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2020年5月の記事

2020年5月31日 (日曜日)

1980年代半ばの和ジャズ好盤

1980年代はバブル景気の時代。我が国では1980年代半ばに差し掛かる頃から、バブル景気に乗って、ジャズはお洒落な音楽として捉えられる様になる。イージーリスニング・ジャズ風の毒にも薬にもならない、聴き心地の良さだけを追求した、流行を過ぎたフュージョン・ジャズが横行した。それでも、1980年半ばからの「純ジャズ復古」の動きに乗って、硬派な純ジャズが復活してきた。

大森明『Back to The Wood』(写真左)。1986年8月9日の録音。DENONレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Akira Ohmori (as), Ray Bryant (p), Yoshio Suzuki (b), Yoshiyuki Ohtsuka (ds)。ファンキー・ピアノの雄、レイ・ブライアントが参加しているのが目を引く。ベースに鈴木良雄、ドラムに大塚義之 といった、当時の和ジャズの中堅どころが座る。今回、改めての「聴き直し」である。

日本人アルト・サックス奏者である大森明が渡米生活を終えて帰国、1987年に録音したリーダー作第2弾。大森明は1949年生まれ。録音当時は37歳(今年で71歳になる)。ジャズマンとしてちょうど中堅に差し掛かる充実した年齢。バークリー音楽院に学び、在学中からソロイストとして活躍。卒業後8年間、ニューヨークにて活動。印象に残っているのは、ミンガスの晩年のリーダー作『Me Myself An Eye』と『Somethin’ Like A Bird』に参加している。
 
 
Back-to-the-wood
 
 
この大森の『Back to The Wood』、ジャケットこそ、お洒落なイラスト・イメージの「バブリーな」ものだが、中身はしっかりとしたメインストリーム・ジャズである。大森のアルト・サックスは爽快でブリリアント。躍動感があって端正この上無い。疾走感もあるし、スイング感も申し分無い。このちょっと優等生的なアルト・サックスを、ファンキー・ジャズ・ピアノの雄、レイ・ブライアントは支え鼓舞し、ファンクネスを注入している。

大森のアルト・サックスとブライアントのピアノの組合せが見事。適度なファンクネスが加味されて、それまでの日本人の純ジャズにはあまり聴かれなかった、ファンキーなネオ・ハードバップ調のカルテット演奏になっている。とにかく、伴奏上手と言われたブライアントのバッキングが見事。大森の爽快でブリリアントなアルト・サックスの個性を損なうこと無く、いつになく爽快でブリリアントなバッキングに終始して、大森のアルト・サックスを効果的に引き立てている。

バブリーなお洒落なイラストに惑わされるなかれ。ファンキー・ピアノの雄、ブライアント+日本人中堅リズム隊のピアノ・トリオのバッキングも見事、大森のアルト・サックスは、純ジャズの王道を行く「爽快でブリリアント、躍動感があって端正」。意外とこの盤には、当時のメインストリーム・ジャズの「良いところ」がギュッと詰まっている。1980年代の和ジャズにおける「純ジャズ」の好盤である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

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  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2020年5月30日 (土曜日)

和の純ジャズ・ピアノに辛島あり

和ジャズの好盤を集中して聴いている。意外と和ジャズの純ジャズ系の好盤は、1970年代から1980年代にゴロゴロしていたりする。その頃のジャズのトレンドといえば「クロスオーバー・ジャズ」から「フュージョン・ジャズ」。当時の硬派なジャズ喫茶もこぞってフュージョン・ジャズに染まっていた、というから始末が悪い。純ジャズ系の好盤は「知る人ぞ知る」マニアックな存在になっていた。

それでも、当時、和ジャズのスターだった、渡辺貞夫、日野皓正、渡辺香津美などが「フュージョン・ジャズ」に転身した後も、ジャズ雑誌の老舗「スイングジャーナル」では、毎月、ディスク・レビューで純ジャズ系の和ジャズも細々とではあるが紹介していた記憶がある。1970年代後半は、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃。ジャズ雑誌を舐めるように熟読していた時代でよく覚えている。

辛島文雄『'Round Midnight』(写真)。1983年8月10日,11日の録音。Kenwood系列のFullhouseレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、辛島文雄 (p), 桜井郁雄 (b), 日野元彦 (ds)。全7曲中後半の3曲にだけ、ラリー・コリエル (g) が参加している。純日本人のピアノ・トリオ+一部ギター入りのカルテット、という不思議な構成のアルバムである。
 
 
Round-midnight_20200530210501   
 
 
辛島は1975年に初リーダー作を録音していて、この盤は9枚目のリーダー作。先にも述べたように、「クロスオーバー・ジャズ」から「フュージョン・ジャズ」の大ブームの中で、内容の濃いリーダー作を9枚もリリースしていたのだ。その頃の辛島文雄トリオはその実力からして,日本を代表するピアノ・トリオの位置付けにあった。その「実力」が実感出来る好盤のひとつが、この『'Round Midnight』。

収録曲の選曲も一捻りも二捻りもしているのが判る。冒頭の2曲「ラウンド・ミッドナイト」「枯葉」は、和ジャズ盤ではよくありがちなスタンダード曲なんだが、3曲目のコルトレーンの「ワイズ・ワン」、続くロリンズの「オレオ」など、ピアノ・トリオでやるとは「捻くれてる」(笑)。そして、コリエルを加えて、大ファンキー曲「ニカズ・ドリーム」、ムーディーな「イン・ユア・オウン・スイート・ウエイ」は何となく判るが、ラストのショーターの「フットプリンツ」をやるなんて硬派やなあ。

今回、聴き直してみて、コリエルの参加にはちょっと疑問符は付くが、辛島トリオについては申し分の無いパフォーマンスを展開している。プロデュースの問題なんだろうが、コリエルの起用法をもう少し煮詰めておれば、さらに内容の高い好盤になっていたと思われる。それでも、当時、純ジャズ・トリオに辛島あり、ということを再認識させてくれる好盤ではある。お勧めです。
 
 
 

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2020年5月29日 (金曜日)

ファンキーな和ピアノ・トリオ

和ジャズの特集週間になっている。いろいろ、資料を漁っていて、これも聴きたい、あれも聴きたい、とアルバムを集めていったら、かなりの数に上ってきた。これはイカン、ということで、徹底的に和ジャズのアルバムを聴き進めて行くことにした。和ジャズといっても、最近のアルバムが中心となる。昔の好盤についてはリイシューのタイミングを捉えての聴き直しになる。

西直樹『My Little Suede Shoes』(写真左)。1980年2月19日の録音。録音エンジニアは菅野沖彦、トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、西直樹(p), 山口和与(b), 猪俣猛(ds)。スイング・ジャーナル主催の第14回(1980年度)ジャズ・ディスク大賞の最優秀録音賞(国内録音)を受賞している。つまり、内容も良好、音が良い盤である。

いきなり、昔の好盤のリイシューのタイミングを捉えた聴き直し盤のご紹介である。まだ、CDなど無い、LPの時代。しかも、録音年の1980年はフュージョン・ジャズの大ブームの後半。まだまだ、フォー・ビートなジャズは片隅に追いやられていた時代。

LPの帯紙のキャッチが「フォー・ビートは俺に任せろ!! スタンダード・ナンバーをとり上げて、新鮮で瑞々しい感覚、力強いタッチ、スピード感、よどみなく流れるアドリブ、乗りの良いスイング感で、今後のジャズ界を背負って立つにふさわしい、西直樹の個性を充分に捉えたデビュー・アルバム」とある。なかなか、この盤の特徴を捉えた、優れたキャッチ文句である。
 
 
My-little-suede-shoes_20200529205401  
 
 
冒頭の「Jubilation」から、今までの和ジャズの雰囲気とは異なる。コール・アンド・レスポンスの前奏から、乾いたファンキーな弾き回し。こういった「乾いたファンクネス」丸出しのピアノ・トリオは、それまでの和ジャズにはあまりなかったもの。モードはアーティスティックなのでやるが、ファンキーは俗っぽいからやらない、という当時の和ジャズの傾向に風穴を開けた印象のピアノ・トリオ盤である。

西のピアノのテクニックが凄い。速いフレーズの弾き回しは破綻が無く、乱れが無い。しかも、鍵盤の端から端まで使ったかの様なスケールの広い弾き回し。ダイナミックで幅の広い弾き回しは、まるで、オスカー・ピーターソンのピアノを聴いているみたいだ。アドリブ・フレーズもユニークなもの。バップなピアノであるが、誰かのフォロワーの音では無い、西直樹独特の個性的な音である。

実はこの西直樹、この初リーダー作の後、破竹の勢いで2年間に4枚のリーダー作をトリオ・レコードに残すが、その後は今までに4〜5枚のリーダー作のリリースに留まり、LPの帯紙通り「今後のジャズ界を背負った」とは言い難い。今では、ジャズ・ピアノの教育に力を入れておられるみたいです。

が、この初リーダー作は、非常に内容のあるピアノ・トリオ盤である。ジャケットもなかなか粋なイラスト調で良い感じ。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、今でも時々かかる「息の長い」ヘビロテ盤である。
 
 
 

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2020年5月28日 (木曜日)

前田憲男とウィンドブレイカーズ

和ジャズ(日本のジャズ)が元気である。ジャズの発祥は米国であるが、我が国の「和ジャズ」の歴史は古い。戦前のスイング・ジャズの流行から始まり、戦後は欧州と同じタイミングで、ビ・バップやハードバップにいち早く適応している。

和ジャズは、この1950年代のビ・バップへの適応から、1960年代はハードバップを中心に拡がりを見せ、1970年代はフュージョン・ジャズに、ビッグバンド・ジャズに活躍。1980年代はバブル景気に乗って、内容の薄いお洒落なジャズが横行したが、バブル景気が弾けて淘汰された。1990年代から第2世代とも呼ばれるべき、新世代のジャズが現れ出で、21世紀に入って、ネオ・ハードバップを中心に、そして、何故か女性中心に隆盛を極めている。

前田憲男とウィンドブレイカーズ『Wind-Breakers』(写真左)。1980年の録音。当時、和ジャズの最先端を行く、前田憲男率いる「ウィンド・ブレーカーズ」の記念すべき最初のレコーディング。 全て前田憲男のオリジナル楽曲で固めた、フュージョン・ジャズ志向のビッグバンド・ジャズ風の音世界である。ちなみにパーソネルは、前田憲男 (p, arr), 沢田駿吾 (g), 荒川康男 (b), ドナルド・ベイリー, 猪俣猛 (ds), 西条孝之介 (ts), 稲垣次郎 (ts, fl), 原田忠幸 (bs), 数原晋 (tp), 伏見哲夫 (tp), 原田靖 (tb)。
 
 
Wind-breakers
 
 
「ウィンド・ブレーカーズ」は、既存の音楽を打破の意を込めているとのこと。確かにその気概が伝わってくる。基本は正統なビッグバンド・ジャズの音世界でありながら、フレーズのそこかしこに、当時流行のフュージョン・ジャズのテイストが見え隠れし、ところどころに、クロスオーバー・ジャズの影を感じる。ハイレベルでモーダルな展開に適度な緊張感を感じ、主旋律の一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーに、ビッグバンドとしての矜持を感じる。

それまでのジャズの歴史の中で流行してきた奏法やテイストを上手くブレンドしているところが、このバンドの真骨頂である。心地良い疾走感、高テクニックに裏打ちされた統一感、印象的なアンサンブル、そして、耳に心地良い迫力。ビッグバンド・ジャズとして聴いても、どれをとっても申し分無い内容になっている。各々のソロ・パフォーマンスとバンドのアンサンブルの両面を重視した構成も当時としてはユニーク。

1980年代を迎えるに当たって、それまでと違った、新しいジャズの響きを提示しているところが好印象。そういう意味で、バンド名の意図するところの「既存の音楽を打破の意」を十分に反映していると言える。もっと再評価されて然るべき好盤であると僕は思う。ちなみに、僕がジャズを聴き始めて3年目、この盤は愛聴盤の一枚でした。懐かしくもありますが、今の耳にも十分に響く、素敵な音だと感じます。
 
 
  

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2020年5月27日 (水曜日)

軽快なフュージョン・ファンク

ハードバップの主だったジャズマンは、1960年代の「ジャズの多様化の時代」を様々な工夫とテクニックで乗り切った。しかし、商業ロックの台頭により、ジャズはポップスのメイン・ステージから滑り落ちることとなる。そして、1970年代はロックとの融合を図った「クロスオーバー・ジャズ」、そして、その発展形の「フュージョン・ジャズ」の隆盛に対して、適応できたジャズマンと出来なかったジャズマンに分かれていった。

Ramsey Lewis『Tequila Mockingbird』(写真左)。1977年、 Columbia Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルを見渡すと、主だったところでは、Ramsey Lewis (p, elp, harpsichord, syn), Ron Harris, Verdin White (b), Keith Howard, Leon Ndugu Chancler, Fred White (ds), Byron Gregory, Al McKay, Johnny Graham (g), Derf Reklaw Raheem, Philip Bailey, Victor Feldman (perc) 辺りかな。ここにファンキーで洒落たホーンセクションが加わる。

Ramsey Lewis(ラムゼイ・ルイス)は、1960年代、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズで鳴らしたピアニスト。ジャズの大衆化に大いに貢献したのだが、商業ロックの台頭には対抗できなかった。しかし、1970年代のロックとの融合を図った「クロスオーバー・ジャズ」、そして、その発展形の「フュージョン・ジャズ」には、自らのファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズのイメージを変えること無く器用に適応し、人気ミュージシャンとして活躍していた。
 
 
Tequila-mockingbird
 
 
そんなラムゼイ・ルイスのフュージョン・ジャズの好盤がこの『Tequila Mockingbird』である。本盤のプロデュースは Bert deCoteauxと、EW&FのメンバーだったLarry Dunnが担当、フュージョン・ジャズの中でも、ファンク色の濃い「フュージョン・ファンク」志向の盤。但し、フュージョン・ファンクと言うが、そのリズム&ビートはライトなもの。軽快で明るいフュージョン・ファンクである。

ジャズ・ファンク〜フュージョンなダンス音楽の冒頭のタイトル曲「Tequila Mockingbird」が軽快で小粋。滑らかなフレーズが印象的な、2曲目「Wandering Rose」、そして続くは、絵に描いた様なフュージョン・ナンバー「Skippin'」、ラテンの濃厚な雰囲気満載の「Camino El Bueno」など、どの収録曲もジャズ・ファンクしていて、聴いていて思わず腰が動き、足でリズムを取ってしまう。

ソフト&メロウなフュージョン・ジャズとは趣が異なる、ラムゼイ・ルイスのフュージョン・ファンク。日本で流行のフュージョン・ジャズとは違った、趣味の良いライトで軽やかなファンクネス漂うフュージョン・ファンクは、我が国では受けなかった思い出がある。でも、僕はこの盤、好きなんだよな。可愛い鳥のイラストのジャケットも良い。実は、フュージョン・ジャズの隠れ好盤だと思っている。
 
 
 

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2020年5月26日 (火曜日)

超クールなイスラエル・ジャズ

いつの頃からか、イスラエル出身のジャズマンが台頭してきた。かなりの数、20〜30人くらいは知っている名前があるかなあ。これだけいれば、イスラエル・ジャズというサブ・ジャンルが出来ても良いくらいだ。確かに、イスラエル出身のジャズマンには音の面で共通点が多い。ファンクネスはほぼ無く、耽美的でクール、高テクニックでモーダル。どちらかと言えば「欧州的」である。

Avishai Cohen & Big Vicious『Big Vicious』(写真左)。南フランスのLa Buissonneスタジオにて、2019年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Avishai Cohen (tp, effects, syn), Uzi Ramirez (g), Yonathan Albalak (g, b), Aviv Cohen (ds), Ziv Ravitz (ds, live sampling)。6年前から始めた、イスラエルで育った仲間のバンド「Big Vicious」のデビュー盤。

イスラエル・テルアビブ出身のカリスマ・トランぺッター、アヴィシャイ・コーエン。1978年生まれだから、今年で42歳。心身共に充実した中堅のジャズマンになる。そんな彼の新作は実にクールな内容。現代のコンテンポラリーな純ジャズの最先鋒とも言える内容に思わずビックリ。

テンションの高い幽玄的なパフォーマンス。耽美的でクールなアドリブフレーズ。妖艶でダークでアーバンなモード展開。どれをとっても「イスラエル・ジャズ」の音である。トランペット、ギター2本(ベースギターを兼ねる)、ドラムス2台という変則的なクインテットでの演奏であり、サウンドにもロックバンド的なイメージが漂う。
 
 
Big-vicious_1  
 
 
この盤の内容を振り返ると、ジャズの枠に留まらない、エレクトロニカ、アンビエント・ミュージック、サイケデリアも音の要素になり、ロックやポップスのグルーヴ、ビートも濃厚。ジャズの王道である「他の音楽ジャンルの取り込みと融合」をしっかりと踏まえている。そして、それがどの曲でも効果的に作用している。

まるで、プログレッシブ・ロックの様な雰囲気の演奏もあるが、底にはしっかりとジャズの要素が横たわっている。例えば、4曲目の「Moonlight Sonata」は、ベートーベンの月光をロック的にアレンジしている。まるでプログレ。6曲目「Teardrop」は、マッシヴ・アタックのカヴァー。クールだ。アルバム全体に「アンビエント・ミュージック」の雰囲気が濃厚に漂い、現代のスピリチュアル・ジャズの印象も見え隠れする。

このバンドの音をECMレーベルがリリースするとは異色といえば異色。この盤の音は「欧州的」では無い。どっかで聴いた事のあるテンションとビートとクールなトランペット。そう、思わず「エレクトリック・マイルス」を思い出した。

エレクトリック・マイルスからファンクネスをそぎ落として、エスニックな雰囲気を注入する。そんな明らかに「イスラエル・ジャズ」の音がここにある。この盤の音を従来の米国ジャズ、欧州ジャズとして捉えると「しんどい」。フラットな耳で聴いていただきたい。
 
 
 
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2020年5月25日 (月曜日)

ながら聴きマイ・フェア・レディ

My Fair Lady(マイ・フェア・レディ)は有名なミュージカル。オードリ・ヘップバーン主演で映画化もされているので、日本でもかなり有名なミュージカルである。このミュージカルの挿入歌はジャズ化に向いているようで、結構な数、ジャズ化カヴァーされている。一番有名なのが、シェリー・マンのバージョン。ピアノのアンドレ・プレヴィン、ベースのルロイ・ヴィネガーとのピアノ・トリオでの名演である。

地味ではあるが、ジャズ・ピアノのレジェンド、オスカー・ピーターソンも、ベースのレイ・ブラウン、ドラムのジーン・ガメイジとのピアノ・トリオでの好盤である。が、何故か人気が無い。恐らくドラムの差だろう。

Billy Taylor『My Fair Lady Loves Jazz』(写真左)。1957年1ー2月の録音。ちなみにパーソネルは、Billy Taylor (p), Ernie Royal (tp), Don Elliott (tp, mellophone, vibes, bongos), Jimmy Cleveland (tb), Jim Buffington (French horn), Don Butterfield, Jay McAllister (tuba), Anthony Ortega (as, ts), Charlie Fowlkes (bs, b-cl), Al Casamenti (g), Earl May (b), Ed Thigpen (ds)。

このビリー・テイラーの「マイ・フェア・レディ」は、テイラーのトリオをメインにはしているが、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)が、アレンジと指揮を担当。ビッグバンドの伴奏をバックにしていて、アルバム全体の印象は、ビッグバンド仕様の「マイ・フェア・レディ」。このクインシーのアレンジが絶妙で、アルバム全体に思いっ切り効いている。
 
 
My-fair-lady  
 
 
もともとビリ−・テイラーのピアノは典雅で流麗。バップなピアノではあるが、メロディアスで、どこかイージーリスニング志向の響きがする。この流麗で粒立ちの良いピアノは、クインシーのゴージャズで流麗なアレンジとの相性が良い。違和感無く、テイラーのピアノが溶け込んでいる。「マイ・フェア・レディ」の挿入歌は、どれもメロディアスなものが多いので、このクインシーのアレンジがバッチリ合う。

冒頭の「Show Me」から「"I've Grown Accustomed to Her Face」を聴くと、ハードバップでスインギーなジャズ仕様というよりは、流麗でメロディアスなビッグバンド仕様という感じ。といって、ビッグバンドの音はあくまでシンプルで、ビリー・テイラーのピアノを惹き立てる役割に徹している。典雅で流麗なテイラーのピアノが殊更に映える。

このビッグバンドの伴奏、ちょっとユニークな音をしていて、チューバやフレンチ・ホルン、バス・クラリネットの音色を上手く活かしている。これがストリングスだったら、ちょっと俗っぽいイージーリスニング風のジャズになっていたのだが、ストリングスを採用しないところが、アレンジの職人、クインシーの面目躍如たるところ。このクインシーの独特のアレンジがこの盤を特別なものにしている。

でも、このビリー・テイラーの「マイ・フェア・レディ」も、我が国で人気が無いんだよな。実は僕も、21世紀に入って、インパルス・レコードのカタログを眺めていて、その存在に気がついたくらいだ。でも、ビッグバンド仕様のお洒落なイージーリスニング・ジャズ志向の「マイ・フェア・レディ」として聴きどころは満載。ながら聴きに向く、イージーリスニング・ジャズ志向の好盤だと思います。
 
 
 

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2020年5月24日 (日曜日)

お洒落なジャケは好盤のしるし

米国西海岸ジャズはお洒落で粋。小粋にアレンジされたテーマ部。流麗でテクニカルなアドリブ展開。手に汗握る熱いジャズ、というよりは、クールで聴いて爽やかなジャズ。そして、ジャケットも小粋なデザインのものが多く、特に、お洒落なイラストをあしらったジャケットが多い。このお洒落なイラストをあしらったジャケットの盤は基本的に「ハズレ」が無い。

The Bill Holman / Mel Lewis Quintet『Jive for Five』(写真)。1958年6月6日、米国ハリウッドでの録音。ちなみにパーソネルは、Bill Holman (ts), Mel Lewis (ds), Lee Katzman (tp), Jimmy Rowles (p), Wilford Middlebrook (b)。マイナー・レーベル「アンデックス・レコード」からのリリース。LPでは「幻の名盤」の類である。

テナー・サックスのビル・ホルマン、ドラムのメル・ルイスとの、双頭リーダーのアルバムである。両者とも、ビッグバンドにおける業績が輝かしいので、なかなかこういったクインテットなどでのソロイストとしての参加、そして優れたパフォーマンスが注目されることは少ない。

