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2020年5月28日 (木曜日)

前田憲男とウィンドブレイカーズ

和ジャズ(日本のジャズ)が元気である。ジャズの発祥は米国であるが、我が国の「和ジャズ」の歴史は古い。戦前のスイング・ジャズの流行から始まり、戦後は欧州と同じタイミングで、ビ・バップやハードバップにいち早く適応している。

和ジャズは、この1950年代のビ・バップへの適応から、1960年代はハードバップを中心に拡がりを見せ、1970年代はフュージョン・ジャズに、ビッグバンド・ジャズに活躍。1980年代はバブル景気に乗って、内容の薄いお洒落なジャズが横行したが、バブル景気が弾けて淘汰された。1990年代から第2世代とも呼ばれるべき、新世代のジャズが現れ出で、21世紀に入って、ネオ・ハードバップを中心に、そして、何故か女性中心に隆盛を極めている。

前田憲男とウィンドブレイカーズ『Wind-Breakers』(写真左)。1980年の録音。当時、和ジャズの最先端を行く、前田憲男率いる「ウィンド・ブレーカーズ」の記念すべき最初のレコーディング。 全て前田憲男のオリジナル楽曲で固めた、フュージョン・ジャズ志向のビッグバンド・ジャズ風の音世界である。ちなみにパーソネルは、前田憲男 (p, arr), 沢田駿吾 (g), 荒川康男 (b), ドナルド・ベイリー, 猪俣猛 (ds), 西条孝之介 (ts), 稲垣次郎 (ts, fl), 原田忠幸 (bs), 数原晋 (tp), 伏見哲夫 (tp), 原田靖 (tb)。
 
 
Wind-breakers
 
 
「ウィンド・ブレーカーズ」は、既存の音楽を打破の意を込めているとのこと。確かにその気概が伝わってくる。基本は正統なビッグバンド・ジャズの音世界でありながら、フレーズのそこかしこに、当時流行のフュージョン・ジャズのテイストが見え隠れし、ところどころに、クロスオーバー・ジャズの影を感じる。ハイレベルでモーダルな展開に適度な緊張感を感じ、主旋律の一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーに、ビッグバンドとしての矜持を感じる。

それまでのジャズの歴史の中で流行してきた奏法やテイストを上手くブレンドしているところが、このバンドの真骨頂である。心地良い疾走感、高テクニックに裏打ちされた統一感、印象的なアンサンブル、そして、耳に心地良い迫力。ビッグバンド・ジャズとして聴いても、どれをとっても申し分無い内容になっている。各々のソロ・パフォーマンスとバンドのアンサンブルの両面を重視した構成も当時としてはユニーク。

1980年代を迎えるに当たって、それまでと違った、新しいジャズの響きを提示しているところが好印象。そういう意味で、バンド名の意図するところの「既存の音楽を打破の意」を十分に反映していると言える。もっと再評価されて然るべき好盤であると僕は思う。ちなみに、僕がジャズを聴き始めて3年目、この盤は愛聴盤の一枚でした。懐かしくもありますが、今の耳にも十分に響く、素敵な音だと感じます。
 
 
  

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