« 『Meet You at the Jazz Corner of the World』 | トップページ | 凄い未発表ライブ盤 『Live and Unreleased』 »

2020年4月 9日 (木曜日)

The Music Of Wayen Shorter

ジャズ・トランペッターのレジェンド的存在、ウィントン・マルサリスはJALCの芸術監督であり、そのマルサリスが率いるジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラ(The Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis, JLCO)は、JALC(Jazz at Lincoln Center)の常設のジャズ・オーケストラ。現代のジャズ・オーケストラの代表格である。

このJLCOは、ジャズにおいて、興味深い、様々なテーマを設定、それをジャズ・オーケストラの演奏にアレンジ、現代のジャズの演奏トレンドの最先端を意識した「ビッグバンドなパフォーマンス」を披露してきた。デューク・エリントン、キューバン・ジャズ、時には複数のテーマを融合した組曲など、優れたアレンジと演奏で、ジャズ・オーケストラの魅力を我々に見せつけてくれている。

The Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis『The Music of Wayne Shorter』(写真左)。2015年5月に3晩に渡って行われたライヴコンサート「The Music Of Wayen Shorter」のライブ音源。タイトルからして、ずばり「ウェイン・ショーター・トリビュート」。ウィントン・マルサリスが、ウェイン・ショーターの歴史的10曲をJLCO向けにアレンジ、その演奏を収めたCD2枚組のライブ盤である。副題に「feat. Wayne Shorter」とあり、この盤は、JLCOにウェイン・ショーター自身が客演しているのだ。
 
 
The-music-of-wayne-shorter  
 
 
まず、選曲がユニークというか渋い。オープニングはアルバム『ジュジュ』から「イエス・オア・ノー」。以降、『ネイティヴ・ダンサー』から「ダイアナ」、ジャズ・メッセンジャーズ時代の名曲・名演で名高い「ハマー・ヘッド」や「コンテンプレイション」、『ナイト・ドリーマー』から「アルマゲドン」、『アダムス・アップル』から「テル」、『アトランティス』からの「インデンジャード・スピーシーズ」や「ザ・スリー・マリアズ」など、ショーター者であれば、お馴染みの名曲がズラリ。

もともとJLCOの演奏能力は相当に高い。今回の「ウェイン・ショーター・トリビュート」でもその演奏能力を存分に発揮している。ショーター作の楽曲は、メイン・フレーズが基本的に妙に捻れていて、通常の楽曲には無い多国籍感が満載。クラシックはもとより、ジャズ・スタンダードにも無い、不思議で捻れた、通常では演奏し難いフレーズを、いとも軽やかに演奏していくJLCO。総帥のマルサリスのトラペットも、ショーターの楽曲の個性を上手く惹き立てるフレーズが見事だ。

ウェイン・ショーターのテナーも上々。ソロのフレーズを少し聴くだけで「これって、ショーターのソロだよな」と判る、その音の個性は、さすがジャズ・テナーサックスのレジェンドの一人だけある。JLCOのバッキングが、ショーターを鼓舞し、ショーターのフレーズを惹き立てるイメージで、これまた素晴らしいパフォーマンス。いやはや、JLCOは現代のジャズ・オーケストラの代表格であることを再認識した。素晴らしいビッグバンド・サウンドです。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.29
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ ELP「恐怖の頭脳改革」である

【更新しました】2020.04.01
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップのセカンド盤の個性

 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

« 『Meet You at the Jazz Corner of the World』 | トップページ | 凄い未発表ライブ盤 『Live and Unreleased』 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 『Meet You at the Jazz Corner of the World』 | トップページ | 凄い未発表ライブ盤 『Live and Unreleased』 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー