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2020年4月の記事

2020年4月30日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・168

確固たる理由は良く判らないのだが、ジャズ・サックス奏者の中で、フルートを持ち替え楽器とするケースが意外と多い。ビッグバンドのサックス奏者はクラリネットやフルートを持ち替え楽器にすることが多く、それに習ったのかもしれない。例えば、Eric Dolphy (as), Frank Wess (ts), 我が国では渡辺貞夫 (as) らがフルートで多くの名演を残している。

『Bud Shank Quartet Featuring Claude Williamson』(写真左)。Pacific Jazz 1230番。1956年11月7-8日、ハリウッドは「Capitol Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as, fl), Claude Williamson (p), Don Prell (b), Chuck Flores (ds)。バド・シャンクのアルト・サックスがフロントのワンホーン・カルテット。ちなみにこの盤では、シャンクはフルートを結構、メインに吹いている。

冒頭の「A Night in Tunisia」、ビ・バップ時代の定番曲で、エモーショナルで躍動感のあるサックスやトランペットの見事な吹きっぷりが特徴なんだが、この盤では、シャンクはフルートでエモーショナルではあるが、流麗〜優雅に吹き込んでみせる。フルートの音色と相まって、どこかエキゾチックな雰囲気も漂う、新しいイメージの「チュニジアの夜」に思わず「おっ」と耳をそばだててしまう。
  
 
Bud-shank-quartet-featuring-claude-willi  
 
 
先にも書いたが、この盤のシャンクは本業のアルト・サックスと持ち替え楽器のフルートと、ほぼ半々で吹き分けている。とりわけ、フルートの流麗でテクニカルな演奏が印象深い。シャンクはジャズ・フルートも一流であることがこの盤で良く判る。3曲目の「All of You」のバラードでは、ゆったりと印象的なフレーズをフルートで吹き回している。8曲目の同じくバラード曲の「Polka Dots and Moonbeams」でのフルートも印象的だ。

シャンクのアルト・サックスもプレイも良い音出していて好調。2曲目のスローナンバー「Tertia」でのブリリアントな吹き回し、5曲目のベイシー楽団の十八番のジャンプ・ナンバー「Jive at Five」の躍動感溢れるアドリブも良い感じ、続く有名スタンダード曲「Softly, as in a Morning Sunrise(朝日の如くさわやかに)」もクールな吹きっぷりも見事だ。

実はこの盤、10ヶ月ほど前に同一メンバーで録音された『The Bud Shank Quartet』(2019年9月2日のブログ参照)、Pacific Jazz 1215番と同じタイトルなのだ。どちらの盤も「Featuring Claude Williamson」のサブタイトルが付いていて、ピアノのクロード・ウィリアムソンもメインに扱われている。こちらのジャケットはシャンクの全身イラストのジャケット。今日、ご紹介する方は、カラーで横たわってこちらを見るシャンクの写真のジャケット。紛らわしいことこの上無い。
 
 
 

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2020年4月29日 (水曜日)

西海岸の「逆・ジャケ買い」盤

さすがにこのジャケットでは「ジャケ買い」は無い。「ジャケ買い」とは、ジャケットがデザイン良く洒落ていて、リーダーや内容を確認せずに買うこと。ジャズにおいては「ジャケ買い」で好盤に当たる確率が高い、と言われる。まあ、このジャケットであれば「逆・ジャケ買い」盤と言えるかな。

Barney Kessel『Some Like It Hot』(写真左)。1959年3ー4月の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Joe Gordon (tp), Art Pepper (as, ts, cl), Jack Marshall (g), Jimmy Rowles (p), Monty Budwig (b), Shelly Manne (ds)。3曲目と11曲目が、ケッセルのギターとバドウイッグのベースのデュオで、他はケッセルをリーダーにしたセプテット構成。

この盤は、タイトルからピンときたら、あなたは米国コメディ映画マニア、ビリー・ワイルダー監督のコメディ映画「お熱いのがお好き」(マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジャック・レモン出演の有名コメディ映画)のタイトル曲をはじめ、この映画に使われた曲をピックアップして収録した企画盤である。
 
 
Some-like-it-hot  
 
 
パーソネルを見渡すと、さしずめ米国西海岸ジャズのオールスターズの面持ちで、これは内容的にかなり期待出来る。しかも、アルト・サックスに、アート・ペッパーが担当している。しかも、ペッパーはクラリネットも吹いていて、ペッパー・マニアには貴重な録音になる。ロウルズ、バドウイック、マンのリズム・セクションも玄人好みに粋な人選である。

内容と言えば、リーダーのバーニー・ケッセルをはじめ、各メンバーがとってもご機嫌な演奏を繰り広げている。スインギーで洒落ていて、米国西海岸ジャズのサウンドが盤全体に充満している。スインギーで洗練されたギタースタイルで鳴らしたケッセルが好調に弾きまくっている。ペッパーが舞い上がるようなアルト・ソロをとる「Runnin' Wild」と「By The Beautiful Sea」も聴きもの。

アレンジ良好、軽妙なスイング感が心地良く、さすが「聴き手」を意識した、聴き応えのあるジャズを展開している。この盤のジャケットは、どう見てもジャズ盤のジャケットには見えない。何かのミュージカルの楽曲集ぐらいにしか見えないのだが、これが、真っ当で内容確かなジャズ盤なのだから恐れ入る。
 
 
 

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2020年4月28日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・127

ジャズには「幻の名盤」というものがある。アルバムの内容が優れているにも関わらず、リリースした時の発売枚数があまりに少なくて、ジャズ者リスナーがその盤を求めようとした時に流通在庫が無い、若しくは、あっても、プレミアム価格がついて手が出ないほど高額になっているアルバムのことなんだが、CDの時代になって、突如復刻リイシューされることが頻繁にあって、「幻の名盤」も以前よりは数が少なくなった。

『This Is Pat Moran』(写真左)。1957年12月、シカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Pat Moran (p), Scott LaFaro (b), Gene Gammage (ds)。リーダーのパット・モランは、当時まだ珍しい女性ジャズ・ピアニストである。もともとクラシックのコンサート・ピアニストだったそうだが、ジャズに出会って、一念発起、ジャズ・ピアニストに転向した変わり種。

この盤、ジャケットがなかなかで、かのソニー・クラークのブルーノート盤『クール・ストラッティン』に継ぐ、女性美脚ジャケットとして有名。ただ、この『This Is Pat Moran』の女性美脚はカラー写真で、しかもハイヒールが真っ赤で、ちょっと趣味が悪い。『クール・ストラッティン』は白黒でかつシュッとした出で立ちの女性美脚で、それはそれはクールなジャケット。これと「並ぶ」美脚ジャケットと言うには、ちょっとねえ ・・・・。
 
 
This-is-pat-moran   
 
 
おっと、この盤の話題は美脚ジャケットでは無かった。パーソネルを見れば判るんだが、ビル・エヴァンスのトリオへの参加で有名となる前のスコット・ラファロがベースを担当している。これがこの盤の目玉の1つで、ラファロの高テクニックな、流麗で骨太なベース・ライン、グイグイ迫るランニング・ベース、そして、自由度の高いアドリブ・フレーズが、この盤で、既に完成されていることが判る。このラファロのベースが、アルバム全編に渡って「聴きどころ」のひとつになる。

そして、当然、リーダーの女性ピアニスト、パット・モランのピアノがもう一つの「聴きどころ」になる。彼女のピアノは、一聴だけでは女性ピアニストとは思えない、明確なタッチでダイナミックな弾き回しが個性。しかし、ダイナミックな勢いだけで押すピアノでは無く、アドリブ展開のそこかしこに繊細な節回しも聴くことが出来て、なかなか小粋なピアノではある。ただ、ちょっとだけ、明確な個性に欠けるところは「ご愛嬌」。

ラファロのベースも圧巻ではあるが、リーダーを圧倒せず、しっかりピアノ・トリオの中のベースの役割をしっかり果たしていて、モランのピアノが「明確なタッチでダイナミックな弾き回し」であるが故、ラファロのグイグイ迫るランニング・ベースに、ほぼ負けることなく、バランスの取れたピアノ・トリオとなっている。ピアノ・トリオ盤として、まずまず優れた内容で、決して平凡な内容の盤では無い。
 
 
 

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2020年4月27日 (月曜日)

ジャズ・ヴァイオリンの可能性

気がつけば、今月はジャズ・ヴァイオリンの新盤、しかも日本人女性のジャズ・ヴァイオリンの新盤が2枚も出ている(寺井尚子の新盤については昨日ご紹介済み)。もともと、ヴァイオリンって、ジャズにおいてはマイナーな楽器で、世界的に見ても、リーダー作をリリースしているメジャーなジャズ・ヴァイオリニストは数人しかいない。歴史的に振り返って見ても、メジャーどころでは4〜5名止まりだと思う。

Junko Makiyama New Project『Brisa de Alegria』(写真左)。日本語で表記すると、牧山純子ニュープロジェクト『アレグリア』。2020年4月のリリース。L.A.での録音。ちなみにパーソネルは、牧山純子 (vln), 安部潤 (key), Kay-Ta Matsuno (g), 須藤満 (b), Tony Moore (ds), Fraga Felipe (perc)。4曲目に Eric Marienthal (sax) が、6曲目に Ilya Serov (tp)。 この盤では、牧山はエレクトリック・バイオリンも手にしている。ということは、と、この盤の内容に思わず期待が高まる。

リーダーでジャズ・ヴァイオリニストの牧山純子。1974年12月。武蔵野音楽大学卒業後フランスで研鑽を積み、国内でソリストとして活動するが、2002年、バークリー音楽大学に入学しジャズヴァイオリンを専攻。2007年11月、インディーズレーベルより『ポートレイト・オブ・ニューヨーク』を発売。以降、クラシックとジャズの二足の草鞋を両立させている、ユニークなヴァイオリニストである。
 
 
Brisa-de-alegria  
 
 
選曲が面白い。3曲目の「Hotel California」、5曲目に「Desperado」、これって、米国西海岸ロックの雄、イーグルスの名曲だよね。そして、その曲名を見て、思わず仰け反ったのが、9曲目の「20th Century Boy」。これって、70年代グラムの伝説、T.Rexの名曲。ジャズ・ヴァイオリンで70年代のロック名曲のカヴァーをやるか、と思うんだが、これがなかなか。アレンジ良好、ヴァイオリンの弾きっぷりも「ビ・バップ」ぽくて良好。他に、クラブサウンドやサンバにも手を伸ばしているところが意欲的。

バックのバンドも極上のフュージョン・サウンドで牧山のヴァイオリンを盛り立てている。ヴァイオリンがメインのジャズとなると、流麗でメロディアス、もしくはムーディーなアレンジ〜演奏に流れ易いが、この盤では、それを意図的に避けている様に感じる。この盤のフュージョン・ジャズ志向の「ジャズ・ヴィオリン」は、今までのジャズ・ヴァイオリンの演奏の既成概念を覆しつつ、表現の可能性がまだまだ残されていることを示している。

アルバム・タイトルにある、ポルトガル語で「喜び」の意味の「Alegria(アレグリア)」。収録されたどの曲にも、躍動的でポジティヴなアレンジが施されている。疾走感、爽快感溢れる「Moon Shadow」、ノリノリのラストの表題曲「Brisa de Alegria」など、ヴァイオリンの躍動感を前面に押し出して、実に楽しい「フュージョン・ジャズ」なアルバムに仕上がっている。
 
