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2020年5月21日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・170

1960年代に入って、ハードバップは様々な個性を持ったジャズに枝分かれしていった。その1つに、1960年代後半から1970年代にかけて、R&B(ソウル・ミュージック)の隆盛と共に、そのエッセンスをジャズに取り込んだ、ファンキー・ジャズの発展形「ソウル・ジャズ」がある。

その特徴は、押し並べて「ブルースのフィーリングをさらに強調し、ゴスペルの要素も加えた、ファンクネス濃厚でダンサフルな」ジャズ。ソウル・ミュージックをジャズにそっくり置き換えた、と解釈しても良い。それだけ、ポップで聴いていてダンサフルなジャズである。

しかしながら、我が国では、あからさまに「こってこてファンキー」で、思わず腰がウネウネ動くような「俗っぽさ」が硬派なジャズ者の方々から敬遠され、ソウル・ジャズは、しばらくの間、封印された状態になっていた。

Gary Chandler『Outlook』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Gary Chandler (tp), Harold Ousley (ts), Dick Griffin (tb), Cornell Dupree (g), Ceasar Frazier (org), Gordon Edwards (b: A1, B1, B3), Buddy Caldwell (Congas, Tambourine: A1, B1 ~ B3), Idris Muhammad (ds: A1, B1 ~ B3), Robert Battle (ds: A2)。ルディ・ヴァン・ゲルダーが録音エンジニアを務めており、意外と音が良い。
 
 
Outlook-gary-chandler  
 
 
パーソネルを見渡すと、文字通りソウルフルな、ソウル・ジャズが得意なジャズマンの名前がズラリと並ぶ。リーダーのゲイリー・チャンドラーは、ルー・ドナルドソンのグループでも活躍したファンキーなトランペッター。音が太くてメリハリが効いている。良く唄うトランペットで、ソウル・ミュージック特有のファンキーではあるが、どこか哀愁感溢れるフレーズを印象深く吹き回している。

ソフト&メロウなど全く無縁の「ハードボイルド」なパフォーマンスが、いかにもソウル・ジャズらしい。オルガンが良い音出している。グルーヴ感丸出しで、ファンキーにうねる。これも後のジャズ・ファンクに通じる、ソウル・ジャズ独特のオルガンのパフォーマンス。

リズム隊も負けずにソウルフル。特にコンガの音が効いている。チャカポコ〜チャカチャカと軽快なリズムが疾走し、ダンサフルなビートが途絶えること無く「うねる」。思わず腰が動く、思わず足が動く。

この盤、明らかにソウル・ジャズの好盤である。ソウル・ジャズが我が国で復権してきたのは、21世紀に入ってからである。これもネットのお陰。我が国では全く陽の目を見ることが無かったソウル・ジャズではあるが、やっとこの10年来、再評価されつつある。これからもっと、ソウル・ジャズの好盤を発掘していきたいと思っている。
 
 
 

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