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2020年2月25日 (火曜日)

安定安心の耽美的ピアノ・トリオ

いつの頃からだろう。欧州ジャズの中核国に「イタリア」が参入したのは。21世紀になって、インターネットが発達し、欧州ジャズの情報が潤沢に入ってくるようになったのだが、イタリアン・ジャズが結構、活況になっている情報に接して、「あら〜、イタリアかあ」と戸惑ったのを覚えている。しかし、ECMレーベルを見渡せば、1970年代後半に、エンリコ・ラヴァの名前があるので、イタリアン・ジャズはかなり古くからあったということである。

Michele di Toro Trio『Play』(写真左)。2014年1月30、31日、イタリアでの録音。ちなみにパーソネルは、Michele Di Toro (p), Yuri Goloubev (b), Marco Zanoli (ds) 。マーシャル・ソラール賞やフリードリッヒ・グルダ賞に輝いた、イタリアの中堅ピアニスト、ミケーレ・ディ・トロのピアノ・トリオ盤である。1974年生まれなので、録音時は40歳。ジャズマンとして中堅に差し掛かった、充実のパフォーマンスが素晴らしい。

リリカルで耽美的なピアノ。タッチは明確だが、バップなピアノの流儀とはちょっと響きが異なる。ガーン、ゴーンとしっかりとしたタッチで弾き回すというよりは、クラシック・ピアノの様に、切れ味の良い流麗なタッチで響きを優先に弾き回す感じ、とでも形容したら良いだろうか。米国のリリカルで耽美的なピアノとは異なる、欧州的というか、イタリア的というか、独特の個性を持ったピアノの響き&調べである。
 
 
Play  
 
 
これがこの盤の最大の聴きもので、全編に渡って、ミケーレ・ディ・トロのジャズ・ピアノがとても印象的に響く。テクニックについても相当に高度で、クラシック・ピアノと比べても引けを取らない素晴らしさ。音の純度が高く、高テクニックで弾き回す分、流麗という形容がピッタリの流れる様なアドリブ・フレーズ印象的。聴き始めは「リリカルで耽美的な欧州ジャズ・ピアノかあ」と「飽き」を危惧するのだが、テンションが適度に保持されていて、決して飽きが来ない。最後まで一気に聴き切ってしまう。

加えて、ユーリ・ゴルベフのアコースティック・ベース(略して「アコベ」)が印象的だ。冒頭「Lutetia」の出だしから、トロのピアノに寄り添い、絡むように弾き進めるゴルベフのアコベは「柔軟」かつ「鋼の様なしなやか」。この鋼の様なしなやかさが実にシャープで、トロの切れ味の良い流麗なタッチとの相性が抜群である。マルコ・ザノリのドラムは地味ではあるが堅実。出るとこはしっかり出てきて、確実なリズム&ビートを供給している。

3者の豊かなイマジネーションと自由度の高いインタープレイが素晴らしい。息もピッタリ合っていて、あうんの呼吸で硬軟自在、変幻自在なアドリブ・フレーズを繰り出していく。速いテンポの演奏も「かかる」こと無く、安定した速攻フレーズを供給。バラード風のスローな展開は耽美的に溺れることなく、凛とした切れ味の良い印象的なフレーズを繰り出して、甘きに流れることは無い。一言で言うと「安定安心の耽美的ピアノ・トリオ」。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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