 
 

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2020年4月26日 (日曜日)

寺井尚子の新盤『Flourish』

日本のジャズ・バイオリンの名手、寺井尚子が新しいアルバムを出した。寺井尚子といえば、1998年に初リーダー作『Thinking Of You』をリリース。それまでのジャズ・バイオリンはスインギーで隙間の無い流麗なフレーズが特徴であったが、寺井のジャズ・バイオリンは「ビ・バップ」の奏法をバイオリンに置き換えたもので、その新鮮な響きに驚いた。

そんな「ビ・バップ」な奏法をベースに好盤を連発。メインストリーム・ジャズ系のジャズ・バイオリンとして、僕も初リーダー作以来、ずっと新しいリーダー作が出る度に追いかけたものだ。が、初のベスト盤『Naoko Terai Best』のリリース以降、アルバムの内容は旧来の「スインギーで隙間の無い流麗なフレーズ」がメインの奏法を前面に押し出した、イージーリスニング・ジャズ志向のアルバムが主流になった。

それ以来、メインストリーム・ジャズ志向の演奏が少なくなるにつれ、まあ、ジャズ・バイオリンのトレンドを追いかける意味で、何枚かのリーダー作は聴いてはいるが、寺井尚子のアルバムからは徐々に遠のいていった。が、今回の新盤は、『セ・ラ・ヴィ』(2013年)以来、7年ぶりのカルテット編成での録音、という。それでは、ということで、今回は気合いを入れて聴いた。
 
 
Flourish
 
 
寺井尚子『Flourish(フローリッシュ)』(写真左)。2020年1月27日、28日の録音。ちなみにパーソネルは、寺井尚子 (vln), 北島直樹 (p), 古野光昭 (b), 荒山諒 (ds)。寺井尚子のバイオリン1本をフロントに据えたカルテット構成。イメージ的にはワンホーン・カルテットと同じと考えて良い。寺井尚子のバイオリンの個性が一番判り易い演奏フォーマットである。

ただし、選曲を見ると、まだまだイージーリスニング・ジャズ志向の選曲傾向にあるので、実はあんまり期待せずに聴いたのだが、いわゆるモダン・ジャズの基本的な演奏フォーマットである「カルテット」構成での演奏というだけで、メインストリーム・ジャズ志向の雰囲気が濃厚になるのだから面白い。

カルテット構成の演奏で、旧来の「スインギーで隙間の無い流麗なフレーズ」がメインの奏法を前面に押し出すと、アドリブ展開が間延びする。それを避けようとすると、いきおい「メインストリーム・ジャズ志向のビ・バップ」な奏法を活用せざるを得ない。そんなところかと感じた。イージーリスニング志向の甘いフレーズの曲についても、フレーズにしっかりと芯が入った演奏になっていて、意外と硬派な内容になっている。

それでも、この盤はまだ全面的に「ビ・バップ」な奏法に回帰した訳では無い。硬派なメインストリーム志向の「イージーリスニング・ジャズ」的アルバムであると思う。ただ、イージーリスニング臭さと甘さがかなり緩和されていて、「ながら聴き」には最適な内容かな、と思いつつ聴き耳を立てている。
 
 
 

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2020年4月25日 (土曜日)

計算された「考えたジャズ」

「真夏の夜のジャズ」という映画があった。1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルののライブ映像を収録したドキュメンタリー作品であるが、この映画を僕は、まだジャズをよく知らなかった高校時代に見ている。良く知らなかった訳だが、この映画の中で繰り広げられる演奏は、スリリングで理知的で創造的な類の音楽であることは直ぐに判った。思わず、聴き耳を立てたのを、ついこの間の事の様に覚えている。

『The Jimmy Giuffre 3』(写真左)。1956年12月4日、ロサンザルスでの録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts, bs), Ralph Peña (b), Jim Hall (g)。クラリネット、テナーサックス、バリトンサックスの3つのリード楽器を吹きこなす、リーダーのジミー・ジュフリーと、夭折のベーシストであったラルフ・ペーニャ、そして、伝統的でありながらプログレなギタリスト、ジム・ホール。この3人のトリオ編成。

このトリオ演奏はユニーク。まず、ドラムがいない。リズム&ビートは、ベースとギターが分担。ドラムがいないが躍動感はしっかりキープされている「クールなリズム隊」。そして、演奏を聴けば判るが、当時流行のハードバップな演奏とは似ても似つかない、というか、正反対の雰囲気の「クール」で、計算されアレンジされた即興演奏。この盤に聴かれるジャズは、閃きを基にした即興演奏では無い。明らかに、計算され尽くした「考えたジャズ」である。
 
 
The-jimmy-giuffre-3  
 
 
即興演奏を旨としたジャズである。即興演奏というものには、その時その時の「閃きを基にした」アドリブもあるが、事前に考え、アレンジされ、意思統一されたルールの中で展開されるアドリブもある。鑑賞音楽としてのジャズについては、後者の「考えたアドリブ」もアリである。「実験ジャズ」と揶揄されることもあるが、これも立派なジャズ、これも立派なアドリブである。

どこかホンワカ、ノンビリと牧歌的でフォーキーな雰囲気が漂うが、しっかりとスイングしている。これは、ベースのペーニャ、ギターのホールの「クールなリズム隊」に担うところ大である。ベースとギターのリズム&ビートは、ドラムに比べると音量的に地味なのだが、スイング感は半端ない。リズム・チェンジや緩急の付け方など、柔軟かつ迅速。クールでフォーキーなジュフリーのリード楽器にピッタリと寄り添うが如く、である。

先に語ったドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」のオープニングが、ジミー・ジェフリー・トリオのインプロヴィゼーションだった(この時のパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts, bs), Bob Brookmeyer (tb), Jim Hall (g) )、のっけから格好良いジャズの登場に耳は釘付け。考えたジャズ、考えた即興演奏は、実にクールで格好良かった。この『The Jimmy Giuffre 3』でも、そんな格好良い、考えた即興演奏を聴くことが出来る。これもジャズである。
 
 
 

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2020年4月24日 (金曜日)

豪放磊落なモンテローズ盤

以前、ジャズ盤蒐集の中で「幻の名盤」というものがあった。内容的に充実度合いが高く「名盤」の類なのだが、LPでリリースされた枚数があまりに少なく、入手したくても出来ない盤のことを「幻の名盤」と呼んだ。老舗ジャズ雑誌が特集記事や別冊を出したりして、「幻の名盤」を探し当てることがブームになった時期もある。

JR Monterose『The Message』(写真左)。1959年11月24日の録音。ちなみにパーソネルは、JR Monterose (ts), Tommy Flanagan (p), Jimmy Garrison (b), Pete La Roca (ds) 。バックのリズム・セクションに、名盤請負人バップ・ピアニストのトミー・フラナガン、ベースに重低音な鋼のベーシスト、ジミー・ギャリソン、モーダルなドラマー、ピート・ラ・ロッカというユニークなピアノ・トリオを配した、モンテローズのテナー1管のカルテット構成。

この盤は長年の間、「幻の名盤」扱いだった盤である。もともとは米国のジャズの中小レーベル「Jaro International(ジャロ)」からリリースされたが、このジャロというレーベルは、2年間という非常に短い活動期間において、僅か5タイトルしかリリースしていない幻級のマイナーレーベル。しかも、リリースされた盤については枚数が出ていないので、5タイトル全てが「幻の名盤」扱い。この『The Message』もそんな中の一枚。
 
 
The-message  
 
 
しかし、1997年、ヴィーナス・ステレオ盤CDとして、リイシューされたのだ。マスターテープがしっかり保管されていたらしく、このステレオ盤CD、音がとても良い。これでこの盤も「幻の名盤」では無くなった。さて、その内容であるが、テナー1管のワンホーン・カルテットであるが故、モンテローズのテナーの個性が良く判る。コルトレーン以降の「ストレートなブロウの新しいテナー」だが、豪快で角が立った、甘さとは無縁のビターでスクエアなブロウ。

フレーズがぶつ切りになったりするがお構いなし。勢いで吹き切る「豪放磊落」なテナーである。そんな「豪放磊落」なテナーで、全てのフレーズをしっかり吹き切るので、清々しさすら感じる。ゴツゴツしているけど切れ味は良いので、僕は気にならない。テナーマンの個性として、このモンテローズのブロウは聴いていて、実に興味深い。

バックのリズム・セクションも良い音を出している。ラ・ロッカのバスドラとギャリソンの重低音ベースが、アーバンで怪しい雰囲気を醸し出すが、名盤請負人トミフラの洒脱なピアノがそれを中和し、この盤のリズム&ビートに、ほんのり格調高さを加えているところがクール。そんなほんのり格調高いリズム・セクションをバックに、豪放磊落なモンテローズのテナー・サックス。個性のジャズです。
 
 
 

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2020年4月23日 (木曜日)

パーカーは避けて通れない。

サックスの好盤の聴き直しをしていて、やはり、この人は絶対に外せないなあ、と思うのだ。チャーリー・パーカー(Charlie Parker)。ビ・バップの開祖の一人で、サックスの神様と言われる。1920年8月生まれ、1955年3月逝去。僅か34歳7ヶ月の命だった。現役時代は天才アルト・サックス奏者であったが、反面、重度のジャンキー。破滅型の人生を駆け足で走り抜けた天才であった。

Charlie Parker『The Complete Savoy & Dial Master Takes』(写真左)。録音時期は、1945年から1948年に渡る。チャーリー・パーカーがサボイ・レーベル(Savoy)とダイアル・レーベル(Dial)に録音したマスタートラックのみを集めたコンプリート盤。

ジャズ入門本を紐解くと、「サックスはパーカーが一番」とある。そして、そのパーカーの名演をきくには「サボイとダイアル」が絶対、必須とされる。その絶対とされる2つのレーベルの録音がこれ。しかし、1940年代後半の録音なので、音質は悪い。パーカーのフレーズはちゃんと追える。でも、鑑賞音楽としての音質ではない。

そして、ジャズ入門本は、ジャズは別テイク、失敗テイクの存在も重要、と説く。が、別テイクは結局、マスターテイクの選から漏れた「マスターテイクに比べて、内容的に落ちるテイク」であり、即興演奏を旨とするジャズとしては、別テイクで、マスターテイクとは異なるアドリブ展開のイメージを捉えたいのだろうが、内容的に落ちるので、聴いていてもあまり楽しく無い。加えて、内容的に落ちるテイクとマスターテイクを比較しても、あんまり意味が無い。

ましてや、失敗テイクなどは「何をか言わんや」である。失敗テイクを聴いて何を「感じろ」というのか。ああ、優秀なジャズマンもこうやって間違うのか、なるほどね、と感心するのに、何か意味があるのだろうか、と思う。そのジャズマンの研究家の方々には、必要な資料かもしれないが、我々ジャズ者リスナーにとっては、あまり意味の無い代物ではある。
 
 
The-complete-savoy-dial-master-takes-1  
 
 
そう言う意味では、この盤、マスターテイクのみを集めているので、天才サックス奏者、チャーリー・パーカーの素晴らしいパフォーマンスが心ゆくまで楽しめる。パーカーの絶頂期と言われる、サボイ・レーベル(Savoy)とダイアル・レーベル(Dial)でのマスターテイク。悪いはずが無い、というか「凄い」。

この流麗で淀みの無い、歌心溢れる、高速アドリブ展開には思わず仰け反る。この盤を聴けば、パーカーのジャズマンとしての優秀性と天才度合いを体感することが出来る。後続のジャズ・サックス奏者がこぞってパーカーを第一目標とすることが良く判る。

アドリブ展開の取り回し方、前奏のアレンジ、テーマ部の扱いと吹き回し方、エンディングの扱い、ジャズ演奏の基本となるパーツ毎に、このパーカーの演奏の中にしっかりとお手本が示されている。後続のジャズ・サックス奏者は、このパーカーの偉大な遺産を理解、継承し、その遺産を発展、進化、深化させているのだ。パーカーの様に吹けないと次が無い。パーカーを理解しないと次が無い。

そんなジャズ・サックスのお手本となり、目標となる演奏が、この3枚組CDにギッシリと詰まっている。音質は悪いし、目立つのはパーカーのアルト・サックスだけ。それでも、パーカーの素晴らしいアドリブ展開を聴いているだけで、この3CDの3時間10分はあっと言う間である。

ただし、さすがにこの盤、チャーリー・パーカーがサボイとダイアルに録音したマスタートラックのみを集めた盤とは言え、ジャズ者初心者の方々には荷が重い。ジャズを聴き慣れて、ジャズマンの個性の違いが判別できる様になった、ジャズ者中級者の方々には絶対に体験して頂きたい。
 
 
 

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 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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東日本大震災から9年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2020年4月22日 (水曜日)

松和の『青春のかけら達』を新設

僕たちが、1970年代に聴いていた日本の音楽の中で、今でも耳にしっかりと残る、記憶に残る音楽が『Jポップ=日本のポップ』。

この「松和・別館」では、1970年代の『日本のポップス=Jポップ』の名盤の数々をご紹介します。懐かしのアルバム、歴史を変えたアルバム、マニアックなアルバム、いろいろあるけど、ここでは、僕の思い出深いアルバムを中心に、ニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。

これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。
 

★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.04.22更新

 ・チューリップ 『TULIP BEST』
 ・チューリップ『Take Off -離陸-』

 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況

 → 右欄のリンクからもどうぞ。
 

★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.04.18更新。

『Down Two Then Left』 1977
『Silk Degrees』 1976

★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.04.19更新。

 ・レッド・ツェッペリン Ⅰ


 
 
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安心・安定の熟成されたテナー

ブルーノート・レーベルには、ほとほと感心する。よく、こんなジャズマンのパフォーマンスを記録していたもんだ、と思う盤がごまんとある。リーダー盤として記録されたジャズマンのほとんどが一流ジャズ・ミュージシャンに成長している。レーベルのカタログに載る盤のリーダーを任せるのである。外れたら目も当てられないのだが、ブルーノートには外れが無い。総帥のプロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼の成せる技なんだろう。ほとほと感心する。

Clifford Jordan『Cliff Craft』(写真左)。1957年11月10日の録音。ブルーノートの1582番。ちなみにパーソネルは、Clifford Jordan (ts), Art Farmer (tp), Sonny Clark (p), George Tucker (b), Louis Hayes (ds)。

リーダーのテナー・サックス奏者、クリフォード・ジョーダンとトランペット担当のアート・ファーマーとの2管フロントのクインテット構成。バックのリズム・セクションは、哀愁のバップピアニスト、ソニー・クラークをメインに、職人肌のタッカーのベースとヘインズのドラムで「鉄壁のリズム隊」。

リーダーのクリフォード・ジョーダンは、1931年生まれ。惜しくも1993年3月に鬼籍に入っている(享年61歳)。この盤を録音した時、ジョーダンは26歳。少し歳はいっているが、まだまだ若手のジャズマンである。そんなジョーダンに、ブルーノートはリーダー作としての録音の機会を与えているのだ。しかも、共演ミュージシャンについても、申し分の無い、渋い玄人好みの人選で録音に臨んでいる。
 
 
Cliff-craft-cliff-jordan  
 
 
そして、その内容は「絵に描いた様なハードバップ」であり「典型的なブルーノートの音」。録音年は1957年、確かにハードバップ時代ど真ん中なんだが、それにしても、ハードバップの特徴・個性、そして「美味しいところ」がこの盤にギッシリと詰まっているのだ。テーマ部のユニゾン&ハーモニー、アドリブへの展開、アドリブの受け渡し、アドリブの節回し、どれをとっても「ハードバップ」である。

ジョーダンのテナーは「端正」「整然」「穏健」。テナーの音に乱れが無い。しっかり吹き切っている。そして、旋律の音の一つ一つを丁寧に紡ぎ上げる。例えば、ダブルタイムを殆ど吹かないし、婉曲的な節回しは無い。そして、そのブロウはしっかりと抑制されている。人の耳に聴き心地の良い音の大きさ、滑らかさでテナーを吹く。激情に任せた激しいブロウは皆無。26歳のプレイとは思えない、安心・安定の「熟成されたテナー」である。

バックのソニー・クラークのピアノも好調。良く鳴るフレーズをそこはかとないファンクネスを偲ばせて、ジョーダンのテナーにピッタリと寄り添っている。タッカーのベースとヘインズのドラムのリズム隊も、堅実に躍動的に、バンド・サウンド全体に対して、爽快なリズム&ビートを供給する。

クリフ・ジョーダンは地味な存在ではあるが、彼のリーダー作でのテナー・サックスのプレイは「端正」「整然」「穏健」。典型的なハードバップな演奏の中で、安心・安定の「熟成されたテナー」を聴かせてくれる。ジャズ者初心者の方々にもお勧めの「飽きの来ない好盤」です。
 
 
 
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2020年4月21日 (火曜日)

スインギーなテナーのズート

サックスの好盤・名演の聴き直しをしているのだが、そんな好盤・名演の類にも「人気に恵まれなかった」サックス奏者が存在する。本当の原因は何故かは判らない。しかし、こうやって、好盤・名演の聴き直しをしていて、その内容は歴史に残るくらいに素晴らしいのに、どうして人気が出なかったのか、理由が良く判らないものが多い。

Zoot Sims『Down Home』(写真左)。1960年6月7日の録音。ベツレヘム・レコードからのリリースになる。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts), Dave McKenna (p), George Tucker (b), Dannie Richmond (ds)。バックのリズム/セクションも渋いメンバーで固めた、ズートのテナー・サックス1管のカルテット盤。

ズートのテナー・サックスは温和で適度な力感があって、テクニック優秀なもの。アドリブ・フレーズは音の芯が太く流麗。他に無い、音の柔らかさと芯の強い吹きっぷり。安定安心の個性的なテナー・サックスで、とにかく聴き心地が良い。僕はジャズ者初心者の頃、この盤に出会い、それ以来、40年来の愛聴盤である。

選曲がまた渋くて、冒頭の「Jive at Five」をはじめとして、古い時代の「スタンダード曲」が多く取り上げられている。1960年という時代の中で、この盤の演奏のトレンドは「ハードバップど真ん中」。モード・ジャズやファンキー・ジャズには目もくれていないところに、ズートのジャズマンとしての矜持を感じる。
 
 
Down-home-zoot-sims  
 
 
演奏それぞれに「ノリが良い」。とてもスインギーなのだ。バックのリズム・セクションの役割が大きく、ダニー・リッチモンドが叩き出すスインギーなリズム&ビートを基に、ジョージ・タッカーのウォーキング・ベースが躍動感を醸し出し、マッケンナのピアノが推進力を増幅する。このリズム・セクション、かなり強力なのだ。

そんなリズム・セクションに乗って、ズートは気持ちよさそうに、スインギーなフレーズを連発する。そう、この盤のズートのテナー・サックスは、爽快でスインギーなのだ。ズートのテナー・サックスには「癖」というものが無いので、ややもすれば、単調に聴こえてしまうきらいがあるが、この盤には、そんな懸念は全く無い。

これだけ素敵なテナーを吹きこなせるズート。もっともっと優秀盤の名前が挙がってきても良いと思うのだが、両手に余る数なのが意外。メジャーなレーベルにあまり恵まれず、そして、癖の無い流麗な聴き易いテナーが故、特に我が国では、硬派なジャズ者の方々に敬遠されたことが原因かなあ。

とにかく、ズートは「人気に恵まれなかった」サックス奏者というイメージがあるのが残念。でも、この『Down Home』は良いですよ。ジャズ者初心者からベテランまで、ジャズ者万人にお勧めです。
 
 
 
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  ・チューリップのセカンド盤の個性



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2020年4月20日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・167

デューク・エリントンの関連盤はどれも取っ付きが悪い。出てくる音がブルースを基調としたマイナー調の渋いフレーズの演奏が多いのと、独特のハーモニー感覚が原因と思っている。しかし、取っ付きは悪いのだが、聴き込んでいくと、どんどん味わいが出てくる。このマイナーでほの暗いブルージーなフレーズ、固有の泥臭さ、アーバンな雰囲気、が癖になる。

終生エリントンへ絶大なる敬意を抱いていた、かのマイルス・ディヴィスいわく、すべての音楽家は、すくなくとも1年のうち1日は楽器を横にエリントンにひざまずき、感謝の念を示すべきだ」。マイルスのみならず、ジャズメンは皆、エリントンの音楽に敬意を抱いている。確かに、エリントンの創り出す音は全てが「ブルージーでクール」だ。

Duke Ellington & Johnny Hodges『Play the Blues Back to Back』(写真)。1959年2月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Duke Ellington (p), Johnny Hodges (as), Harry "Sweets" Edison (tp), Les Spann (g), Al Hall (b, tracks 1 and 4),Sam Jones (b,tracks 2, 3, 5, 6, 7), Jo Jones (ds)。エリントン楽団の統帥デューク・エリントンはピアニストとしても優れている。今回の双頭リーダーのジョニー・ホッジスは、エリントン楽団の花形アルト・サックス奏者。
 
 
Back-to-back  
 
 
この2人をメインとして、エリントンの音楽性の最大の「要素」である、ブルースをテーマに素敵な演奏を繰り広げている。面白いのは、トランペットのハリー・エディソンと、ドラムのジョー・ジョーンズは、ベイシー楽団出身。つまり、この盤は、エリントン楽団とベイシー楽団の花形奏者が集結した「オールスター・コンボ」の演奏といえる。

エリントンのピアノは音を選んだ、間を活かしたピアノ。そんな「粋なピアノ」がブルースを奏でていく。ホッジスのアルト・サックスは硬質であるが「繊細でメロウ」。エディソンのトランペットはスィートで流麗、スパンのギターはブルージー。そんなフロント隊が様々なブルース曲を奏でていく。アーバンでアダルトなブルージーなジャズ。素敵だ。

ホールとサム・ジョーンズのベースとジョー・ジョーンズのドラムのリズム隊も堅実で豊かな「ブルージーでスインギーなオフ・ビート」を供給する。この盤で聴くことの出来る「ブルースだけを選んだ、ブルージーな演奏」は唯一無二。ジャズマンの中でも、ブルースを大得意とする希有な奏者達が共演しているのだ。この盤はブルースをテーマにした、一期一会の、唯一無二な「企画盤」である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 
 
