« マルチ楽器奏者の第一人者 | トップページ | ショウのトランペットの再評価 »

2020年4月 1日 (水曜日)

追悼 ウォレス・ルーニー。

ジャズ界からもコロナウィルスによる犠牲者が出てしまった。ウォレス・ルーニーが、昨日、新型コロナウイルス感染症の合併症により急逝しました。59歳(若すぎる)。マイルスが個人的に指導した唯一のトランペット奏者であり、アコースティック・マイルスの後継者の一人でした。しかし、よりによって、ウォレス・ルーニーがコロナウィルスにやられるとは。年齢的に共感を覚えていたルーニーなので、かなりショックである。

マイルスに認められた唯一のトランペッターであった、ウォレス・ルーニー。それ故、常に「マイルスのコピー」「マイルスの影がちらつく」「人の真似は絶対にしなかったマイルスとは似ても似つかぬ」とか、散々な厳しい評価に晒されてきた。僕は「マイルスに認められた唯一のトランペッター」の行く末を見守っていたくて、ずっとルーニーの演奏を聴いてきたが、そんなに厳しく指摘するほど、マイルスの音に似すぎていた、とは思わない。

テナー・サックスであれば「コルトレーン」。コルトレーン・ライクな演奏をするテナー・マンなんてごまんといる。ピアノであれば「バド・パウエル」。バドのビ・バップライクな演奏スタイルを真似るピアノ・マンは、これまた、ごまんといる。トランペットは意外と皆が真似るスタイリストがいない。第一人者であるトランペッターがマイルスで、あまりにその個性が突出しているので、真似するにも真似が難しい。
 
 
Blue-dawn_blue-nights
 
 
Wallace Roney『Blue Dawn - Blue Nights』(写真左)。2018年9, 10月、NYのルディ・ヴァン・ゲルダースタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Wallace Roney (tp), Emilio Modeste (ts, ss), Oscar Williams II (p), Paul Cuffari (b), Kojo Odu Roney (ds, track=1, 4, 6–8), Lenny White (ds, track=1–3, 5), Quintin Zoto (g, track=1, 3, 5)。全編、アコースティックな純ジャズ路線の演奏である。

この盤が現時点でのルーニーの遺作となる。この盤では、サイドメンの選定が良かったのと、明確に現代のモード・ジャズを演奏するという志向が功を奏して、長年、厳しい評価の代表だった「マイルスのコピー」のイメージを完全に脱却している。モード・ジャズが基調であるが、そもそもマイルス存命の時代に、こんな「現代のネオ・ハードバップ」の様な演奏のトレンドは無かった。サイドメンを含めて、アコ・マイルスの影から完全脱却している。アコ・マイルスを踏襲しつつ「アコ・マイルスの先」を演奏したかったルーニーの面目躍如である。

前作まで「アコ・マイルスの踏襲」を洗練〜深化し続けていただけに、僕はこの最新作であるこの盤について、ルーニーの「目標」が達成された盤として評価していただけに、今回の急逝が実に惜しまれる。「アコ・マイルス」の先の演奏を実現した途端に、今回の急逝。ルーニーに代わって、無念の気持ちで一杯である。あの世でマイルスに会ったら、今度こそ、マイルスとトランペット2管で共演して下さい。ご冥福をお祈りします。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.29
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ ELP「恐怖の頭脳改革」である

【更新しました】2020.04.01
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップのセカンド盤の個性

 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

« マルチ楽器奏者の第一人者 | トップページ | ショウのトランペットの再評価 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« マルチ楽器奏者の第一人者 | トップページ | ショウのトランペットの再評価 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー