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2020年3月の記事

2020年3月31日 (火曜日)

マルチ楽器奏者の第一人者

ジャズの中で、サックスは花形楽器。当然、サックス奏者の数も多い。サックスも種類が豊富で、ソプラノ、テナー、アルト、バリトンとおおよそ4種類ある。そして、面白いのは、サックス奏者はフルートも得意だということ。運指が同じ感じで、吹き方も同じマナーで吹ける。僕もアルト・サックスが少し吹けるが、実はフルートも吹ける。確かに、吹く「フィーリング」が同じなのだ。

Yusef Lateef(ユセフ・ラティーフ)というマルチ楽器奏者がいる。1920年、米国テネシー州生まれ、惜しくも2013年に93歳で亡くなっている。この人は典型的なマルチ楽器奏者で、メインはテナー・サックスだが、ソプラノ・サックス、バリトン・サックス、フルート、オーボエも吹く。このオーボエにしろ、フルートにしろ、オーケストラのマエストロの門を叩いて、アカデミックな教育環境の中で演奏技術を習得した本格的なもの。軽く見てはいけない。

Yusef Lateef『The Centaur and The Phoenix』(写真左)。1960年10月と1961年6月の2回に分けての録音。ちなみにパーソネルは、Yusef Lateef (ts, fl, arghul, oboe), Richard Williams (tp), Clark Terry (flh, tp), Curtis Fuller (tb), Josea Taylor (bassoon), Tate Houston (bs), Joe Zawinul (p), Ben Tucker (b), Lex Humphries (ds)。幾つか珍しい楽器を含めたノネット(9人)編成。
 
 
The-centaur-and-the-phoenix  
 
 
ラティーフ自身、オーボエとフルート、そして、アルグールという古代リード楽器を吹いている。バリトン・サックスとフリューゲルホーンとバズーンが入っている。このオーボエとアルグール、そして、バリサクとバズーンがユニークな音を出していて、ラティーフの真骨頂である「異国性溢れる」不思議でオリエンタルな響きを生成している。

この盤でのラティーフのテナー・サックスもなかなかで、コルトレーンとは全く違い、少しポップでシンプルで判り易いテナー・サックスを吹いている。この盤では、ラティーフは意外と正統なメインストリーム・ジャズをやっていて、捻れたエキゾチック・ジャズは時々、節度良く顔を出す程度。だが、この捻れたエキゾチック・ジャズの部分に、当時のジャズとしての革新性を聴くことが出来る。

メインストリーム・ジャズ部と捻れたエキゾチック・ジャズ部とのバランスがとても良く、ラティーフもマルチ楽器奏者として大活躍している。タイトルは「ケンタウロスとフェニックス」と、ジャズ盤らしからぬタイトルが付いているが、この盤は、ラティーフのマルチ楽器奏者としての特徴が良く理解出来、彼のメイン楽器であるテナー・サックスの個性がバッチリ確認できる好盤である。
 
 
 

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2020年3月30日 (月曜日)

ギリシャのピアニスト盤である

ジャズには「ジャケ買い」という言葉がある。ジャケット・デザインの優れたアルバムは、基本的に内容の優れたアルバムである確率が高い、という「格言」。自らの体験を振り返ると、確かにその傾向は強い。そのリーダー作の名前について全く知らなくても、直感的にジャケット・デザインが良いと思って衝動買いしたら、かなりの確率で、その内容は良好なものが多い。

George Kontrafouris Trio『The Passing』(写真左)。2020年2月のリリース。ニューヨークの伝説的なバードランドでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、George Kontrafouris (p), Kimon Karoutzos (b), Jason Wastor (ds) 。ピアノ・トリオ。リーダーはピアニスト。ギリシャ出身のベテラン ・ピアニスト、ジョージ・コントラフォーリス(=George Kontrafouris)とのこと。

全く知らないピアニストだ。実はこの盤、ジャケット・デザインに妙に惹かれて、いきなりゲットした、いわゆる「ジャケ買い」盤なのだ。リーダーのジョージ・コントラフォーリスは、ジャズ・ピアニスト、オルガニスト、教育者として欧州のジャズ・シーンの主要人物の一人。多くの有名なミュージシャンとの共演歴もあり、ニューヨークを拠点に活動しているとのこと。いやはや、ジャズ・ミュージシャンの裾野は広い。
 
 
The-passing
 
 
コントラフォーリスのピアノは明らかに欧州ジャズの音傾向を踏襲している。クラシック・ピアノの素養がベースにあって、前奏などの弾き回しの手癖は明らかにクラシックの影響大。テーマからアドリブ部の弾き回しは、ビル・エヴァンスに通じる耽美的でリリカルな音。タッチは流麗。テクニックに走らず、弾き回しの流麗さを基に、音の広がりと音の重なりを優雅に聴かせる。

バックに付いたベースとドラムのリズム隊のレベルも高い。適度なテンションが心地良い、インテリジェンス溢れるインタープレイ。野趣溢れるアドリブ・プレイ。木訥にシンプルにリズム&ビートをキープし、フロントの旋律を司るピアノをサポートする。ジャズ、ブルース、そして、時々、「恐らくは」であるが、ギリシャのネイティヴな旋律を織り交ぜて、どこか、ギリシャを感じさせる音世界が独特な響きとして伝わってくる。

ジャズは国際的な音楽になったんやなあ、とこの盤を聴きながら再認識。特に欧州ジャズならではの豊かで流麗な響きがこのピアノ・トリオの一番の個性。そして、ところどころに織り交ぜられる、ギリシャのネイティヴな旋律がユニーク。米国ジャズ、日本のジャズには絶対に無いこの音世界は様々な発見があって、繰り返し聴いても飽きることが無い。今回の「ジャケ買い」、大成功である。
 
 
 

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2020年3月29日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・81

昨年の10月にスペインに旅行し、その中でバルセロナを訪れた。なかなかツアーでは訪れることのない「カタルーニャ音楽堂」を見学することが出来て、感激の極みであった。その「カタルーニャ音楽堂」の見学順路の壁にジャズ・ピアニストらしき写真があった。テテ・モントリューであった。そう言えば、彼は1997年に、この「カタルーニャ音楽堂」でソロ・ピアノ盤を録音している。

テテ・モントリューは、カタルーニャのバルセロナ出身のジャズ・ピアノの巨匠である。惜しくも1997年8月に64歳で逝去しているが、1965年に初リーダー作でデビュー以来、逝去する1997年まで、32年の長きに渡って欧米で活躍した、ジャズ・ピアノのレジェンド。端正で力強いタッチの中、スペイン音楽に聴かれる様な、哀愁感漂うスパニッシュな響きがほんのりと香る、ハードバップでモーダルなピアノの調べは、欧州ならでは、スペイン出身ならでは個性。

Tete Montoliu 『Catalonian Rhapsody』(写真左)。1992年3月8日、スペインはバルセロナでの録音。ちなみにパーソネルは、Tete Montoliu (p), Hein Van de Geyn (b), Idris Muhammad (ds)。日本のヴィーナス・レコードからのリリース。タイトルはズバリ、モントリューの故郷である「カタルーニャ」を採用している。タイトルから判る様に、この盤は、モントリューが、カタルーニャ地方の哀愁のメロディを、ピアノ・トリオで存分に表現したもの。
 
 
Catalonian-rhapsody  
 
 
選曲を見渡すと、ヴィーナス・レコードらしからぬ、有名なスタンダード曲が見当たらない。1曲目「The Lady From Aragon (La Mama D'Arago)」から、5曲目「Song Of The Robber (La Canso Del Lladre)」までが、カタロニア地方の伝承曲を基にした演奏になっている。この5曲については、哀愁感漂うスパニッシュ風ではあるが、ちょっと独特な響きが宿るカタルーニャ独特の響きがユニーク。ついつい聴き惚れる。

残りの3曲のうち、2曲はカタルーニャの作曲家「Joan Manuel Serrat」の作、残りの1曲はモントリュー自身の作。つまりは、この盤はタイトル通り「カタルーニャの狂詩曲」である。これが良い。モントリューが故郷のカタルーニャをピアノ・トリオで、ジャズで表現する。そして、このトリオ演奏の内容が濃い。トリオの3者共に好調で、硬軟自在、縦横無尽のインタープレイが素晴らしい。

逝去の5年前とは言え、モントリューのピアノは好調を維持している。モントリューは僕のお気に入りのピアニストの一人で、昔から聴き親しんで来たが、この『Catalonian Rhapsody』という盤、モントリューのリーダー作の中で屈指の出来だと僕は思う。ヴィーナス・レコードからのリリースだから、という先入観だけで、この盤を遠ざけるのは勿体ない。久々に「ピアノ・トリオの代表的名盤」としてアップしたい。
 
 
 

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2020年3月28日 (土曜日)

心地良きビッグバンドとの共演

ビッグバンドとの共演は、ソロイスト側には「テクニックが優れていること」「フレーズが明確でハッキリしていること」、そして、ビッグバンド側には「ソロ楽器を意識したアレンジが施されていること」「ソロイストを前面に押し出す伴奏上手であること」が、それぞれ要求される。そして、その要求が満足されたら、その共演は素晴らしいジャズの音世界への昇華する。

Bill Laurance & WDR Big Band『Live at the Philharmonie Cologne』(写真左)。2018年11月24日、ドイツはケルンの「the Philarmonie」でのライブ録音。スナーキー・パピー結成当時からのメンバーであるキーボーディスト「ビル・ローレンス」と、ケルンの名門ビッグ・バンド「WDR Big Band」との共演。そして、WDR Big Bandのコンダクターは「ボブ・ミンツァー」。

スナーキー・パピーの知性あふれるクールなサウンド・イメージがベースとなって、ビッグバンドのアレンジが為されているように思う。スナーキー・パピーのキーボーディスト、ローレンスのピアノがくっきり浮かび上がる、つまり、WDR Big Bandがソロイストを前面に押し出す伴奏上手となる為のアレンジである。従来のWDR Big Bandの表現とは全く異なる、クールで流麗でスムースな音の流れ。現代の「今」のビッグバンドの音である。
 
 
Live-at-the-philharmonie-cologne  
 
 
ビル・ローレンスは、スナーキー・パピーでのプレイの様に、クールで流麗でキャッチャーなフレーズを弾きまくる。印象的なフレーズがどんどん湧き出てきて、ポップな展開あり、流麗な展開あり、耳に楽しく、耳に心地良い印象的なフレーズ満載。ジャジーでファンキーな要素はまず見当たらない。良質なフュージョン・ジャズを基調にした様なフレーズの作り。それでいて、タッチと弾き回しは純ジャズそのもの。

その印象的なフレーズをWDR Big Bandがしっかりと受け止めて、さらにローレンスのピアノを際立たせている。ローレンスのアドリブ展開の表現の変化に応じて、WDR Big Bandもしっかりとその変化に追従し、その変化に適応する。凄い力量をもつビッグバンドだ。WDR Big Bandのソロイスト達も、ローレンスの醸し出すサウンド・イメージに則りつつ、個性的なアドリブ・ソロを展開する。それはそれは聴き所満載で、あっと言う間に時間は過ぎていく。

ビル・ローレンスは1981年生まれなので、今年まだ39歳。中堅の入り口に差し掛かった若き才能とベテラン・アレンジャー/コンダクターのボブ・ミンツァー、そして、百戦錬磨のアンサンブルのWDR Big Band、の3者が有機的に融合し生み出された「一期一会」の音世界。 クールで流麗でキャッチャー、そしてダイナミック。今までに無い、新しいピアノとビッグバンドの共演サウンドがこの盤に詰まっている。
 
 
 

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2020年3月27日 (金曜日)

ヘインズ、老いてなお盛ん

以前は、何かめぼしいアルバムは無いか、聴いた事の無いアルバムは無いか、レコード屋、もしくは、CDショップを巡回したものだ。しかし、21世紀に入った頃から、インターネットのサービスが発達し、インターネットのCDショップを徘徊することが主となり、最近では、サブスクの音楽サイトを巡回することに代わった。振り返ってみれば、今ではCDショップに足を向けることは全く無くなった。

特に、大手のサブスク音楽サイトについては、ジャズに限っては音源がかなり充実していて、ジャズ盤鑑賞の趣味においては実に助かる。今まで、CDショップでも見かけ事の無かった音源がアップされていたりして、以前よりも遙かに、ジャズ盤鑑賞の幅が広がり、ジャズ盤探索の手間が随分省けた様に思う。音質についても、このところ、大幅に改善されてきたみたいで、もうCDショップに出入りすることは無いかな。

Roy Haynes & The Fountain of Youth Band『Whereas』(写真左)。2006年1月20-22日、米国ミネソタ州セントポールのジャズクラブ「Artists' Quarter」で行われた「Roy Haynes Weekend」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), John Sullivan (b), Robert Rodriguez (p), Jaleel Shaw (ts)。ジャズ・ドラムの大御所、ロイ・ヘインズのリーダー作。録音当時81歳(1925年生まれ)。老いてなお盛んなヘインズである。
 
 
Whereas-1  
 
 
しかもこのライブ盤、録音当時81歳のヘインズが、30〜50歳も年下の、いわゆる「息子」や「孫」の様な年齢の中堅ジャズメンと共演しているのだ。今回の演奏は、テナー・サックスが1管の「ワンホーン・カルテット」。テナー・サックスは、1978年生まれのジャリール・ショウ。録音当時は28歳のバリバリ若手。ヘインズから53歳年下だから、ヘインズからみたら「孫」的存在。ジャリール・ショウがバリバリ吹きまくる。スタイルは「コルトレーン派」。コルトレーンと比べて、軽やかで流麗。

それでも優秀なテクニックでバリバリに吹きまくっている。この「孫」の様なテナーをヘインズはガッチリと受け止め、リズム&ビートをコントロールし、逆に「もっと吹け」と言わんばかりに、若手テナーを鼓舞している。これは、ロバート・ロドリゲス(1968年生まれ)のピアノにも言える。録音当時38歳。ロドリゲスも流麗にガーンゴーンとモーダルなピアノを弾きまくるのだが、ヘインズは正確なリズム&ビートを供給し、ロドリゲスのピアノを破綻せぬよう、しっかりとサポートする。

この盤は、ジャズ・ドラムのレジェンド、ヘインズの「老いてなお盛ん」で驚異的なドラミングを堪能する盤である。そのパワーと感性は全くもって衰えることを知らない様だ。そして、当時の若手テナー・マン、ジャリール・ショウの若々しい、正統派なサックス・プレイは「要注目」である。加えて、ピアノのロバート・ロドリゲスも、僕は知らなかったが、この盤でのプレイを聴く限り「要注目」。こういう好盤が、何気なくサブスクの音楽サイトに転がっているのだから、ジャズはやっぱり隅に置けない。
 
 
 

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2020年3月26日 (木曜日)

カル・ジェイダーは粋な両刀使い

米国西海岸ジャズを聴き直していて、本当にお洒落で粋なアレンジを施された演奏が多いなあ、と感心する。演奏のテクニックも高い。そんなジャズメンたちが、優れたアレンジの下で、ユニゾン&ハーモニーを奏で、質の高いアンサンブルを聴かせてくれる。高いテクニックでそれをやるのだ。一糸乱れぬ、とても息の合った演奏が心地良い。いわゆる「破綻の魅力」は微塵も無い。

Cal Tjader『Tjader Plays Tjazz』(写真)。1954年のカルテットと1955年のクインテットの演奏に分かれる。1954年のカルテットのパーソネルは、Bob Collins (tb), Al McKibbon (b), Cal Tjader (ds), Eddie Duran (g)。1955年のクインテットのパーソネルは、Sonny Clark (p), Gene Wright (b), Cal Tjader (rib), Bobby White (ds), Brew Moore (ts)。

1954年のカルテットでの演奏は、2曲目「I've Never Been In Love Before」、4曲目「How About You」、7曲目「My One And Only Love」、9曲目「I'll Know」。1955年のクインテットでの演奏は、1曲目「Moten Swing」、3曲目「There Will Never Be Another You」、5曲目「Jeepers Creepers」、6曲目「A Minor Goof」、8曲目「Imagination」、10曲目「Brew's Blues」。
 
 
Tjader-plays-tjazz-1  
   
 
カル・ジェイダーは、ドラマーとヴィブラフォン奏者の両刀使い。特異な存在ではある。どちらの楽器も質の高い演奏を披露する。ドラミングについては「堅実かつ誠実」。ヴァイブについては、こちらの方が秀逸な内容で、音はヒンヤリ冷たいが「クール」な響きが心地良い。音の質についても、淀みが無く澄んでいる。アドリブ・フレーズについては、短いが小粋なフレーズを連発する。音の質と相まって、聴いていてとても印象的である。

1954年のカルテットと1955年のクインテット、どちらの演奏も甲乙付けがたい。1954年のカルテットは、ボブ・コリンズのトロンボーンがフロントのメイン楽器となるユニークな編成で、米国西海岸ジャズらしい、落ち着いた寛ぎのある演奏が良い。1955年のクインテットの僕にとっての目玉は、大のお気に入りのピアニスト、若き日のソニー・クラークが参加していること。曲によって出来不出来はあるが、聴いて直ぐに「ソニー・クラーク」と判るほどの個性が、この時期に既に芽生えている。

米国西海岸ジャズは、アグレッシヴでダイナミックな東海岸ジャズとは正反対の、落ち着きのある寛いだ演奏。これが心地良い。尖ったアグレッシヴなジャズを聴き続けた後、ちょっとした耳休めに、米国西海岸ジャズは最適である。いや、クールで粋なアレンジを耳にすると、どうしても集中して聴いてしまうから、耳休めにはならないな。それでも、西海岸ジャズの落ち着いた寛ぎのある演奏は気持ちが安らぐ。それが良い。
 
 
 

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2020年3月25日 (水曜日)

トミフラ「こんな盤あったんや」

長年、ジャズを聴いて、アルバムをコレクションして、ブログを書いていても、ジャズのレジェンド級のジャズマンについて、その存在を知らなかったり、聴き逃していたリーダー作が突然、出てきたりする。聴き逃しはまだ良いが、その存在を知らなかった、というのは、長年ジャズ者をやって来て、いやはや、まだまだ勉強不足ということを実感する。ジャズは意外と奥が深い。

Tommy Flanagan『Flanagan's Shenanigans』(写真左)。1993年4月2日の録音。パーソネルについては、Tommy Flanagan (p), Jesper Lundgaard (b), Lewis Nash (ds) のピアノ・トリオがメインで、Jesper Thilo (ts) が1〜4曲目まで、Henrik Bolberg Pedersen (tp), Steen Hansen, Vincent Nilsson (tb), Jan Zum Vohrde (as, fl), Uffe Markussen (ts, ss, b-cl), Flemming Madsen (bs, b-cl) が、1〜3曲目まで参加している。

リーダーのピアニスト、トミー・フラナガン(以下、トミフラと呼ぶ)が、デンマークのジャズバー賞を受賞した時に行ったライヴを収録した音源。ヤスパー・ルンゴー(b)とルイス・ナッシュ(ds)との味のある、職人芸的ピアノ・トリオの演奏をベースに、現地の優れものジャズメンが参加したノネット編成での、重厚でダイナミックで整然としたビッグバンドの様な演奏が冒頭から3曲、続く4曲目の「For Lena and Lennie」のみ、テナーのイェスパー・シロが参加したカルテット編成。
 
 
Flanagans-shenanigans  
 
 
5曲目以降、ラストの大団円「Tin Tin Deo」まで、トミフラのピアノ・トリオの演奏になる。まず、この盤、このピアノ・トリオ演奏の部分が秀逸である。トミフラのピアノが実に良い音している。もともと歯切れの良い、明確なタッチなんだが、この盤では、それに加えて、躍動感が際立つ。そして、流麗でジャジーで粋なアドリブ・フレーズ。そう、トミフラのアドリブ・フレーズは「粋」なのだ。聴いていて惚れ惚れする。

1曲目「Eclypso」から「Beyond the Bluebird」「Minor Mishap」の3曲は、ノネット編成の演奏なのだが、これが全て、トミフラの自作曲。こうやって、ビッグバンド風のアレンジで聴いてみて、トミフラの自作曲って良い曲なんだなあ、と再認識する。ノネット自体の演奏も、ビッグバンド風で迫力と疾走感があって、聴いていて清々しい気分になる。トミフラのピアノは、ノネットの中に入って伴奏に回った時、これまた「伴奏上手のトミフラ」の真価を発揮する。

ヤスパー・ルンゴー(b)とルイス・ナッシュ(ds)のサポートも見事。こんなトミフラ盤があったなんて、僕は今まで意識したことがなかった。トミフラは僕のお気に入りのピアニストの一人なので、彼のディスコグラフィーはしっかり確認していたのになあ。恐らく、1990年代のトリオ盤に注目するあまり、冒頭がノネット編成のライブ盤を見落としたと思われる。いやはや、サブスクの音楽サイトに感謝である。
 
 
 

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2020年3月24日 (火曜日)

奇跡の様なベース1本のソロ盤

ECMレーベルのアルバムのカタログを眺めてみると、やはりニュー・ジャズと呼ばれる即興演奏(基本はモードかフリー)をメインにジャズ的アプローチを旨とした演奏が多い。従来のハードバップや、その深化形であるファンキー・ジャズやソウル・ジャズなど、大衆向けポップ志向のジャズは全く無い。

つまりは、ECMレーベルは商業主義から離れたところにあるレーベルで、米国のジャズ・レーベルとは一線を画している。逆に、このカタログで経営的に問題が無いのかどうか、心配になる。ジャズをアートとして捉え、マンフレート・アイヒャーが選んだ「今日的」な音楽を記録し、世に問う。1969年創立なので、レーベルとしての活動はもう50年にもなるのだから、経営は大丈夫なんだろう。

Gary Peacock『December Poems』(写真)。1977年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Peacock (b), Jan Garbarek (ts, ss, tracks 2 & 4) 。パーソネルを見て判るように、2曲だけ、ガルバレクのサックスが入るが、基本はベーシスト、ゲイリー・ピーコックのベース1本のソロ盤である。おおよそ、商業主義にそぐったアルバムでは無い。
 
 
December-poems
 
 
ベーシストが基本的にソロ演奏だけでアルバムを一枚、成立させるのは至難の業である。ベースは低音がメインなので、旋律を奏でる場合、テクニックがイマイチだとメロディーラインが追いにくい。リズム&ビートだってそうだ。多重録音であれ、ベースが旋律楽器を担当するので、音質がかぶる。この「かぶり」を克服する必要がある。アコースティック・ベースという楽器の性格上、よっぽどのことが無いと成立しない。

が、この盤はベース1本でアルバムが成立している。ピーコックの類い希なる超絶技巧なベースがそれを可能にしている。とにかく凄まじいばかりの目眩くテクニックの数々。まるで、アコースティック・ベースが唄っているようだ。素晴らしいのは、アコースティック・ベースそのままで、弾き出される音のバリエーションが豊かなこと。ベース1本なのに、アルバムを聴き通して、全く飽きが来ない。

アコースティック・ベースが、これだけハイ・テクニックでアーティスティックに演奏されるなんて「驚き」である。その「驚き」の記録がここにある。さすが、ECMレーベルである。ベース1本のソロ盤を通常のカタログの中で、普通に何気なくリリースする。さすが、欧州ジャズ、ニュー・ジャズの老舗レーベルである。さすが、マンフレート・アイヒャーである。奇跡の様なベース1本のソロ盤がここにある。
 
 
 

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2020年3月23日 (月曜日)

「テナー奏者」としてのゴルソン

ベニー・ゴルソン(Benny Golson)について、先週から語っているのだが、どうも、ゴルソンのアレンジの十八番である「ゴルソン・ハーモニー」に偏りすぎたきらいがある。ゴルソンはジャズ・テナーサックス奏者。それでは、テナーサックス奏者としての実力のほどはどうなのか。

ゴルソンのテナーサックス奏者としての評価については、辛口の評価が多い。モワッとしている、つかみ所がない、暑苦しい、切れ味が無い、などと評価は芳しく無い。ケチョンケチョンである。しかし、である。ゴルソンは1929年生まれなので、今年で91歳。未だ現役。1953年以降、ずっと第一線の立ち位置をキープしているのは何故か。まさか「アレンジの才能」だけで、第一線をキープできるほど、ジャズの世界は甘くない。そんなゴルソンのテナーサックス奏者としての力量を、きっちりと推し量ることが出来る好盤がある。

Benny Golson『Take a Number from 1 to 10』。1960年12月、1961年4月の録音。無伴奏ソロ、デュオ、トリオ、カルテット、クインテット、セクステット、セプテット、オクテット、ノネットと演奏メンバーが増えて、最後は10編成テンテットで終わる、という企画盤。

ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Art Farmer (tp, track10), Bernie Glow (tp, tracks 9&10), Freddie Hubbard (tp, tracks 5–7), Nick Travis (tp, tracks 8–10), Willie Ruff (French horn, tracks 8–10), Bill Elton (tb, tracks 8–10), Curtis Fuller (tb, tracks 6 & 7), Hal McKusick (as, tracks 8–10), Sol Schlinger (bs, tracks 8–10), Sahib Shihab (bs, track 7), Cedar Walton (p, tracks 4–7), Tommy Williams (b, tracks 2–10), Albert Heath (ds, tracks 3–10)
 

Take-a-number-from-1to10

 
冒頭、ソロは「You're My Thrill」で始まる。ゴルソンのテナーのソロ。堂々たる吹きっぷり。豊かな表現力。2曲目の「My Heart Belongs To Daddy」はベースとのデュオ。フロントの旋律はテナーが牽引する。力強くクールなテナーの響き。3曲目「The Best Thing For You Is Me」はピアノレス・トリオ。バックのリズム&ビートに乗って、ゴルソンがテクニックよろしく、自由に奔放に吹きまくる。

このソロ、デュオ、トリオの演奏で、ゴルソンのテナーサックス奏者としての優れた力量がよく判る。テクニックも良好、大らかに力強くテナーサックスを吹き上げる。やはり60年以上も第一線の立ち位置をキープしているテナー奏者である。ジャズ・テナー奏者のレジェンドに名を連ねることが出来るくらいに、ゴルソンのテナーは優秀。ちなみに、4曲目のカルテット演奏以降の編成は、従来のゴルソンの「アレンジの才」を愛でることが出来るもの。

ゴルソンのテナーについての「芳しく無い評価」の原因については、まずは本人について好不調の波が意外とある、ということ。これは仕方ない。そしてもう一つの原因については、演奏の録音状態に因るものが大きいのでは、と思っている。

全体として録音状態の良い盤ではゴルソンのテナーは活き活きとしていて、大らかで力強い。録音状態の悪い盤では、ゴルソンのテナーは、音が籠もった様にモワッとして、切れ味悪く暑苦しい。ゴルソンのテナーの音質が録音状態に左右されやすいのだろう。本人の状態が好調で、盤自体の録音状態が良い盤では、ゴルソンのテナーは無敵である。
  
 
 

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2020年3月22日 (日曜日)

ゴルソン・ハーモニーの威力

こんな時期なんだが、彼岸の墓参り等で栃木路に逗留していた。この3連休はそんなこんな、色々と雑用があって、なかなかジャズを聴く機会が無かった。で、ここ千葉県北西部地方に帰り着いてジャズを聴くと、やっぱりジャズって良いなあ、ということになる。特に、ハードバップ成熟期の盤が良い。ジャジーな雰囲気濃厚で、とにかく三連休の雑事に追われた心に実に沁みる。

Benny Golson『Gone With Golson』。1959年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Curtis Fuller (tb), Ray Bryant (p), Tommy Bryant (b), Al Harewood (ds)。前にご紹介した「With Golson」兄弟盤である『Groovin' With Golson』と同じく、ゴルソンのテナー、フラーのトロンボーンの2管フロントの快作。

だが、ベースが、ポール・チェンバースから、トミー・ブライアントに、ドラムが、アート・ブレイキーから、アル・ヘアウッドに代わっている。つまり、リズム・セクションのリズム&ビート部が総入れ替えで、やはり演奏の雰囲気は変わっている。『Groovin' With Golson』はさすが、ベースがPC、ドラムがブレイキーなので、重厚かつダイナミック。ゴルソン・ハーモニーが荘厳に響く感じ。
 
 
Gone-with-golson
 
 
この『Gone with Golson』では、さすがにベースとドラムのレベルがちょっと落ちるので、演奏全体の雰囲気は大人しく、かつ地味に変化している。が、ゴルソン・ハーモニーは同じ雰囲気、同じ響きで、こちらの『Gone with Golson』では、リズム・セクションが大人しくなった分、ゴルソン・ハーモニーがクールに前面に押し出て響く感じ。ゴルソン・ハーモニーをメインに聴く分には、こちらの方が良い感じかな。

この2枚の「With Golson」シリーズを聴くにつけ、ゴルソンのテナーとフラーのトロンボーンのフロント2管が、「ゴルソン・ハーモニー」との相性が抜群であることに気付く。なにも二人とも、ゴルソン・ハーモニーに向けて、吹き方を変えている訳では無いので、もともと二人の持つ「音色」がゴルソン・ハーモニーのユニゾン&ハーモニーに合っているのだろう。

冒頭の「Staccato Swing」を聴けば、良い感じのジャジーな雰囲気やなあ、と思うこと請け合いである。出だしから炸裂の「ゴルソン・ハーモニー」に寄るところ大。この盤では、ゴルソン・ハーモニーの下での「チェイス」などのアレンジも聴くことが出来て、ゴルソン・ハーモニーを愛でる分には、十分な内容の盤ではある。いやはや、ゴルソン・ハーモニーの威力、恐るべし、である。
 
 
 

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2020年3月20日 (金曜日)

聴けば聴くほど味わいが深まる

「ゴルソン・ハーモニー」をネットで紐解くと、「対位法に似た、シンプルな編成にも関わらず、実は複雑なホーンの絡み」、「ハードバップの硬質な響きの中にスウィングの柔らかいハーモニーを活かすアレンジ」、「ユニゾンを基調にしたシンプルで美しいアンサンブル」などという形容が見られるが、これという決定打は無い。そもそも「ゴルソン・ハーモニー」、これくらいしか具体的に文字にしたものは見当たらない。

数学の計算式の様に、理屈・理論をもって確立したアレンジ手法ではないので、まずは聴いて体感して、文字による表現を読んだ方が判り易い。基本は「ユニゾン&ハーモニー」が特徴的なのだが、フロント楽器の編成によって、ユニゾン部とハーモニー部を上手く組み合わせて、柔らかで耳に心地良い響きを実現、しかし、複雑さは無く、シンプルで通りの良い響きが基本なので、小編成の楽器数でも、ゴルソン・ハーモニーは成立する。

Benny Golson『Groovin' With Golson』。1959年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Curtis Fuller (tb), Ray Bryant (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。フロントはゴルソンのテナー・サックスとフラーのトロンボーンの2管。「ジャズテット」の3管フロントの2管がここに配されている。バックのリズム・セクションは、レイ・ブライアントのピアノをベースとした、P.C.のベース、ブレイキーのドラム。いかにも玄人好みのリズム・セクションである。
 
 
Groovin-with-golson  
 
 
この盤は、ゴルソンのテナー、フラーのトロンボーンの2管フロントの快作。ゴルソン・ハーモニーというアレンジが威力を発揮した一枚である。テナーのトロンボーンの2管だけで、よくここまで、ふくよかで、ブルージーで、グルーヴ感溢れるユニゾン&ハーモニーが表現できるなあ、と感心することしきり、である。テナーとトロンボーンの音の特性をよく理解して、ユニゾン部とハーモニー部を編成している。

いかにもファンキー・ジャズらしい、ハードバップらしい響き。加えて、この盤では、ゴルソン・ハーモニーの心地良さと、ハードバップらしいアグレッシブなプレイが共存しているところが、聴いていて楽しい。恐らく、ドラム担当のアート・ブレイキーの貢献度が大きいのだろう。ブレイキー独特のグイグイと牽引し鼓舞するドラミングが、この盤では良い方向に作用している。

ファンキーで小粋なブライアントのピアノも演奏全体に対する貢献度大で、伴奏に回れば、小粋で洒落たバッキングを奏で、ソロに出れば、ファンキーで小粋なフレーズを連発する。チェンバースのベースは演奏全体の「底」をしっかりと支えている。この盤、聴けば聴くほど味わいが深まる。ゴルソン・ハーモニーとハードバップらしいアグレッシブな演奏が醸し出す、スインギーなグルーヴ感が濃厚に出た、ファンキー・ジャズの好盤である。
 
 
 

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2020年3月19日 (木曜日)

ゴルソンの作編曲面での洗練さ

バリバリなハードバップ盤の雰囲気を醸し出す技として「アレンジ(編曲)」がある。ジャズは、ミュージカルなどの挿入歌や自作の曲の旋律をモチーフに即興演奏を展開するのだが、この即興演奏に入る前のテーマ部のアレンジが演奏の雰囲気の決め手になることが多い。この「アレンジ」の妙がジャズの楽しみポイントの1つで、この「アレンジ」にその才能を発揮するジャズメンも幾人かいる。

ジャズのアレンジと言えば、まず「ゴルソン・ハーモニー」が浮かぶ。テナー・サックス奏者のBenny Golson(ベニー・ゴルソン)が得意とする、独特な響きのユニゾン&ハーモニーをベースとしたアレンジ手法。この「ゴルソン・ハーモニー」については言葉では表現しづらい。ベニー・ゴルソンのリーダー作を聴いて頂くのが手っ取り早い。ということで、。ゴルソン・ハーモニーを武器に、こってこてハードバップな盤を世に出し続けた、Benny Golson(ベニー・ゴルソン)のリーダー作を何枚かピックアップしてみた。

『Benny Golson and the Philadelphians』(写真左)。1958年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Lee Morgan (tp), Ray Bryant (p), Percy Heath (b), Philly Joe Jones (ds)。ゴルソンのテナー、モーガンのトランペット、当時のアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのフロント2管。バックのリズム・セクションは、渋い職人芸的なジャズメンが担当している。
 
 
Benny-golson-and-the-philadelphians
 
 
ゴルソンをはじめ、フィラデルフィア出身のジャズメンによる、小粋で思いっ切りハードバップな盤である。ゴルソンのアレンジの筆が冴える。しかし、改めて思ったのは、このパーソネルに名を連ねているメンバーって、皆、フィラデルフィア出身なんだ、ってこと。ジャズの場合、出身地によって「訛り」みたいなものがあって、出身者が一堂に集った方が、演奏全体の雰囲気合わせがスムーズにいくみたい。

どの曲にも、さりげなく「ゴルソン・ハーモニー」が用いられていて、冒頭の「You're Not The Kind」から聴き続けていると、2〜3曲で、この演奏のメンバーの中にゴルソン参加していて、アレンジは一手にゴルソンが担当している、ということが判る位だ。そして、なんせ、この盤はゴルソンのリーダー盤。ゴルソンのテナーが活き活きとしていて、意外とこの盤ではスムーズにアドリブを吹き切っている。メンバーが皆、同郷ということで、リラックス出来たのかな。

ゴルソンの作編曲面での洗練さを強く感じます。あまり、ハードバップ期の代表作のひとつに挙げられる「有名盤」ではないのだが、ゴルソン・ハーモニーが良い雰囲気を醸し出していて、モーガンの絶好調のトランペット、フィリージョーの繊細でダイナミックなドラミング、伴奏上手のブライアントのピアノ、堅実なヒースのベースと相まって、ハードバップの良い雰囲気が溢れている好盤だと僕は思います。
 
 
 

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2020年3月18日 (水曜日)

「この盤の内容」侮るなかれ

ジャズには、興味深いエピソードを携えた「話題のアルバム」というものが幾つかある。例えば「マイルスとモンクのクリスマスの夜の喧嘩セッション」。これは作り話ということで一件落着しているが、作り話としても、このエピソードは面白い。ロリンズの数回に渡る「雲隠れ騒動」だってそうだ(これは事実だけど)。意外とジャズ盤って、その録音にまつわるエピソードが豊富にある。これはこれで面白いのだが、その盤の音の評価にはあまり影響しないと思うのだが。

Michel Legrand『Legrand Jazz』(写真)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、と言いたいが、様々な有名ジャズメンが集結して、ビッグバンド形式で録音しているので、主だった名前だけ列挙しておきたい。Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Bill Evans (p), Ben Webster (ts), Hank Jones (p), Art Farmer (tp), Donald Byrd (tp), Paul Chambers (b), Herbie Mann (fl), Phil Woods (as) 等々。

ミシェル・ルグランは、仏映画音楽界の巨匠。「シェルブールの雨傘」「華麗なる賭け」「おもいでの夏」など、手掛けた有名曲は多数。そして、優秀なジャズ・ピアニスト兼アレンジャーでもあった。本場米国のジャズマンや批評家からも高く評価されていたというから立派なものだ。そんな彼の最初のジャズ・アルバムにして最高傑作の1つがこのアルバムになる。
 
 
Legrand-jazz   
 
 
1958年の晩春。ルグランは米国旅行に出かけます。名目は新婚旅行。しかし真の目的は、様々な有名ジャズメンを集めて、自らのアレンジによるジャズ盤を録音すること。ちゃっかりしてますね。当時、既に超売れっ子だったルグランだから、我が儘も通ったのだろう。集まったジャズメンを見渡すと、錚々たるメンバーである。そして、驚くことに、かのマイルス・デイヴィスが参加している。但し、有名ジャズメンを集めた「お気楽な企画盤」では無い。

冒頭の「The Jitterbug Waltz」を聴くだけで、この盤は当時の米国ジャズとは全く異なる、クラシックに比肩する優雅さと繊細さを兼ね備えていることが判る。マイルスやビル・エヴァンス、コルトレーンという超一流のジャズメンが演奏するのだ。優雅さと繊細さの中に、グッと一本の「ジャズの音の芯」が通っているのがよく判る。やはり、先の「The Jitterbug Waltz」を含め、マイルスが参加の楽曲「Django」「Wild Man Blues」「'Round Midnight」が飛び抜けて出来が良い。

この盤、米国ジャズメンで演奏された欧州ジャズである。この手の音世界は米国ジャズには無い。しかし、ここまで一本の「ジャズの音の芯」が通っ優雅さと繊細さを兼ね備えた純ジャズは、欧州のジャズメンにはまだ難しいところがあったと思う。ルグランはそこに目をつけて、米国旅行の折に、録音のチャンスを見出し、それを実現したと思われる。しかし、さすがは「仏映画音楽界の巨匠」、クールな聴き易さをしっかりと付加している。ルグランのアレンジの才が如何に優れていたか。この盤の内容が証明している。
 
 
 

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2020年3月17日 (火曜日)

ビートルズ・カヴァー集の第2弾

ジャズの世界では、ビートルズのカヴァーは古くから、そう1960年代前半、ビートルズが世界で流行りだした頃からで、意外と早い。そういう意味では、ジャズって意外と「軽薄短小」だなあ、と思うんだが、しかも、そのアレンジたるや、初期の頃のものは酷いものが多くて、むやみに手を出そうものなら「火傷」をする。そう「火傷」をしてからでは遅い。後悔先に立たず、である(笑)。

今ではサブスクの音楽サイトで、チャレンジとして気軽に聴くことが出来るので、片っ端から聴ける。1960年代前半はアレンジがイマイチなんだが、1960年代半ばから熟れてきて、クロスオーバー・ジャズの先駆けの「イージーリスニング・ジャズ」の範疇で、優れたアレンジと演奏のビートルズ・カヴァーが出現した。1970年代以降は、逆にビートルズ・カヴァーは意外と難物なので、優れたアレンジで用意周到に取り組むべきものとなり、いわゆる「失敗作」はほとんど無くなったと思っている。

Al Di Meola『Across the Universe』(写真左)。今月リリースほやほや。超絶技巧ギタリスト、アル・ディ・メオラ(略して「ディメオラ」)がリーダーの、2013年リリースの『All Your Life』に続く、ビートルズ・カヴァー集の第2弾である。第一弾のカヴァー集でも、ビートルズのカヴァー集とは言え、あまりカヴァーされない曲を一ひねりも二捻りも加えたアレンジで取り上げていたが、この第2弾でも、おおよそ今まで、ジャズでカヴァーされたことの無いビートルズ曲を、これまた素晴らしいアレンジを施して披露している。
 
  
Across-the-universe-1   
 
 
1. Here Comes The Sun
2. Golden Slumbers Medley
3. Dear Prudence
4. Norwegian Wood
5. Mother Nature’s Son
6. Strawberry Fields Forever
7. Yesterday
8. Your Mother Should Know
9. Hey Jude
10. I’ll Follow The Sun
11. Julia
12. Till There Was You
13. Here, There And Everywhere
14. Octopus’s Garden
 
 
以上が収録曲なんだが「Dear Prudence」「Mother Nature’s Son」「Your Mother Should Know」「I’ll Follow The Sun」「Julia」「Till There Was You」など、ジャズでカヴァーされた前例を僕は知らない。「私がギターを弾く理由はビートルズがいたからです」と語るディメオラ。そう、ディメオラはビートルズが大好きなんだ。このカヴァーされない、カヴァーし難い楽曲を、超絶技巧なギターテクニックを駆使した、難度の高いアレンジで、クールにユニークにカヴァーしている。

意外と簡単そうに聴こえるが、かなり難しいことを難なくやっている。超絶技巧ギタリストのディメオラの面目躍如である。現代ジャズ・ギターの最先端のテクニックを聴くにも、今までカヴァーされたことのないビートルズ曲を楽しむにも、絶好のカヴァーアルバムです。ちなみに、この盤のアルバム・ジャケットはジョン・レノンのアルバム『Rock 'n' Roll』を再現しています。小粋でお洒落ですね。
 
 
 

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2020年3月16日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・163

なんだかんだ言っても、ウィントン・マルサリスは、ジャズ・トラペッターの中での屈指のレジェンドである。純ジャズ復古の中核人物の一人として新伝承派を牽引し、ネオ・ハードバップまで深化させた功績は大きい。マイルスやコルトレーンの様な「イノベーター」では無かったが、フュージョン・ジャズの次のトレンドを担い、それを深化させた「プロデューサー」であった。

Wynton Marsalis『J Mood』(写真左)。1985年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Marcus Roberts (p), Robert Hurst III (b), Jeff "Tain" Watts (ds)。前作までの兄弟フロントを解散し、ウィントンのトランペット1本の単独フロント。そして、バックのリズム・セクションもドラムのワッツは留任したが、ピアノはマーカス・ロバーツに、ベースはロバート・ハーストに代わった。

ブランフォードとの兄弟フロントは、ウィントンにとって何かとやりにくかった様に思う。ブランフォード自身がウィントンに負けず劣らず、ジャズマンの資質に恵まれているのと、ウィントンと同等のリーダーシップの持ち主だったが故に、兄弟フロントを組んだ前2作の内容からすると、曲によっては「どちらがリーダーなのか判らん」雰囲気が見え隠れしていた。当時、ブランフォードとウィントンはジャズに対する志向が異なって来ていたので、今回、ウィントンのワンホーンとなってスッキリした。
 
 
J-mood  
 
 
良く出来た盤である。良いところを上げたら切りが無い。それまでのジャズの演奏トレンドや演奏に関するインフルエンサーのスタイルの全てを融合・圧縮して、この盤の中に散りばめられている。理路整然とした、それでいて理屈っぽくない、ハイテクニックなモード・ジャズ。かなり難度の高いモード演奏を、カルテットのメンバーはいとも容易く、クールな雰囲気でクリアしていく。楽器演奏を体験してきた者にとっては、一瞬、背筋が寒くなる位のスリリングな展開が凄い。

全編オリジナルで固めた「第一期ウィントン」の完成形といえる。ウィントンのトランペットがワンホーンで伸び伸びしている。クールでストレートな表現で、一気にモーダルな表現〜展開を吹き切ってしまう潔さ。そして、マーカス・ロバーツのピアノが素晴らしい。特に、ウィントンがフロントに出た時の、限りなく自由度高く吹きまくるウィントンを、鼓舞しサポートするバッキングの上手さときたら、聴いていて惚れ惚れする。

「抑制の美学」。1960年代前半にマイルスがモード・ジャズで表現した「クールな抑制の美学」が、このウィントンの盤にしっかりと在る。そういう意味で「温故知新」という四文字熟語がピッタリの演奏の数々で、この盤は「純ジャズ復古の一里塚」的存在だと僕は解釈している。ネオ・ハードバップの第一歩とも言うべき、素晴らしく「純ジャズらしいモード・ジャズな演奏」に一度は耳を傾けて欲しい。
 
 
 

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2020年3月15日 (日曜日)

現代のネオ・ハードバップの起点

ウィントン・マルサリスは希有なトランペッターである。ジャズ・トランペッターとしては、私見ではあるが、クリフォード・ブラウン、マイルス・ディヴィス、リー・モーガンに次ぐ、ジャズ界最高のトランペッターの一人、と思っている。まず、テクニックが凄い。余芸でクラシック・トランペットのアルバムを出して、クラシック界で一定の評価を得ている位だ。加えて「歌心」がある。

しかし、ジャズに対して、非常に「生真面目」で、ビ・バップからハード・バップこそが「真のジャズ」であり、他のエレ・ジャズ、フュージョンやクロスオーバー・ジャズ、フリー・ジャズ、ファンキー・ジャズなどは、本来のジャズでは無い、堕落したジャズだ、と言い切る。これが、ウィントンに対する「好き嫌い」を分ける大きな要因になっている。全く、そんなこと言うから誤解され、色眼鏡で見られるんだよなあ。悪気は無い。ただ「生真面目」なだけ、なんですけどね。

Wynton Marsalis『Black Codes (From the Underground)』(写真左)。1985年リリース。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Branford Marsalis (ts, ss), Kenny Kirkland (p), Charnett Moffett (b), Jeff "Tain" Watts (ds)。ウィントン+ブランフォードの「マルサリス兄弟」の2管、バックに、カークランドのピアノがメインの、モフェットのベース、ワッツのドラムのリズム・セクションが控えるクインテット構成。
 
  
Black-codes
 
 
パーソネルを見ただけで、出てくる音が想像出来るが、僕はこの盤の音が好きだ。この優秀なサイドメンに恵まれて、ウィントンがそのトランペットの「個性と想い」を100%出し切った好盤といえる。冒頭のタイトル曲「Black Codes」から、ラストの「Blues」まで、この盤に収録されている演奏は全て「充実」の一言。緩んだところなど微塵も無い。優れた演奏テクニックをベースに、モード・ジャズがベースのコンテンポラリーな純ジャズが展開される。

リリース当時は、テクニックをひけらかし過ぎる、スリルに乏しい、堅苦しく生真面目、などと揶揄する向きもあったが、いずれも「的外れ」な評価だなあ、と今になって思う。当時の高いレベルの演奏テクニックは、今やほぼ当たり前の状況になったし、テクニックが優秀なので「破綻しそうな」スリルは当然無いし、生真面目で何が悪い。この盤にあるのは、生真面目で高度なモード・ジャズである。ここまで理路整然と洗練されたモード・ジャズとなると、これは「アート」である。

現代のネオ・ハードバップの起点となるイメージの演奏の数々。そんな象徴的な演奏がこの盤に詰まっている。この盤の収録曲を見渡すと、全7曲中、6曲がウィントンのオリジナル。前クインテット作『Think of One』にも増して、何の気兼ねも無く、テクニックの限りを尽くして吹きまくるウィントン。そんなウィントンの生真面目さ、ひたむきさが良い方向に出た好盤だと思う。この盤には「例の蘊蓄」を垂れるウィントンはいない。
 
 
 
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2020年3月14日 (土曜日)

「素のジャズマン」のウィントン

ウィントン・マルサリスは誤解されることが多い(その殆どが並外れた彼の才能へのやっかみが原因なんだが)。彼が提唱し推進する伝統的ジャズの再評価と復刻・保存・発展についても、とやかく言われることが多い。まあ、ストイックなスイング、ビ・バップからハード・バップが「伝統的なメインストリーム・ジャズ」であり、エレクトリック・ジャズ、フュージョン・ジャズ、フリー・ジャズ、ファンキー・ジャズなどは、本来のジャズでは無い、という旨の、偏った発言をしたこともあり、誤解されても仕方がないんだけれど ・・・。

そんなウィントン、「Standard Timeシリーズ」なるスタンダード集を第1集〜第6集まで出している。これがまあ、有名スタンダード曲から、マニアックな知る人ぞ知る的なスタンダード曲まで、様々なスタンダード曲をカヴァーしている。これがなかなかの内容で聴き応え十分。さすがウィントンと思うんだが、トラペッターとしてウィントンは、スタンダードの焼き直しより、オリジナル曲による演奏の方が僕は好きだ。スタンダード曲集は伝統的ジャズの範疇なので、ウィントンはかなり生真面目に演奏していて、ちょっと固くて、ジャズ的な面白さが半減している。

Wynton Marsalis『Think of One』(写真左)。1983年のリリース。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Branford Marsalis (ss, ts), Kenny Kirkland (p), Phil Bowler (b), Ray Drummond (b), Jeff "Tain" Watts (ds)。マルサリス兄弟がフロント2管のクインテット編成が基本。ちなみにウィントンの兄はサックス奏者のブランフォード・マルサリス、弟にトロンボーン奏者のデルフィーヨ・マルサリス、ドラム奏者のジェイソン・マルサリス。4兄弟でジャズ・ミュージシャンという珍しい存在。
 
 
Think-of-one  
 
 
さて、アルバムの話を。この盤、ウィントン22歳の完璧な演奏である。この盤のリリース当時、即ゲットして聴いたのだが、ジャズにおいて、これだけ格調高く、アーティスティックに演奏することが出来るとは思わなかった。収録された8曲の内訳として、3曲がスタンダード、3曲がウィントンのオリジナル、あと2曲はバンド・メンバーのオリジナル、となっている。この盤では、特にこのウィントンとバンド・メンバー(カークランドとドラモンド)のオリジナルでの演奏が充実している。

オリジナル曲なので、何の気兼ねも無く、テクニックの限りを尽くして吹きまくっているウィントンが頼もしい。バックのメンバーの演奏も同様で、清々しいまでの、技術の限りを尽くして、吹き倒し、弾き倒すこの盤の内容は「聴きもの」である。曲毎のアレンジも洒落ていて、間を活かした余裕ある演奏傾向も含めて、この盤については「テクニックの高さ」が耳に付かない。逆に爽快感すら感じるテクニックの高さ。アレンジと、それぞれのミュージシャンの持つ「歌心」の賜である。

テクニックの限りを尽くして、良きアレンジの下、トランペットを吹きまくるウィントンのひたむきさ、真摯さが良い方向に出た好盤である。ジャズにポップな要素を求める向きにはちょっと聴き疲れするかもしれないが、現代ジャズの、特に80年代ネオ・ハードバップの1つの基準となる位の高いレベルの内容で、ジャズを聴く上では避けて通れない盤だと僕は思う。この盤のウィントンは、例の理屈っぽいウィントンでは無い。素のジャズマンとしてのウィントンがこの盤には存在している。
 
 
 

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2020年3月13日 (金曜日)

この盤、パチモン盤では無い。

フュージョン・ジャズと言っても、後のスムース・ジャズの様に「ソフト&メロウ」を前面に押し出した、聴き心地重視のものより、純ジャズやR&B寄りの、ファンキーでグルーヴ感濃厚なものの方が好みである。バンドで言えば「スタッフ(Stuff)」や「クルセイダーズ(The Crusaders)」そして「ブレッカー・ブラザース(Brecker Brothers)」あたりが好みである。

Cornell Dupree『Saturday Night Fever』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Cornell Dupree (el-g), Buster Williams (b), Doug Wilson (ds), Mario E. Sprouse (key), Alex Foster (sax), Kiane Zawadi (tb), Earl Gardner (tp), Sally Rosoff (cello), Elliot Rosoff, Irving Spice (vln)。伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」のギタリスト、コーネル・デュプリーのリーダー作になる。

実はこの盤、タイトルを見れば、僕達の世代の人達は直ぐに判ると思うが、当時のソウル・ヒットのギター・インスト・カヴァーを多数収録〜カヴァーした企画盤なのだ。なんせタイトルが「サタデー・ナイト・フィーバー」である。あのジョン・トラボルタの映画で有名な「それ」である。僕はこの盤については、端っから「パチモン」と決めてかかっていた。
 
 
Saturday-night-fever_20200313195201
 
 
これが、である。フュージョン・ファンクの味付け濃厚な、秀逸なカヴァーになっているのだから、やはり、アルバムっていうのは、聴かなければ「判らない」(笑)。「パチモン」カヴァーとして危惧したのは「Stayin' Alive(Saturday Night Feverのテーマ曲)」「Slip Slidin' Away(Simon&Garfunkelのヒット曲)」そして「It's So Easy(Linda Ronstadtのヒット曲)」。この曲のタイトル見れば、フュージョン・ジャズの味付けのイージーリスニングか、って思いますよね。

が、これがそうはならない。コーネル・デュプリーの「ファンクネス濃厚でグルーヴ感溢れる」エレギのノリで、原曲の良いフレーズをファンキーに崩して、原曲のイメージを仄かに感じる位にデフォルメしている。このデュプリーのデフォルメが実に絶妙なのだ。これは譜面に書けるものではない。デュプリーの天性の「どファンキーなノリ」の成せる技である。「Slip Slidin' Away」なんて原曲のイメージはほとんど崩されているし、「It's So Easy」は力業での崩しで思わず納得。それでも原曲のフレーズはちゃんと残っているのだから隅に置けない。

この盤、「パチモン」盤だなんてとんでもない。コーネル・デュプリーの「ファンクネス濃厚でグルーヴ感溢れる」エレギを体感するのに、また、コーネル・デュプリーの「どファンキーなノリ」による崩し方を体感するのに適した盤だと思う。一部、弦が入ってポップなアレンジも見え隠れするが、コーネル・デュプリーのファンキーなエレギが入ってきたら、途端にそこは「ファンキーでグルーヴ感濃厚」なフュージョン・ファンクの音世界。素敵です。
 
 
 

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2020年3月12日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・162

ダラー・ブランド(Dollar Brand)。最初の名前である。イスラム教への改宗をきっかけに「ダラー・ブランド」から「アブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)」へと名前を変えた。1934年10月、南アフリカ生まれ。1962年に欧州へ移住、チューリッヒを中心に活動。デューク・エリントンに見出され、プロ・デビューを果たす。1970年代中盤に南アフリカに少しの間戻ったが、ほどなくNYへ戻り、現在では南アフリカとNYの両方で活動を継続している。

僕は、このイブラヒムのピアノが大好きで、彼のピアノと初めて出会ったのが、1973年に、ECMレーベルからリリースされた、Dollar Brand『African Piano』である。このソロ・ピアノにはその内容に驚いたし、彼のピアノのベースにある「伝統的なアフリカの歌やゴスペル」が色濃く反映されているフレーズが痛く心に沁みた。どうも、僕は「アフリカン・ネイティヴな音」そして「ゴスペル風のフレーズ」にからきし弱い。僕はこの『African Piano』を聴いて以来、イブラヒムのピアノがお気に入りである。

Dollar Brand『Anatomy of a South African Village』(写真)。1965年1月30日、コペンハーゲンのモンマルトルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Dollar Brand [Abdullah Ibrahim] (p), Johnny Gertze (b), Makaya Ntshoko (ds)。録音年を見れば判るが、イブラヒムのまだ「ダラー・ブランド」時代、彼のキャリアの初期の頃の録音になる。欧州のフォンタナから65年に発売した、マルテ・ロリングがイラストのジャケットの盤(写真左)と、ブラック・ライオンが92年に発売した写真のジャケットの盤(写真右)と2パターンがある。僕が聴いたのは後者。
 