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  ・チューリップのセカンド盤の個性



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2020年4月19日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・166

「サックス好盤」の聴き直しをしている。40年以上もジャズを聴き続けていて、最近「名盤・名演」盤の類をあまり聴く機会が無いことに気がついた。それだけ、ジャズの新盤や発掘盤が沢山リリースされているということで目出度い限りだが、もともとこのバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズ者初心者向けのアルバムをご紹介するのがメインなので、自分の「ジャズ者初心者時代」の感覚は今でも維持していたい。

ということで、「名盤・名演」のジャズ盤紹介本の情報を基に、自分の感覚で100枚ほど選んで聴き直しをしているのだが、これがまた楽しい。ただ「名盤」という言葉はあまり好きじゃ無いので、「好盤」に置き換えて楽しんでいる。そんな100枚の中で、まだ、このブログでご紹介していない盤が結構あるのに気がついた。これはいかんなあ、ということで、少しずつ、原稿をしたためている。

Eric Dolphy『Last Date』(写真)。 June 2, 1964年6月2日、オランダのHilversumでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (b-cl, fl, as), Misha Mengelberg (p), Jacques Schols (b), Han Bennink (ds)。ドルフィー以外、バックのリズム・セクションは地元オランダのミュージシャン。この録音の後、6月29日に西ベルリンにおいて客死しているので(享年36歳)、実質、この盤がドルフィーのラスト・レコーディングになる。
 
 
Last-date  
 
 
冒頭の「Epistrophy」からドルフィーは快調に飛ばす。伴奏のバス・クラリネットのソロだけで鳥肌モノだ。その「癖の強い」フレージングにゾクゾクする。アドリブ展開に至っては、ドルフィー独特の、ドルフィーにしか吹けない「アブストラクトでエモーショナルでとディショナル」なフレーズをバンバン吹き上げていく。そんなドルフィーのブロウとセロニアス・モンク作の楽曲との相乗効果が凄い。これは明らかに良質のジャズである。

「You don't know what love is」でのドルフィーのフルートにも感動する。このフルート、生前、最も評判が悪かったらしいがとんでもない。その音色、音程の取り方、即興の展開など、ドルフィーのフルート演奏のベストテイクだと思うし、このフルートも鳥肌モノだ。アルト・サックスを吹かせても凄い。ラストの「Miss Ann」など、縦横無尽にアブストラクトに跳ねまくるが、しっかりとトラディショナルに留まるアドリブ・ソロなど、思わず「凄いな〜」と呟いてしまう。

バックのオランダのリズム隊も大健闘。ドルフィーの独特の個性と展開をしっかり踏まえて、精一杯、ドルフィーの縦横無尽な展開に対応する様、努力している様子が良く判る。少なくとも、ドルフィーのソロを阻害していないし、邪魔にはなっていない。このオランダのリズム隊の大健闘が、このライヴ盤を好盤のレベルに押し上げていて、ラスト・レコーディングに相応しい内容になっている。 
 
 
 

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2020年4月18日 (土曜日)

ジャズ・ファンクは格好良い

引きこもりの日常に加えて、今日は朝から大荒れの天気。結構な強い雨が降っていて、一日一回の散歩も出来ず、一日、新しいブログのコーナーを立ち上げていた。まあ、そんな話はともかく、春というのに、これだけ天気が悪いと気持ちも沈みがちになる。毎日の「ジャズ盤の聴き直し」もノリの良い曲が聴きたくなる。

ということで、真っ先に選んだ盤が「ジャズ・ファンク」。「ファンク・ジャズ」と「ジャズ・ファンク」、似たようなジャンル言葉があるが、僕は後ろの単語に重きを置いて解釈している。「ファンク・ジャズ」は、ファンクの要素を取り込んだジャズ、「ジャズ・ファンク」は、ジャズの要素を取り込んだファンク・ミュージック。今回は後者の好盤を選択。

Boogaloo Joe Jones『Right On Brother』(写真左)。1970年2月16日の録音。ちなみにパーソネルは、Boogaloo Joe Jones (g), Rusty Bryant (ts, as), Charles Earland (org), Jimmy Lewis (el-b), Bernard Purdie (ds)。いずれのメンバーも、ファンク・ミュージック畑の名うての名手達。ジャズ者の僕から見ると、名前に馴染みがあるのは、オルガンの「Charles Earland」とドラムの「Bernard Purdie」かな。
 
 
Right-on-brother  
 
 
全編に渡って、ブガルーのファンク・ギターが凄い。ダンサフルな曲はノリノリ、しっとりバラードな曲はしみじみ。かかるような、前のめりのカッティングが心地良い。高速ファンク「Brown Bag」のギター・ソロなんか、惚れ惚れするばかり。シンプルに8分音符で埋め尽くす様な短くリズミカルなフレーズの嵐。軽薄で格好良い、そんな形容がピッタリのファンク・ギター。

アーランドのオルガンは、思いっ切りソウルフル。加えて、ブガルーのファンク・ギターを惹き立てる様な、相性抜群の音が実に良い。ファクネスたっぷりに、高速ファンク曲は疾走感抜群に、バラード曲は情感溢れんばかりに、アーランドのオルガンが響き渡る。ブライアントのテナーもソウルフル。耳に馴染む、緩急自在のファンキー・サックスは抜群のグルーヴ感を醸し出す。

高速ファンク曲の合間合間に挟まっている「Things Ain't What They Used to Be」や「Let It Be Me」などのバラード曲も、ファンクネスだだ漏れの名演に、ただただ聴き惚れるばかり。単純に軽薄で格好良いジャズ・ファンク。メインストリーム・ジャズとは異なる、ポップでダンサフルなジャズ・ファンクは格好良い。思わず足で拍子を取りつつ、思わず腰が動く。気持ちもほっこり温かくなります。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 
 
 ★ AORの風に吹かれて 【更新しました】2020.04.18

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 ★ まだまだロックキッズ  2020.03.29更新。

  ・ELP「恐怖の頭脳改革」である

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「AORの風に吹かれて」を新設

「AOR」とは、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略語。一言でいうと「「大人向けのロック」。ポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合した、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックのこと。

1970年代前半から頭角を現し、'80年前後に一大ブームとなった。AORのアルバムに共通するのは、緻密なスタジオ作業で入念に練り上げられたサウンド、メロディを大切にした歌のよさ、そしてアルバムとしての完成度の高さ。

「AORの風に吹かれて」では、ここ「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約して、そんなAORの好盤をご紹介していきます。

 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況 

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★ AORの風に吹かれて 【更新しました】2020.04.18

『Down Two Then Left』 1977
『Silk Degrees』 1976

★ まだまだロックキッズ  2020.03.29更新。

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2020年4月17日 (金曜日)

女性トランペッター兼シンガー

コロナウィルスに関する緊急事態宣言を受けて、家に引きこもってジャズ盤を聴く機会が従来よりアップした。引きこもって、自らの所有するジャズのアルバム・カタログの整理を始めて、あれこれチェックするうち、「こんなアルバムあったんや」とか「これも聴かなあかんなあ」などと一人事を言いながら、ニヤニヤと整理を進める自分がいる。

そういう背景から、米国西海岸(ウエストコースト)ジャズのアルバム・カタログには欠かせない、ちょっと古風な肖像画の様な、やけにリアルな顔がアップのジャケットが特徴のMode Labelの「西海岸の肖像画ジャケット」のシリーズが久々の登場である。今回からボーカルものが登場する。

Clora Bryant『Gal With A Horn』(写真左)。1957年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Clora Bryant (tp, vo), Roger Fleming (p), Ben Tucker (b), Bruz Freeman (ds), Normie Faye (tp), Walter Benton (ts)。西海岸ジャズの女性トランペッター兼シンガー、クローラ・ブライアントの、現在、音源入手が可能な唯一のフル・アルバムである。

演奏の基本は、フレミング、タッカー、フリーマンのリズム・セクションを従えた、クローラ・ブライアントのワンホーン+ボーカルのカルテット編成。一部のトラックでは、このカルテット演奏が、テナーのベントン、サポート・トランペットにフェイが加わってセクステットの演奏になるが、この盤はあくまで、リーダーのクローラのトランペットとボーカルを前面に押し出したもの。
  
 
Gal-with-a-horn
 
 
クローラの高テクニックなトランペットは驚き。ロイ・エルドリッジとディジー・ガレスピーの影響の痕跡が明確だが、音程も確かで破綻すること無く、音のボリュームも吹き進め中での真鍮(ブラス)の響きも申し分無い。肺活量という「体力」勝負の楽器であるトランペットで、女性がここまで吹き切る例は珍しい。

併せて、ボーカルも印象的で、やや低めのしっかりした美しい声で、安定した歌唱を聴かせてくれる。バラード曲は情感を適度に効かせたライトなイメージ。リズミカルなナンバーにおいては遊び心も見え隠れし、実に魅力的な女性ボーカルである。

とにかく、女性トランペッター兼シンガーというのが、そもそも珍しい。しかも、この盤を聴いて感じるのは、トランペットもボーカルも上手い。一流と呼ばれて然るべき「高度なテクニック」を兼ね備えている。当時、人気が出なかったのが不思議でならない。人気イマイチが故に、クローラは寡作のミュージシャンに留まってしまった。

ちなみに、この幻のクローラ・ブライアント、米国西海岸のジャズ・レーベルであった「モード」唯一のブラック・アーティストとのこと。加えて、女性トランペッターのオリジネーターでもある。こんなユニークで貴重な存在であるクローラの録音について、寡作なのが惜しまれる。もっともっと、彼女のリーダー作を聴きたかった。そんな気を強くさせる好盤である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.29
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【更新しました】2020.04.01
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2020年4月16日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・165

コロナウィルスに関する緊急事態宣言の下、基本的に「引きこもり」の毎日が続いている。一昨日は北風が強くて外出できず、今日はヒンヤリしていて外出出来ない。最近は、ジャズのアルバム・ライブラリーの整理と更新、そして、ジャズ盤紹介本の読み直しをしつつの、まだ聴いたことのない「隠れ好盤」の発掘作業が楽しい。

かなりの数のジャズ盤紹介本が書庫にストックされていて、昔のジャズ盤紹介本を読み返すと「こんな盤、あったんや」とビックリすることもしばしば。ジャズ盤の評価については、評価者の「音に対する志向」が結構影響するので、1冊で済ますと危険だ。僕は最低3種類の異なった選定基準の紹介本を読み返すことにしている。

Milt Jackson『Ain't But a Few of Us Left』(写真)。1981年11月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Grady Tate (ds)。プロデューサーは、Norman Granz。パブロ・レーベルからのリリースになる。僕はこの盤を最近まで全く知らなかった。どのジャズ盤紹介本にも無い。大した盤や無いのかな、と期待せずに聴いてみた。
 
 
Aint-but-a-few-of-us-left  
 
 
これが、である。なかなかの「好内容」なのだ。まあ、パーソネルを見れば、これはこれは、実に渋い、玄人好みのメンバーが集結している。逆に先進的なジャズが好きな方々から見ると、なんだまた「懐古趣味のハードバップでしょ」ということになるのだが、かなりハイ・レベルの、かなり硬派なハードバップが展開されているのだから無視出来ない。

