ながら聴きのジャズも良い・37
ジャズやロックのアルバムにとってジャケット・デザインは大切だと思っている。優れたジャケット・デザインからは、そのアルバムの中に詰まっている音の雰囲気、そのアルバムのリーダーの面影、そんなアルバムにまつわる様々なイメージが伝わってくる。ジャズの世界では、ほとんどのレーベルが、優れたジャケット・デザインを採用している。が、時々、これは何だ、と驚くような「チープなデザイン」「理解に苦しむデザイン」のジャケットもある。
Tommy Flanagan & Rodney Jones『My Funny Valentine』(写真左)。1981年12月21日、NYは、M&I Recording Studiosでの録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Rodney Jones (g), Major Holley (b), Jesse Hameen (ds)。ギターのロドニー・ジョーンズの名前が珍しい。名盤請負人、トミー・フラナガン(トミフラ)がピアノを担当。これまた、その燻し銀なピアノ・プレイが楽しみ。
ロドニー・ジョーンズは、1956年コネチカット出身。録音当時は弱冠25歳。若手も若手のギタリストであるが、そのプレイは堂々としたもの。雰囲的には、ウェス・モンゴメリー直系のハードバップなジャズ・ギター。テクニックも確かでフレーズも流麗。音は適度に丸くて太く、ピッキングは正確。25歳とは思えない成熟なバップ・ギターを聴かせてくれる。
5曲目の「D Natural Blues」では、ウェスばりのオクターヴ奏法を披露して、その実力を遺憾なく発揮している。レノン=マッカートニーの「Yesterday」やラストのタイトルナンバーの「My Funny Valentine」では、耽美的なフレーズを流麗に弾きこなして、繊細な面もしっかりと聴かせてくれる。躍動感と耽美的な面が同居した、優れたバップ・ギターである。
バックのリズム・セクションのトミフラのピアノも聴きものだ。適度な太さで明確なタッチ。トミフラお得意のバップ・ピアノが炸裂する。メジャー・ホリーの唄うようなベース・ラインと、しなるような弦の響きも良好。それぞれの楽器のアドリブ・フレーズを邪魔すること無く、さり気なく繊細にサポートするジェシー・ハミーンのドラミングが実に洒脱。聴き込むにも、ながら聴きにも最適な、ギター・カルテットの演奏である。
しかし、唯一、ジャケット・デザインが玉に瑕。アルバム・タイトルから連想される「バレンタイン・デー」にあやかったのか、この「砂の上に書いた弓で射られるハート」の写真はあまりにチープで俗っぽいジャケット・デザインでいただけない。他にもあと2種類ほど、デザイン違いのジャケットがあるが、どれも全く「イマイチ」。思うにこのアルバム、ジャケット・デザインに恵まれない盤なのだ。
東日本大震災から8年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 水墨画を見るような素敵なデュオ | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤・77 »
コメント