« ボブ・ジェームスらしさ満載 | トップページ | チェットのトランペットが映える »

2020年3月 4日 (水曜日)

こういう新盤は心強いなあ。

ジャズには「進化」する、または「深化」する側面と、過去の成果を振り返り「温故知新」する側面の2つがあると感じている。「温故知新」については、過去のレジェンドの演奏スタイルを踏襲し、自分なりの個性を融合させたり、はたまた、過去のレジェンドの楽曲を取り上げて、自分なりのアレンジを加えて演奏したり、「温故知新」の意味通り「古きを訪ねて、新しきを知る」というアプローチである。

Bob Reynolds『A Message for Mobley』(写真左)。2018年7月26日、ロサンゼルスでの録音。 ちなみにパーソネルは、Bob Reynolds (ts), Larry Goldings (Fender Rhodes ele-p), Alex Boneham (b), Charles Ruggiero (ds)。リーダーのボブ・レイノルズはテナー奏者。その名前、どこかで聴いた事があると思って資料を見たら「スナーキー・パピー、ジョン・メイヤーとの共演で知られる実力派サックス奏者」とある。

おお、思い出した。しかし、スナーキー・パピー、ジョン・メイヤーとの共演の経験者であれば、ちょっとフュージョン寄りのコンテンポラリーな純ジャズをやってくるんやないか、と思っていた。で、この盤である。タイトルを見れば、この盤、ハンク・モブレーのオマージュ、もしくはトリビュートでは無いか、と思うんだが、どうにも、先進的なコンテンポラリーな純ジャズの志向と合わないのでは、と思いつつ、この盤を聴いてみると・・・。
 
 
A-message-for-mobley-1
 
 
まず、リズム・セクションが面白い。フェンダー・ローズをメインとしたリズム・セクションである。軽快で適度なファンクネスと爽快感が個性のゴールディングスのローズが「プログレッシブ」な印象を醸し出している。少なくとも、モブレーが活躍したハードバップな雰囲気は微塵も無い。あるとすれば「ネオ・ハードバップ」な、現代の解釈における新しい響きのハードバップである。

そこに、リーダーのレイノルズのテナーが入る。このレイノルズのテナーがこれまた曲者で、テナーと言えば、猫も杓子も「コルトレーン風」か、モブレーの自作曲を採用しているので、「モブレー風」に吹くのが定石だが、レイノルズはそうでは無い。あくまで、自分のスタイル、自分の音でモブレーの自作曲を吹き進める。これが清々しい。モブレーの自作曲を採用するんだが、出てくる音は現代のコンテンポラリーな純ジャズ。決して、懐古趣味では無いし、決して、ハードバップの焼き直しでは無い。

実に頼もしいアルバムである。ネットの情報によれば「レイノルズは今作をハンク・モブレーへのオマージュやトリビュートではないと語る。」とある。なるほど、この盤はオマージュやトリビュートの類の盤では無い、モブレーの楽曲の優秀性と応用性を最大限に活かして、現代のコンテンポラリーな純ジャズなアルバムとして成立している。こういうアルバムに出会うと、まだまだジャズは捨てたもんじゃ無い、と思うのだ。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.02
  まだまだロックキッズ ・・・・ クールで大人な『トリロジー』

【更新しました】2020.03.01
  青春のかけら達 ・・・・ 荒井由実『MISSLIM (ミスリム)』 

 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から8年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

« ボブ・ジェームスらしさ満載 | トップページ | チェットのトランペットが映える »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ボブ・ジェームスらしさ満載 | トップページ | チェットのトランペットが映える »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー