規律に則ったネオ・ハードバップ志向が強くなる。エリントン作の「Take The Coltrane」、チック・コリアのRTF時代の名曲「Captain Señor Mouse」、レイ・ブライアントの人気曲「Cubano Chant」、そして、R&Bのマーヴィン・ゲイの大ヒット作「What's Going On」と魅力的な楽曲がズラリと並ぶ。ストレート・アヘッドな、グッと締まったネオ・ハードバップ。

この盤は、現代のジャズ・ギターの二面性である(と僕が考える)、「ニュージャズ志向のクールなスピリチュアル・ジャズ」と「規律に則ったストレート・アヘッドなネオ・ハードバップ」の両方がしっかりと確認出来る好盤。ケヴィン・ユーバンクスのクールで尖ったギターは歌心&テクニック共に冴え渡り、現代のジャズ・ギターを代表する好盤の一枚、一聴の価値ありかと思います。
 
 
 

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2020年6月 5日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・172

ジャズ・ギターについては、この5年位で世代交代が進んでいる感が強い。もともと、メインストリーム系のジャズ・ギターの中核メンバーが「ジョン・スコフィールド」と「パット・メセニー」。両者とも21世紀に入って、コンテンポラリーな純ジャズ基調のアルバムをリリースするようになった。その内容たるや、素晴らしいもので、この2人は、ジャズ・ギター界を背負って立つ「推しも押されぬ」存在となった。

しかし、この5年前くらいから、この「ジョンスコ」もしくは「メセニー」のフォロワー・イメージの「次世代を担う中堅ギタリスト」が頭角を現してきた。昨日、ご紹介した「カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)」然り、今日ご紹介する「ウォルフガング・ムースピール(Wolfgang Muthspiel)」然り。そうそう、ちょっと年齢が高いが「ケヴィン・ユーバンクス(Kevin Eubanks)」もいる。

Wolfgang Muthspiel, Scott Colley & Brian Blade『Angular Blues』(写真左)。2018年8月、東京での録音。パーソネルは、Wolfgang Muthspiel (g), Scott Colley (b), Brian Blade (ds)。ギター・トリオである。ECMレーベルからのリリースだが、東京での録音。エンジニアの日本人。これは珍しい。プロデューサーは「マンフレッド・アイヒャー」。これは当然か。2018年の録音だがリリースは今年に入ってから。何故、暫く寝かされていたのかは判らない。

ウォルフガング・ムースピールはオーストリア出身。この盤を包む音の雰囲気は「欧州ジャズ」。特にアコギ(ガット・ギター)の音が心地良い。ECMレーベル独特のエコーに乗って、耽美的で躍動的なアコギの音が鳴り響く。
 
 
Angular-blues-1
 
 
この辺りは「ECMお抱えギタリスト」のラルフ・タウナーを彷彿とさせるが、タウナーの様な「クラシックの様な透明感」は感じ無い。躍動感が印象に残るところから、アコギのイメージは、欧州ジャズの「アール・クルー」かな。エレギの雰囲気は、どこか「パット・メセニー」の雰囲気が見え隠れする。それでもメセニーの様に「ギターシンセ」を使っていないので、メセニーのギターをシンプルにオーソドックスにしたイメージ。

スコット・コリーは現代のファーストコール・ベーシストの1人だが我が国ではあまり名が知られていない。しかし、そのプレイは「勇壮、堅実、柔軟」。曲の雰囲気毎の適応力が抜きんでている。ブライアン・ブレイドは現代のジャズドラマーの第一人者。その「硬軟自在、緩急自在」なドラミングは聴いていて惚れ惚れするし、一聴するだけでブレイドと判る個性的なもの。このリズム隊のパフォーマンスにも目を見張るものがある。

この盤の演奏内容としては、明らかにECMレーベルのギター・トリオの音。ネオ・ハードバップには拘らない、現代のニュー・ジャズの柔軟性の高いインタープレイと思索的なアドリブ展開が満載。2曲だけ(6曲目の「Everything I Love」、9曲目の「I’ll Remember April」)、ジャズ・スタンダードが選曲されているが、この演奏も従来のジャズには無い、禁欲的でユニークなアレンジに乗って、意欲的なインプロビゼーションが展開される。

