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2020年5月10日 (日曜日)

1950年代後半の仏ジャズの状況

サックス好盤の聴き直しをしていて、ハードバップ期の欧州という切り口で好盤を探すと、まず、いの一番に引っ掛かってくる名前が「Barney Wilen(バルネ・ウィラン)」。フランスのサックス奏者である。マイルス・デイヴィス『Ascenseur pour l'Échafaud(死刑台のエレベーター)』での共演をはじめとして、Art Blakey や Bud Powell、John Lewis 等、米国のジャズマンが演奏旅行での渡欧の折、パリで録音する際の「ファーストコール」なサックス奏者であった。

バルネ・ウィランは、1937年生まれ。1996年に59歳で逝去している。リーダー作はそれなりに多数あるが、ビ・バップ〜ハードバップ基調の純ジャズについては、1950年代後半と、晩年の1990年代に集中している。1960年代半ばから後半にかけては、何故かロックのアルバムを録音したり、1970年代には、サイケデリック・ジャズやエスニック・ジャズに傾倒している。ジャズマンとしては異色というか、ちょっと訳の判らんところがあったサックス奏者だった。

Barney Wilen『Tilt』(写真左)。1957年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Wilen (ts), Bibi Rovère (b), Jacky Cnudde (p, tracks: B1 to B4), Maurice Vander (p, tracks: A1 to A5), Al Levitt (ds, tracks: A1 to A5), Charles Saudrais (ds, tracks: B1 to B4)。フランスのメンバーで固めた、フロントがウィランのテナー1管のワンホーン・カルテット。
 
 
Tilt-1  
 
 
前半の5曲がモーリス・ヴァンデール (p)、ビビ・ロヴェール (b)、アル・レヴィット (ds) のリズム・セクションをバックにスタンダード曲とビ・バップの名曲を演奏。この前半の5曲が、この盤の聴き所となる。いずれの曲でも、バルネ・ウィランのテナーが素晴らしい。ウィランのブロウは「ビ・バップ」仕込み。本家、米国東海岸のビ・バップを良く研究し、自分のものにしているなあ、と感じる。

後半4曲は、ベースはそのままでピアノがジャック・ヌーデ、ドラムがシャルル・ソードレに交代して、セロニアス・モンクのナンバーを演奏。このモンクのナンバーの演奏については、どうにもモンクの物真似っぽく、この演奏を展開するフランスのメンバーには、自らのオリジナリティーの下でのモンク曲を扱うには、まだまだスキルと経験が不足しているようだ。しかし、真摯な演奏であり、健闘している。
 
本場米国のジャズに学び、それを自分のものとして、オリジナリティーを発揮していく。その発展途上の仏ジャズのレベルと状況が良く判る。この盤のメンバーは皆、健闘している。そして、ウィランのテナーはやはり頭1つ抜きん出ている印象なのだ。ウィランのテナーは、当時の米国ジャズの世界でも通用するレベル。1950年代後半の仏パリのジャズがどういう状況だったのか、それがとても良く判る内容の好盤です。
 
 
 

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