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2020年2月14日 (金曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・79

最近、トリオ・レコードのジャズ音源を追いかけている。トリオ・レコードとは、オーディオメーカー「トリオ」のレコード部門が立ち上げたレーベル。活動期間は1969年〜1984年。バラエティーに富んだジャンルを扱っていたが、ジャズのジャンルでは、特に日本人ジャズの好盤を多くリリースしていて無視出来ない存在である。僕が本格的にジャズを聴き始めた頃、リアルタイムで活動していた日本のレーベルなので、とりわけ親近感がある。

世良譲トリオ『Bacchus Swing』(写真左)。1973年9月の録音。ちなみにパーソネルは、世良譲 (p), 栗田八郎 (b), 原田イサム (ds)。純日本メンバーのトリオ構成。帯紙のキャッチがふるっている。「うたごころ、そしてスイングまたスイング。ジョーが久々に放つ、くつろぎに満ちた快作」。まさにこのキャッチ通りの内容。スイングしまくる、硬質タッチの「唄うような」ピアノが素晴らしい。

世良譲のピアノの雰囲気、どこかで聴いたことがある、というのがファースト・インプレッション。資料を見れば、世良譲はエロール・ガーナーを師と仰いでいた、とのこと。なるほど、であるが、ガーナーの右手よりタッチは軽妙。軽妙ではあるが音に芯がシッカリ入っていて、スタンダード曲の印象的なフレーズがクッキリと浮かび上がる。この唄うように、よく回る右手は、そう「レッド・ガーランド」を彷彿とさせる。
 
 
Bacchus-swing-1  
 
 
左手はブロック・コードでは無いので、レッド・ガーランドそっくりにはならない。右手がレッド・ガーランド風のイメージ、左手がビハインド・ビートでは無いが、伴奏として左手の入り方、リズム&ビート担当の左手の硬質なタッチはエロール・ガーナー風のイメージ。しかし、そこに世良譲の独特のスイング感が被さって、トータルで個性的なジャズ・ピアノを創出している。

日本人ジャズらしく、ファンクネスが相当に希薄なのも、欧米の他のジャズ・ピアニストには無い個性。栗田のベース、原田のドラムの「リズム隊」も堅実でレベルの高いもの。揺らぎ、乱れは全く無い。切れ味の良いリズム隊は、フロントでアドリブ・フレーズを弾きまくる世良のピアノをがっちりとサポートし、がっつりと鼓舞する。そうすると世良のピアノはそのスイング感を増幅して、逆にバックの「リズム隊」を煽る。理想的なピアノ・トリオ。

ちなみに、雑誌等で、ジャズ界の元祖「ちょいワルおやじ」と形容される世良譲。酒・煙草・女性をこよなく愛した、絵に描いた様な、伝説のジャズ・ピアノの名手である。世良は深夜の名物テレビ番組であった「11PM」にレギュラー出演し、深夜のテレビ番組の中で、ムード濃厚なジャズ・ピアノを聴かせていたことを覚えている。そんな「ちょいワルおやじ」が、こんなに素敵な、スインギーなピアノ・トリオ盤を創出した。酒の神「バッカス」のスイング。良いアルバムタイトルである。
 
 
 
東日本大震災から8年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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