適度なテンションと透明感。ECMレーベルならではの音作りの中に、ムースピールの個性溢れるジャズ・ギターが鳴り響く。現代のジャズ・ギターをリードする音の1つがここにある。
 
 
 

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2020年6月 4日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・171

酷く蒸し暑い千葉県北西部地方。この辺り、梅雨に入る前、確かにこういう天気になるんだが、年々、体に堪える度合いが増している。歳は取りたくないもんだ。これだけ蒸し暑いと、ハードな純ジャズは辛い。といって、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは刺激が足らない。耳当たりが良くて、刺激が満載。エレギのコンテンポラリーな純ジャズが良い。

Kurt Rosenwinkel『Angels Around』(写真左)。2020年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Greg Hutchinson (ds), Dario Deidda (b)。ピアノレスのギター・トリオ。リリース時のキャッチ・コピーは「現代ギタリストの皇帝、カート・ローゼンウィンケルによる待望のスタンダードトリオ作品」。

デビューから個性溢れるエレギを展開するローゼンウィンケル。音的には、ジョンスコのギターから「変態的な捻れ」を排除し、アドリブ展開をポップなイメージにして、一音一音の伸びをより伸ばした様な音。以前は、ジャズ・ギターといえば「ウエス・モンゴメリー」が最初の第一歩だったが、ローゼンウィンケルの世代は「ジョン・スコフィールド」。現代的な良い音のするエレギである。
 
 
Angels-around
 
 
ハッチンソンはユーティリティーなドラマー。古典的なフレーズから、現代のスピチュアルな展開まで、どんなジャズにも適応する。を切っても素晴らしいプレイが魅力。デイッダは確かな腕のエレベ(この盤ではセミアコを使用しているらしい)。2016年より、このローゼンウィンケルのトリオのベーシストとして参加し、頭角を現した。伊のベスト・ジャズベースプレイヤーにも選出されている。

トリオ編成は、メンバーそれぞれの力量が問われる。三位一体となったインタープレイが出来るか、出来ないか。出来れば、心地良いテンションの下、丁々発止と硬軟自在、緩急自在なインタープレイが展開されるし、出来なければ、陳腐で平凡なセッションに成り下がる。この盤でのトリオは「出来る」。全編約50分、あっと言う間に過ぎ去る様な感覚。爽快感溢れ、クールでアーバンなインタープレイが展開される。

エレギ+エレベ+ドラム。コンテンポラリーな純ジャズに軸足をシッカリ残した、現代のエレクトリックなギター・トリオの好盤。スタンダード集と謳ってはいるが、ありきたりの「どスタンダード曲」は選んでいないところがニクい。爽快感溢れる聴き心地の良い演奏だが、意外と硬派で、正統な「芯」がグッと入っている。様々なパターンのインタープレイが展開されているが全く破綻が無い。かなりのレベルのギター・トリオである。
 
 
 

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2020年6月 3日 (水曜日)

故きを温ねて新しきを知る。

思いっきし蒸し暑い千葉県北西部地方。日が射したらモワッと体感気温30度越え。日が陰っても、涼しい風は湿気を帯びて、汗をかいた皮膚にまとわり付く。今日はどうしても外出しなければならない所用があり、となり駅までウォーキングがてら歩いたのだが、10分も歩くとジワッと汗ばんでくる。さすが6月。もう感じる季節は「夏」である。

これだけ蒸し暑くなってくると、聴きたくなるジャズは「爽やかな」「涼感感じる」ジャズになる。例えば「ボサノバ・ジャズ」。例えば「スムース・ジャズ」。ボサノバ・ジャズやスムース・ジャズを馬鹿にしてはいけない。確かに中には「これは一体なんなんだ」な内容の駄盤もある。しかし、これは純ジャズでも同じこと。ボサノバ・ジャズやスムース・ジャズにも、テクニック優秀、内容もある、純ジャズの好盤に相当するものも多々ある。