 
Anatomy-of-a-south-african-village  
 
 
伝統的なアフリカ・ネイティヴな音楽フレーズや、ゴスペルからコンテンポラリーなジャズやその他の西洋音楽に至るまで、様々な音楽が効果的に融合されたイブラヒム独特の音世界である。この独特な音世界が、1965年の彼のキャリアの初期の時代に確立されていたことが確認出来る。サイドメンは、どちらも南アのミュージシャンになる。この演奏は、イブラヒムの「南アフリカのみのメンバー」で編成された、南アフリカ発のメインストリーム・ジャズである。

この南アフリカ発のメインストリーム・ジャズを感じるには、冒頭の所要時間15分の大作、タイトル曲の「Anatomy of a South African Village」で十分である。自作をメドレー気味に弾き進める感じの、イブラヒムの個性満載の演奏に惚れ惚れする。ブラック・ライオンが92年に発売した盤は、2曲目以降が、このモンマルトルのライブ音源の発掘音源になるので、イブラヒムの個性を確認するには、このブラック・ライオンが92年に発売した盤の方がより適している。(欧州のフォンタナから65年に発売したイラストのジャケット盤は、2曲目以降、モンクの曲や別のオリジナルを収録しているそうだ)。

僕はイブラヒムの「伝統的なアフリカの歌やゴスペル」が色濃く反映されているフレーズが大好きだ。聴いているだけで、ほのぼのとした郷愁を感じるのだ。そして、この個性的なタッチに、セロニアス・モンクとデューク・エリントンの影響が感じられるタッチが織り交ぜられて、独特の個性的なジャズが展開される。それは、今でも変わらない。壮大な自然環境と音楽を共鳴させたような、様々な音楽が効果的に融合された、イブラヒム独特の音世界は、今も昔も僕にとっては「大のお気に入り」である。
 
 
 

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2020年3月11日 (水曜日)

西海岸の「ハードバップ」な盤

ジャズについては、今でも「そう言えばそうやったな〜」と再認識することに出くわすことがある。例えば、ベツレヘム・レコードであるが、僕がジャズを聴き始めた40年ほど前、米国東海岸ジャズのハードバップ系のアルバムばかりが紹介されていたので、僕はてっきり、ベツレヘムは米国東海岸ジャズのご用達レーベルのひとつだと思っていた。が、ベツレヘムは、米国西海岸ジャズの優れたアルバムを結構残しているのだ。米国西海岸ジャズを語る上で、このベツレヘム・レコードの存在は避けて通れない。

Stan Levey『This Time The Drum's On Me』(写真左)。1955年9月27-28日の録音。ちなみにパーソネルは、Stan Levey (ds), Leroy Vinnegar (b), Lou Levy (p), Dexter Gordon (ts), Frank Rosolino (tb), Conte Condoli (tp)。フロント3管(テナーサックス・トロンボーン・トランペット)のセクステット(六重奏)編成。ドラマーのスタン・リーヴィーがリーダーのアルバムである。

リーダーのスタン・リーヴィー(Stan Levey)は、1926年、フィラデルフィア生まれ。2005年4月に79歳で逝去している。若かりし頃は「ビ・バップ」な白人ドラマー。ディジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーとの共演歴があり、その後、スタン・ケントン楽団に在籍した。1954年に米国西海岸に渡り、西海岸のジャズに大きな影響を与えた。リーヴィーのプレイの基本は「ビ・バップ」。米国西海岸ジャズは、ビ・バップのリズム&ビートの雰囲気をリーヴィーのドラミングの中に見い出し吸収した、と言えるのではないか、と想像している。
 
 
This-time-the-drums-on-me
 
 
ドラマーがリーダーの盤なので、前奏部でのドラムでのイントロや、アドリブ部でのドラムソロが散りばめられているが、極端に目立つことは無い。テクニックも優秀、スイング感も豊かであるが、ファンクネスは希薄。洒落てて粋な乾いたドラミングは、やはり「米国西海岸ジャズ」ならではである。ビ・バップ仕込みのアタック音が明確で切れ味が良い。決して、米国東海岸ジャズのドラマーに引けを取らない、優れたドラミングである。

演奏自体はフロント3管ではあるが、米国西海岸ジャズの特徴であるアレンジは必要最小限に留められている。それにも増して、フロント3管、それぞれのアドリブ展開のパフォーマンスが素晴らしい。この盤、米国西海岸ジャズらしからぬ、楽器演奏の力強さ、メリハリの効いたアドリブ展開が特徴の演奏内容になっている。恐らく、孤高の「バップなテナー・サックス」のデクスター・ゴードンの存在が、この盤の演奏の雰囲気を「米国東海岸ジャズ風な力強い展開のハードバップ」に接近させているのかもしれない。

荷物に埋もれた男のイラストがボツンとあしらわれたジャケット・デザインも粋でお洒落。タイトルも「This Time The Drum's On Me = 今こそドラムを叩く時」と粋でお洒落。アルバムの演奏全体のリズム&ビートをガッチリと掌握し、フロント3管を鼓舞しサポートするスタン・リーヴィーのドラミングは見事の一言。米国西海岸ジャズでありながら、硬派でストイックでハードバップなジャズの好盤です。
 
 
 

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2020年3月10日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・75

今日は朝から雨。夕方には風も強くなって、大荒れの天気。3月に入って短い周期で天気が変わる。それでも、朝はずいぶん暖かくなった。暖かくなってくると、昼下がりには穏やかでホンワカしたジャズが聴きたくなる。そうなると、選盤に偏りが出てきて、毎年、春になると、米国西海岸ジャズの盤を選ぶ頻度が高くなる。

『Max Bennett』(写真左)。1955年12月14日、NYでの録音。ベツレヘム・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Max Bennett (b), Nick Travis (tp), Charlie Mariano (as), Jack Nimitz (bs), Carl Fontana (tb), Dave McKenna (p), Mel Lewis (ds)。 フロント4管のセプテット(七人)編成。

マックス・ベネットは、スタン・ケントン楽団出身、独立後、数々の名セッションに参加している米国西海岸ジャズの主要ベーシスト。ベーシストは基本的にリーダー作が少ない。ベネットも例に漏れず、リーダー作は少ない。そんな彼の貴重なリーダー作品であり代表作。洒落たアレンジによる典型的な「西海岸サウンド」を展開する傑作である。
 
 
Max-bennett-1  
 
 
ベーシストのリーダー作の理想形は、ベースの役割、ベースの音色、そしてそのテクニックをグループ・サウンズを通じて、自分志向のジャズ演奏の中で演出する形態。この盤はその理想形を踏襲していて、まず、典型的な米国西海岸ジャズの演奏の中で、ベネットのベースがしっかりと活躍している。適度な低音、軽やかなウォーキング・ベース。ベネットの個性がしっかり聴きとれる。

フロントが4管だが、その編成が「トランペット・アルトサックス・バリトンサックス、トロンボーン」と、テナーサックスが無くて、低音を司るバリサクとボーンの存在が目を引く。このユニークな編成の4管が、洒落たクールなアレンジによって、実に魅力的に響く。特にユニゾン&ハーモニーが絶妙な響き。

実は、この盤の演奏、米国西海岸ジャズにしては、かなりハードな演奏になっている。東海岸のハードバップのハードな演奏をちょっと想起するのだが、フロント4管をベースとした洒落たアレンジが、そんなハードさを和らげて「円やかなハードさ」に落ち着いて、やっぱりこれって、米国西海岸ジャズやなあ、とつくづく思うのだ。
 
 
 

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2020年3月 9日 (月曜日)

現代の「ジャズ・オルガン」盤

昨日は一日中、雨が降ったり止んだりで、ちょっと寒い一日だった。しかし、今日は雨も上がって気温も上がって、暖かな一日。ここ千葉県北西部地方は最高気温が19度。もはや4月中旬の気温である。まだ3月上旬なのにね。先週の週末は悲しい出来事(マッコイ・タイナーの逝去)もあったけど、悲しんでばかりではいけない。ということで、こってこてファンキーでブルージーなオルガン・ジャズで、心をポジティヴにリセットする。

Tony Monaco and Joey DeFrancesco『New Generations Paesanos On The New B3』(写真左)。2002年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Monaco (new B3, accordion), Robert Kraut (g), Louis Tsamous (ds), Joey DeFrancesco (new B3), Craig Ebner (g), Louis Tsamous (ds)。2つのオルガン・トリオが弾き分ける企画盤。

この盤は、ジャズ・オルガニスト、モナコとデフランチェスコとの共演。それぞれのトリオを引きつれ、新世代オルガン「ハモンド“NEW” B-3」を弾き倒す企画盤。ジャズ・オルガンを体感するには格好の好盤である。デフランチェスコは新進気鋭のオルガン奏者として、前から着目して聴いてきたが、モナコについては全く知らなかった。が、デフランチェスコに匹敵する素晴らしいオルガン奏者である。
 
 
Paesanos-on-the-new-b3  
 
 
過度なファンクネスは避け、切れ味と流麗さを前面に押し出しつつ、ブルージーな音色はしっかりと押さえて、「ハモンド“NEW” B-3」を弾き倒している。以前のジャズ・オルガンに比べて、スッキリしている、というか、シュッとしている。どちらのオルガンも、硬軟自在、緩急自在、そして、オルガン自体の表現力が抜群。新しいスタイルの、現代のジャズ・オルガンだと言える。

選曲を見渡すと、全10曲中、8曲がトニー・モナコのオリジナル曲。いわゆる、オルガニストの作曲なので、オルガンが一番映える曲作りになっている様で、「ハモンド“NEW” B-3」の音を聴き込むには最適の選曲ではある。スタンダード曲は2曲。スタンダード曲については、オルガン奏者自体の個性と資質を確認するのに最適なんだが、これはちょっと物足りないなあ。特に、モナコの実力を測りかねている。

何はともあれ、現代のジャズ・オルガンを体感するのに、「ハモンド“NEW” B-3」の音を体感するのに最適なアルバムである。とにかく、聴いていて「楽しい」。オルガン・ジャズの楽しさがしっかりと詰まった、なかなか隅に置けない企画盤である。「ハモンド“NEW” B-3」のアップをあしらったジャケットもなかなか。好盤です。
 
 
 

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2020年3月 8日 (日曜日)

タイナーの「アレンジの才」

マッコイ・タイナー逝去の悲しみは癒えない。今日は朝から「マッコイ・タイナー祭り」。初期のリーダー作、特に、ブルーノート・レーベルに残した諸作を順に聴き返しては溜息をついている。やはり、ジャズを聴き始めた頃からずっと40年以上、折に付け聴いてきたレジェンドが亡くなると精神的に堪える。自分にとっても、そろそろ身近な問題だけに辛いものがある。

Mccoy Tyner『Tender Moments』(写真左)。1967年12月1日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Herbie Lewis (b), Joe Chambers (ds), Lee Morgan (tp), Julian Priester (tb), Bob Northern (french horn), Howard Johnson (tuba), James Spaulding (as), Bennie Maupin (ts)。タイナーがメインのピアノ・トリオに、フロントがトランペット、トロンボーン、アルト、テナーの4管、そこにフレンチ・ホルンとチューバが加わる「ノネット(9人編成)」。

この盤はタイナーを理解する上で重要な盤の一枚。コルトレーンのモード・ジャズを継承しつつ、タイナーならではの解釈を交えて「タイナー・ミュージック」とでも形容すべき、タイナーならではの個性的な音世界を確立している。そして、そのタイナーならではの音世界を確立させているのが、タイナーの「アレンジの才」である。
   
  
Tender-moments  
 
 
まず、この盤はノネット(9人編成)での演奏になる。ピアノ・トリオのリズム・セクションにフロントが4管、そこにホルンとチューバが加わる。この9人編成の音を以て、タイナーのアレンジの才により、独特な「タイナー・ミュージック」を実現している。コルトレーン・ミュージックをベースとしながらも、フリーに走らず、モード・ジャズをより高度に洗練した響きは独特なもの。

このノネットを統率して、モーダルな響きを心地良く響かせ、フロント楽器のソロ展開をしっかりと浮き立たせ、かつ、自らのピアノによるインプロビゼーションを際立たせるアレンジには思わず唸る。コルトレーンの下、『Africa/Brass』でドルフィーとアレンジの才をふるった実績はあるが、マッコイ・タイナーの「アレンジの才」が確立された感のある『Tender Moments』である。

録音年は1967年。12月の録音なので、コルトレーン逝去後、5ヶ月が経った頃の録音。まだまだコルトレーンを失った悲しみは癒えない時期ではあっただろう。しかし、そんな悲しみの中で、この盤にじゃ「コルトレーンの音楽と精神は自分が継承していく」という明快な決意めいたものを感じる。この盤は、タイナーの優れた「アレンジの才」を心から愛でることの出来る好盤である。
 
 
 

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2020年3月 7日 (土曜日)

【追悼】マッコイ・タイナー逝去

ジャズ・ピアニストのレジェンドの一人、マッコイ・タイナーが逝去した。2020年3月6日、享年81歳。1938年、米国東部のフィラデルフィア生まれ。13歳からピアノを習い始め、20歳代初め、ゴルソンとファーマー率いるジャズテットでキャリアを開始。21歳の時、コルトレーンのバンドメンバーとして加わり、コルトレーン+タイナー+ギャリソン+エルヴィンで構成されたカルテットは「黄金のカルテット」と呼ばれ、1960年代のジャズシーンを牽引した。

1965年12月のコルトレーンの下を辞して独立。1970年代には、1967年に逝去したコルトレーンのスタイルを継承し、モード・ジャズ+シーツ・オブ・サウンドとマッコイ・タイナー独特の奏法「ハンマー奏法」で一斉を風靡した。以降、その延長線上で安定した活動を継続、逝去するまで、ジャズ・ピアニストのレジェンド的存在として在り続けた。

McCoy Tyner『Echoes of a Friend』(写真左)。1972年11月11日、東京はVictor Studioでの録音。パーソネルは、McCoy Tyner (solo-piano)。そう、マッコイ・タイナー単独のソロピアノ盤になる。マッコイ・タイナーのピアノを体験し理解するには絶好のソロピアノ盤で、この盤には、マッコイ・タイナーのピアノのスタイル、テクニック、展開の全てが詰まっている。
 
 
Echoes-of-a-friend  
 
 
タイトルの「Friend」は、タイナーが多大な影響を受け敬愛する、元リーダーの「ジョン・コルトレーン」を指す。「友人のこだま」、長年コルトレーンと共に演奏をしてきたタイナーのコルトレーン へのトリビュート・アルバムである。選曲もコルトレーンゆかりの曲がメイン。後半の2曲はタイナーのオリジナル曲だが、曲想・曲調はコルトレーン・ミュージックを踏襲している。

タイナーの個性である「ハンマー奏法」で雄壮にダイナミックに展開し、コルトレーンから受け継いだ「精神性」、いわゆるスピリチュアルな表現を「叩き出す」が如く繰り広げる。但し、この「コルトレーンに捧げられた」盤の中で、ラストの「Folks」だけは意図が異なる。この曲はタイナーの師匠でトランペッターのカルヴィン・マッセイに捧げられたもの。ややこしい。

このソロピアノ盤は、コルトレーンのスタイルから派生したタイナーのスタイルの完成を再確認することが出来、この確立したタイナーのスタイルを以て、コルトレーンへのトリビュートを表現したもの。大いに影響を受けた元リーダーへの敬意を表現するのにこれ以上のものは無い。1973年のジャズディスク大賞金賞受賞アルバム。しかし、このアルバム、早くこのブログでご紹介したと思っていたら、なんと、マッコイ・タイナーの追悼になってしまった。無念である。合掌。
 
 
 

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2020年3月 6日 (金曜日)

井上の7年振りのアコ・ジャズ盤

日本のジャズの演奏家については、ここ20年余り、なぜか女高男低である。将来有望な新人は女性ばかりで、最初は何となく嬉しかったが、ここまで女性ばかりが出てくると、「日本男子はどうした」と言いたくなる。楽器の演奏というのは意外と体力を使うので、生の音を出す、という点では男性の方が有利なんだが、将来有望な新人はほとんど女性。これって、意外と日本だけの特徴かも、と思いつつ、そんな有望な新人の行く末を見守っている。

井上銘『Our Platform』(写真左)。2020年2月のリリース。日本人「男性」ギタリストのリーダー盤。ちなみにパーソネルは、井上銘 (g), 魚返明未 (p), 若井俊也 (b), 柵木雄斗 (ds)。ピアノ・トリオをリズム・セクションに従えた、リーダーの井上のギターがフロントのカルテット構成。しかも、純日本のメンバー構成。日本のジャズもやるじゃないか。が、井上以外、どうにも馴染みが無い。もう少し、日本のジャズについて勉強する必要があるなあ。

さて、リーダーの井上とは如何なるギタリストか。ネットの情報を借りると「1991年5月生まれ。神奈川県川崎市出身。15才の頃にギターをはじめ、高校在学中にプロキャリアをスタート。 2011年10月EMI Music Japanよりメジャーデビューアルバム『ファースト・トレイン』を発表」とある。そうか、メジャーデビューしてもう8年以上か。僕はこのデビュー盤から、ずっと彼のギターを聴いてきた。
 
 
Our-platform-1  
 
 
今回の新盤を聴いて「いいギターを弾くようになったなあ」が第一印象。ほんと、良いギターである。冒頭から2曲、自作曲で伸び伸びと個性を反映したギターを弾きまくる。ジャズ・ギターとなると、古くは「ウエス・モンゴメリー」、新しくは「ジョージ・ベンソン」辺りの奏法を基本にしたりするのだが、井上のギターはウエスでもベンソンでも無い。はたまた、フュージョン・ジャズ系のギターでは無く、井上のギターの雰囲気は明らかに「純ジャズ」。本格的な純ジャズ志向のギターが清々しい。

純ジャズ志向のギターは、スタンダードやミュージシャンズ・チューンでその実力が遺憾なく発揮される。「You’re My Everything」「I Didn’t Know What Time It Was」などのスタンダード、ロン・カーターの「Eighty One」、スタンダードの美しい旋律を流麗に弾き上げ、ミュージシャンズ・チューンを個性的なモーダルなフレーズで弾きまくる。井上のギターは、シンプルで正統な、ポジティヴな響きが素敵なギター。ありきたりの賛辞で申し訳ないが、良い歳を重ねて、ギターの音に独特の拡がりと奥行きが出てきた。

資料によると「7年ぶりのアコースティック・ジャズ盤」とのこと。今回の内容からして、アコースティック・ジャズ志向、十分いける。特に、ロン・カーターの「Eighty One」などのミュージシャンズ・チューンへのチャレンジなど、どうだろうか。是非、聴いてみたい。
 
 
 

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2020年3月 5日 (木曜日)

チェットのトランペットが映える

3月である。今日は朝から北風がかなり強くて、日中、気温が上がれど体感気温は下がりっぱなしで、冬に逆戻りの感があるが、今年は暖冬傾向で暖かい日が多い。一昨日などは、4月上旬の陽気だったのだから、ちょっと早いけど春である。関西では、東大寺二月堂の「お水取り」が終わったら春、と言われるが、確か、お水取りは12日だったから、如何に今年は暖かいか、が判る。

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「春は米国西海岸ジャズ」である。暖かくホンワカした気候にピッタリやなあ、と昔から思っていて、春やなあ、と思ったら、選盤は暫く米国西海岸ジャズに偏る。お洒落なアレンジ、響きが心地良いユニゾン&ハーモニー、流麗でキャッチャーなアドリブ展開。耳に優しく、心に穏やかに響く、それでいて、やっていることはかなり高度。僕にとっては「春のジャズ」って感じなんですよね。

『Chet Baker & Crew』(写真左)。1956年7月の録音。ちなみにパーソネルは、 Chet Baker (tp), Phil Urso (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Bond (b), Peter Littman (ds), Bill Loughborough (chromatic timpani)。フロント2管(トランペット&テナーサックス)のクインテット編成に、一部、ティンパニが入る。リーダーのチェット・ベイカーについては、トランペットに専念している(CDのボートラにはボーカル入りがあるが、正式なアルバムとしては割愛)。
 
 
Chet-baker-crew  
 
 
この盤でのチェットのトランペットは溌剌としている。流麗にストレートに吹きまくっている。チェットのトランペッターとしての才能を遺憾なく発揮している。とても、当時、重度の「ジャンキー」だったとは思えない。しかし、良く聴くと、溌剌としたトランペットの響きの裏に「愁い」というか「翳り」がそこはかとなく漂っている。しかし、これが良いのだ。健康優良児のチェットなんてありえない。アンニュイで翳りがないと物足りない。

演奏の印象は明確に「米国西海岸ジャズ」。冒頭の「To Mickey's Memory」を聴くだけで直ぐに判る。整った演奏、爽快なスイング感、適度な演奏の熱量、適度にアレンジされ、熱くも無くクール過ぎることも無い。爽快感溢れる演奏がズラリと並ぶ。バックの演奏も良い感じなのだがあ、やはり、この盤はチェットのトランペットを聴く盤だろう。この盤のチェットのトラペットを聴くと、当時、トランペッターとして人気絶大だったことが良く判る。

タイトルを訳すと「チェット・ベイカーと乗組員たち」。ジャケ写がヨットなので、チェットが船長(リーダー)、バックが乗組員(サイドメン)とかけた、ちょっとお洒落なタイトル。そんな和気藹々とした雰囲気が伝わる「心地良い演奏」がギッシリと詰まっている。歴史に残る名盤とは思わないが、米国西海岸ジャズの「レベルの高さ」と「楽しい雰囲気」をよく伝えてくれる好盤である。
 
 
 

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2020年3月 4日 (水曜日)

こういう新盤は心強いなあ。

ジャズには「進化」する、または「深化」する側面と、過去の成果を振り返り「温故知新」する側面の2つがあると感じている。「温故知新」については、過去のレジェンドの演奏スタイルを踏襲し、自分なりの個性を融合させたり、はたまた、過去のレジェンドの楽曲を取り上げて、自分なりのアレンジを加えて演奏したり、「温故知新」の意味通り「古きを訪ねて、新しきを知る」というアプローチである。

Bob Reynolds『A Message for Mobley』(写真左)。2018年7月26日、ロサンゼルスでの録音。 ちなみにパーソネルは、Bob Reynolds (ts), Larry Goldings (Fender Rhodes ele-p), Alex Boneham (b), Charles Ruggiero (ds)。リーダーのボブ・レイノルズはテナー奏者。その名前、どこかで聴いた事があると思って資料を見たら「スナーキー・パピー、ジョン・メイヤーとの共演で知られる実力派サックス奏者」とある。

