小粋な正統派ジャズ・ギター
ジャズ・ギタリストは意外と数が少ない。ピアニストとかサックス奏者に比べると、だが、少ない。ロックとかポップスとか、ギタリストの需要はサックスなどに比べたら、ずっと多いと思うんだが、そのことを考えると、やっぱりジャズ・ギタリストって、絶対数が少ないと思うのだ。やっぱり、他のジャンルに比べたら、演奏難度が高いのかなあ、とも思ったりしている。
そういう背景もあって、新しいジャズ・ギタリストの出現についても数が少なく感じる。逆に、既にデビューしているベテランから中堅どころが継続して、良好なパフォーマンスを維持している、ということになるのかな。それでも、時折、おっこれは、と耳を峙たせてくれる新人が現れるのだから、ジャズは懐が深く裾野は広い。
Jocelyn Gould『Elegant Traveler』(写真左)。 2020年3月20日のリリース。ちなみにパーソネルは、Jocelyn Gould (g), Addison Frei (p), George DeLancey (b), Quincy Davis (ds), Michael Dease (tb -5, 7, 8), Anthony Stanco (tp -5, 7, 10), Brandon Wright (ts -3. 7)。ピアノ・トリオをバックに、りーだーのジョセリン・グールドのギターがフロントのカルテット構成。管楽器は曲によって参加。
まず、冒頭のスタンダード曲「It's All Right With Me」を聴いて、なかなかオーソドックスなジャズ・ギターの音に感心する。フュージョンっぽさは薄く、ジャズロックっぽさは皆無。グールドのオリジナル曲もなかなか。2曲目の「Kindling」は優雅でかつ上品な雰囲気を持つ曲で、グールドのギターは流麗でスインギー。このスインギーさが意外と癖になる。4曲目「It Might As Well Be Spring」でのソロでは、グールドのギターの個性が実に良く判る。
この盤に詰まっているグールドのギターを聴いていると、グラント・グリーン、ケニー・バレル、ウェス・モンゴメリー、ジョー・パスなど、メインストリーム系のオーソドックスなジャズ・ギターを踏襲した「音」に思わずニンマリする。2020年の今の時代に、こんなにオーソドックスで純ジャズなギターに出会うとは思わなかった。
とても純直で純朴なメインストリーム系のジャズ・ギターである。特に、スタンダード曲でのパフォーマンスが際立つ。しかし、オーソドックスな系譜のジャズ・ギターでありながら、純ジャズ復古以降のネオ・ハードバップな新しい響きや節回しも見え隠れするのだから、単なる「懐古趣味」なジャズ・ギターで無いことは確か。小粋な正統派ジャズ・ギターである。次作は待ち遠しい。
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