George Benson『That's Right』(写真左)。1995年、ミネアポリス、ニューヨーク、ロンドンにて録音。メインのプロデューサーは「売れる盤請負人」Tommy LiPuma。パーソネルについては、ザーッと見渡しても、知らない名前ばかり。つまりは旧来のモダン・ジャズ畑、フュージョン・ジャズ畑のメンバーは全く見当たらない。純粋に、スムース・ジャズ畑のメンバーばかりで固めている。ワーナーブラザーズを離れたベンソンのGRPレコード第一弾。
 
 
Thats-right  
 
 
もともとは「格好良く弾きまくって、ちょっと歌う」ギタリスト(これが凄く良かった)だったのだが、1980年代から1990年代前半の間、「歌う」ギタリストというか、ほぼボーカリストになってしまったベンソン。まあ、歌が上手すぎるから仕方の無いことだが、これではジャズ・ミュージシャンとは言い難い。しかし、この盤については「格好良く弾きまくって、ちょっと歌う」ギタリストが還って来た。久し振りだ、弾きまくるベンソン。さすがに上手い、ファンキー、グルーヴィーである。

打ち込みビートもあるにはあるが、これだけベンソンがジャジーなギターを弾きまくってくれれば、ギターのグルーヴが優先して、あんまり気にならない。そして、これだけベンソンがギターを弾きまくれば、ベンソンの「ちょっと歌う」ボーカルが逆に引き立つから不思議だ。この辺のプロデュースの妙、さすが、トミー・リピューマである。

当時として最新のスムース・ジャズと懐かしの70年代後期の「格好良く弾きまくって、ちょっと歌う」ベンソンを同居させた快心作だと思う。全体のプロデュースをトミー・リピューマが担い、リッキー・ピーターソン、インコグニートのブルーイのプロデュースで個々の曲作りをする。このプロデューサー陣の会心盤。「故きを温ねて新しきを知る」的なベンソンが格好良い。録音当時、52歳のベンソン。とんでもない中堅ギタリストである。
 
 
 

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2020年6月 2日 (火曜日)

日本製のソウル・ジャズがある

我が国では、ソウル・ジャズやジャズ・ファンクは「俗っぽい」ものとされ、ジャズの中でまともに扱われることは無かった。特に、1970年代に入ってからは、ジャズはマニアの聴くものとされていて、そのマニアのジャズ者の方々は「硬派」な人が多い。ハードバップ、モード・ジャズ、フリー・ジャズが絶対であり、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズは認めない、という極端に走るジャズ者の方々が多かった様に思う。

本田竹彦『What's Going on』(写真)。1973年の録音。ちなみにパーソネルは、本田竹彦 (p, el-p), 伏見哲夫, 森川周三 (tp), Teddy Adams (as), 峰厚介 (as), 武田和命 (ts), Ken Lawson (g), 川端民生 (b), 楠本卓司, James Cheek (ds), 今村裕司 (conga)。11人編成。ビッグバンドまではいかないまでも、ビッグバンドまがいの分厚い演奏が格好良い。

僕が、日本には「ソウル・ジャズ、または、ジャズ・ファンク」は無いのかな、と思っていたのが1990年代。やっぱり硬派なジャズ者の方々がメインの我が国のジャズ・シーン。俗っぽいものは基本的に売れない。だからレコード会社も作らない。と思っていたら、2000年代後半、2008年だったかこの盤に出会い、ありゃりゃ、日本にも「ソウル・ジャズ、または、ジャズ・ファンク」な盤があったんや、と感動した。
 
 
Whats-going-on  
 
 
収録されていた曲を見渡せば、当時のソウル・ミュージック、R&Bの好曲をカヴァーしている。どの曲も、日本人特有のカラッカラに乾いたファンクネスが蔓延、これまた日本人独特の端正で整然としたユニゾン&ハーモニー。いずれも結構有名な曲のカヴァーなので、イージーリスニングっぽくなると思いきや、ジャズ演奏の基本はしっかりと押さえている様で、しっかりとジャズに聴こえるところがこの盤の良いところ。

