こんなアルバムあったんや・124
ジャズを鑑賞する時、僕の場合、自分が出来る楽器をメインに聴き進める傾向がある。自分でも出来る楽器だと、そのプレイの難易度などが実感として判るので、聴いて楽しい。プロのプレイに関して、実感を持って「凄いなあ」と感心できるのだ。自分が出来る楽器はピアノ、アルト・サックス、ギター、フルート等で、単純にこの順番に聴くアルバムが多い。
特にピアノ・トリオは大好きなフォーマット。ジャズを聴き始めた時も、ピアノ&キーボードがメイン。振り返れば、既に40年以上、ジャズ・ピアノを聴き続けていることになる。それでもまだ聴いたことの無いピアニスト&アルバムに出くわすことがある。とにかく、ジャズの裾野は広い。いろいろなジャズ盤のカタログを見ていても、まだまだきいたことの無いピアノ・トリオ盤がある。
『The Ronnell Bright Trio』(写真左)。1958年6月5日 パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Ronnell Bright (p), Richard Davis (b), Art Morgan (ds)。Ronnell Bright(ロンネル・ブライト)は、米国シカゴ出身のジャズ・ピアニスト。1930年生まれなので、この盤を録音した時は28歳。ジャズ界では、まだまだ若手。しかし、この盤では渋いプレイが光っている。
本作は、1958年、ブライトが一緒に渡欧したメンバーとのトリオで残した演奏を収録した作品。実はこの盤、2010年にオリジナル・ジャケット仕様でCD復刻されるまで、幻の名盤の誉れ高いピアノ・トリオ盤であった。とにかく稀少盤で、かなりの高額で取引されるものだそう。で、この「幻の名盤」って内容が伴わないショボイ盤もあるのだが、このブライトのトリオ盤は違う。
まず、ブライトのピアノの、タッチに漂うブルース・フィーリングと、スタンダード・ナンバーにおける小粋な解釈が良い。ジャズ・ピアノですよ、ハードバップなピアノですよ、と直ぐに理解できる、実に判りやすい「ブルース・フィーリング」が個性。聴いていてとても心地良い。ああジャズ・ピアノを聴いているなあ、と実感できるんですよね。
バックのリズム隊も堅実・確実なリズム&ビートを刻んでいて、ブライトのピアノをしっかりサポートしている。このリズム隊の貢献度は見逃せない。やはり、優れたピアノ・トリオには、優れたリズム隊が絶対に存在する。ブライトは寡作で、リーダー作は片手に余る程しかない。しかし、この盤があって良かった。ブライトのいかにもジャズ・ピアノらしいプレイが全編に渡って記録されている。隠れ好盤である。
東日本大震災から8年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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