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2020年4月17日 (金曜日)

女性トランペッター兼シンガー

コロナウィルスに関する緊急事態宣言を受けて、家に引きこもってジャズ盤を聴く機会が従来よりアップした。引きこもって、自らの所有するジャズのアルバム・カタログの整理を始めて、あれこれチェックするうち、「こんなアルバムあったんや」とか「これも聴かなあかんなあ」などと一人事を言いながら、ニヤニヤと整理を進める自分がいる。

そういう背景から、米国西海岸(ウエストコースト)ジャズのアルバム・カタログには欠かせない、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットが特徴のMode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズが久々の登場である。今回からボーカルものが登場する。

Clora Bryant『Gal With A Horn』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Clora Bryant (tp, vo), Roger Fleming (p), Ben Tucker (b), Bruz Freeman (ds), Normie Faye (tp), Walter Benton (ts)。西海岸ジャズの女性トランペッター兼シンガー、クローラ・ブライアントの、現在、音源入手が可能な唯一のフル・アルバムである。

演奏の基本は、フレミング、タッカー、フリーマンのリズム・セクションを従えた、クローラ・ブライアントのワンホーン+ボーカルのカルテット編成。一部のトラックでは、このカルテット演奏が、テナーのベントン、サポート・トランペットにフェイが加わってセクステットの演奏になるが、この盤はあくまで、リーダーのクローラのトランペットとボーカルを前面に押し出したもの。
  
 
Gal-with-a-horn
 
 
クローラの高テクニックなトランペットは驚き。ロイ・エルドリッジとディジー・ガレスピーの影響の痕跡が明確だが、音程も確かで破綻すること無く、音のボリュームも吹き進め中での真鍮(ブラス)の響きも申し分無い。肺活量という「体力」勝負の楽器であるトランペットで、女性がここまで吹き切る例は珍しい。

併せて、ボーカルも印象的で、やや低めのしっかりした美しい声で、安定した歌唱を聴かせてくれる。バラード曲は情感を適度に効かせたライトなイメージ。リズミカルなナンバーにおいては遊び心も見え隠れし、実に魅力的な女性ボーカルである。

とにかく、女性トランペッター兼シンガーというのが、そもそも珍しい。しかも、この盤を聴いて感じるのは、トランペットもボーカルも上手い。一流と呼ばれて然るべき「高度なテクニック」を兼ね備えている。当時、人気が出なかったのが不思議でならない。人気イマイチが故に、クローラは寡作のミュージシャンに留まってしまった。

ちなみに、この幻のクローラ・ブライアント、米国西海岸のジャズ・レーベルであった「モード」唯一のブラック・アーティストとのこと。加えて、女性トランペッターのオリジネーターでもある。こんなユニークで貴重な存在であるクローラの録音について、寡作なのが惜しまれる。もっともっと、彼女のリーダー作を聴きたかった。そんな気を強くさせる好盤である。
 
 
 

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