しかし、この盤の内容は充実している。ホルマンもルイスもジャズマン単独でのパフォーマンスについて、その力量がいかに優れていたかをこの盤は教えてくれる。ホルマンのテナーはクールで知的、ルイスのドラムは堅実でスインギー。大仰では無いが、小粋で真摯なパフォーマンスである。
 
 
Jive-for-five
 
 
収録曲については、前半の3曲が小粋なジャズ・スタンダード曲、後半の3曲がメンバーのオリジナル曲となっているが、演奏内容としてはしっかりとした統一感がある。1曲目のコール・ポーター作曲「Out Of This World」から、西海岸ジャズ特有の小粋でクールなジャズが展開されるが、この盤で面白いのは、西海ジャズには珍しく、ほんのりとファンキーな雰囲気が見え隠れするのだ。

ホルマンはクールで知性的なサックス奏者であるだけでなく、西海岸ジャズとしては、ちょっとファンキーな感覚を兼ね備えた作曲家兼アレンジャーでもあるのだ。このホルマンのアレンジが効いている。リー・キャッツマンのトランペットも「どこかファンキー」。小粋で洒脱な、クールでお洒落にアレンジされた、西海岸ならではのファンキー・ジャズが、この盤に詰まっている。

タイトルの「ジャイヴ」とは「ホットなジャズ、スウィング」の意。この盤に漂う、仄かなファンクネスが、そのスイング感を増幅する。大上段に振りかぶった大仕掛けのジャズでは無いが、小粋でクールなジャズがギッシリと詰まっている。

最後にジャケットが良い。カルテットのメンバーのイラスト(漫画)のジャケット。見ているだけで楽しく、見ているだけで小粋でクールなハードバップな音が聴こえてきそうだ。
 
 
 

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2020年5月23日 (土曜日)

Jフュージョンの注目の新バンド

日本のジャズが元気である。ジャズ・ミュージシャンの頭数も相当数に上るようになった。しかも、それぞれ、テクニックは高く、全員とは言わないまでも、かなりの確率で、優れた内容のアルバムがリリースされ続けている。

フュージョン・ジャズについても同様。Jフュージョンについては、以前からのグループ、ジャズマンの活躍が継続されていることもさることながら、新しく出てきたグループやジャズマンの活躍も目覚ましい。

DEZOLVE『Frontiers』(写真左)。今年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、北川翔也 (g), 友田ジュン (key), 小栢伸五 (b), 山本真央樹 (ds)。ゲストボーカルとして人気シンガーソングライター「やなぎなぎ」が参加。プログレっぽいテクニカルなフュージョン・サウンドに、明るくポップな感覚を付加している。

2014年結成のJフュージョンの新進気鋭のバンド、DEZOLVE(ディゾルブ)のメジャー3rd.アルバムになる。今作のテーマは「境界」。従来のテクニカルフュージョン・サウンドにエキゾチックな要素を取り入れた、とされる。

そう言えば、このテーマについては、昔、Jフュージョンの大先輩バンド、CASIOPEA(カシオペア)が採用していた記憶がある。ただ、それぞれの楽曲については、テーマで謳うほど、エキゾチックな要素が上手く融合されていた記憶が無く、今回のDEZOLVE盤についても、ちょっと怪しいなあ、と思って聴き始める。
 
 
Frontiers  
 
 
まず、一番耳に残るのが、7曲目の「Hidden Sanctuary」。インド・テイストのエキゾチックな響きが漂っている。タブラやシタールの音、そして「コナッコル」というらしいが、南インド由来の口ドラムが不思議な音を出している。

4曲目の「Across the Silk Road」では、これは聴けばすぐ判る中華風のメロディ。二胡の音が良い感じ。そして、3曲目「re : fruition」はボーカル入り。高速ビートな演奏で疾走感抜群だが、ボーカルを入れることで、ポップでトロピカルな雰囲気を上手く醸し出している。

DEZOLVEというバンドの個性「テクニカルでテンションの張ったフュージョン」を踏襲したタイトル曲「Frontiers」もなかなかの出来で、従来のバンドの個性についてもしっかりと維持していて、聴き応えがある。

従来のテクニカルフュージョン・サウンドにエキゾチックな要素を取り入れた、という今回のアルバム・コンセプトは概ね成功していて、個性と特徴の裾野をグッと広げた内容の好盤に仕上がっている。

Jフュージョンの新バンドの活躍は頼もしい限り。振り返れば、CASIOPEA、T-SQUARE 以降、目立ったバンドが出ていない。これからのJフュージョンのバンド・サウンドの担い手として、DEZOLVE には期待している。
 
 
 

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2020年5月22日 (金曜日)

グルーヴィーなジャズ・ファンク

パーカッション(Percussion)。打楽器のことである。通常はドラム以外の打楽器を指す。例えば、コンガやボンゴ、タブラ、カウベル、タンバリン、ウィンドチャイム、マラカス、トライアングル 等々。ドラムがメインのリズム&ビートを補完するのが主な役割。コンガなどは、ファンキー・ジャズのファンキー度を高める役割を担ったり、ボンゴなどは、ラテン・ジャズのラテン度を高める役割を担っていたりする。

ジャズにおいては必須の楽器では無いのだが、特にフュージョン・ジャズにおいては、リズム&ビートのバリエーションを増やす為に、よくパーカッションを追加する。フュージョン・ジャズの場合、ソフト&メロウを基調としていて、演奏のムードが非常に重要な要素なので、このムードを効果的に演出するのに、パーカッションは欠かせないのだろう。

Ralph MacDonald『Sound Of A Drum』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、リーダーの Ralph MacDonald (perc) をはじめとして、主だったメンバーとして、Rick Marotta (ds), Eric Gale (g), Richard Tee (p), Grover Washington, Jr. (ss, ts), Chuck Rainey (b), Jean "Toots" Thielemans (Harmonica), Bob James (syn), David Friedman (vib), Clinton Thobourne (cl) 等々。フュージョン・ジャズを代表する名うての名手達がズラリ。
 
 
Sound-of-a-drum  
 
 
リーダーのラルフ・マクドナルドは、フュージョン・ジャズにおける「ファースト・コール」なパーカッション奏者。打楽器の音が爽快で、トロピカルな雰囲気を醸し出すところが個性。パーカッション奏者なので、リーダー作は少ないが、かなりの数の他のアルバムに参加している。そこにもここにも「ラルフ・マクドナルド」状態なのだ。そんなラルフの初リーダー作がこの『Sound Of A Drum』になる。

これがまあ、グルーヴ感満点の、ウォームなジャズ・ファンクのオンパレード。定番ダンス・クラシックの「Jam On The Groove」、サンプリング対象として有名な「Calypso Breakdown」など、レア・グルーヴ御用達の名曲、名演の数々。フュージョン・ジャズなんだが、中身は「こってこてファンキー」な、爽やかジャズ・ファンク。むっちゃ粋で、むっちゃグルーヴィー。

この盤、フュージョンなジャズ・ファンクとして、聴き応え十分な好盤。ラルフ・マクドナルドのパーカッションがよく効いていて、どの曲にも爽やかな風が吹き抜けるよう。パーカッション=ラテンの図式を打ち破り、パーカッション=ファンク&グルーヴな効果を存分に発揮している。このファンク&グルーヴな雰囲気は、ラルフ・マクドナルドのパーカッション無しにはあり得ない。
 
 
 

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2020年5月21日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・170

1960年代に入って、ハードバップは様々な個性を持ったジャズに枝分かれしていった。その1つに、1960年代後半から1970年代にかけて、R&B(ソウル・ミュージック)の隆盛と共に、そのエッセンスをジャズに取り込んだ、ファンキー・ジャズの発展形「ソウル・ジャズ」がある。

その特徴は、押し並べて「ブルースのフィーリングをさらに強調し、ゴスペルの要素も加えた、ファンクネス濃厚でダンサフルな」ジャズ。ソウル・ミュージックをジャズにそっくり置き換えた、と解釈しても良い。それだけ、ポップで聴いていてダンサフルなジャズである。

しかしながら、我が国では、あからさまに「こってこてファンキー」で、思わず腰がウネウネ動くような「俗っぽさ」が硬派なジャズ者の方々から敬遠され、ソウル・ジャズは、しばらくの間、封印された状態になっていた。

Gary Chandler『Outlook』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Gary Chandler (tp), Harold Ousley (ts), Dick Griffin (tb), Cornell Dupree (g), Ceasar Frazier (org), Gordon Edwards (b: A1, B1, B3), Buddy Caldwell (Congas, Tambourine: A1, B1 ~ B3), Idris Muhammad (ds: A1, B1 ~ B3), Robert Battle (ds: A2)。ルディ・ヴァン・ゲルダーが録音エンジニアを務めており、意外と音が良い。
 
 
Outlook-gary-chandler  
 
 
パーソネルを見渡すと、文字通りソウルフルな、ソウル・ジャズが得意なジャズマンの名前がズラリと並ぶ。リーダーのゲイリー・チャンドラーは、ルー・ドナルドソンのグループでも活躍したファンキーなトランペッター。音が太くてメリハリが効いている。良く唄うトランペットで、ソウル・ミュージック特有のファンキーではあるが、どこか哀愁感溢れるフレーズを印象深く吹き回している。

ソフト&メロウなど全く無縁の「ハードボイルド」なパフォーマンスが、いかにもソウル・ジャズらしい。オルガンが良い音出している。グルーヴ感丸出しで、ファンキーにうねる。これも後のジャズ・ファンクに通じる、ソウル・ジャズ独特のオルガンのパフォーマンス。

リズム隊も負けずにソウルフル。特にコンガの音が効いている。チャカポコ〜チャカチャカと軽快なリズムが疾走し、ダンサフルなビートが途絶えること無く「うねる」。思わず腰が動く、思わず足が動く。

この盤、明らかにソウル・ジャズの好盤である。ソウル・ジャズが我が国で復権してきたのは、21世紀に入ってからである。これもネットのお陰。我が国では全く陽の目を見ることが無かったソウル・ジャズではあるが、やっとこの10年来、再評価されつつある。これからもっと、ソウル・ジャズの好盤を発掘していきたいと思っている。
 
 
 

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2020年5月20日 (水曜日)

無名の盤だがソウルフルな好盤

ジャズ盤の数は相当数に上る。レジェンド級になれば、リーダー作の数だけでもかなりの数になる。しかも、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌に挙がる盤のタイトルはその「ごく一部」。ネットの時代になって、ジャズ盤の情報が入手し易くなった訳だが、今まで紹介されなかった盤が「ごまん」とあることに気がついた。

この今までジャズ紹介本などで紹介されたことの無い盤を聴くのが意外と楽しい。紹介されていない盤については、紹介されていないのだから内容の無い盤だろう、とするのは間違いで、まずは自分の耳で聴いてみることが大切になる。自分の耳で聴いてみて、その盤が意外と内容のある盤だと感じる。そして、なぜその盤は今まで紹介されなかったのかなあ、と思ったりする。

Milt Jackson『Soul Route』(写真)。1983年12月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Gene Harris (ac-p, el-p), Ray Brown (b), Mickey Roker (ds)。

リーダーは、ヴァイブのミルト・ジャクソン、バックのリズム・セクションは、ジーン・ハリスのピアノをメインに、ベースにジャズ・ベースの巨人の一人、レイ・ブラウン、ドラムには、職人ミッキー・ローカー。皆、ハードバップ時代から第一線で活躍してきたベテラン・ジャズマンである。
 
