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2020年5月30日 (土曜日)

和の純ジャズ・ピアノに辛島あり

和ジャズの好盤を集中して聴いている。意外と和ジャズの純ジャズ系の好盤は、1970年代から1980年代にゴロゴロしていたりする。その頃のジャズのトレンドといえば「クロスオーバー・ジャズ」から「フュージョン・ジャズ」。当時の硬派なジャズ喫茶もこぞってフュージョン・ジャズに染まっていた、というから始末が悪い。純ジャズ系の好盤は「知る人ぞ知る」マニアックな存在になっていた。

それでも、当時、和ジャズのスターだった、渡辺貞夫、日野皓正、渡辺香津美などが「フュージョン・ジャズ」に転身した後も、ジャズ雑誌の老舗「スイングジャーナル」では、毎月、ディスク・レビューで純ジャズ系の和ジャズも細々とではあるが紹介していた記憶がある。1970年代後半は、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃。ジャズ雑誌を舐めるように熟読していた時代でよく覚えている。

辛島文雄『'Round Midnight』(写真)。1983年8月10日,11日の録音。Kenwood系列のFullhouseレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、辛島文雄 (p), 桜井郁雄 (b), 日野元彦 (ds)。全7曲中後半の3曲にだけ、ラリー・コリエル (g) が参加している。純日本人のピアノ・トリオ+一部ギター入りのカルテット、という不思議な構成のアルバムである。
 
 
Round-midnight_20200530210501   
 
 
辛島は1975年に初リーダー作を録音していて、この盤は9枚目のリーダー作。先にも述べたように、「クロスオーバー・ジャズ」から「フュージョン・ジャズ」の大ブームの中で、内容の濃いリーダー作を9枚もリリースしていたのだ。その頃の辛島文雄トリオはその実力からして,日本を代表するピアノ・トリオの位置付けにあった。その「実力」が実感出来る好盤のひとつが、この『'Round Midnight』。

収録曲の選曲も一捻りも二捻りもしているのが判る。冒頭の2曲「ラウンド・ミッドナイト」「枯葉」は、和ジャズ盤ではよくありがちなスタンダード曲なんだが、3曲目のコルトレーンの「ワイズ・ワン」、続くロリンズの「オレオ」など、ピアノ・トリオでやるとは「捻くれてる」(笑)。そして、コリエルを加えて、大ファンキー曲「ニカズ・ドリーム」、ムーディーな「イン・ユア・オウン・スイート・ウエイ」は何となく判るが、ラストのショーターの「フットプリンツ」をやるなんて硬派やなあ。

今回、聴き直してみて、コリエルの参加にはちょっと疑問符は付くが、辛島トリオについては申し分の無いパフォーマンスを展開している。プロデュースの問題なんだろうが、コリエルの起用法をもう少し煮詰めておれば、さらに内容の高い好盤になっていたと思われる。それでも、当時、純ジャズ・トリオに辛島あり、ということを再認識させてくれる好盤ではある。お勧めです。
 
 
 

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