ジャズ喫茶で流したい・166
「サックス好盤」の聴き直しをしている。40年以上もジャズを聴き続けていて、最近「名盤・名演」盤の類をあまり聴く機会が無いことに気がついた。それだけ、ジャズの新盤や発掘盤が沢山リリースされているということで目出度い限りだが、もともとこのバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズ者初心者向けのアルバムをご紹介するのがメインなので、自分の「ジャズ者初心者時代」の感覚は今でも維持していたい。
ということで、「名盤・名演」のジャズ盤紹介本の情報を基に、自分の感覚で100枚ほど選んで聴き直しをしているのだが、これがまた楽しい。ただ「名盤」という言葉はあまり好きじゃ無いので、「好盤」に置き換えて楽しんでいる。そんな100枚の中で、まだ、このブログでご紹介していない盤が結構あるのに気がついた。これはいかんなあ、ということで、少しずつ、原稿をしたためている。
Eric Dolphy『Last Date』(写真)。 June 2, 1964年6月2日、オランダのHilversumでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (b-cl, fl, as), Misha Mengelberg (p), Jacques Schols (b), Han Bennink (ds)。ドルフィー以外、バックのリズム・セクションは地元オランダのミュージシャン。この録音の後、6月29日に西ベルリンにおいて客死しているので(享年36歳)、実質、この盤がドルフィーのラスト・レコーディングになる。
冒頭の「Epistrophy」からドルフィーは快調に飛ばす。伴奏のバス・クラリネットのソロだけで鳥肌モノだ。その「癖の強い」フレージングにゾクゾクする。アドリブ展開に至っては、ドルフィー独特の、ドルフィーにしか吹けない「アブストラクトでエモーショナルでとディショナル」なフレーズをバンバン吹き上げていく。そんなドルフィーのブロウとセロニアス・モンク作の楽曲との相乗効果が凄い。これは明らかに良質のジャズである。
「You don't know what love is」でのドルフィーのフルートにも感動する。このフルート、生前、最も評判が悪かったらしいがとんでもない。その音色、音程の取り方、即興の展開など、ドルフィーのフルート演奏のベストテイクだと思うし、このフルートも鳥肌モノだ。アルト・サックスを吹かせても凄い。ラストの「Miss Ann」など、縦横無尽にアブストラクトに跳ねまくるが、しっかりとトラディショナルに留まるアドリブ・ソロなど、思わず「凄いな〜」と呟いてしまう。
バックのオランダのリズム隊も大健闘。ドルフィーの独特の個性と展開をしっかり踏まえて、精一杯、ドルフィーの縦横無尽な展開に対応する様、努力している様子が良く判る。少なくとも、ドルフィーのソロを阻害していないし、邪魔にはなっていない。このオランダのリズム隊の大健闘が、このライヴ盤を好盤のレベルに押し上げていて、ラスト・レコーディングに相応しい内容になっている。
《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
★ AORの風に吹かれて 【更新しました】2020.04.18更新。
・『Down Two Then Left』 1977
・『Silk Degrees』 1976
★ まだまだロックキッズ 【更新しました】 2020.04.19更新。
★ 青春のかけら達 2020.04.01更新。
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東日本大震災から9年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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