 
Soul-route  
 
 
パブロ・レーベルからのリリース。もともと、パブロ盤については、我が国ではあまり評価されていない様で、名盤紹介などに挙がったケースは少ない。よってこの盤もジャズ盤紹介本などで、まず見たことが無い。

しかし、である。この盤、一言で言うと「ブルージーで、スインギーで、ソウルフルな純ジャズ」。1980年代前半、フュージョン・ジャズを経験して、ソフト&メロウな雰囲気もあり、純ジャズの良いところであるスイング感、ソウル・ジャズの流れを汲む、小粋なグルーヴ感。リラックスして聴ける、ファンキーな純ジャズの好盤である。

特にジーン・ハリスのエレピがソウルフル。この電気ピアノの存在が我が国では受けないのかなあ。でも、このハリスのエレピのソウルフルなグルーヴ感に乗って、爽やかにファンキーなミルトのヴァイブが乱舞する。そして、そのフロントの演奏をレイのベースとローカーのドラムが、これまたファンキーに骨太に鼓舞する。

ベテラン・ジャズメンで固めた、レトロな雰囲気のする盤であるが、どうして、1980年代前半の、良い雰囲気のコンテンポラリーな純ジャズな音が詰まっていて、お勧めの好盤である。
 
 
 

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2020年5月19日 (火曜日)

ポーランド・ジャズの古典的名盤

ジャズは米国だけの音楽では無い。1950年代後半、欧州でもジャズは認知されていた。特に北欧、英仏独では、1950年代の終わりにはジャズは根付いていた。米国東海岸で流行った「ビ・バップ」が、1950年代前半から中盤にかけて欧州に渡り、1950年代後半、米国のジャズマン達が欧州の主要国を演奏旅行するにつれ、ジャズが浸透していった。

Andrzej Kurylewicz Quintet『Go Right』(写真左)。1963年6月、ポーランドの首都ワルシャワ、Polskie Nagrania Studio での録音。 ちなみにパーソネルは、Andrzej Kurylewicz (tp), Jan Ptaszyn Wróblewski (ts, fl), Wojciech Karolak (p), Tadeusz Wójcik (b), Andrzej Dąbrowski (ds)。リーダーは、この盤ではトランペット奏者の「アンジェイ・クーレヴィチ」(後にピアニストとしても活躍)。

Polish Jazz(ポーランド・ジャズ)の古典的名盤の一枚。1963年、ポーランドでは、これだけハイレベルなジャズが録音されていた、ということ。この盤をその背景を知らずに聴けば、1950年代後半の米国のハードバップだと思うだろう。しかし、暫く聴き続けると、ブルース曲が多い割に、ファンクネスが皆無なのが気になる。米国ジャズでは無いと薄々思い始める。
 
 
Go-wright  
 
 
演奏の基本は「ビ・バップ」。それでも、コードがメインの演奏だけでなく、モーダルな演奏もあって、このモーダルな演奏もレベルが高い。モーダルな曲については、エスニックな雰囲気が漂い、明らかにミステリアス。これが面白い。この独特な雰囲気を持ったモーダルな演奏こそが「東欧」らしさだろう。

バックを担当するメンバーも演奏内容は素晴らしい。それぞれの名前については、どういう読み方すれば良いか、よく判らないのだが、演奏テクニック、アドリブのフレーズ展開、即興のインタープレイ、どれを取っても申し分無い。米国のジャズと同一レベルと言って良い。全曲メンバーによる書き下ろしで構成されており、曲作りにおいてもレベルは高い。米国ジャズを十分に研究している。

ユニゾン&ハーモニーやアンサンブルは理路整然としており、乱れることは一切無い。恐らく、しっかりとリハーサルを積んで本録音に臨んでいるのだろう。こういう生真面目さも、欧州ジャズらしいところ。トランペットとテナー、フルートがフロントのクィンテット、良い音出しています。欧州ジャズ者の方々には是非お勧めの好盤です。
 
 
 

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2020年5月18日 (月曜日)

ながら聴きのハモンド・オルガン

ジャズは何も米国と日本だけのものでは無い。1950年代から欧州各国でジャズは根付いていた。今でも、欧州各国を旅行すると、大きな都市にはジャズのライヴスポットがあることに気付く。また、普通の大きめのレストランでは、店の中でライブ演奏していたりする。

日本人の印象は以前から「欧州の音楽と言えばクラシック」だったが、これはとんでもない誤解である。もともと欧州各国は移民を受け入れている。様々な民族が寄せ集まっているので、様々な音楽のジャンルに対する許容範囲が広い。ジャズだって、1950年代後半から、英、仏、独、伊各国、はたまた北欧諸国で演奏されていた。

Rhoda Scott『Movin' Blues』(写真左)。2020年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、Rhoda Scott (hammond B-3), Thomas Derouineau (ds)。米国出身、フランスで活躍するオルガニスト、ローダ・スコットが、リエージュで発見した若いドラマー、トーマス・ドゥルイソーとデュオで吹き込んだ最新作。

ネットの触れ込みでは「ハモンド・オルガンの女王」。が、僕はローダ・スコットの名前を知らなかった。シャーリー・スコットは知っている。でも、ローダは知らない。誰だこれ、と思って、以前刊行されたジャズ批評のオルガン特集を繰って、やっと理解した。

ローダ・スコットはもともとは米国のオルガニスト。1967年にフランスへ移住して以降、フランスが活動拠点となっている。経歴としてユニークなのは、クラシックを学び、さらにパリへ留学した折、あのナディア・ブーランジェ(最高水準にある音楽教師の一人)に師事したということ。そんな経歴の人がジャズ・オルガンをやるのだ。確かに、ローダのハモンドの響きはユニーク。
 
 
Movin-blues  
 
 
テクニックが端正かつ堅実。変な弾き回しの癖が無い。歯切れの良い、正確なピッチ。ハモンドの弾き回しながら、ジャジーではあるがファンクネスはほどんど感じられない。アドリブの展開がゴージャズでスケールが広い。まず米国では聴けないジャズ・オルガンである。欧州ならでは、とも言えるが、ジャジーな雰囲気濃厚なところは、欧州出身のジャズ・オルガンとは異なるところ。

さて、この盤であるが、オルガンはフット・ペダルでベースラインを弾けるので、ベースレスというのはよくあるが、ドラムとオルガンだけのデュオというのはあまり聴いた事が無い。シンプルな構成なので、演奏のバリエーションが乏しくなり、飽きが来る危険性があるので、ギターを入れたり管を入れたりするのだが、ドラムとのデュオというのは珍しい。

オルガンとドラムのデュオなので、演奏内容はシンプルになる。長いソロは必要無いので、いきおい1曲の演奏時間は4〜5分程度とポップス曲なみの短さになる。全部で12曲収録されているので、飽きが来るかなあ、と思ったが、ローダのオルガンのテクニックが優秀なので、ドゥルイソーの多彩なドラミングのおかげと併せて、なんとか全編聴き通すことが出来る。

ローダ・スコットは1938年生まれ。今年で82歳になる。ちょっと長時間のアドリブの弾き回しには体力的に無理があるかな。それでも、シンプルではあるが弾き回しは流麗、メリハリも効いていて、聴き流しのジャズとしては有効なアルバムである。我が「バーチャル音楽喫茶・松和」では、構えて聴き込むのでは無く、何かしながらの「ながら聴きのジャズ」として、この盤、現在、ヘビロテ中である。
 
 
 

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2020年5月17日 (日曜日)

CTIにも純ジャズ好盤がある

1970年代後半は、フュージョン・ジャズの全盛期だったと記憶するが、振り返って見ると、ジャズの全てがフュージョン・ジャズ一色に染まった訳では無い。例えば、フュージョン・ジャズの主力レーベルであるCTIレーベル。当時は電気楽器を使っているだけで、8ビートを採用しているだけで「コマーシャルなフュージョン」のレッテルを貼られていたのだが、今の耳で聴き直して見ると、イジーリスニング・ジャズっぽいが、コンテンポラリーな純ジャズな盤が結構あるのだ。

Art Farmer『Big Blues』(写真)。1978年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Michael Moore (b), Steve Gadd (ds), Mike Mainieri (vib), David Matthews (arr)。フュージョン・ジャズの主力レーベルであるCTIレーベルからのリリース。ファーマーのトランペット、ホールのギターがフロントを張り、お洒落にヴァイブを加えた、ピアノレスなクインテット編成。実にユニークな編成である。

ハードバップ時代からの強者、トランペットのアート・ファーマーとギターのジム・ホール。フュージョン・ジャズの申し子、ドラムのスティーヴ・ガッドとヴァイブのマイク・マイニエリ。新旧の強者がガッチリ組んだ、コンテンポラリーな純ジャズの好盤である。そもそも、この面子で、どうやって「ソフト&メロウなフュージョン・ジャズ」をやるんだ、とも思う。
 
 
Big-blues  
 
 
聴いてみると、ファーマーのトランペットは絶対にバップだし、ホールのギターはアグレッシブではあるが、基本はメインストリーム。しかし、ファーマーのトラペットはマイルドでウォーム。ホールのギターはムーディー。明らかにフュージョン・ジャズな雰囲気に音は合わせているのだが、このハードバップ時代からの強者2人は基本的にスタイルは変えていない。変えていないどころか、以前からのスタイルで溌剌とプレイしている。良い音を出しているのだ。

このハードバップ時代からの強者2人の個性に、バックのフュージョン・ジャズの申し子、ドラムのスティーヴ・ガッドとヴァイブのマイク・マイニエリがしっかりと合わせている。ガッドのドラムは縦ノリだが、4ビート基調のドラミング。8ビートも縦ノリでスインギー。マイニエリのヴァイブはファンキー・ジャズの雰囲気を色濃く振り撒いていて、これまたスインギー。どう聴いてもフュージョン・ジャズの「ノリ」では無い。

フュージョン畑のドラムのガッド、ヴァイブのマイニエリ、ベースのムーアが、コンテンポラリーな純ジャズに適応する。CTIレーベルには、こういった「70年代のコンテンポラリーな純ジャズ」の好盤が散見されるが、今までなかなか注目を浴びることは無かった。しかし、最近、リイシューが相次ぐ様になり、1970年代後半、ジャズの全てがフュージョン・ジャズ一色に染まった訳では無かったことが明確になった。つまり「純ジャズ」は死んではいなかったのである。
 
 
 

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2020年5月16日 (土曜日)

ECMらしい現代のニュージャズ

一昨日、昨日と書庫の大掃除を断行し、書庫のステレオが復活。本を読みながらのジャズ鑑賞が再び可能となり、ご満悦の週末である。今日は朝の10時頃から日中、雨の一日。外出することもなく、ステイホームを継続。静かな雨の週末の午後、久し振りのECMレーベルのアルバムが聴きたくなった。

ECMレーベルは、総帥マンフレート・アイヒャーの自らの監修・判断による強烈な「美意識」のもと、ECM独特のニュー・ジャズを展開する。そして、ECM独特の限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。一聴すればすぐに「ECM」と判るほどの個性的な演奏と録音。僕はこのECMの音が大好きで、今でも時々、禁断症状を発症しては、暫くECMの日々が続くことになる。

