豪放磊落なモンテローズ盤
以前、ジャズ盤蒐集の中で「幻の名盤」というものがあった。内容的に充実度合いが高く「名盤」の類なのだが、LPでリリースされた枚数があまりに少なく、入手したくても出来ない盤のことを「幻の名盤」と呼んだ。老舗ジャズ雑誌が特集記事や別冊を出したりして、「幻の名盤」を探し当てることがブームになった時期もある。
JR Monterose『The Message』(写真左)。1959年11月24日の録音。ちなみにパーソネルは、JR Monterose (ts), Tommy Flanagan (p), Jimmy Garrison (b), Pete La Roca (ds) 。バックのリズム・セクションに、名盤請負人バップ・ピアニストのトミー・フラナガン、ベースに重低音な鋼のベーシスト、ジミー・ギャリソン、モーダルなドラマー、ピート・ラ・ロッカというユニークなピアノ・トリオを配した、モンテローズのテナー1管のカルテット構成。
この盤は長年の間、「幻の名盤」扱いだった盤である。もともとは米国のジャズの中小レーベル「Jaro International(ジャロ)」からリリースされたが、このジャロというレーベルは、2年間という非常に短い活動期間において、僅か5タイトルしかリリースしていない幻級のマイナーレーベル。しかも、リリースされた盤については枚数が出ていないので、5タイトル全てが「幻の名盤」扱い。この『The Message』もそんな中の一枚。
しかし、1997年、ヴィーナス・ステレオ盤CDとして、リイシューされたのだ。マスターテープがしっかり保管されていたらしく、このステレオ盤CD、音がとても良い。これでこの盤も「幻の名盤」では無くなった。さて、その内容であるが、テナー1管のワンホーン・カルテットであるが故、モンテローズのテナーの個性が良く判る。コルトレーン以降の「ストレートなブロウの新しいテナー」だが、豪快で角が立った、甘さとは無縁のビターでスクエアなブロウ。
フレーズがぶつ切りになったりするがお構いなし。勢いで吹き切る「豪放磊落」なテナーである。そんな「豪放磊落」なテナーで、全てのフレーズをしっかり吹き切るので、清々しさすら感じる。ゴツゴツしているけど切れ味は良いので、僕は気にならない。テナーマンの個性として、このモンテローズのブロウは聴いていて、実に興味深い。
バックのリズム・セクションも良い音を出している。ラ・ロッカのバスドラとギャリソンの重低音ベースが、アーバンで怪しい雰囲気を醸し出すが、名盤請負人トミフラの洒脱なピアノがそれを中和し、この盤のリズム&ビートに、ほんのり格調高さを加えているところがクール。そんなほんのり格調高いリズム・セクションをバックに、豪放磊落なモンテローズのテナー・サックス。個性のジャズです。
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