おお、思い出した。しかし、スナーキー・パピー、ジョン・メイヤーとの共演の経験者であれば、ちょっとフュージョン寄りのコンテンポラリーな純ジャズをやってくるんやないか、と思っていた。で、この盤である。タイトルを見れば、この盤、ハンク・モブレーのオマージュ、もしくはトリビュートでは無いか、と思うんだが、どうにも、先進的なコンテンポラリーな純ジャズの志向と合わないのでは、と思いつつ、この盤を聴いてみると・・・。
 
 
A-message-for-mobley-1
 
 
まず、リズム・セクションが面白い。フェンダー・ローズをメインとしたリズム・セクションである。軽快で適度なファンクネスと爽快感が個性のゴールディングスのローズが「プログレッシブ」な印象を醸し出している。少なくとも、モブレーが活躍したハードバップな雰囲気は微塵も無い。あるとすれば「ネオ・ハードバップ」な、現代の解釈における新しい響きのハードバップである。

そこに、リーダーのレイノルズのテナーが入る。このレイノルズのテナーがこれまた曲者で、テナーと言えば、猫も杓子も「コルトレーン風」か、モブレーの自作曲を採用しているので、「モブレー風」に吹くのが定石だが、レイノルズはそうでは無い。あくまで、自分のスタイル、自分の音でモブレーの自作曲を吹き進める。これが清々しい。モブレーの自作曲を採用するんだが、出てくる音は現代のコンテンポラリーな純ジャズ。決して、懐古趣味では無いし、決して、ハードバップの焼き直しでは無い。

実に頼もしいアルバムである。ネットの情報によれば「レイノルズは今作をハンク・モブレーへのオマージュやトリビュートではないと語る。」とある。なるほど、この盤はオマージュやトリビュートの類の盤では無い、モブレーの楽曲の優秀性と応用性を最大限に活かして、現代のコンテンポラリーな純ジャズなアルバムとして成立している。こういうアルバムに出会うと、まだまだジャズは捨てたもんじゃ無い、と思うのだ。
 
 
 

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2020年3月 3日 (火曜日)

ボブ・ジェームスらしさ満載

フュージョン・ジャズ全盛期をリアルタイムで体験しているので、21世紀の今になっても、フュージョン・ジャズがお気に入りである。ジャズを聴き始めた時も、純ジャズの歴史的名盤を聴き漁るかたわら、フュージョン・ジャズのアルバムをちょくちょく買っては聴いていた。今でも、フュージョン・ジャズの盤については、毎月チェックする。今はネットがあり、サブスクの音楽サイトがある。チェックをするにも良い時代になったものだ。

フュージョン・ジャズの最初のお気に入りミュージシャンが「ボブ・ジェームス(Bob James)」。本格的にジャズを聴き始める前、高校時代にFMのエアチェックで、ボブ・ジェームスの「はげ山の一夜」や「カノン」を聴いていたのが切っ掛けだと思う(他には、デオダートやリー・リトナーをエアチェックして聴いていた)。ジャズのアルバムを初めて購入した時、ボブ・ジェームスの『ヘッズ』が入っていたのだから、よっぽど、お気に入りだったのだろう。

Bob James『Playin' Hooky』(写真左)。1997年の作品。ちなみにパーソネルは、Bob James (key), Steve Gadd (ds), James Genus (b), Fareed Haque (g), Dave Samuels (vib), Cyro Baptista (perc), Emedin Rivera (perc), Lenny Castro (per), Boney James (ts), Chris Walker (b), Chuck Loab (g), Nathan East (b), Nick Moroch (g), Billy Kilson (ds), Hilary James (vo), Rick Braun (tp, flh), etc.。ボブ・ジェームスお得意の曲によって、ミュージシャンの編成を変えて録音する「プロデューサー・スタイル」。
 
 
Playin-hooky-1  
  
 
実は不覚にも、僕はこのアルバムを聴き逃していた。1997年なので、まだネットの情報が不足していた時期。CDショップからのニュー・リリースの情報もチープで、ジャズ系の雑誌が「スイング・ジャーナル」だけ。昔あったフュージョン・ジャズ系の雑誌「アドリブ」は編集方針が良く判らず、フュージョン〜スムース・ジャズの情報には偏りがあった。つまりは情報不足でリリースを見逃した訳で、不徳の致すところである。今では、まず、こういうことは無い。ネットがあるし、サブスクの音楽サイトもある。

この盤、昔のボブ・ジェームスに戻った感のある雰囲気が実に好ましい。打ち込み系のスムース・ジャズもあるが、アルバム全体の雰囲気はフュージョン・ジャズ。特に、ボブ・ジェームスが、CTIやCBS時代を彷彿とさせる、フェンダー・ローズを結構、弾きまくっているのだ。う〜ん、ボブ・ジェームスにはローズが良く似合う。で、アレンジの腕も大いに振るっていて、冒頭の「Playing With Fire」なぞ、ショパンのエチュードのフレーズを拝借して、バラエティー溢れる展開。

随所にボブ・ジェームスの手癖、アレンジ癖が散りばめられていて、往年のボブ・ジェームス者にとっては堪らない内容。リズム&ビートについては打ち込みが結構あるが、この盤では、ボブ・ジェームスのキーボードが前面に押し出されている分、気にはならない。この盤での唯一の課題はこの「打ち込み」の存在。非常に良くプログラミングされているが、やはり、人のパフォーマンスには及ばない。でも、この『Playin' Hooky』、ボブ・ジェームスらしさがよく出ていて好印象です。
 
 
 

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2020年3月 2日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・126

マイルスが始めた「エレクトリック・ジャズ(エレ・ジャズ)」。ジャズ本には、このマイルスが始めたエレ・ジャズが、クロスオーバー・ジャズに発展、フュージョン・ジャズに進化した、と書かれることが多いが、僕はそうは思わない。マイルスのエレ・ジャズは、あくまで「メインストリーム・ジャズ」であり、軸足はしっかりと「ジャズ」側にある。クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズは、ジャズに置いた軸足が、どんどん他のジャンルの音楽の側に移動している。

Jack DeJohnette & Dave Holland『Time & Space』(写真左)。1973年6月16日、東京のイイノホールでの録音。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ac-p, el-p, org, Melodica, Marimba, vo, ds, perc), Dave Holland (ac-b, el-b, vo, perc)。パーソネルの担当楽器を見れば、この盤、多重録音でのエレクトリック・ジャズであることが想像出来る。

ジャック・デジョネットは、現代ジャズ・ドラマーのレジェンド。彼の叩き出すポリリズムと8ビートは唯一無二。マイルスのバンドに在籍し、マイルスのエレ・ジャズをしっかりと体験している。マイルスが欲しくて欲しくてたまらなかったドラマーの一人であるが、デジョネットは長期のツアーが嫌で辞退している。デジョネットは優れたドラマーであるが、優れたピアニストでもある。この盤では、ドラマーとピアニスト、一人二役をこなしている。
 
 
Time-space  
 
 
デイブ・ホランドは、英国出身のベーシスト。マイルスがエレ・ジャズを主宰した際、ベーシストとして参加し、『In A Silent Way』や『Bitches Brew』といった重要作に参加している。その後、チック・コリアと「サークル」を結成したりと、モードからフリーまで柔軟に適応する、演奏の底を押さえるテクニックが素晴らしいベーシストである。

さて、この『Time & Space』は、エレ・ジャズである。どこかマイルスのエレ・ジャズの雰囲気が漂う。マイルスのエレ・ジャズから「スリリングで高いテンション」を差し引いて、適度に脱力した遊び心が見え隠れする、穏やかで印象的なエレ・ジャズ。モーダルで時々フリー。あくまで「メインストリーム・ジャズ」の範疇でのエレ・ジャズ。デジョネットのキーボードが大活躍。ホランドのベースが演奏の底をガッチリと押さえていて、とても多重録音のアルバムとは思えない。

デジョネットのキーボードの腕前はさることながら、デジョネットとホランドのリズム隊って、やっぱり凄いなあと思うのだ。アルバム全編に渡って、硬軟自在、変幻自在、遅速自在のリズム&ビートは素晴らしい。ずっと耳で追っていて、やっぱり凄い。そんなリズム隊を得て、面白くて、どこかホノボノとするエレ・ジャズ。この盤、日本のトリオ・レコードからのリリース。もともとはデジョネット側からの企画だったそう。なんか納得。
 
 
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2020年3月 1日 (日曜日)

米国西海岸の「室内楽ジャズ」

米国西海岸ジャズは洒落たアレンジが特徴。かなり高度なスキルに裏付けられたアレンジで、テーマ部のアンサンブルのユニゾン&ハーモニーなどは、クールで計算されたアレンジで、明らかに「聴かれる、聴かせる」ことを意識したジャズであることが判る。音楽であるからして、まずは聴き手に気持ち良く聴いて貰うのが筋、という雰囲気が伝わってくる。これが米国西海岸ジャズの特徴。

『Chico Hamilton Quintet and Buddy Collette』(写真左)。1955年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Chico Hamilton (ds), Buddy Collette (ts, as, fl, cl), Fred Katz (cello), Jim Hall (g), Carson Smith (b)。不思議な編成である。当時、当たり前の様に入っていたピアノが無い、代わりにといってはなんだが、チェロが入っていて、ギターが入っているクインテット構成。どんな音がするんだ、と思ってしまう。

聴いてみて良く判るんだが、この盤、米国西海岸ジャズの特徴である「アレンジの妙」を最大限に発揮している内容なのだ。このチコ・ハミルトンのクインテットは「室内楽ジャズ」と呼ばれる。従来のジャズ編成とは異なる「弦楽器が3つ」あって、その「弦楽器が3つ」を前提にしたアレンジを施したジャズがこの盤の「ミソ」。演奏の響き自体が、明らかにクラシックの室内楽的な響きで埋め尽くされている。
 
 
Chico-hamilton-quintet-featuring-buddy-c
 
 
異色のジャズと言ってよいだろう。フレッド・カッツのチェロ、ジム・ホールのギターと共に、フロントの旋律を構成しているが、バディ・コレットのリード楽器&フルート。とりわけ、フルートやクラリネットを駆使した旋律のユニゾン&ハーモニーは実にユニーク。演奏については、しっかりとアレンジされ、譜面を重視したアンサンブルが見事です。演奏テクニックも高度なものがあり、クラシックの如く「室内楽ジャズ」と呼ばれるのが良く判ります。

それではクラシックの様で、ジャジーな雰囲気は薄いのではないか、と思うのですが、これが以外とジャジーな雰囲気は維持されているから面白い。アレンジの中で、いわゆる「ブルーノート」の音階をしっかり押さえていて、「室内楽ジャズ」的なアレンジを施していても、ユニゾン&ハーモニーの底にジャジーな雰囲気が流れている。加えて、アドリブ展開では、きっちりジャズの演奏に戻っているのが「ニクい」。

ジャケット・デザインも、メンバーそれぞれが楽器を持ってポーズをとった姿が、バランス良くあしらわれたもので、当時としてはデザイン性の高いジャケットである。「室内楽ジャズ」と呼ばれ、優れたアレンジを施した内容は、優れたジャケット・デザインと併せて、ジャズをアーティステックな音楽として鑑賞する「ハイソサエティな聴衆」向けであることが想像出来る。いわゆる「聴かれる、聴かせる」ことを意識したジャズの好例がこの盤である、と言える。
  
 
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