Enrico Rava & Joe Lovano『Roma』(写真左)。昨年9月のリリース。ECMの2654番。2018年11月10日、イタリア、ローマのAuditorium Parco Della Musica でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Rava (flh), Joe Lovano(ts, tarogato), Giovanni Guidi (p), Dezron Douglas(b), Gerald Cleaver(ds)。

エンリコ・ラヴァのフリューゲルホーン、ジョー・ロヴァーノのテナー・サックスのフロント2管のクインテット編成。ラヴァのトランペットは、マイルス、ファーマー、ガレスピー、そして、ドン・チェリーとバリエーション豊か。ロヴァーノがハンガリーの民族楽器「tarogato」を駆使しているのが珍しい。
 
 
Roma  
 
 
今日選んだECM盤はこれ。宣伝のキャッチを借りると「イタリアのジャズの重鎮、トランぺッター、エンリコ・ラヴァとシチリアに先祖を持つアメリカ人ヴェテラン・テナー・サックス奏者、ジョー・ロヴァーノとの邂逅と捉えたローマでのライブ録音」。とまあ、そんな感じなんだが、さすがECM、冒頭からECMの音世界がブワーっと広がっていて、思わず引き込まれる。

ラヴァのトランペットとロヴァーノのテナー・サックスが実に良い音で鳴っている。ほとんどデュオ演奏に近い、適度な緊張感漲る丁々発止のインタープレイ。リラックスして、ゆったりとした大らかなブロウ。ラヴァもロヴァーノも好調。お互いの音をしっかり踏まえながら、ニュージャズっぽい、リリカルで切れ味の良いアドリブ・フレーズを連発している。

叙情的なピアニストのグイディ、ダイナミックなドラマーのクリーヴァー、ベースの名手ダグラスのリズム・セクションも絶好調。ラヴァとロバーニのフロント2管の音の雰囲気を踏まえ盛り立て、印象的なサポートを繰り広げる。とても柔軟性が高く、反応が素早い素敵なリズム・セクションである。

ネットを見渡すと、あまりこの盤に具体的に触れた形跡は希薄なんですが、現代ニュージャズの好盤です。ECM独特の音世界をしっかりと踏襲して、その音世界の中で、フロント2管、それぞれが自らの個性を発揮する。実にアーティステックな内容です。ジャズ喫茶の昼下がりの雰囲気にピッタリの音です。
 
 
 

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2020年5月15日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・169

僕のお気に入りのトランペッターについては、絶対的存在として「マイルス・デイヴィス」。そのマイルスの次にお気に入りになったのが「リー・モーガン」。

彼のリーダー作『Candy』を聴いて、一発でお気に入りになった。ブラスが響く様に鳴るトランペット。驚異的なテクニック。そして、フレーズの途中でキュッと締める「音の絞り」、フレーズの終わりをヒュッと押し上げる「音の捻り」。フレーズの「癖」が実に鯔背(いなせ)なのだ。これにはホトホト参った。

高校時代はロックが専門だった。大学に入ってからジャズに鞍替えしたんだが、そういう背景もあって、基本的に4ビートよりは8ビートの方が好きだった。ジャズで8ビートと言えば、まず浮かぶのが「ジャズ・ロック」。1960年代半ば辺りから、ロックの台頭に呼応して、ジャズもこのロックのビート、いわゆる「8ビート」を採用し「ジャズ・ロック」という演奏トレンドを編み出した。そのジャズ・ロックを初めて体験したのが「この盤」。

Lee Morgan『The Sidewinder』(写真左)。1963年12月21日の録音。ブルーノートの4157番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), Barry Harris (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。リリース当時、ビルボード・チャートで最高25位を記録し、ブルーノート・レーベル空前のヒット盤となった。ジャズ史上においても、屈指のヒット盤である。
 
 
The-sidewinder  
 
 
冒頭のタイトル曲「The Sidewinder」が突出して出来が良い。8ビートを取り入れた「ジャズ・ロック」の走りで、実はブルースなんだが、8ビートに乗っているので、スピード感溢れる切れの良いブルースに仕上がった。これが「小粋」で「鯔背」なのだ。シュッとしていて格好良い。イントロから格好良くて、フロント2管+ピアノのユニゾン&ハーモニー、ブレイク後のクランショウの短いベース・ソロ。「粋」である。

この盤、「いち早くロックのリズムを取り入れ、それに成功したジャズ盤」とされるが、冒頭のタイトル曲は確かに8ビートだが、2曲目以降、4ビートの曲もあるし、6拍子の曲もあって、様々なリズム・アプローチを試みたハードバップ盤の様相である。このアプローチについては全曲ほぼ成功を収めており、全編に漂うファンクネスを踏まえて、この盤は「様々なリズム・アプローチを試みたファンキー・ジャズ盤」と言える。

全編8ビートの「ジャズ・ロック」が満載だと勘違いすると、この盤は辛い。しかし、冒頭の「The Sidewinder」だけでも、この8ビート採用のジャズ・ロック曲だけでも、インパクトは絶大。しかし、この盤は「様々なリズム・アプローチを試みたファンキー・ジャズ盤」。決してコマーシャルなジャズ盤では無い。

冒頭のジャズ・ロック曲「The Sidewinder」だけで満足するのは勿体ない。全編聴き通して、意外と硬派でファンキーで純ジャズな演奏を心ゆくまで楽しんで欲しい。ハードバップの発展しきった、ハードバップの最高地点の音の1つを聴くことが出来ます。お勧めです。
 
 
 

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2020年5月14日 (木曜日)

爽やか軽やかなフュージョン

今日の千葉県北西部地方は、実に爽やかな一日だった。空は快晴、ちょっと強いが乾いた薫風が吹き抜ける。外を散歩しても、陽射しは強いが汗ばむことは無い。良い季節になりました。ステイホームのジャズ鑑賞も、いきおい、爽やかなフュージョン・ジャズのアルバムを探しては、CDプレイヤーのトレイに載せてしまいます。

Grover Washington, Jr.『Soulful Strut』(写真左)。1996年のリリース。パーソネルを見渡すと、名前の通ったフュージョン畑の名手達の名前は無い。1996年のフュージョン・ジャズの好盤である。さもありなん、と思う。ワシントン・ジュニアは1999年12月に逝去(享年56歳)しているので、逝去の僅か3年前の「白鳥の歌」、最後のオリジナル盤である。

タイトルの「Soulful Strut」、ニューヨーカーの歩き方で「気取って軽やかに歩く」とか」「魂むき出しで堂々と前に進んでいく」という感じらしい。当アルバムの冒頭を飾るのが、このタイトル曲「Soulful Strut」。「Soulful Strut」という題名としては、1968〜69年にヒットした、Young-Holt Unlimitedのインスト曲のカヴァーなんだが、爽やか軽やかに歩いて行く、って感じで、今の爽やかな季節にピッタリの雰囲気。
 
 
Soulful-strut  
 
 
R&B風の曲想に、キャッチーなブラスのリフが乗り、哀愁感溢れるピアノがフレーズを紡ぎ、グルーヴ感溢れるエレベとシンプルで適度にルーズなドラムがアーバンでソウルフルなビートを醸し出す。そして、ウォームだが切れ味の良い、唄うが如くのワシントン・ジュニアのアルト・サックスが印象的。この1曲だけでも、この盤は「買い」である。

ワシントン・ジュニアについては、1980年の『Winelight』ばかりが語られ、これしかないフュージョン・ジャズ野郎と思われがちですが、他にも内容のある好盤を多数リリースしています。この『Soulful Strut』も、そんな内容のある好盤の一枚。冒頭のタイトル曲がこの盤全体の雰囲気を決定付けていて、全編、爽やかで軽やかな、R&B基調のフュージョン・ジャズが満載です。

曲によって採用されている無機質な打込み系のリズム&ビートも気にならない、ソウルフルでウォーム、切れ味良くクールなワシントン・ジュニアのアルト・サックスが映えに映える。ワシントン・ジュニアのアルト・サックスの個性が良い方向に全開の好盤です。この3年後、56歳で逝去したのが実に惜しい。ジャズマンとしては成熟してこれから、と言う時に残念でなりませんでした。
 
 
 

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2020年5月13日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・129

トリオ・レコードとは、オーディオメーカー「トリオ」のレコード部門が立ち上げたレーベルである。活動期間は1969年〜1984年。日本の歌謡曲など、バラエティーに富んだジャンルを扱っていたが、ジャズのジャンルでは、純ジャズの好盤を多くリリースしている。この「トリオ・レコード」のジャズ盤を手当たり次第、聴き直しているんだが、この人の名前は完全に失念していた。

Dave Burrell(ディヴ・バレル)である。ディヴ・バレルは、米国のジャズ・ピアニスト。1940年、米国オレゴン州生まれ。今年で80歳になる。1960年代初にデビュー、サニー・マレー、アーチー・シェップ、ファラオ・サンダースらのバンドでフリー・ジャズの名手を好サポート。どちらかと言えば、フリー・ジャズのジャンルに軸味がある。4〜5年前まではリーダー作をリリースしていたが、最近は活動の情報が無い。

Dave Burrell『Only Me』(写真)。1973年10月12日、東京内幸町のイイノホールでの録音。トリオ・レコードからのリリース。タイトル通り、この盤は、ディヴ・バレルのソロ・ピアノ盤になる。ピアノはスタウンウェイを使用。ディヴ・バレルの横顔アップの白黒写真のジャケットは雰囲気があって良い。いかにもジャズ盤のジャケットらしい。これは「ジャケ買い」レベルのジャケットで、その内容が期待出来る。
 
 
Only-me  
 
 
ディヴ・バレルのキャリアから、かなりフリー・ジャズに傾いたソロ・パフォーマンスであろうと予想して、CDプレイヤーのスタート・スィッチを押す。と、出てくる音は、あにはからんや、スタンダードなジャズ・ピアノである。米国ルーツ・ミュージック、ブルース、ソウル、ゴスペル、カントリーなどのアフリカン・アメリカンのルーツ・ミュージックを踏まえた、素敵なソロ・パフォーマンスに、聴く前の予想が大外れで、ちょっとビックリ。

フリー・ジャズの経験豊富にもかかわらず、スインギーで流麗。激情に任せて弾きまくるのでは無い、上手く間を活かした、思慮深い、どちらかと言えば内省的なピアノである。それでも、アドリブ・フレーズのここかしこに、米国ルーツ・ミュージックのエッセンスが散りばめられていて、ブルージーでソウルフル、くどくないスッキリとしたフレーズの数々に思わずニンマリ。

そもそも、この盤、トータルで43分の収録時間なんだが、3曲しか収録されていない。2曲目の「Lush Life」で16分弱、3曲目の「8th Ave. Randez-Vouz Blues」に至っては、22分21秒の長尺もの。ソロ・ピアノなので、これだけ演奏時間が長いと飽きが来るものなんだが、この盤については飽きが来るどころか、じっくりと聴き込んでしまう。聴けば聴くほど味が出る、そんなディヴ・バレルのソロ・パフォーマンスである。ソロ・ピアノ盤のマニアの方は是非、ご一聴を。
 
 
 

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2020年5月12日 (火曜日)

ケイブルスのピアノを楽しむ

ステイホームの状態になって、はや2ヶ月になる。ステイホームなので、家にいることが多い。まとまった時間がとれるので、ネットをウロウロして、いろいろと今まで聴いたことのなかったジャズ盤を漁っている。これがまあ、結構あって、本当にジャズの裾野は広いなあ、と改めて感心している。

ジョージ・ケイブルスの名前が目に留まった。お気に入りのピアニストの一人である。初リーダー作が1975年と、純ジャズ不遇の時代に頭角を現したので、我が国では意外と人気が無い。それでも、リーダー作や、アート・ペッパー、ボビー・ハッチャーソン、バド・シャンク等との共演で、なかなか良い味を出していて、意外と隅に置けないピアニストである。

彼のピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが特徴。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、コルトレーンの十八番「シーツ・オブ・サウンドほど」多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活用することは無い。
 
 
Looking-for-the-light  
 
 
George Cables『Looking for the Light』(写真左)。2003年1月27日、2月1日の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Gary Bartz (ss, as), Peter Washington (b), Victor Lewis (ds)。基本はカルテット。一部、トリオ演奏とピアノソロが入っている。 エリック・サティの「Gymnopedie」とキャロル・キングの「Will You Still Love Me Tomorrow?」のカヴァーが目を引く。

ケイブルスの敬愛するジャズマンは「コルトレーンとタイナー」。レベルの高いモーダルな奏法は、この二人を真摯に追いかけた結果だろう。そして、敬愛する同業者であるピアニストは「アート・テイタム」。そう、彼のピアノの個性である「適度に硬質、適度に多弁」はテイタムが起源なのだ。そして、思索的で思慮深いアドリブ展開は、ケイブルスのオリジナル。聴いていて、安定感があり、耳当たりがとても良い。

ケイブルスのピアノはスインギーで思索的。とても落ち着いた雰囲気で、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションを展開する。カルテット編成での、ゲイリー・バーツのサックスもモーダルで、良い雰囲気を醸し出している。アルバム・ジャケットだけが「味もしゃしゃらもない 」のが玉に瑕だが、内容的には、ケイブルスのピアノをじっくり楽しめる「隠れ好盤」。
 
 
 

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2020年5月11日 (月曜日)

温故知新な現代ジャズです。

溜まりに溜まったジャズの新盤の整理をしている。整理するにしても、先ずは自分の耳で聴いてみないことには整理出来ない。まず聴くべし、聴くべしである。そういう点では、今回のコロナウィルスの緊急事態宣言については、ジャズの新盤を集中して聴く時間が取れたので、ステイホームを有効に活用していると言えるかな。

新盤を聴き進めていると、これは、という好盤にいきなり出会ったりする。しかも、その好盤のリーダーの名前を見ると、決まって知らない名前だったりする。それでは困る。よって、ググって「これはいったい誰なんだ」と調べに走る。そういう時、言語は何でも良い。情報があれば良い。無いと困る。好盤なのに評価が出来ない状況に陥る。ネット時代の音源過多の弊害でもある。

Emanuele Cisi『No Eyes : Looking at Lester Young』(写真左)。2018年6月、Warner Music Italy からのリリース。リーダーは、テナー’サックス奏者の Emanuele Cisi=「エマヌエーレ・チーズィ」。ちなみにパーソネルは、Emanuele Cisi (ts), Dino Rubino (p, flh on 5,11), Rosario Bonaccorso (b), Greg Hutchinson (ds), Roberta Gambarini (vo on 1,2,4,6,8)。
 
 
No-eyes-looking-at-lester-young  
 
 
エマヌエーレ・チーズィは、イタリアの実力派テナー・サックス奏者。1964年生まれ。今年で56歳になる。イタリアのトリノ出身。1994年に初リーダー作をリリース。1999年以降は、主にフランスに拠点に移して活動している、とのこと。イタリアン・ジャズについては10年以上、折につけ耳にしていたが、チーズィの名前は知らなかった。が、この敬愛するレスター・ヤングに捧げたオマージュ作品を聴けば、チーズィの実力の高さが良く判る。

レスターに捧げたチーズィのオリジナル曲に加え、「Jumpin' At The Woodside」や「These Foolish Things」等のレスターの愛奏曲を選曲。そして、面白いのは、レスターの様なオールド・スタイルで吹けば面白いであろう、ショーター作の「Lester Left Town」や、ミンガスの「Goodbye Pork Pie Hat」を演奏しているところ。これらの曲を、オールド・スタイルを基本としたテナーで吹き進めている。が、出てくるフレーズは、現代ジャズの先端を行く、ネオ・ハードバップでモーダルな自由度の高いもの。このギャップが面白い。

ゲストで参加しているロベルタ・ガンバリーニのボーカルも味があって、「レトロなモダンジャズ」風で良い感じ。オールド・スタイルを基本に「古き良き時代のスインギーなバップ」をやりながら、出てくるフレーズは「現代のネオ・ハードバップ」。まさに「温故知新」な内容の現代ジャズである。盤全体の雰囲気はムーディーで落ち着きのあるもの。ジャズ者の方々全てにお勧めの好盤です。
 
 
 

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2020年5月10日 (日曜日)

1950年代後半の仏ジャズの状況

サックス好盤の聴き直しをしていて、ハードバップ期の欧州という切り口で好盤を探すと、まず、いの一番に引っ掛かってくる名前が「Barney Wilen(バルネ・ウィラン)」。フランスのサックス奏者である。マイルス・デイヴィス『Ascenseur pour l'Échafaud(死刑台のエレベーター)』での共演をはじめとして、Art Blakey や Bud Powell、John Lewis 等、米国のジャズマンが演奏旅行での渡欧の折、パリで録音する際の「ファーストコール」なサックス奏者であった。

バルネ・ウィランは、1937年生まれ。1996年に59歳で逝去している。リーダー作はそれなりに多数あるが、ビ・バップ〜ハードバップ基調の純ジャズについては、1950年代後半と、晩年の1990年代に集中している。1960年代半ばから後半にかけては、何故かロックのアルバムを録音したり、1970年代には、サイケデリック・ジャズやエスニック・ジャズに傾倒している。ジャズマンとしては異色というか、ちょっと訳の判らんところがあったサックス奏者だった。

Barney Wilen『Tilt』(写真左)。1957年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Wilen (ts), Bibi Rovère (b), Jacky Cnudde (p, tracks: B1 to B4), Maurice Vander (p, tracks: A1 to A5), Al Levitt (ds, tracks: A1 to A5), Charles Saudrais (ds, tracks: B1 to B4)。フランスのメンバーで固めた、フロントがウィランのテナー1管のワンホーン・カルテット。
 
 
Tilt-1  
 
 
前半の5曲がモーリス・ヴァンデール (p)、ビビ・ロヴェール (b)、アル・レヴィット (ds) のリズム・セクションをバックにスタンダード曲とビ・バップの名曲を演奏。この前半の5曲が、この盤の聴き所となる。いずれの曲でも、バルネ・ウィランのテナーが素晴らしい。ウィランのブロウは「ビ・バップ」仕込み。本家、米国東海岸のビ・バップを良く研究し、自分のものにしているなあ、と感じる。

後半4曲は、ベースはそのままでピアノがジャック・ヌーデ、ドラムがシャルル・ソードレに交代して、セロニアス・モンクのナンバーを演奏。このモンクのナンバーの演奏については、どうにもモンクの物真似っぽく、この演奏を展開するフランスのメンバーには、自らのオリジナリティーの下でのモンク曲を扱うには、まだまだスキルと経験が不足しているようだ。しかし、真摯な演奏であり、健闘している。
 
本場米国のジャズに学び、それを自分のものとして、オリジナリティーを発揮していく。その発展途上の仏ジャズのレベルと状況が良く判る。この盤のメンバーは皆、健闘している。そして、ウィランのテナーはやはり頭1つ抜きん出ている印象なのだ。ウィランのテナーは、当時の米国ジャズの世界でも通用するレベル。1950年代後半の仏パリのジャズがどういう状況だったのか、それがとても良く判る内容の好盤です。
 
 
 

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2020年5月 9日 (土曜日)

アート・ファーマーの総合力

アート・ファーマーのエッジが円やかで、ブリリアントなトランペットの音色が良い。音のエッジが丸くて耳に優しいが、しっかりと芯のある音。ブラスをブルブルと響かせる様な、心地良い黄金色の金属音が良い。

この心地良い、印象的なトランペットは、ミドル〜スロー・テンポの曲に実に良く映える。ファーマーもそれを判っているのか、ファーマーのリーダー作は、耽美的で印象的なミドル〜スロー・テンポの演奏が「ウリ」になることが多い。

Art Farmer『Modern Art』(写真左)。1958年9月10, 11 & 14日、NYでの録音。United Artistsレーベルからの録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Bill Evans (p), Addison Farmer (b), Dave Bailey (ds)。リーダーはトランペットのファーマー、後にジャズテットを組む盟友ベニーゴルソンとの2管フロント。ちなみにベースのアディソン・ファーマーは、リーダーのアート・ファーマーと双子の兄弟。

この盤では、アート・ファーマーは速いテンポの曲で、トランペットをバリバリ吹いている。冒頭の「Mox Nix」など、象徴的な演奏で、アートファーマーは、テクニックについても、かなり高度なものを持っていることが判る。ただ、アート・ファーマーのエッジが円やかで、ブリリアントなトランペットの特徴をハッキリと確認出来るのは「ミドル〜スロー・テンポ」の演奏下である。
 
 
Modern-art-1  
  
 
パーソネルを見れば、テナー・サックスにベニー・ゴルソンがいるので、この盤もさぞかし「ゴルソン・ハーモニー」が炸裂しているんだろうなあ、と推測するのだが、聴いてみるとさほどでもない。ゴルソン・ハーモニーの「キモ」である、独特の響きを宿したユニゾン&ハーモニーをほとんど聴くことが出来ない。従来のハードバップにも聴くことの出来る、通常レベルのアレンジに終始している。

ピアノのビル・エヴァンスについても、この盤では、彼の個性を発揮したパフォーマンスは聴くことが出来ない。他のハードバップに聴くことが出来る平均点レベルでのバッキングに終始している。ベースのアディソン・ファーマーのベースについても、ドラムのベイリーについても同様に平均点レベルの安定したパフォーマンスに留まっている。

この盤、昔も今もアート・ファーマーの代表盤として紹介されているが、どうだろう。ミドル〜スロー・テンポをメインに、リリカルで抑制の効いたクールなブロウのファーマーも、バリバリとハードバッパー風に速いテンポの曲も吹けるんだよ、的な内容で、ファーマーも他のトランペッターと比べても総合的に遜色ない、ということを感じるに留まるのが残念。

ハードバップの盤としては及第点。アート・ファーマーのトランペットの総合力の高さを感じることの出来る盤ではある。誤解無きよう、この盤でも、アート・ファーマーのトランペットについては申し分無い。とても優れたパフォーマンスを発揮している。他の優れた個性的なジャズマン、例えば、ゴルソン、そして、エヴァンスの参加による「化学反応」が不発であることだけが残念なのだ。
 
 
 

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2020年5月 8日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・128

ステイホームで自宅にいる時間が長くなった分、いろいろとジャズ盤に関する情報収集や整理が捗っている。当ブログは、ジャズ者初心者向けのジャズ盤紹介が基本のブログであるが、当ブログでご紹介していない好盤がまだまだある。それらの盤について、詳細の情報収集をしたり、ネットや雑誌の情報を確認して、もともと自分が知らない好盤について、リサーチを進めたりしている。

Duke Ellington『The Duke Plays Ellington』(写真左)。1953年4月13, 14日、12月3日の3回に分けての録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Wendell Marshall (b), Butch Ballard (ds, tracks 1-12), Dave Black (ds, tracks 13-15), Ralph Collier (congas, track 14)。1曲だけ、コンガが入るが、基本はエリントンのピアノをメインにした、ピアノ・トリオ演奏である。
 
