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2020年5月25日 (月曜日)

ながら聴きマイ・フェア・レディ

My Fair Lady(マイ・フェア・レディ)は有名なミュージカル。オードリ・ヘップバーン主演で映画化もされているので、日本でもかなり有名なミュージカルである。このミュージカルの挿入歌はジャズ化に向いているようで、結構な数、ジャズ化カヴァーされている。一番有名なのが、シェリー・マンのバージョン。ピアノのアンドレ・プレヴィン、ベースのルロイ・ヴィネガーとのピアノ・トリオでの名演である。

地味ではあるが、ジャズ・ピアノのレジェンド、オスカー・ピーターソンも、ベースのレイ・ブラウン、ドラムのジーン・ガメイジとのピアノ・トリオでの好盤である。が、何故か人気が無い。恐らくドラムの差だろう。

Billy Taylor『My Fair Lady Loves Jazz』(写真左)。1957年1ー2月の録音。ちなみにパーソネルは、Billy Taylor (p), Ernie Royal (tp), Don Elliott (tp, mellophone, vibes, bongos), Jimmy Cleveland (tb), Jim Buffington (French horn), Don Butterfield, Jay McAllister (tuba), Anthony Ortega (as, ts), Charlie Fowlkes (bs, b-cl), Al Casamenti (g), Earl May (b), Ed Thigpen (ds)。

このビリー・テイラーの「マイ・フェア・レディ」は、テイラーのトリオをメインにはしているが、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)が、アレンジと指揮を担当。ビッグバンドの伴奏をバックにしていて、アルバム全体の印象は、ビッグバンド仕様の「マイ・フェア・レディ」。このクインシーのアレンジが絶妙で、アルバム全体に思いっ切り効いている。
 
 
My-fair-lady  
 
 
もともとビリ−・テイラーのピアノは典雅で流麗。バップなピアノではあるが、メロディアスで、どこかイージーリスニング志向の響きがする。この流麗で粒立ちの良いピアノは、クインシーのゴージャズで流麗なアレンジとの相性が良い。違和感無く、テイラーのピアノが溶け込んでいる。「マイ・フェア・レディ」の挿入歌は、どれもメロディアスなものが多いので、このクインシーのアレンジがバッチリ合う。

冒頭の「Show Me」から「"I've Grown Accustomed to Her Face」を聴くと、ハードバップでスインギーなジャズ仕様というよりは、流麗でメロディアスなビッグバンド仕様という感じ。といって、ビッグバンドの音はあくまでシンプルで、ビリー・テイラーのピアノを惹き立てる役割に徹している。典雅で流麗なテイラーのピアノが殊更に映える。

このビッグバンドの伴奏、ちょっとユニークな音をしていて、チューバやフレンチ・ホルン、バス・クラリネットの音色を上手く活かしている。これがストリングスだったら、ちょっと俗っぽいイージーリスニング風のジャズになっていたのだが、ストリングスを採用しないところが、アレンジの職人、クインシーの面目躍如たるところ。このクインシーの独特のアレンジがこの盤を特別なものにしている。

でも、このビリー・テイラーの「マイ・フェア・レディ」も、我が国で人気が無いんだよな。実は僕も、21世紀に入って、インパルス・レコードのカタログを眺めていて、その存在に気がついたくらいだ。でも、ビッグバンド仕様のお洒落なイージーリスニング・ジャズ志向の「マイ・フェア・レディ」として聴きどころは満載。ながら聴きに向く、イージーリスニング・ジャズ志向の好盤だと思います。
 
 
 

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コメント

マイフェアレディのメインテーマと言えば、やっぱり「踊り明かそう」だよね。この曲だけなら結構いろんな名演があるけど、私が一番印象深いのは、スコット・ラファロ入りのパット・モラン・トリオかな。ラファロのランニング・ベースを聴くためだけに存在するような演奏。

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