恐らく、メンバー全員が精神面、体調面ともども好調だったのだろう。この録音面子だとお互いが良く知った仲なので「手慣れた」お決まりのハードバップをササッとやって終わり、って感じになりがちなんだが、この盤ではそうはなっていない。それぞれのメンバーが当時の年齢でのベストに近いプレイを披露している。6曲中5曲がスタンダード曲なんだが、全く「手慣れた」感が無い。

それどころか、適度な緊張感が漲っていて、緩んだところが全く無い。他のセッションでは前面に出て目立つ傾向の強い、ピアノのピーターソンも、ベースのブラウンも趣味良く、リラックスした演奏を聴かせていて、決して変に目立ったりはしない。テイトのドラムの妙技にも耳を奪われる。良い意味で「仲の良い、手慣れた演奏」の数々。この盤は、まだ聴いたことのない「隠れ好盤」。いやはや、今回の「発掘」には大満足です。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.29
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2020年4月15日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・76

コロナウィルスに関する緊急事態宣言が発効されてから、1週間以上が経つ。自分については、週2回の食料の買い出しと、一日1回の家の周辺での散歩以外は出歩かない。人と会うのも、買い出しの時くらい。散歩時は、家の周りは古い閑静な住宅街なので、ほとんど人に出会うことは無い。この際なので、家に引きこもっている時は、ジャズ本の読書とアルバム・ライブラリの改善をしている。これが意外と手がかかって面白い。

Ben Webster & Harry "Sweets" Edison『Ben and "Sweets"』(写真左)。別名『Wanted to Do One Together』(写真右)。同一音源で2種類のタイトルでリリースされているので紛らわしい。1962年6月6&7日の録音。ちなみにパーソネルは、Harry "Sweets" Edison (tp), Ben Webster (ts), Hank Jones (p), George Duvivier (b), Clarence Johnson (ds)。

テナー・サックスのベン・ウエブスターは1909年生まれ。録音当時は53歳。1973年に逝去しているので、晩年のプレイになる。トランペットのハリー・スウィート。エデソンは1915年生まれ。録音当時は47歳。油の乗った中堅ジャズマン。この二人のフロントマンの味のある、小粋なパフォーマンスを心ゆくまで愛でることに出来る、渋い渋い内容の好盤。ビ・バップでもないし、ハードバップでも無い。スウィングとハードバップの間、いわゆる「中間派」っぽい演奏である。
 
 
Ben-and-sweets  
 
 
派手さは全く無い。テクニックを見せつけるような高速パフォーマンスも無い。ただただ、心地良くスイングし、心ゆくまでジャジーな演奏が堪らない。ウエブスターのテナーは、若手から中堅時代のコッテリと癖のあるテナーが、ちょっとスッキリとした癖のあるテナーに変わっていて、意外に聴き易い。エディソンのトランペットも同様だ。とりわけ、エディソンについては、ミュート・トランペットが秀逸。思わず聴き惚れる。

じっくりと味わいのある二人のフロントのパフォーマンスに終始、耳を奪われる。バックのリズム・セクションも小粋なもの。この小粋で味のあるピアノは誰かな、と思ってパーソネルを見たら、やっぱり「ハンク・ジョーンズ」でした。ベースは堅実ベースのデュビビエ。地味だがスインギーなジョンソンのドラムと相まって、実に良い漢字のリズム・セクションのパフォーマンス。良きフロントには良き伴奏がある。

ちなみに、この録音メンバーは、ビリー・ホリデーの晩年セッションの中心メンバーだそうです。なるほど、渋くて息が合って小粋な演奏内容の筈です。納得しました。最近の引きこもりのお陰で、今まで気がつかなかった「ウラ名盤」っぽい盤を発掘し、聴くことが出来て、かなり得した気分になっている。この「逆境」をなんとか、ジャズのウラ名盤発掘で楽しんでいる。
 
 
 

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2020年4月14日 (火曜日)

60年代末期のジャズの雰囲気

コロナウィルスによる非常事態宣言が発効されて1週間が経つ。自らが積極的に感染防止に努めるべき、と思っているので、1週間に2回の食料の買い出しと一日に一回の散歩以外は人と出会うことは無いし、会話を交わすことも無い。どうしても人と会話をする時、買い物にスーパーへ入る時はマスクは必須だし、外出から戻った後の手洗いは絶対だ。

家に居る時間が飛躍的に多くなったので、いきおい音楽に関わる時間が多くなる。今は、ジャズ盤紹介本と特定ミュージシャンの自伝が中心の読書とアルバム・ライブラリーの整理がメイン。アルバム・ライブラリーを整理していると、日頃、なかなか聴けなかった盤に気付いて、聴き直すことが出来る。とにかく、今の「逆境」を逆手に取って、今の「引きこもりの暮らし」を楽しんでいる。

Reuben Wilson『Blue Breakbeats』(写真左)。1969年の録音。ブルーノート・レコードには珍しく、トラック毎にバラバラの録音年月日になっている。ちなみにパーソネルは、当然、パーソネルも、リーダーのリューベン・ウィルソンのオルガン以外はトラック毎にバラバラ。目立ったところでは、ギターにグラント・グリーン、トランペットにリー・モーガン、テナーにジョージ・コールマンという、人気ジャズマンの名前が入っている。
  
 
Blue-breakbeats-1    
  
 
1969年というジャズにとっては厳しい時代ではあるが、内容的には、その時代のトレンドをしっかりと押さえている。ジャズ・ロック+ソウル・ジャズ、ところどころに、スピリチュアルな表現、フリーな表現が入って、サイケデリック・ジャズ一歩手前の様な雰囲気も見え隠れして、1969年という時代を強く感じる。まさしく、この盤に詰まっている音は「1960年代末期」の音である。

この盤の良いところは、いつもはボヤ〜とした緩いオルガンを弾いているリューベンが、結構、カッチリとした硬派で流麗なオルガンを聴かせていること。この盤のリューベンのオルガンには、そのアドリブ・フレーズ毎に思わず「おおっ」と感じることがしばしば。明るくバイタルで鯔背なトランペットは聴けば直ぐ判るモーガンである。

そして、パッキパキのファンキーなギターはもちろん、グラント・グリーンだ。他のジャズメンも好演していて、トラック毎にバラバラの録音年月日、録音パーソネルなんだが、不思議と統一感のある演奏で、曲毎の違和感は全くない。ジャズ盤紹介本にその名が挙がる盤では無いが、ソウル・ジャズとしてなかなかの内容で、1960年代末期のジャズ・トレンドを感じるには格好の好盤である。
 
 
 

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2020年4月13日 (月曜日)

英国のクロスオーバー・ジャズ

英国のジャズは面白い。他国とは違った、英国独特のこだわりがある。メインストリーム・ジャズは「ビ・バップ」か「ハードバップ」が絶対。ファンキー・ジャズなど、大衆音楽志向のジャズの演奏トレンドは御法度。そして、面白いのは、ロックとジャズとの境界線が曖昧。演奏するミュージシャンが被っていたりして、ロック出身のミュージシャンがジャズをやったり、ジャズ出身のミュージシャンがロックをやったりする。

Brand X『Unorthodox Behaviour』(写真左)。邦題は「異常行為」(すごい邦題だ)。1975年10〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、John Goodsall (g), Percy Jones (b), Robin Lumley (key), Phil Collins (ds, perc, vib on "Euthanasia Waltz"), Jack Lancaster (ss on "Touch Wood")。

「Brand X」は、英国を代表するジャズ・ロック(クロスオーバー・ジャズっぽいが)、及びフュージョン・ジャズのバンドである。1975年に結成されている。結成当時、ドラマーをどうするかで色々人選するが、キング・クリムゾン(元イエスでもある)のビル・ブルーフォードは契約の関係上、参加を見送り、結局、プログレ・バンドのジェネシスからフィル・コリンズが招かれている。
 
 
Unorthodox-behaviour-brand-x  
 
 
このドラマーの人選の変遷を見ても、プログレッシブ・ロックとジャズの境界線は曖昧なんだが、演奏内容については、とにかくテクニックが凄い。しかも、英国のロック・バンド特有の黄昏時の様な「ほの暗さ」と「ウェット感」が漂っている。バカテクに情緒的な雰囲気を兼ね備えわせた、いかにも英国出身のクロスオーバー・ジャズのバンドである。

この『Unorthodox Behaviour』は、そんなBrand Xのデビュー盤。とにかく全編に渡って、バカテクな演奏が凄まじい。エレギはファンキーなカッティングと精緻なタッチでの速弾きが凄まじく、キーボードは、スペイシーなモーグ・シンセとシンプルなフェンダー・ローズを併用、ミステリアスな雰囲気を醸し出す。

さらに凄まじいのがリズム・セクションで、ジェネシスでお馴染みのドラマー、フィル・コリンズの切れの良い超高速ドラムが炸裂、パーシー・ジョーンズが自由に操るフレットレス・ベースは凄まじいテクニックを駆使して、縦横無尽に躍動する。バカテクではあるが、情緒、陰影に富んだクロスオーバー・ジャズは、やはり英国独特と言えましょう。フュージョン者には必聴アイテムです。
 
 
 

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2020年4月12日 (日曜日)

テオ・ヒルという中堅ピアニスト

ジャズの新盤のチェックは楽しい。新盤の情報については、ジャズ雑誌の新盤コーナーの記事、そして、サブスク音楽サイトの「New Music」の情報欄から入手する。昨日の様に、レジェンド級のベテランの新盤もあれば、若手有望株の新盤もある。コンスタントに内容のある盤をリリースし続ける中堅の新盤もある。ジャズ雑誌やサブスク音楽サイトの新盤情報は、事前に内容の良し悪しをチェックしてくれているので、基本的に間違いが無いのが嬉しい。

Theo Hill『Reality Check』(写真左)。2020年1月、Posi-Tone レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Theo Hill (p), Joel Ross (vib), Rashaan Carter (b), Mark Whitfield Jr. (ds)。2014年にSmalls Liveからデビュー作をリリースしたNYのピアニスト、テオ・ヒルの最新作。テオ・ヒルは、1982年生まれで今年38歳。中堅に差し掛かった、先行き有望なジャズ・ピアニストの一人。

この新盤では、ブルーノートから昨年、鮮烈デビューしたシカゴ生まれ、現在はNYブルックリンをベースに活動している若き天才ヴァイブ奏者ジョエル・ロスをフィーチャーしたカルテット編成となっている。ピアノとヴァイブのソロの取り分は同じくらい。ヴァイブをフィーチャーというよりは、ヴァイブを入れて、ピアノ・トリオの演奏にアクセントを付け、ユニークな色づけがなされているように思う。
 

Reality-check-theo-hill

 
選曲については、先行き有望なジャズマンらしく、自身のオリジナルが全10曲中7曲を占める。ヒルのオリジナル曲はフレーズも聴きやすく印象的。独りよがりなところは全く無い。残りの3曲は、デビッド・バークマン、マルグリュー・ミラー、スティービー・ワンダーのナンバーを収録。この残りの3曲の選曲もユニーク。新進気鋭なヒルの心意気を感じる。