タイトル通り、エリントン・ジャズ・オーケストラの統帥であるデューク・エリントンが、ピアニストとして、自らが作曲した名曲の数々を、ピアノ・トリオ編成でセルフカヴァーするという企画盤。ピアノが主役のピアノ・トリオでのパフォーマンスであること、そして、エリントン自らが作曲した、数々のスタンダード曲を演奏することで、デューク・エリントンのピアニストとして個性と特徴が際立つ内容になっている。
 
 
The-duke-plays-ellington-piano-reflectio  
 
 
エリントンのピアノは、音数を厳選した、印象的で耽美的な弾き回し。しっかりとしたタッチではあるが、ダイナミズムを抑制した、ほど良くコントロールされたスイング感。単音の音の響きを大事にした、シンプルなフレーズ作り。音数が少なく、シンプルではあるが、その典雅な響きは実に「クール」。そして、その「クール」さの裏には、しっかりとファンクネスが漂い、ブルースが流れる。
 
この盤を聴いて、エリントンは非常に優れたピアニストであることを再認識した。このエリントンのピアノの個性と特徴は、他のピアニストには無い。唯一無二の個性という面でも、ブルージーでスインギーであるという面でも、エリントンのピアノは「実にジャズらしいジャズ・ピアノ」と言える。その「ジャズらしいジャズ・ピアノ」で、最もジャズらしいひとつとされる、エリントン作のジャズ・スタンダード曲をセルフカヴァーするのだ。これはもう堪らない。
 
僕はこの盤をつい先日まで失念していた。というのも、この盤、1989年に、ブルーノートからCDリイシューされたのだが、その時のタイトルが、『Piano Reflections』(写真右)と新しく名づけられてのリイシューだったのだ。この時、僕は、このリイシュー盤、実は『The Duke Plays Ellington』であることを知らなかった。今回、とある資料を読んでいて、その事実を知った次第。そして、聴いてその優れた内容にビックリして、思わず「こんなアルバムあったんや〜」。 
 
 
 

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2020年5月 7日 (木曜日)

ファーマーの個性が良く判る

トランペットの好盤の聴き直しをしていて、僕のジャズ・トランペッターのアイドルって誰なんだろう、と振り返ってみた。まず、絶対的存在として「マイルス・デイヴィス」。次いで「リー・モーガン」。その次が「クリフォード・ブラウン」。そして、何故か、ジャズを聴き始めた頃から好きなトランペッターが「アート・ファーマー」。

Art Farmer『Art』(写真左)。1960年9月の録音。Argoレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Tommy Flanagan (p), Tommy Williams (b), Albert Heath (ds)。ファーマーのトランペットがフロント1管のワンホーン・カルテット構成。ファーマーのトランペットの個性を心ゆくまで感じることが出来る、格好の演奏フォーマットである。

アート・ファーマーのエッジが円やかで、ブリリアントなトランペットの音色が良い。耳をつんざくようなソリッドな音では無い、音のエッジが丸くて耳に優しいが、しっかりと芯のある音。ブラスをブルブルと響かせる様な、心地良い黄金色の金属音が良い。

流麗なテクニックが良い。テクニックをひけらかすのでは無い、唄うが如く印象的なフレーズを表現する為に、自らの持つ高いレベルのテクニックを利用する。その奥ゆかしさが良い。
 
 
Art-art-farmer
  
 
冒頭、リズム・セクションの演奏が長々と続くが心配はいらない。スッと入ってくるファーマーのトランペットの音色が絶品なのだ。この盤の録音バランスがそもそもトランペット重視。リズム・セクションは奥に引っ込んだ感じ。ファーマーのトランペットだけがグッと前面に出てくる。ファーマーのリリカルなトランペットの特徴がスピーカーから飛び出してくる。良い音だ。

録音バランスのせいで、なかなか詳細が聴き取り難いバックのリズム・セクションだが、耳を傾ければ、なかなか洒落て粋なパフォーマンスであることに気付く。トミー・ウィリアムスの明るく、グイグイとスイングするベース。他に録音が少ない、無名に近いベーシストですが、好演。この盤では大活躍です。

ピアノのトミフラは「名盤請負人」の異名を持つ、バッキング上手な職人ピアノ。ファーマーのトランペットの雰囲気に合ったピアノのフレーズを弾きこなしていて流麗。ドラムのアルバート・ヒースは、破綻、乱れ、誇張の無い、端正なリズムを綿々と供給する。

最後にジャケットが良い。トランペットを持って椅子に座るファーマー。ファーマーのエッジが円やかで、ブリリアントなトランペットの音色が聴こえてきそうな、柔らかで和やかな色合い。印象派の肖像画を見るような、味のあるジャケット。

この盤、ジャケットから内容まで、全てが素晴らしい、ハードバップなトランペットの好盤である。
 
 
 

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2020年5月 6日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・168

コロナウイルスに関する緊急事態宣言が発効されて以来、ステイホームの日々が続いている。週2回の食料の買い出し、一日一回の人通りを避けての散歩以外、ステイホームの毎日である。ステイホームを始めてから、振り返って見ると、ジャズ盤を聴く機会より、ジャズ盤を探索する機会が増えた。そして、「こんな盤、あったんや」という盤を見つけたりしている。

この盤はつい数年前まで、その存在すら知らなかった。もともと、オールドスタイルもテナーマンと、バリトン・サックス(略してバリサク)の名手との「ミーツもの」である。どちらのジャズマンに対しても、強い興味を持っていなかったこともある。ジャズ盤紹介本や幻の名盤本にも、まず、この盤の名前が挙がっていたのを、見たことがなかった。か、見過ごしていたのかも知れない。

『Gerry Mulligan Meets Ben Webster』(写真)。1959年11月3日と12月2日の録音。「ミーツもの」お得意のVerveレーベルからのリリースになる。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Gerry Mulligan (bs), Jimmy Rowles (p), Leroy Vinnegar (b), Mel Lewis (ds)。米国西海岸ジャズのリズム・セクションをバックに、オールドスタイルのテナーマン、ウェブスターとバリサクの名手マリガンの2管フロント。
 

Gerry-mulligan-meets-ben-webster

 
選曲はオールドスタイルのウェブスターに合わせたのか、バラード曲中心、ミッド〜スローテンポな曲がメインの選曲。これがまあ、オールドスタイルのテナーの音とバリサク特有の重低音に「ジャスト・フィット」なのだ。オールドスタイルのテナーの中低音とバリサクの重低音のユニゾン&ハーモニーの心地良い響き。思いっ切りジャジーでファンキーでムード満点。

二人の息の合った絶妙なバラード、冒頭の「Chelsea Bridge」が素晴らしい出来。テーマ部のユニゾン&ハーモニー、そして、悠然とした、硬派ではあるが、限りなくジェントルなアドリブ展開の吹き回し。惚れ惚れする。以下「Tell Me When」「In A Mellow Tone」「"What Is This Thing Called Love」など、アレンジも良好で、スイングな吹き回しが素敵な、極上のハードバップを聴くことが出来る。

バックのリズム・セクションも絶妙のパフォーマンスを聴かせてくれる。歴代の女性ジャズボーカリストの伴奏を務めたロウルズのピアノが、とりわけ素晴らしい。堅実ベースラインのビネガー、堅実ドラムのルイスのリズム隊も硬軟自在なリズム&ビートを供給し、フロント2管のブロウを惹き立たせている。こんなに素晴らしい内容の盤が、ジャズ盤紹介本に挙がらないなんて。ここに、我がジャズ喫茶の「ジャズ喫茶で流したい」盤にエントリーさせていただきます。
 
 
 

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2020年5月 5日 (火曜日)

注目の「日本発エレ・ジャズ」

リーダーの名前を見て、どっかで見た名前だな、と思った。思わずググってみたら「2018年公開の映画「坂道のアポロン」におけるディーン・フジオカ演じる純兄(じゅんにい)の実際に流れる音のプレイ、及び5年前公開の同作アニメ版でのプレイ。星野源が昨年秋リリースした<さらしもの>でのトランペットソロでのフィーチャー等、ここ数年で評価がうなぎ上りのトランペッター」とある。そうか、どこかで見た名前だと思った。

類家心平『RS5pb』(写真左)。2019年11月23日、12月6日の録音。ちなみにパーソネルは、類家[るいけ]心平 (tp), 田中 “tak” 拓也 (g), 中嶋錠二 (p, key, Rhodes), 鉄井孝司 (b), 吉岡大輔 (ds)。ゲストとして、後関好宏 (ts, bs), 橋本歩 (cello), 高橋暁 (vln), 田中景子 (viola) がクレジットされている。先の「ここ数年で評価がうなぎ上りのトランペッター」、類家心平のリーダー作である。

実際に聴く前に、この盤の評を確認すると「スウィング、R&B、ロック、アバンギャルド、フリー、その他、あらゆる音楽的要素を包含しつつRS5pbと言うバンドにより昇華され繰り広げられる音世界」「更なる進化を遂げた鋭くもスペイシーでスケールの大きなバンド・サウンド」とある。何だか具体的イメージが湧かない評価で、これはもう実際に聴いて体感するしかない。
 
 
Rs5pb  
 
 
で、聴いてみたら、な〜んだ、と思う。エレクトリック・マイルス(エレ・マイルス)な音世界ではないか。音作りの根幹は明らかに「エレ・マイルス」で、エレ・マイルスでも、1970年代中盤、隠遁時代直前の『Dark Magus』から『Agharta』『Pangaea』の音世界から、黒いファンキーでダークな要素をそぎ落とし、硬派でシャープ、ソリッドで切れ味の良い音をマイルドにポップに変換し、とても聴き易い「エレ・マイルス」風の音世界を構築している。

類家心平の吹くトランペットもどこか「マイルス」を想起させる音であり、フレーズであり、エレ・マイルス者の僕として、聴いていて楽しい限り。エレクトリック・ジャズというのは、リズム&ビートの「キメ」が大変重要なんだが、このバンドのリズム&ビートについては、ブレ無く破綻無く、そして、淀みが無い、明快に「キメ」が効いている。重量感もあり、スピード感もあり、演奏全体にソリッドな躍動感を提供していて気持ちが良い。

オリジナルの新曲以外に、ローリング・ストーンズのバラード曲「Lady Jane」をカヴァーしており、こういうところも、現代のコンテンポラリー・ジャズの王道を踏襲していて、日本発のエレ・ジャズとして、コンテンポラリー・ジャズとして、心強い限りである。内容的にも十分にグローバル・レベルのレベルを維持していて立派だ。エレ・ジャズの好盤として注目の一枚である。
 
 
 

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2020年5月 4日 (月曜日)

ブルー・ミッチェル「この一枚」

トランペットの好盤の中で、当ブログでご紹介しそびれていた盤を選んで聴き直している訳だが、こんな有名盤、当ブログで語っていなかったとは思わなかった。どうも、昔、運営していたホームページで語ったまま(2006年8月9日にアップした形跡がある)、その旧ホームページを閉じる際、その記事を当ブログに移行し忘れたのが原因らしい。その盤とは・・・。

Blue Mitchell『Blue's Moods』(写真左)。1960年8月24 & 25日の録音。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp, cor), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Roy Brooks (ds)。ハード・バップ時代中期~後期の人気トランペッターの一人、ブルー・ミッチェルのワンホーン・カルテットである。

ブルー・ミッチェルといえば、1930年3月、フロリダ州マイアミ生まれ。ハイスクール時代にトランペットを学び、1951年にプロ入り。1958年にホレス・シルバーのグループに入り頭角を現す。その後、ブルーノートやリバーサイドでソロのリーダー盤を相当数リリースしている。晩年には、ロック系のアーティストと積極的に交流し、そのジャズ・ロック的な演奏が話題になった。1979年5月、49歳で逝去している。

彼のトランペットは、ファンキーでしっかりと芯のある音なのだが、意外と耳当たりの良い「まろやかな響き」が特徴。そして、その音の響きがブリリアントで、いかにも「ブラスの響き」って感じが良い。目立ちたがり屋のジャズ・トランペッターの様に、ど派手なパフォーマンスや、耳を突き抜けるようなハイ・トーンは無いんだけど、そのファンキーで、耳当たりの良い「まろやかな響き」がクセになる、実に雰囲気のあるトランペットである。
 

Blues-moods
 
 
まず、この盤、ジャケットがすこぶる良い。煙草を吸いながらトランペットを吹くブルー・ミッチェルの横姿。実にジャズ的で格好良いポートレートである。しかも、ジャケットの色調はリーダーのブルー・ミッチェルにちなんた「ブルー」が基調。実にハードバップっぽい、粋なジャケットである。こんな素敵なジャケットを持つ盤に駄盤は無い。

冒頭1曲目の「 I'll Close My Eyes」で、もう「イチコロ」である。明るくてテンポのいい曲調なのだが、ブルー・ミッチェルが吹く、どこか哀愁漂う、ブルージーなトランペットの響きに耳を奪われる。そして、その「明るいが、どこか哀愁漂う」雰囲気を、ケリーの「コロコロ転がるようにハッピー・スイングするが、どこか哀愁漂う」ピアノが増幅する。この「この盤ならではの雰囲気」が、盤全体に充満しているのだから「たまらない」。

メリハリを効かせたサム・ジョーンズのベースも良いし、ドラムのロイ・ブルックスも堅実なサポート。やはり、好盤って、バックのリズム・セクションのサポートが良いのが絶対条件。心地良いリズム・セクションをバックに、ミッチェルのトランペットは、優しく気持ち良さそうに、歌を唄うが如く、極上のフレーズを紡ぎ上げていく。

全編、心地よい爽やかな風が吹き抜ける様な演奏が繰り広げられる。ブルー・ミッチェルのトランペットが心地良く響く。更に、この盤、ブルー・ミッチェルのワンホーン作なので、ブルー・ミッチェルのトランペットの特徴と個性を心ゆくまで味わうことの出来る好盤である。
 
 
 

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2020年5月 3日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・169

ジャズ・トランペットの好盤の聴き直し、というか、トランペットの好盤の中で、このブログでご紹介しそびれていた盤を選んで聴き直している。14年もブログを運営していて、このトランペットで「ブログでご紹介しそびれていた盤」が結構数ある。

もともと、一番好きな楽器がピアノ、そして、サックス、その次がトランペットなので、取り扱いの優先順位が低かったからかなあ、と思っている。

『The Magnificent Thad Jones』(写真左)。1956年7月の録音。ブルーノートの1527番。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (tp), Billy Mitchell (ts), Barry Harris (p), Percy Heath (b), Max Roach (ds)。CDリイシューで追加された、ラストの7曲目「Something to Remember You By」にだけ、Kenny Burrell (g) が入る。

ジョーンズ3兄弟の次男、トランペッターのサド・ジョーンズの3枚目のリーダー作。一応、ビリー・ミッチェルとの2管フロントではあるが、明らかにサドのトランペットがフィーチャーされている。全編に渡って、このサドのトランペットが良い音を出している。速いフレーズは無いが、ミッド・テンポからスロー・テンポの曲で、少し丸い、伸びの良いブリリアントなトランペットの音が素敵だ。
 
 
The-magnificent-thad-jones
 
 
加えてアレンジが良い。どの収録曲も、この優秀なアレンジが、その曲の持つイメージをしっかりと惹き立たせている。バックのリズム・セクションもムーディーで良い雰囲気を醸し出している。ブルーノート・レーベルには珍しいトリオ構成で、職人肌バップ・ピアノのバリー・ハリス、職人肌の堅実ベースのパーシー・ヒース、そして、バップ・ドラマーのレジェンド、マックス・ローチ。雰囲気のある、上品で質感豊かなリズム&ビートを繰り出している。

CDのボートラ(ボーナス・トラックの略)については、LP時代のオリジナル盤の統一感を損ねるといった否定的な意見が多いが、この盤については「I've Got a Crush on You」「Something to Remember You By」どちらも雰囲気的に申し分無い。特に、後者には漆黒ブルージーなバレルのギターが加わっていて、ジャジーで小粋でスインギーな雰囲気がさらに色濃くなっている。

実は、僕はジャズを聴き始めた、かなり早い時期から、この盤を所有している。しかし、速いテンポのアグレッシブな演奏のが皆無の、ミッド・テンポからスロー・テンポの曲ばかりのこの盤がどうにも苦手だった。若い頃の自分にとっては、刺激不足でノンビリした雰囲気に感じた。

しかし、歳を取るにつれて、この盤のテンポとアレンジが心地良く感じる様になった。今では完璧な「お気に入り盤」。特にこの「ミッド・テンポからスロー・テンポの曲ばかり」のこの盤は、ジャズ喫茶の昼下がりに最適である。
 
 
 

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2020年5月 2日 (土曜日)

小粋な正統派ジャズ・ギター

ジャズ・ギタリストは意外と数が少ない。ピアニストとかサックス奏者に比べると、だが、少ない。ロックとかポップスとか、ギタリストの需要はサックスなどに比べたら、ずっと多いと思うんだが、そのことを考えると、やっぱりジャズ・ギタリストって、絶対数が少ないと思うのだ。やっぱり、他のジャンルに比べたら、演奏難度が高いのかなあ、とも思ったりしている。

そういう背景もあって、新しいジャズ・ギタリストの出現についても数が少なく感じる。逆に、既にデビューしているベテランから中堅どころが継続して、良好なパフォーマンスを維持している、ということになるのかな。それでも、時折、おっこれは、と耳を峙たせてくれる新人が現れるのだから、ジャズは懐が深く裾野は広い。

Jocelyn Gould『Elegant Traveler』(写真左)。 2020年3月20日のリリース。ちなみにパーソネルは、Jocelyn Gould (g), Addison Frei (p), George DeLancey (b), Quincy Davis (ds), Michael Dease (tb -5, 7, 8), Anthony Stanco (tp -5, 7, 10), Brandon Wright (ts -3. 7)。ピアノ・トリオをバックに、りーだーのジョセリン・グールドのギターがフロントのカルテット構成。管楽器は曲によって参加。
 
 
Elegant-traveler-1  
 
 
まず、冒頭のスタンダード曲「It's All Right With Me」を聴いて、なかなかオーソドックスなジャズ・ギターの音に感心する。フュージョンっぽさは薄く、ジャズロックっぽさは皆無。グールドのオリジナル曲もなかなか。2曲目の「Kindling」は優雅でかつ上品な雰囲気を持つ曲で、グールドのギターは流麗でスインギー。このスインギーさが意外と癖になる。4曲目「It Might As Well Be Spring」でのソロでは、グールドのギターの個性が実に良く判る。

この盤に詰まっているグールドのギターを聴いていると、グラント・グリーン、ケニー・バレル、ウェス・モンゴメリー、ジョー・パスなど、メインストリーム系のオーソドックスなジャズ・ギターを踏襲した「音」に思わずニンマリする。2020年の今の時代に、こんなにオーソドックスで純ジャズなギターに出会うとは思わなかった。

とても純直で純朴なメインストリーム系のジャズ・ギターである。特に、スタンダード曲でのパフォーマンスが際立つ。しかし、オーソドックスな系譜のジャズ・ギターでありながら、純ジャズ復古以降のネオ・ハードバップな新しい響きや節回しも見え隠れするのだから、単なる「懐古趣味」なジャズ・ギターで無いことは確か。小粋な正統派ジャズ・ギターである。次作は待ち遠しい。
 
 
 

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2020年5月 1日 (金曜日)

テナーのオールド・スタイル

ジャズのテナー・サックスの奏法の流れは大まかに言って以下の様である。ビ・バップでは著名なテナー奏者の目立った活躍は無く、オールドスタイルと呼ばれる、ジャズ・テナーの最初の流行のスタイルを踏襲した、レスター・ヤングやコールマン・ホーキンス、ベン・ウェブスターなどが代表的存在として活躍した。そして、ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンの出現によって、「今」に繋がる、テナー・サックスの奏法が「標準のスタイル」として定着した。

オールド・スタイルとは、音のしゃくりと装飾音、それにヴィブラートが多いのが特徴。いわゆる「ムーディーで色気のある雰囲気」を聴かせるスタイルで、とにかくフレーズが「濃い」。ボボボボ、キュィーンと相当の迫力をもって迫ってくる感じ。日本の歌謡曲でいうと「演歌」。相対する「標準のスタイル」は、オールド・スタイルの特徴が全く排除され、スッと伸びたクールなブロウが特徴。吹く時にオールド・スタイルの様な「装飾」が無いので、速いフレーズや複雑なフレーズが吹きやすい。現代ジャズでは、この2つのスタイルが仲良く共存している。

Coleman Hawkins『Hawkins! Alive! At the Village Gate!』(写真左)。1962年8月13, 15日、NYのライブスポット、ヴィレッジ・ゲイトでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Tommy Flanagan (p), Major Holley (b), Eddie Locke (ds)。テナー・サックスのオールド・スタイルの代表的存在の一人、コールマン・ホーキンスのリーダー作である。
 
 
Hawkins-alive  
 
 
オールド・スタイルのテナーの音は濃い。ボボボボとリードから息が漏れる音がしたり、「つば」が鳴る音がしたりで、ちょっと汚かったりする。ムーディーではあり、色気のあるブロウなんだが、この「濃さ」が、ジャズ盤として聴く時に、ちょっと耳に付いたりする。その辺が、オールド・スタイルの難点。オールド・スタイルのジャズ・テナーを攻略するには、この「難点」を和らげることが重要になる。そういう点から、このホーキンスのライヴ盤は及第点。

選曲はムーディーでクールなスタンダード曲が中心。静かな曲が多いので、オールド・スタイルの「難点」が目立つかな、と不安になるが、冒頭の「All the Things You Are」を聴いて安心する。ビブラートは相変わらずだが「難点」がほどんど目立たない。選曲が良く、スインギーなホーキンスのブロウが際立っている。いわゆる、従来よりジャズが持つ「横揺れの魅力」がこのライブ盤に溢れている。

バックのリズム・セクションも優秀。特に、トミー・フラナガンのピアノが良い。ホーキンスのオールド・スタイルのブロウを効果的に支え、ホーキンスがお休みの時は、ホーキンスのソロの雰囲気を壊さない様に、小粋でスインギーなアドリブ・ソロを披露する。「テナー・サックスの父」とも呼ばれるコールマン・ホーキンス。そのオールド・スタイルのブロウを気持ち良く体験できる、また、ジャズ者初心者の方々が、オールド・スタイルのテナーを体験するにも適した「好ライブ盤」です。
 
 
 

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