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2020年2月29日 (土曜日)

ピート・ジョリーの代表盤の一枚

一昨日のブログ(左をクリック)で、久し振りに「Pete Jolly(ピート・ジョリー)」のピアノを聴いて、そういえば、ということで、ピート・ジョリーのリーダー作を聴き直している。ピート・ジョリーは、米国西海岸ジャズに属するジャズ・ピアニスト。1932年生まれ、2004年11月にて72歳で逝去している。ジャズ・ピアニストとしては意外と寡作で、生涯で20枚程度のリーダー作に留まっている。

特に、1970年から1990年の20年間はリーダー作はほぼ途絶えている(1980年と1985年に2枚だけリリースされている)。スタジオ・ミュージシャンとして活躍していたみたいで、1990年代に2枚ほど、21世紀に入って1枚。記憶に留めておけ、と言われるにはちょっと辛い、まさに「寡作」のジャズ・ピアニストである。彼の「聴くべきリーダー作」は、1950年代半ばから1960年代半ばに集中している。

Pete Jolly Trio & Friends『Little Bird』(写真左)。1962年11月と1963年1月、Hollywoodでの録音。ちなみにパーソネルは、Pete Jolly (p), Chuck Berghofer (b), Larry Bunker (ds), Howard Roberts (g), Kenny Hume (perc)。ピート・ジョリーのピアノ・トリオにギターとパーカッションが入ったクインテット構成。ピアノ・トリオに加えて、ギターとパーカッションがさり気なく入っているところは、優れたアレンジが特徴の米国西海岸ジャズらしい。
 
 
Little-bird
 
  
可愛い鳥のイラストが特徴のジャケットが印象的。このジャケットだけで、ぼくはこの盤の虜になりました(笑)。この盤を録音した頃のピート・ジョリーは30歳。ジャズ界ではまだまだ若手のピアニストで、溌剌とした流麗なピアノ展開が見事である。タッチは堅実なんだが、ガーンゴーンと叩くことは無い。あくまで流麗にあくまで小粋にピアノを弾き進める。実に米国西海岸ジャズらしいピアノである。
 
速弾きもバラードの様なゆったりとした弾き回しも、いずれにおいても「流麗」なピアノ。タッチも粒立ちが良く切れ味の良いもの。しかし、絶対に叩かない。あくまで、ピアノを指で「弾いている」というのが良く判るタッチ。しかもテクニックは相当に高い。選曲も、このジョリーのピアノの個性をしっかり活かせるスタンダード曲がメインで、流麗なピアノにポップな雰囲気が加味されていて、聴いている耳に実に心地良いピアノである。

誰かが「”粋”が、蝶ネクタイ姿で軽やかにピアノを弾きまくってるようなピアノ」と形容したが、実に言い得て妙。1曲目のピート・ジョリー作の「Little Bird」は、キャッチャーな曲想のボサノバ曲で格好の良い演奏で、このタイトル曲の演奏の雰囲気がこの盤に詰まっている演奏の雰囲気を代表している。明るくてスィンギー、ベースのバーフォーファー、ドラムのバンカーとの息もピッタリで、ピアノ・トリオの優秀盤としても楽しめる。ピート・ジョリーの代表盤の一枚である。
 
 
 
東日本大震災から8年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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