オリジナル曲については、自前の曲ゆえ、当然のことながら、モーダルな演奏トレンドを基本に、自由度の高い、極上の「ネオ・ハードバップ」な演奏を展開、ヒルのピアノをメインとしたピアノ・トリオの演奏能力の高さを見せつけてくれる。ヒルのピアノはクリアで明確で硬質なタッチで耽美的で流麗なフレーズが個性。ファンクネスは殆ど感じ無い。NY生まれながら、ピアノのタッチと雰囲気は「欧州ジャズ」に近い。

このヒルのピアノが、同じくクリアで明確で硬質な音質のロスのヴァイブと相性バッチリで、ユニゾン&ハーモニーなどは、ピアノとヴァイブ、瓜二つの双子の様な響きで、濁りが全く無くて爽快。ヒルのピアノトリオに対して、ロスのヴァイブが違和感無く、溶け込んでいる。現代の「ネオ・ハードバップ」な演奏として、内容の濃い新盤である。この「Theo Hill(テオ・ヒル)」という中堅ピアニストの名前は覚えておいた方が良い。
 
 
 

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2020年4月11日 (土曜日)

大ベテランと若手の好コラボ盤

ジャズ・ミュージシャンの演奏者としての「寿命」は意外と長い。若き日、一流ジャズ・ミュージシャンの仲間入りをしてから、80歳を過ぎても、レベルの高い演奏をし続けているジャズ・ミュージシャンは結構沢山いる。ジャズの演奏楽器はアコースティックな楽器ばかりなので、どの楽器を演奏するにも体力が必要になる。老いてなお、体力の衰えをテクニックでカバーして、なにくわぬ顔をして、レベルの高い演奏をし続ける。

Kenny Barron & Dave Holland Trio『Without Deception (feat. Johnathan Blake)』(写真左)。2019年8月17–18日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Barron (p), Dave Holland (b), Jonathan Blake (ds)。ピアノとベースはレジェンド級の大ベテラン、ドラムは他の2人からは30歳以上の年下。大ベテランと中堅が組んだ、意外と珍しい組合せ。

リーダーでピアニストのケニー・バロン(写真右の左)は1943年生まれなので、録音当時は76歳。同じく双頭リーダーの片割れでベーシストのディヴ・ホランド(写真右の右)は1946年生まれなので、録音当時は73歳。ドラムを担当するジョナサン・ブレイクは1976年生まれなので、録音当時は43歳。年齢70歳以上のレジェンド級ジャズマンが双頭リーダーを張る、そして、二回り以上のリーダーからすると「息子」レベルの中堅ドラマーを採用したピアノ・トリオ盤。
 
 
Without-deception  
 
 
ドラムはピアノ・トリオ演奏においては、リズム&ビートをしっかりとキープし、ピアノとベースのインプロビゼーションをがっちり支える役割と、ピアノとベースがアドリブ・ソロを取る際に、その演奏の雰囲気に合わせて「鼓舞」したり「チェンジ・オブ・ペース」を促したりする。つまり、レジェンド級の大ベテランを向こうに回して、その役割を果たすには、若手にはちょっと荷が重い。が、ジョナサン・ブレイクは臆すること無く、しっかりとその役割を果たしている。これが、今回のこのピアノ・トリオの成功の要因の1つだと睨んでいる。

もちろん、他のレジェンド級の大ベテランのパフォーマンスは申し分無い。総合力勝負のピアニストの代表格、ケニー・バロンについては、相変わらず「堅実かつ明快」なタッチで、適度なスイング感とドライブ感を維持しつつ、流麗なアドリブ・フレーズを展開する。さすが76歳で、バリバリに弾き回すことは無いが、悠然と余裕を持った弾き回しが「粋」である。ホランドのベースも相変わらずで、重低音ベースを心地良く聴かせてくれる。トリオ演奏のビートの底をしっかり押さえて、鋼を弾くが如く「唄うような」流麗なベース・ソロは見事。

1985年、ケニー・バロンのリーダー作『Scratch』で共演、2012年にはデュオ盤『The Art of Coversation』をリリースした、ケニー・バロンとディヴ・ホランド。今回のこの『Without Deception』の共演も内容は良く、お互いの相性の良さが窺い知れる。そして、親子ほど年齢の離れた、中堅ドラマーのジョナサン・ブレイクの健闘が光る。純ジャズのピアノ・トリオ盤として、しっかりとツボを押さえた好盤です。
 
 
 

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2020年4月10日 (金曜日)

凄い未発表ライブ盤が出てきた

僕がジャズを聴き始めた1970年代後半は、フュージョン・ジャズの全盛時代。ジャズ者初心者だったので、しっかりハードバップやビバップの名盤と呼ばれる盤を順に聴いてはいたが、当然、フュージョン・ジャズも聴きに聴いた。もともと、ロックのインストルメンタル、いわゆる「プログレ」が大好きだったので、電気楽器ベースのフュージョン・ジャズは、すんなり入った。

フュージョン・ジャズについては、ムードや聴き心地重視の「ソフト&メロウ」なもの、かたや、ノリ重視でR&B志向の「フュージョン・ファンク」の2つが主流。後者の代表格が「ブレッカー・ブラザース(The Brecker Brothers)」。トランペッターのランディ、テナー/サックス奏者のマイケルのブレッカー兄弟が双頭リーダーの伝説のフュージョン・バンドである。

The Brecker Brothers『Live and Unreleased』(写真)。1980年7月2日、ドイツ、ハンブルグの伝説的ジャズ拠点、Onkel Pos Carnegie Hallでのライヴ録音。80年の夏、5週間に渡る欧州ツアーの一コマ。ちなみにパーソネルは、Randy Brecker (tp & vo), Michael Brecker (ts), Mark Gray (key), Barry Finnerty (g), Neil Jason (b & vo), Richie Morales (ds)。収録曲については「Strap Hangin'」「Sponge」「Some Skunk Funk」他、代表曲のオンパレード。
 
 
Live-and-unreleased-brecker-brothers  
 
 
もうかれこれ40年前のライヴ音源である。内容が良ければ、もう既にリリースされているはず。あんまり期待せずに聴き始めたんだが、これがビックリ。冒頭の「Strap Hangin'」を聴いただけで、椅子から転げ落ちそうになった。なんだ、この凄い演奏は。しかも音が良い。迫力満点、各楽器の分離も良く、パンチとメリハリの効いた音。全盛期のブレッカー・ブラザースのパフォーマスの「ど迫力」がダイレクトに伝わってくる。内容良し、音良し、ジャケット良しと「好盤条件3拍子」が揃った未発表ライヴ音源である。

まず、兄弟のパフォーマンスが凄い。ランディはトランペットを疲れ知らずに吹きまくり、マイケルはテナー・サックスを疾走感満点に吹きまくる。どちらのパフォーマンスも、純ジャズのレジェンド級のトランペッターやテナーマンと比較しても決して引けを取らない、素晴らしい内容。グレイのキーボードも凄いし、フィナティのエレギはファンキー度満点。ジェイソンのベース、モラリスのドラムのリズム隊もフロント楽器を鼓舞し、ガッチリとサポートする。

ファンク・グルーヴとキャッチーなメロディ、そして炸裂のソロ。それらを的確に表現し、イメージを増幅する。このライブ盤のブレッカー・ブラザースの演奏能力は凄まじいものがある。フュージョンだから演奏パフォーマンスはイマイチで、純ジャズだから優秀なんてことは絶対に無い。このライブ盤を聴いて改めてそう思う。フュージョン・ジャズだからと言って侮ってはならない。しかし、どうして、これだけ凄い内容のライブ音源が40年もの間、倉庫に眠っていたのか。いやはや、今回、発掘リリースされて良かった。
 
 
 

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2020年4月 9日 (木曜日)

The Music Of Wayen Shorter

ジャズ・トランペッターのレジェンド的存在、ウィントン・マルサリスはJALCの芸術監督であり、そのマルサリスが率いるジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラ(The Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis, JLCO)は、JALC(Jazz at Lincoln Center)の常設のジャズ・オーケストラ。現代のジャズ・オーケストラの代表格である。

このJLCOは、ジャズにおいて、興味深い、様々なテーマを設定、それをジャズ・オーケストラの演奏にアレンジ、現代のジャズの演奏トレンドの最先端を意識した「ビッグバンドなパフォーマンス」を披露してきた。デューク・エリントン、キューバン・ジャズ、時には複数のテーマを融合した組曲など、優れたアレンジと演奏で、ジャズ・オーケストラの魅力を我々に見せつけてくれている。

The Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis『The Music of Wayne Shorter』(写真左)。2015年5月に3晩に渡って行われたライヴコンサート「The Music Of Wayen Shorter」のライブ音源。タイトルからして、ずばり「ウェイン・ショーター・トリビュート」。ウィントン・マルサリスが、ウェイン・ショーターの歴史的10曲をJLCO向けにアレンジ、その演奏を収めたCD2枚組のライブ盤である。副題に「feat. Wayne Shorter」とあり、この盤は、JLCOにウェイン・ショーター自身が客演しているのだ。
 
 
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まず、選曲がユニークというか渋い。オープニングはアルバム『ジュジュ』から「イエス・オア・ノー」。以降、『ネイティヴ・ダンサー』から「ダイアナ」、ジャズ・メッセンジャーズ時代の名曲・名演で名高い「ハマー・ヘッド」や「コンテンプレイション」、『ナイト・ドリーマー』から「アルマゲドン」、『アダムス・アップル』から「テル」、『アトランティス』からの「インデンジャード・スピーシーズ」や「ザ・スリー・マリアズ」など、ショーター者であれば、お馴染みの名曲がズラリ。

もともとJLCOの演奏能力は相当に高い。今回の「ウェイン・ショーター・トリビュート」でもその演奏能力を存分に発揮している。ショーター作の楽曲は、メイン・フレーズが基本的に妙に捻れていて、通常の楽曲には無い多国籍感が満載。クラシックはもとより、ジャズ・スタンダードにも無い、不思議で捻れた、通常では演奏し難いフレーズを、いとも軽やかに演奏していくJLCO。総帥のマルサリスのトラペットも、ショーターの楽曲の個性を上手く惹き立てるフレーズが見事だ。

ウェイン・ショーターのテナーも上々。ソロのフレーズを少し聴くだけで「これって、ショーターのソロだよな」と判る、その音の個性は、さすがジャズ・テナーサックスのレジェンドの一人だけある。JLCOのバッキングが、ショーターを鼓舞し、ショーターのフレーズを惹き立てるイメージで、これまた素晴らしいパフォーマンス。いやはや、JLCOは現代のジャズ・オーケストラの代表格であることを再認識した。素晴らしいビッグバンド・サウンドです。
 
 
 

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2020年4月 8日 (水曜日)

モードジャズ初期の成熟を聴く

またまた、Art Blakey & Jazz Messengers(アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ)のお話しである。ジャズ・メッセンジャーズは、ハードバップ系の演奏のスタイルやトレンドを取り入れて、その時代その時代の先端の、流行のスタイルやトレンドを牽引した。それだけ、優れた能力のある若手を入団させていた、ということで、リーダーのアート・ブレイキーのスカウトの目と腕というのは大したものである。

Art Blakey & Jazz Messengers『Meet You at the Jazz Corner of the World』(写真)。1960年9月14日、NYのジャズ・スポット「バードランド」でのライブ録音。LP時代は2枚に分けてリリースされる、ボリューミーな内容。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。前のライブ盤から、サックスが、ハンク・モブレーからウェイン・ショーターに代わっている。

