ポーランド・ジャズの古典的名盤
ジャズは米国だけの音楽では無い。1950年代後半、欧州でもジャズは認知されていた。特に北欧、英仏独では、1950年代の終わりにはジャズは根付いていた。米国東海岸で流行った「ビ・バップ」が、1950年代前半から中盤にかけて欧州に渡り、1950年代後半、米国のジャズマン達が欧州の主要国を演奏旅行するにつれ、ジャズが浸透していった。
Andrzej Kurylewicz Quintet『Go Right』(写真左)。1963年6月、ポーランドの首都ワルシャワ、Polskie Nagrania Studio での録音。 ちなみにパーソネルは、Andrzej Kurylewicz (tp), Jan Ptaszyn Wróblewski (ts, fl), Wojciech Karolak (p), Tadeusz Wójcik (b), Andrzej Dąbrowski (ds)。リーダーは、この盤ではトランペット奏者の「アンジェイ・クーレヴィチ」(後にピアニストとしても活躍)。
Polish Jazz(ポーランド・ジャズ)の古典的名盤の一枚。1963年、ポーランドでは、これだけハイレベルなジャズが録音されていた、ということ。この盤をその背景を知らずに聴けば、1950年代後半の米国のハードバップだと思うだろう。しかし、暫く聴き続けると、ブルース曲が多い割に、ファンクネスが皆無なのが気になる。米国ジャズでは無いと薄々思い始める。
演奏の基本は「ビ・バップ」。それでも、コードがメインの演奏だけでなく、モーダルな演奏もあって、このモーダルな演奏もレベルが高い。モーダルな曲については、エスニックな雰囲気が漂い、明らかにミステリアス。これが面白い。この独特な雰囲気を持ったモーダルな演奏こそが「東欧」らしさだろう。
バックを担当するメンバーも演奏内容は素晴らしい。それぞれの名前については、どういう読み方すれば良いか、よく判らないのだが、演奏テクニック、アドリブのフレーズ展開、即興のインタープレイ、どれを取っても申し分無い。米国のジャズと同一レベルと言って良い。全曲メンバーによる書き下ろしで構成されており、曲作りにおいてもレベルは高い。米国ジャズを十分に研究している。
ユニゾン&ハーモニーやアンサンブルは理路整然としており、乱れることは一切無い。恐らく、しっかりとリハーサルを積んで本録音に臨んでいるのだろう。こういう生真面目さも、欧州ジャズらしいところ。トランペットとテナー、フルートがフロントのクィンテット、良い音出しています。欧州ジャズ者の方々には是非お勧めの好盤です。
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