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2020年3月12日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・162

ダラー・ブランド(Dollar Brand)。最初の名前である。イスラム教への改宗をきっかけに「ダラー・ブランド」から「アブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)」へと名前を変えた。1934年10月、南アフリカ生まれ。1962年に欧州へ移住、チューリッヒを中心に活動。デューク・エリントンに見出され、プロ・デビューを果たす。1970年代中盤に南アフリカに少しの間戻ったが、ほどなくNYへ戻り、現在では南アフリカとNYの両方で活動を継続している。

僕は、このイブラヒムのピアノが大好きで、彼のピアノと初めて出会ったのが、1973年に、ECMレーベルからリリースされた、Dollar Brand『African Piano』である。このソロ・ピアノにはその内容に驚いたし、彼のピアノのベースにある「伝統的なアフリカの歌やゴスペル」が色濃く反映されているフレーズが痛く心に沁みた。どうも、僕は「アフリカン・ネイティヴな音」そして「ゴスペル風のフレーズ」にからきし弱い。僕はこの『African Piano』を聴いて以来、イブラヒムのピアノがお気に入りである。

Dollar Brand『Anatomy of a South African Village』(写真)。1965年1月30日、コペンハーゲンのモンマルトルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Dollar Brand [Abdullah Ibrahim] (p), Johnny Gertze (b), Makaya Ntshoko (ds)。録音年を見れば判るが、イブラヒムのまだ「ダラー・ブランド」時代、彼のキャリアの初期の頃の録音になる。欧州のフォンタナから65年に発売した、マルテ・ロリングがイラストのジャケットの盤(写真左)と、ブラック・ライオンが92年に発売した写真のジャケットの盤(写真右)と2パターンがある。僕が聴いたのは後者。
 
 
Anatomy-of-a-south-african-village  
 
 
伝統的なアフリカ・ネイティヴな音楽フレーズや、ゴスペルからコンテンポラリーなジャズやその他の西洋音楽に至るまで、様々な音楽が効果的に融合されたイブラヒム独特の音世界である。この独特な音世界が、1965年の彼のキャリアの初期の時代に確立されていたことが確認出来る。サイドメンは、どちらも南アのミュージシャンになる。この演奏は、イブラヒムの「南アフリカのみのメンバー」で編成された、南アフリカ発のメインストリーム・ジャズである。

この南アフリカ発のメインストリーム・ジャズを感じるには、冒頭の所要時間15分の大作、タイトル曲の「Anatomy of a South African Village」で十分である。自作をメドレー気味に弾き進める感じの、イブラヒムの個性満載の演奏に惚れ惚れする。ブラック・ライオンが92年に発売した盤は、2曲目以降が、このモンマルトルのライブ音源の発掘音源になるので、イブラヒムの個性を確認するには、このブラック・ライオンが92年に発売した盤の方がより適している。(欧州のフォンタナから65年に発売したイラストのジャケット盤は、2曲目以降、モンクの曲や別のオリジナルを収録しているそうだ)。

僕はイブラヒムの「伝統的なアフリカの歌やゴスペル」が色濃く反映されているフレーズが大好きだ。聴いているだけで、ほのぼのとした郷愁を感じるのだ。そして、この個性的なタッチに、セロニアス・モンクとデューク・エリントンの影響が感じられるタッチが織り交ぜられて、独特の個性的なジャズが展開される。それは、今でも変わらない。壮大な自然環境と音楽を共鳴させたような、様々な音楽が効果的に融合された、イブラヒム独特の音世界は、今も昔も僕にとっては「大のお気に入り」である。
 
 
 

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