このサックスのウェイン・ショーターの参加がキーポイントで、このライブ盤での演奏の基本は「モード・ジャズ」の変化している。1960年当時、ジャズの演奏トレンドは、ハードバップ系に絞れば、ファンキー・ジャズ、若しくは、モード・ジャズ。ファンキー・ジャズについては、このジャズ・メッセンジャーズは、サックスのベニー・ゴルソン在籍の第1期黄金時代の1958年に『Moanin'』で先鞭を付けている。
 
 
Meet-you-at-the-jazz-corner-of-the-world  
 
 
この盤の録音時、1960年においてはファンキー・ジャズは最早、一般的になっていて、先端の演奏トレンドでは無い。当時、先端の演奏トレンドは「モード・ジャズ」。このモード・ジャズは、当時、最先端でクールな演奏トレンドだった。ブレイキーは、その「モード・ジャズ」を駆使して音楽監督の出来る若手有望ジャズメンを発掘。それが、ウェイン・ショーターだった。

このライブ盤の演奏は明らかに「モード・ジャズ」の雰囲気が濃厚。前ライブ盤の『At the Jazz Corner of the World』と比べるとその音の雰囲気の違いが良く判る。このライブ盤では、メッセンジャーズのメンバー全員が音楽監督のショーターに全てを委ねていて、ショーターも思う存分、その手腕は発揮している。そして、感心するのは、第1期黄金時代の他のメンバー。全員、モード・ジャズに適応しているから凄い。

このライブ盤では、ハードバップから進化したモード・ジャズの雰囲気を感じることが出来る。演奏のそこかしこにハードバップ時代の音の雰囲気が残っている。しかし、メインの演奏トレンドは明らかに「モード・ジャズ」。ハードバップ時代に活躍したメンバーがモード・ジャズをやると、こういう雰囲気になる、という好例がここにある。モード・ジャズ初期の成熟を聴く思いがする。好盤である。
 
 
 

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2020年4月 7日 (火曜日)

ハードバップのメッセンジャーズ

昨日、Art Blakey & Jazz Messengers(アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ)はライブ盤が良い、と述べた。それに加えて、ジャズ・メッセンジャーズのライブ盤は、そのライブが収録された時期の「バンドの演奏トレンド」と「バンド演奏の成熟度合い」そして「バンドメンバーのバントとの相性」が良く判る内容になっているから面白い。

ジャズ・メッセンジャーズは「バンド演奏のトレンド」そして「バンド演奏の雰囲気」が個性的で濃厚である。スタジオ録音だと、ジャズ・メッセンジャーズともなれば、さすが皆メンバーは一流のジャズメンなので、自分があまり得意で無い演奏トレンドも、そつなくこなしたりする。しかし、ライブでは「地が出る」ので、バンド全体のパフォーマンスの好不調、バンドメンバーのバンドとの相性がとても良く判る。

Art Blakey & Jazz Messengers『At the Jazz Corner of the World』(写真)。April 15, 1959年4月15日、NYのジャズクラブ「バードランド」でのライブ録音。LP時代は2枚のアルバムに分けてリリースされている。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。第1期黄金時代のメンバーから、テナーだけが、ベニー・ゴルソンからハンク・モブレーに代わっている。
 
 
At-the-jazz-corner-of-the-world
 
 
この盤では、フロント2管が好調。まず、トランペットのリー・モーガンは絶好調。フレーズの作り方、展開は実に巧みで、イマージネーション溢れ、その吹き回しには惚れ惚れするくらいだ。そして、意外と言っては本人に失礼だが、テナーのハンク・モブレーが好調。もともとモブレーは好不調の波が激しく、バンドメンバーとの相性もかなり影響するタイプなんだが、このライブ盤ではモブレーは好調。自信を持って、堂々と吹くモブレーは無敵である。絶好調のモーガンを相手にバリバリ吹きまくっている。

ただ、選曲を見て、ゴルソンがテナーを担当していた時と、選曲の傾向がガラッと変わっている。恐らく、リリーフ起用であったハンク・モブレーに合わせての選曲ではなかったか、と睨んでいる。ゴルソン作の曲については癖が強い。癖が強い曲は自分なりのアドリブ展開がし難い。そうするとモブレーは萎縮するのでは、とのブレイキー御大の慮りがあったのではないか。この選曲でいくと、ブレイキー御大が音楽監督を兼任できるし、バンドメンバーの力量からしても、早期に適用可能ではある。

しかし、演奏される演奏のトレンド、雰囲気はファンキー・ジャズから純粋なハードバップに戻ったイメージもあるし、ジャズ・メッセンジャーズの個性という面からすると、良い意味の「アク」が抜けた様な印象もある。しかしながら、ハードバップとしての演奏レベルは高く、ハードバップの名演の1つと捉えても遜色ない出来である。内容は良い、演奏レベルは高い、しかし、バンド演奏としての個性は少し穏やかになった。そんな評価に苦労するライブ好盤である。
 
 
 

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2020年4月 6日 (月曜日)

メッセンジャーズ最高のライブ盤

Art Blakey & Jazz Messengers(アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ)は概してライブ盤の内容が良い。スタジオ盤も結構、内容が良いのだが、ライブ盤は更に良い。ジャズ・メッセンジャーズ名義のライブ盤は、どの時代の、どの盤を手に入れても基本的には間違い無い(但し、海賊盤には手を出さないで欲しいです)。そんなジャズ・メッセンジャーズの内容の良いライブ盤の中で、一番有名なライブ盤がこれ。

『Art Blakey et les Jazz-Messengers au club St. Germain, Vols. 1-3』(写真・第1集)。1958年12月21日、club St. Germainでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。第1期黄金時代のベストメンバー、フロントがモーガンのトランペットとゴルソンのテナーの2管のクインテット構成。

LP時代は第1集から第3集まで、3枚に分けてリリースされた。しかし、この3枚、内容的には全く甲乙付けがたい。というか、3枚一気に聴き通してしまいたいくらいに、いずれの盤も内容が良い。どの曲のどの演奏を取っても、熱気溢れ、ファンクネス濃厚、魅惑的なユニゾン&ハーモニー、エモーショナルで流麗なアドリブ・ソロ。これぞハードバップ、これぞファンキー・ジャズという演奏なのだ。
 
 
Art-blakey-et-les-jazzmessengers-au-club   
 
 
加えて、グループ・サウンズとしても、非常に良く出来ていて、それぞれのジャズマンの演奏のバランスが良い。ライブでそれぞれのソロが長くなると、得てして退屈なものになることがよくあるが、このライブ盤にはそれが無い。結構、それぞれのソロ・パフォーマンス、時間かけてるんですが、まず内容が良いので長いと感じ無い。そして、他のライブ・パフォーマンスをよく聴いていて、繋がりが良く、独りよがりな展開にならない。さすが、第1期黄金時代のメンバーですね。

3枚のうち、どれか一枚と言われたら、第2集。一曲目はかの有名な「Moanin'」なのだが、この盤だけ曲のタイトルが「Moanin' with Hazel」。というのも、演奏中に居合わせた女性シンガー兼ピアニストであるヘイゼル・スコット(Hazel Scott)がティモンズのソロの途中に感極まって「おお、神よ、憐れみを!(Oh Lord have mercy !)」と叫んだことからこの録音に限って「Moanin’ with Hazel」と呼ばれる。このヘイゼルの叫び声は有名なジャズ・エピソードのひとつで、この叫び声が出るのも納得の凄まじいティモンズのピアノ・ソロである。

この有名なジャズ・エピソードの存在で「第2集」を挙げたが、他の2枚も決して引けを取らない。モーガンは、鯔背な切れ味良いフレーズを繰り出し続け、ゴルソンは大らかではあるが。力強くて滑らかな、独特のフレーズを連発する。ティモンズはソロにバッキングに大活躍。メリットはフロント隊の演奏のビートをシッカリと支え、ブレイキー御大はファンキーなドラミングでバンド全体を鼓舞し続ける。ハードバップかくあるべし、と言う感じの優れた内容のライブ盤である。
 
 
 

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2020年4月 5日 (日曜日)

欧州での伝説的ツアーの一コマ

Art Blakey & Jazz Messengersは、ハードバップの伝承グループであった。マイルスのグループと併せて、有望ジャズマンの登竜門であった。後に一流のメジャーな存在になったメインストリーム系のジャズマン(もちろんドラマー以外だが)達が、一定期間、ジャズ・メッセンジャーズに籍を置いている。若い時代に、このジャズ・メッセンジャーズに籍を置いて、技を磨き、プロのジャズマンとしてのスタンスを学ぶ。

そんなArt Blakey & Jazz Messengersであるが、「バンドの音楽監督に恵まれた時、黄金時代(全盛期)を迎える」という傾向がある。第1期の黄金時代は、音楽監督が「ベニー・ゴルソン」の時代。1958年から1959年の2年間であるが、ゴルソン・ハーモニーを含めた優れたアレンジと選りすぐりのメンバーに恵まれ、ジャズ・メッセンジャーズならではのハードバップな音世界を確立している。

Art Blakey & Jazz Messengers『1958 - Paris Olympia』(写真)。1958年11月22日と12月17日、フランスはパリの「L'Olympia」での録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。第1期黄金時代のベストメンバー、フロントがモーガンのトランペットとゴルソンのテナーの2管のクインテット構成。
 
 
1958-paris-olympia
 
 
名盤『Moanin'』をリリース後のパリでのライブ録音。演奏自体はやや荒いが、ジャズ本来の演奏の迫力が伝わってくる好盤。『Moanin'』に収録されている曲「Are You Real」「Moanin」「Blues March」 が収録されていて、当然、その演奏内容は素晴らしい。また、この第1期黄金時代のベストメンバーで「Just by Myself」「I Remember Clifford」「Whisper Not」が演奏されており、その出来も、これまた素晴らしい。

このライブ盤、それぞれのメンバーは好調であるが、特に、リー・モーガンのトランペットが良い。「I Remember Clifford」が特に良い。この1曲だけで、このライブ盤の僕の中での評価はワンランクアップである。10分におよぶ熱演「Are you real?」も、メンバーそれぞれ、緩むこと無く、立派なアドリブソロを聴かせてくれる。それにしても、ゴルソン作曲の曲の出来の良いこと。ほんと、良い曲書いてます。

極端に短い32分音符で、スネアドラムを連打するドラミング、ナイアガラ・ロールを連発し、滑らかなシンバルレガートも冴え渡り、「カカカカカ」とスティックでスネアの縁を叩く音でフロント楽器を鼓舞して、ブレイキー御大も絶好調。ハードバップ〜ファンキー・ジャズの名演の数々。欧州にファンキー・ジャズ・ブームを巻き起こした伝説的ツアーの一コマとのこと。それも納得の素晴らしい内容のライブ盤です。
 
 
 

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2020年4月 4日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・164

ジャズは全世界に広がっている。ジャズを聴き始めた40年ほど前は、ジャズは米国の音楽だと思っていた。1990年代に入った頃だろうか。欧州ジャズの情報が徐々に我々一般のジャズ者にも届き始め、21世紀になって、インターネットが身近な物になって、欧州ジャズの情報は一気に増えた。そして感心したのは、ジャズは世界の国々にある、ということ。クラシック音楽の文化のある国にはまずジャズもある、と睨んでいる。