本田はアコピのみならず、エレピも弾きこなしており、どちらも「乾いたファンクネス」がしっかり漂うところがニクい。バンド全体の演奏の雰囲気は、ビートはジャズ・ロック、旋律はソウル・ジャズ、または、ジャズ・ファンク。演奏自体に破綻は全く無い。優等的演奏。それでも、原曲の良さが秀でていて、ライトなソウル・ジャズ、または、ジャズ・ファンクとして、上手くまとまっている。

この盤によって、本田は我が国で「黒人的なプレイができるとピアニスト」という評価を受けるようになる。しかし、この「ソウル・ジャズ、または、ジャズ・ファンク」路線を踏襲すること無く、メインストリーム系ジャズの佳作を数枚リリース。そして1978年、突如、峰厚介らと純日本フュージョン・グループ、ネイティブ・サンを結成し、人気バンドの一員として時代の寵児の1人となる。
 
 
 

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2020年6月 1日 (月曜日)

ジャズ・ファンクは永遠に ...

ジャズ・ファンクの担い手達は「遅れてきた世代」。モダン・ジャズ黄金時代に乗り遅れた世代。彼らのデビューは大体1960年代後半。ロック、ソウル・ミュージック、ジャズ・ロック、クロスオーバー・ジャズが最先端とされた時代。もはやハード・バップは時代の遺物とされた時代。そんな彼らは、アップテンポの「ソウル&ファンク・ミュージック寄り」の、いわゆる「ジャズ・ファンク」でその実力を発揮することになる。

Boogaloo Joe Jones『No Way!』(写真左)。1970年11月23日、Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Ivan 'Boogaloo' Joe Jones (g), Sonny Phillips (org, el-p), Butch Cornell (org, tracks: B1, B3), Grover Washington, Jr (ts), Jimmy Lewis (b), Bernard Purdie (ds)。いずれも、ハードバップ・ジャズとは一線を画する、ジャズ・ファンクの担い手がズラリ。

この盤はジャズ・ファンクを代表するギタリスト、ブーガルー・ジョー・ジョーンズが名門プレスティッジ・レーベルに残した1971年発表作品である。時代は商業ロック・ポップスが台頭し、ジャズが存続するのに苦しんだ時代。そんな時代に、このブーガルーの『No Way!』の様に、ファンクネス濃厚、グルーヴ感抜群のソウルフルでポップな盤がリリースされているのだがら、意外とジャズ者の裾野は広かったことが判る。
 
 
No-way
  
 
この盤を聴くと感じるのは、ポップなジャズ・ファンクやな〜、ということ。ファンクネスはコッテコテ濃厚なんだが、グルーヴ感は意外とライト。軽快にポップにグルーヴするジャズ・ファンクで、ブーガルー・ジョー・ジョーンズがその雰囲気を牽引している。この盤に濃厚な「ポップなジャズ・ファンク」は、ブーガルーのギター演奏そのものと言って良い。

ダンサフルな曲はノリノリ、しっとりバラードな曲はしみじみ。かかるような、前のめりのカッティングが心地良いのは従来通りなのだが、意外とポップなところがこの盤の個性。それでも、タイトル曲「No Way!」の超絶速弾きのカッコ良さは相変わらずだ。そして、この盤ではオルガンが大活躍している。こってこてソウルフルなオルガンがバッチリ効いた「Sunshine Alley」「I'll be There」が見事。

しかし、ブーガルー・ジョー・ジョーンズの活動期間は1960年後半~1970年代中盤まで。ジャズ・ファンクは、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズに取って代わり、併せて、ジャズ・ファンクを代表するギタリストであったブーガルー・ジョー・ジョーンズは、ジャズの歴史に埋もれていった。しかし、彼が録音した音源が有る限り、ジャズ・ファンクは永遠に不滅である。
 
 
 

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