Marco Di Marco Chris Woods Sextet『Together In Paris』。1974年11月7日、パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Marco Di Marco (el-p, ac-p), Chris Woods (as, fl), Jacky Samon (b), Keno Speller (bongos), Yaffa Seydou (congas), Charles Saudrais (ds)。マルコ・ディ・マルコはイタリアのピアニスト。クリス・ウッドは米国のサックス奏者。この二人が双頭リーダーのセクステット盤。

メインストリーム・ジャズにとって受難の年代であった1970年代。そんな受難の年代でも、メインストリーム・ジャズは綿々と好盤を創り出していた。この盤も、クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズとは一線画する、1960年代を彷彿とさせる、ダンサフルなボサノバ・ジャズである。電子キーボード(フェンダー・ローズ)は使用しているが、小粋で趣味の良いジャジーなフレーズを連発しているので良し、である。
 
 
Together-in-paris   
 
 
僕はこの盤をジャズ盤紹介本で初めて知ったので、この伊のマルコ・ディ・マルコと米のクリス・ウッドの二人がどういう経緯で出会って、この盤を録音したのかは知らない。マルコ・ジ・マルコのパリ録音三部作の中の一枚とのこと。しかし、この盤の内容が素晴らしい。それぞれのミュージシャンがその実力を遺憾なく発揮して、イタリアのスインギーでダンサフルなモード・ジャズを展開している。

冒頭の「Bossa With Regards」が素晴らしい。欧州ジャズらしい、ファンクネス皆無で端正なモード・ジャズから入って、途中、ボサノバ・ジャズへ展開するところは「聴きどころ」。当時、ジョルジュ・アルヴァニタス・トリオのリズム隊を形成するジャッキー・サムソン、シャルル・ソードレのボンゴ、コンガ、ドラムのリズム&ビートがラテン・フレーヴァーを撒き散らす。

続く「Portrait for a Golden Angel」は哀愁感たっぷりのウッドのフルートが沁みる。そしてラストのタイトル曲「Together In Paris」は、モーダルなジャズの名演だろう。ラテン・チックなリズム&ビートが、シリアスなモード・ジャズに、ポップな明るさを添えている。見事である。スピリチュアルな要素も見え隠れして、当時のメインストリーム・ジャズの好要素を集約した「総合力満点」の好盤だと思う。
 
 
 

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2020年4月 3日 (金曜日)

追悼 エリス・マルサリス。

つい先日、ウォレス・ルーニーの悲報に接したと思ったら、昨日、また悲報が続いて入ってきた。なんと、エリス・マルサリスが新型コロナ感染に伴う合併症により逝去したとのこと。享年85歳。ブランフォード、デルフィーヨ、ジェイソン、ウィントンの「マルサリス4兄弟」の父であり、渋い玄人好みのジャズ・ピアニストでした。実に残念です。

エリス・マルサリス(Ellis Marsalis)は、米国ルイジアナ州ニューオーリンズ出身。ディラード大学でクラシック音楽を学びながら、担当楽器をサックスからピアノに変え、ニューオリンズを拠点にジャズ・ミュージシャンの活動を展開。1970年代には「the New Orleans Center for Creative Arts」で教鞭を執っている。Terence Blanchard (tp), Harry Connick Jr. (vo), Donald Harrison (sax), Marlon Jordan, (tp) and Nicholas Payton (tp) などは、彼の教え子である。

エリス・マルサリスは、リーダー作を約20枚程度、リリースしているが、どれもが優れた内容となっていて立派だ。彼のピアノは、端正で正確、まるでクラシック・ピアノの様だが、フレーズにオフビートがしっかり効いていて、端正でありながらジャジーなフレーズが個性。タッチは明快。右手はハッキリと旋律が浮かび上がり、ハンマー奏法とまではいかないが、左手の低音は歯切れ良く響く。他にありそうで無い、エリスならではの個性である。
 
 
Heart-of-gold
 
 
Ellis Marsalis『Heart of Gold』(写真左)。1991年録音のコロンビア盤。ちなみにパーソネルは、Ellis Marsalis (p), Ray Brown (b), Billy Higgins (ds)。ピアノのエリス・マルサリスをリーダーとしたピアノ・トリオ盤。録音当時、エリス・マルサリス(1934年生まれ)は57歳、ビリー・ヒギンス(1936年生まれ)は55歳、レイ・ブラウン(1926年生まれ)は65歳。メインストリーム・ジャズ志向のベテラン3人が集結。

レイ・ブラインだけが、エリスより8歳年上の60歳代。レイ・ブラウンがサイドマンになった時の傾向として、結構、ブンブンと前へ前へ出るのかな、と思ったら、録音バランスとも相まって、良い感じに後ろに控えて、秀逸なウォーキング・ベースを聴かせている。ヒギンスは一番年下なんだが、さすがモード・ジャズに揉まれてきただけあって、単調なリズムを刻みつつけること無く、寄り添うようにエリスのピアノに柔軟に反応している。

エリス・マルサリスのピアノの個性がしっかり確認出来る、好ピアノ・トリオ盤だ。アップテンポの演奏は無く、ミドル・テンポのゆったりとした演奏が心地良い。それでいて、さすが名うてのベテラン3人のトリオ演奏、適度に張ったテンションがアルバム全体の雰囲気をグッと引き締めている。しかし、こんな好演をしているエリスが、この盤を録音した29年後、新型コロナウィルスで逝去するとは。実に無念です。ご冥福をお祈りします。
 
 
 

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2020年4月 2日 (木曜日)

ショウのトランペットの再評価

ウッディ・ショウをしっかりと聴き直したくなった。ウッディ・ショウは、1970年代に、メインストリーム・ジャズのトランペッターとして頭角を現し、1980年代の純ジャズ復古の先鞭を付け、その純ジャズ復古の流行に乗って人気ジャズマンになろうとしたところ、1989年2月、ブルックリンで地下鉄のホームから転落し左腕を切断。その後の快方に向かうこと無く、同年5月に逝去している。

彼は、1970年代、ジャズ・ロックやフュージョン・ジャズなど、ポップなジャズに走ること無く、メインストリーム・ジャズを貫き、伝統的なモーダルなハードバップ基調のリーダー作を数多く残した。しかし、1970年代はフュージョン・ジャズ全盛の時代、やや難解で硬派なショウのトランペットはマイナーな存在に甘んじている。加えて、我が国では全く人気が無く、フレディ・ハバードのコピーなどと揶揄された。

Woody Shaw『Little Red's Fantasy』(写真)。1976年6月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp), Frank Strozier (as), Ronnie Mathews (p), Stafford James (b), Eddie Moore (ds)。ショウのトランペット、ストロージャーのアルト・サックスのフロント2管のクインテット構成。ジャズ・メッセンジャーズにも参加していた、純ジャズ系ピアニスト、ロニー・マシューズのトリオがリズム・セクションを司っている。
 

Little-reds-fantasy
 
 
自己のオリジナル曲で固めた当アルバムは、のびのびの気合いの入ったショウのトランペットが心ゆくまで堪能出来る。ハイトーンもバッチリ、高テクニックに裏打ちされた、変幻自在、緩急自在なプレイは聴き応え十分。「フレディ・ハバード」のコピーなんて揶揄されたがとんでもない。ハバードの様に目立とう精神は無く、バンド演奏の中で、バランスをしっかりと意識した、速いフレーズの中でもしっかりと感じることの出来る「余裕ある、節度ある」吹き回しが個性的。

モーダルなアドリブ・フレーズもイマージネーション豊かで破綻が無い。機械的では無く、人間的温もりが感じられるテクニカルなフレーズ。このショウが、当時、評価されなかったのが全く意外である。フロントの相棒、ストロージャーのアルト・サックスも好調、このストロージャーとの相性も良く、相当にレベルの高い、適度なテンションが心地良い、当時、最先端のモード・ジャズが展開されている。

テクニックはもちろん、そのブラスの響き、トラペットの音色も良く、何よりハードボイルドな吹き回し。アドリブ・フレーズのイマージネーションとバリエーションが豊かなので、決してマンネリに陥ることは無い。今回、ショウのリーダー作を聴き直して、改めて、ショウのトランペットの凄さを再認識した。ウッディ・ショウのトランペットは再評価に値する。
 
 
 

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2020年4月 1日 (水曜日)

追悼 ウォレス・ルーニー。

ジャズ界からもコロナウィルスによる犠牲者が出てしまった。ウォレス・ルーニーが、昨日、新型コロナウイルス感染症の合併症により急逝しました。59歳(若すぎる)。マイルスが個人的に指導した唯一のトランペット奏者であり、アコースティック・マイルスの後継者の一人でした。しかし、よりによって、ウォレス・ルーニーがコロナウィルスにやられるとは。年齢的に共感を覚えていたルーニーなので、かなりショックである。

マイルスに認められた唯一のトランペッターであった、ウォレス・ルーニー。それ故、常に「マイルスのコピー」「マイルスの影がちらつく」「人の真似は絶対にしなかったマイルスとは似ても似つかぬ」とか、散々な厳しい評価に晒されてきた。僕は「マイルスに認められた唯一のトランペッター」の行く末を見守っていたくて、ずっとルーニーの演奏を聴いてきたが、そんなに厳しく指摘するほど、マイルスの音に似すぎていた、とは思わない。

テナー・サックスであれば「コルトレーン」。コルトレーン・ライクな演奏をするテナー・マンなんてごまんといる。ピアノであれば「バド・パウエル」。バドのビ・バップライクな演奏スタイルを真似るピアノ・マンは、これまた、ごまんといる。トランペットは意外と皆が真似るスタイリストがいない。第一人者であるトランペッターがマイルスで、あまりにその個性が突出しているので、真似するにも真似が難しい。
 
 
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Wallace Roney『Blue Dawn - Blue Nights』(写真左)。2018年9, 10月、NYのルディ・ヴァン・ゲルダースタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Wallace Roney (tp), Emilio Modeste (ts, ss), Oscar Williams II (p), Paul Cuffari (b), Kojo Odu Roney (ds, track=1, 4, 6–8), Lenny White (ds, track=1–3, 5), Quintin Zoto (g, track=1, 3, 5)。全編、アコースティックな純ジャズ路線の演奏である。

この盤が現時点でのルーニーの遺作となる。この盤では、サイドメンの選定が良かったのと、明確に現代のモード・ジャズを演奏するという志向が功を奏して、長年、厳しい評価の代表だった「マイルスのコピー」のイメージを完全に脱却している。モード・ジャズが基調であるが、そもそもマイルス存命の時代に、こんな「現代のネオ・ハードバップ」の様な演奏のトレンドは無かった。サイドメンを含めて、アコ・マイルスの影から完全脱却している。アコ・マイルスを踏襲しつつ「アコ・マイルスの先」を演奏したかったルーニーの面目躍如である。

前作まで「アコ・マイルスの踏襲」を洗練〜深化し続けていただけに、僕はこの最新作であるこの盤について、ルーニーの「目標」が達成された盤として評価していただけに、今回の急逝が実に惜しまれる。「アコ・マイルス」の先の演奏を実現した途端に、今回の急逝。ルーニーに代わって、無念の気持ちで一杯である。あの世でマイルスに会ったら、今度こそ、マイルスとトランペット2管で共演して下さい。ご冥福をお祈りします。
 
 
 

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